ゲームをやめられない子の「本当の気持ち」|ゲーム・動画と感情の言語化

ゲームをやめられない子の「本当の気持ち」|ゲーム・動画と感情の言語化

ゲームをやめられない子の「本当の気持ち」
ゲーム・動画と感情の言語化

夕飯の時間になっても、リビングからはコントローラーをたたく音と「うわ、マジか!」「よっしゃー!」という声。ところが「ごはんだよ」と声をかけたとたんに、「今いいところなんだって!」と怒鳴り返される。やっと食卓についても、「今日、学校どうだった?」には「別に」。画面の中ではあんなに笑ったり悔しがったりしているのに、現実の気持ちはまったく見えてこない。そんなもどかしさを感じている親御さんは多いのではないでしょうか。最初にお伝えしたいのは、ゲームや動画に夢中な子は、感情がないわけではなく、むしろ画面の中でたくさんの感情を動かしているということです。この記事では、小中高生の親御さんに向けて、ゲーム・動画の奥にある子どもの「本当の気持ち」との向き合い方をお伝えします。

中島 輝(中島輝)
心理カウンセラー/自己肯定感アカデミー会長/「6つの感」理論創始者/著書累計77万部/15,000人臨床/『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ・累計32刷)『働く人のための自己肯定感』著者

ゲームの中では喜怒哀楽が動くのに、現実の気持ちは言えない

よくある相談の典型例
「ゲームで負けると壁をたたくほど怒るのに、
学校で何があっても『別に』しか言わないんです」
場面中学2年生の息子。帰宅するとすぐにオンラインの対戦ゲームを始め、ボイスチャットで友だちと盛り上がっている。勝てば大声で喜び、負ければ本気で悔しがる。ところが、テストの結果や部活のことを聞くと「普通」「別に」としか答えない。最近は夜遅くまでプレイしていて、朝起きられない日が増えてきた。
この子は、感情が乏しいわけではありません。ゲームの中では、喜び、悔しさ、興奮、仲間との一体感をしっかり感じています。けれど、学校や家庭での気持ちは、どう感じて、どう言えばいいのかがわからない。だからこそ、気持ちを安全に動かせるゲームの世界に、ますます引き寄せられているのかもしれません。

ゲームや動画に夢中になる子どもの姿を見ると、親はつい「ゲームのせいで会話がなくなった」と考えたくなります。もちろん、遊ぶ時間が長くなりすぎれば、睡眠や勉強、家族との時間に影響が出るのは確かです。

けれど、少し視点を変えてみると、別の景色が見えてきます。ゲームの中の感情はわかりやすく、言葉にしやすいのです。勝ったら嬉しい、負けたら悔しい、仲間が助けてくれたら頼もしい。ルールがはっきりしていて、気持ちの理由もはっきりしています。

一方、現実の気持ちはもっと複雑です。友だちにからかわれて笑ってごまかしたけれど、本当は傷ついた。先生にほめられて嬉しかったけれど、周りの目が気になって素直に喜べなかった。そんな入り組んだ気持ちは、言葉にするのがずっと難しい。だから「別に」になってしまうのです。

画面の中で動いている感情は、
その子が「感じる力」を持っている証拠。
あとは、現実への橋をかけるだけです。

気持ちを言葉にしにくい状態|アレキシサイミアと感情迷子さん

自分の感情に気づき、ほかの感情と見分け、言葉にすることが難しい状態を、心理学ではアレキシサイミア(失感情症)と呼びます。「感情がない」という意味ではなく、感情は生まれているのに、それをつかまえて名前をつけるところでつまずいている状態のことです。基本的なしくみはアレキシサイミア(失感情症)とは|感情に名前がつけられない人の特徴・原因・回復のヒントでくわしく解説しています。

約10人に1人
アレキシサイミアの傾向が強いとされる人の割合(研究によって約10〜16%)
出典:アレキシサイミアに関する複数の疫学研究(一般人口の10.1〜16.3%)研究知見

これは病名ではなく、精神医学の診断基準(DSM-5やICD-11)でも独立した病気としては扱われていません。誰もが持っている特性の「濃い・薄い」と考えられています。そして、子どもの感情の語彙はまだ育っている途中です。大人が思う以上に、「この気持ちを何と呼べばいいのか」がわからない場面がたくさんあります。

私はこの状態にある人を「感情迷子さん」と呼んでいます。中島輝の近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』で使っている言葉で、感情をうまく認識・表現しにくくなっている状態を指します。迷子という言葉には、帰る場所があるという前提が含まれています。ゲームの世界では迷わずに感じられているのですから、現実の気持ちに帰る道も、きっと見つけられます。

ゲームに夢中な子に見られやすい4つのタイプ

タイプゲーム・動画まわりでよくある姿
タイプ1
感情がわからない
やめるように言われるとカッとなるが、なぜそんなに怒るのか自分でもわからない。疲れているのに気づかず、夜中まで続けてしまう。
タイプ2
感情を説明できない
ゲームの中の出来事は詳しく話せるのに、「それでどう思ったの?」と聞かれると「別に」で止まる。
タイプ3
感情に興味がない
攻略やランク、効率にしか関心がなく、「気持ちとかどうでもいい」と言う。
タイプ4
想像できない
ゲームの戦略は何手先まで読めるのに、自分の将来や、相手の気持ちを想像するのが苦手。

同じ子でも、場面によってタイプは変わります。ラベルを貼るためではなく、どんな声かけが届きやすいかを考える目印として使ってください。

ゲームや動画が「気持ちの避難所」になっているとき

子どもがゲームや動画から離れられないとき、その理由は「楽しいから」だけとは限りません。なかには、現実で感じたくない気持ちから、意識をそらすための避難所になっていることがあります。

現実の気持ちと、画面の中の気持ち 現実(学校・家) 友だちにからかわれてモヤモヤ テストの点で親にがっかりされた 部活で居場所がない気がする 理由が複雑で、名前がつかない →「別に」「普通」 画面の中(ゲーム・動画) 勝った → うれしい 負けた → くやしい 仲間に助けられた → たのもしい 理由がはっきりしていて、感じやすい →「よっしゃー!」「マジか!」 現実の気持ちに名前がつくと、画面へ逃げる必要が少しずつ減っていく
▲ 現実の気持ちは理由が入り組んでいて名前がつきにくい一方、ゲームの中の気持ちは理由がはっきりしていて感じやすいものです。現実で言葉にならない気持ちが多いほど、子どもは画面の中へ引き寄せられやすくなります。

こんなサインがあるときは、ゲームや動画が「気持ちの避難所」になっている可能性があります。

  • 学校で嫌なことがあった日ほど、帰宅後すぐにゲームを始める
  • 何かを聞かれそうになると、スマホやゲーム機を手に取る
  • 「楽しい?」と聞くと、意外にも「別に楽しくはない」と答える
  • 遊んだあと、すっきりするどころかぐったりしている
  • 動画を見ながら、内容をほとんど覚えていない

避難所があること自体は、悪いことではありません。大人だって、つらいときにドラマを一気見したり、スマホゲームで気をまぎらわせたりします。問題は、避難所しか気持ちの行き場がなくなっているときです。そのとき必要なのは、避難所を取り壊すことではなく、現実の中にもう一つ、気持ちを置ける場所をつくることなのです。

取り上げる前に、「何が楽しい?」と聞いてみる

ゲームの時間が長すぎると感じたとき、多くの親がまず考えるのは「取り上げる」「時間を減らす」ことでしょう。それが必要な場面もあります。けれど、その前に一度だけ試してほしいことがあります。それは、「そのゲーム、何が楽しいの?」と本気で聞いてみることです。

子どもは、親がゲームに否定的だと感じていると、ゲームの話をしなくなります。「どうせわかってもらえない」と思っているからです。そこへ親が興味を持って聞いてくれると、多くの子は驚き、そして少しずつ話し始めます。

聞き方のコツ

届きにくい聞き方届きやすい聞き方
「そんなの何が面白いの?」「それ、どんなところが面白いの?教えて」
「いつまでやってるの?」「今、どのくらい進んだの?あと何戦くらい?」
「勝った負けたで大げさね」「今の、すごく悔しそうだったね」
「動画ばっかり見て」「その人の動画、どんなところが好き?」

子どもが「このゲームは、仲間と作戦を立てるのが面白い」と答えたら、そこには「仲間とつながっていたい」「頼られたい」という気持ちが隠れているかもしれません。「一人で黙々とできるのがいい」なら、「人に気をつかわずにいたい」「今は疲れている」のかもしれません。「何が楽しい?」への答えは、その子が今、何を求めているかを教えてくれる手がかりなのです。

親がゲームのことをよく知らなくてもかまいません。わからないまま、興味を持って聞く。その姿勢だけで、子どもは「自分の好きなものを否定されなかった」と感じます。それが、現実の気持ちを話すための最初の信頼になります。

負けたときの怒りを、言葉にする練習

ゲームで負けたとき、コントローラーを投げる、壁をたたく、大声でわめく。そんな姿に、親はぎょっとするかもしれません。けれど、ここには大きなチャンスが隠れています。負けたときの怒りは、子どもが「強い感情」を言葉にする練習をするのに、いちばんわかりやすい素材だからです。

現実の怒りは、理由が複雑で扱いにくいものです。けれど、ゲームの負けの悔しさは理由がはっきりしています。「あそこでミスした」「相手がずるい動きをした」「味方が来てくれなかった」。この「わかりやすい怒り」で言葉にする練習をしておくと、やがて現実の怒りにも名前をつけやすくなります。

ワーク|3段階温度計(1分)
「ちょっと・そこそこ・すごく」で怒りの強さを選ぶ

負けて荒れているときは、まず落ち着くのを待ちます。少しクールダウンしたら、「今のは、ちょっとムカついた?そこそこ?すごく?」と聞いてみます。原稿では、怒りの度合いに点数をつけて客観的に見る方法(アンガーマネジメントのスケールテクニック)にも触れていますが、子どもには3段階のほうが選びやすいでしょう。「すごく」と答えたら、「そうか、すごく悔しかったんだね」とそのまま返すだけでOKです。

ワーク|比喩レッスン(1分)
「今の気持ちは、○○みたい」

ゲーム好きの子は、たとえの言葉が得意なことがよくあります。「HPが1しか残ってないみたい」「ラスボス直前でセーブデータが消えたみたい」。ゲームの言葉で気持ちをたとえてもらうと、驚くほど豊かな表現が出てくることがあります。親が「それはつらいね」と受けとめれば、立派な感情の言語化です。

「怒るな」ではなく、「怒りを言葉で出す」

負けて怒る子に「ゲームくらいで怒らないの」と言いたくなる気持ちは、よくわかります。けれど、怒り自体は自然な感情です。大切なのは、怒りをなくすことではなく、物に当たる代わりに言葉で出せるようになること。「くっそー、悔しい!」と言葉で叫べたら、それは物を投げるよりずっと進歩しています。

「物や人に当たるのはダメ。でも、悔しいって言うのはいいよ」。この線引きを、穏やかに、くり返し伝えていきましょう。気持ちに名前をつけると、脳の警報装置である扁桃体の活動が落ち着くことも研究でわかっています(Lieberman et al., 2007)。言葉は、怒りの火を少し小さくしてくれる道具なのです。

対戦ゲームで世界トップクラスだった高校生が教えてくれたこと

書籍原稿には、ある対戦ゲームで世界トップクラスの腕を持っていた高校生の話が出てきます。ここでは、親がゲームをどう見るかという角度から、この話を紹介したいと思います。

私はそのゲームについて詳しくなかったので、彼の話を聞いても、わからないことがたくさんありました。それでも、彼が高い思考力を持っていることはよくわかりました。戦略を組み立てる力、相手の出方を見て瞬時に判断する力。ゲームの話になると、彼は饒舌で、感情豊かに語ってくれました。

ところが、ゲーム以外の話になると、とたんに言葉が少なくなります。価値観の違う人のことは「よくわからない」と言って、想像するのをやめてしまう。将来のことを考えようとすると、頭が痛くなってしまう。中学1年生から学校に行けなくなっていました。

「ゲームばかり」ではなく、「力をゲームに集中させている」

この話から親が受け取れるのは、ゲームに夢中な子は、能力がないのではなく、考える力や感じる力を一つの分野に集中させているという見方です。戦略を練り、仲間と連携し、負けて悔しがり、勝って喜ぶ。そこには、豊かな思考と感情が確かに動いています。

彼が変わるきっかけになったのは、アニメの登場人物の気持ちを想像する「キャラクター感情読み」というワークでした。現実の人の気持ちを想像するのには抵抗があっても、アニメならゲーム感覚でできたそうです。やがて彼は「このキャラなら泣くよね。わからなくはない」と言うようになり、少しずつ学校にも行けるようになりました。

つまり、画面の世界は、気持ちを育てる教材にもなりうるのです。親ができるのは、ゲームや動画を「敵」にすることではなく、「そのキャラ、今どんな気持ちだと思う?」と、画面の中の感情を一緒に言葉にしてみること。わからないゲームでも、興味を持って隣で見ているだけで、子どもとの会話は変わっていきます。なお、不登校の子の気持ちについては不登校の子が「理由がわからない」と言うときの記事でくわしく取り上げています。

中島輝より一言

カウンセリングで子どもたちと話していると、「好きなものの話」をしているときがいちばん、その子の本当の表情が見えると感じます。ゲームでも、動画でも、アニメでもかまいません。親御さんにとっては「またゲームの話か」と思えるかもしれませんが、その話を最後まで聞いてもらえた経験は、子どもの中に「自分はここにいていい」という感覚を育てます。気持ちを言葉にする力は、その安心の上にしか育ちません。今夜、5分だけでいいので、お子さんの好きなゲームの話を聞いてみてください。

ルールは、子どもと一緒につくる

とはいえ、ゲームや動画の時間に何のルールもなければ、睡眠や生活のリズムが崩れてしまうこともあります。ここで大切なのは、ルールを親が一方的に決めるのではなく、子どもと一緒につくることです。

一方的なルールは、子どもにとって「取り上げられる」体験になりがちです。反発したり、隠れて遊んだりして、かえって親子の信頼が損なわれることもあります。一緒につくったルールなら、子どもは「自分で決めた」と感じられるので、守りやすくなります。そしてその話し合い自体が、気持ちを言葉にする練習になるのです。

親子でつくるゲームのルール|4つのステップ 1 気持ちを聞く 何が楽しい? やめるとき どんな気分? 2 親の気持ち 「夜ふかしが心配」 と、理由を 気持ちで伝える 3 一緒に決める 時間・場所・ やめ方の合図を 子どもが提案 4 見直す 1〜2週間後に 「守れた? どうだった?」 守れなかったときも「責める」より「どんな気持ちだった?」
▲ ルールづくりの話し合いは、子どもの気持ちを聞き、親の気持ちを伝える絶好の機会です。決めたルールは1〜2週間後に見直し、守れなかったときも理由を一緒に考えます。

ルールづくりで押さえたいポイント

  • 「やめる合図」を決める:「時間になったら即終了」ではなく、「この試合が終わったら」「キリのいいところでセーブしたら」など、子どもが納得できるやめ方を一緒に考える
  • 寝る前の時間は守る:睡眠は感情の安定に直結する。寝る1時間前には画面を閉じる、充電はリビングで、など
  • 親も自分のスマホのルールを決める:子どもにだけ求めると不公平感が生まれる
  • やめるときの気持ちを聞く:「やめるの、イヤだよね」と先に気持ちを受けとめると、切り替えがスムーズになる

やめるときに子どもが怒るのは、「楽しい気持ち」や「まだ途中なのに」という気持ちが、急に断ち切られるからです。「やめなさい」の前に「あと少しでやめるの、イヤだよね」と一言添える。それだけで、子どもは自分の気持ちをわかってもらえたと感じ、切り替えやすくなります。原稿で紹介している「共感の一言」というワークの考え方です。正しいことを言う前に、まず気持ちに一言。親子のルールづくりでも、この順番がとても大切です。

「ゲーム障害」が心配になったら

「うちの子はゲーム依存なのでは」と心配になる親御さんもいるでしょう。世界保健機関(WHO)が定める国際疾病分類(ICD-11)には、「ゲーム障害(Gaming disorder)」という項目があり、2022年から発効しています。

ICD-11では、おおまかに次のような状態が続き、生活に大きな支障が出ている場合が想定されています。

  • ゲームをする時間や頻度を、自分でコントロールできない
  • ほかの興味や日常の活動よりも、ゲームを優先するようになっている
  • 問題が起きているにもかかわらず、ゲームを続けてしまう

ただし、ゲームの時間が長いことだけで、ゲーム障害と決まるわけではありません。また、ここに挙げたのはあくまで紹介であり、親がチェックして判断するためのものではありません。診断は、医療機関が本人の状態や生活全体を見て行うものです。

次のような様子が続いているときは、家庭だけで抱えこまずに、かかりつけの小児科や、ネット・ゲームの問題に対応している医療機関、精神保健福祉センターなどに相談してください。

  • 昼夜逆転が続き、学校に行けない日が増えている
  • ゲームを止められると、暴力をふるう、物を壊すなどの行動が続く
  • 食事や入浴など、基本的な生活がおろそかになっている
  • ゲーム以外のことに、ほとんど関心を示さなくなった

また、ゲームへの没頭の裏に、学校での人間関係のつらさや、気分の落ち込みが隠れていることもあります。「ゲームをやめさせること」だけを目標にせず、「この子は何を感じているんだろう」という視点を持ち続けることが、回復への近道になります。SNSとのつきあい方は、SNSに夢中な子と感情の言語化の記事で別に取り上げています。

親自身の「イライラ」も、言葉にしていい

ここまで子どもの気持ちを中心にお話ししてきましたが、最後に親御さん自身の気持ちにも目を向けてみましょう。何度言ってもやめないゲーム、話しかけても返ってこない返事、夜中まで漏れてくる画面の光。イライラ、心配、無力感、さみしさ。親の中にも、たくさんの気持ちがたまっているはずです。

そのイライラを抱えたまま「いいかげんにしなさい!」と言ってしまうと、子どもは「また怒られた」としか受け取れません。けれど、親が先に自分の気持ちに気づいていると、伝え方が変わります。「ずっとゲームしてると、話せなくてお母さんさみしいな」。怒りの奥にある「さみしい」「心配」を言葉にできると、子どもも身構えずに聞くことができます。

親のためのワーク|5秒ルール(5秒)
「やめなさい」の前に5秒だけ待つ

原稿で紹介しているワークを、ゲームの場面向けにアレンジしたものです。子どもに注意したくなったら、言う前に5秒だけ待ち、「この子は今、何を感じているんだろう?」と自分に問いかけます。答えはわからなくてかまいません。5秒待つだけで、頭ごなしの「やめなさい」が、「あと何分でキリがつく?」に変わることがあります。

親が自分の気持ちを言葉にする姿は、
子どもにとって、いちばん身近な
「感情の言語化」のお手本です。

よくあるご質問

ゲームを取り上げたら、ものすごく怒りました。やり方が間違っていたのでしょうか?
急に取り上げられると、子どもは「楽しい気持ち」や「仲間との約束」を突然断ち切られる体験をします。怒るのは自然な反応です。生活に支障が出ているなら制限は必要ですが、その前に「何が楽しいの?」「やめるとどんな気持ち?」と聞き、ルールを一緒につくる形に切り替えてみてください。
親がゲームのことをまったく知らなくても、話を聞けますか?
はい、まったく問題ありません。むしろ「わからないから教えて」という姿勢のほうが、子どもは話しやすくなります。内容を理解することより、子どもが話しているときの表情や声の調子に注目し、「そこ、すごく楽しそうに話すね」と気持ちを言葉にして返してみてください。
動画ばかり見ていて、ゲームより心配です。
動画も、気持ちを動かす素材になります。好きな配信者や動画のどこが好きかを聞いてみると、子どもが何に心を動かされているのかが見えてきます。一緒に見て「この人、今どんな気持ちだと思う?」と聞くのも、キャラクター感情読みの練習になります。睡眠時間を削っている場合は、寝る前の時間についてルールを一緒に決めましょう。
ゲームで負けると暴れます。どう対応すればいいですか?
まずは安全を確保し、落ち着くのを待ってください。落ち着いたら、「すごく悔しかったね」と気持ちを言葉にして返します。そのうえで「物に当たるのはダメ。でも悔しいって言うのはいい」と線を引きます。暴力や物を壊す行動が続く場合は、一人で抱えずに専門機関に相談してください。
高校生になっても夜中までゲームをしています。もう親が口を出す年齢ではないのでしょうか?
高校生には、自分で決める範囲を広げてあげることも大切です。ただ、睡眠不足が続くと気分も不安定になりやすくなります。「やめなさい」ではなく、「最近、朝つらそうだけど大丈夫?」と体の様子に触れ、本人がどうしたいかを聞いてみてください。自分で決めたルールのほうが、守りやすいものです。
ゲームの中で動いている感情は、
その子が「感じる力」を持っている証拠。
今夜は「何が楽しい?」から始めよう。
好きなものの話を聞いてもらえた子は、
少しずつ、現実の気持ちも話し始めます。

自分を大切にしよう

ゲームや動画をやめられない子どもの中では、画面の中で喜び、悔しさ、興奮、仲間との一体感といった豊かな感情が動いています。けれど、学校や家庭での入り組んだ気持ちは、まだうまく言葉にできない。だからこそ、気持ちを安全に動かせる画面の世界に引き寄せられているのかもしれません。ゲームに夢中な子は、感じる力がないのではなく、その力を一つの場所に集中させているのです。

親にできるのは、いきなり取り上げることではなく、まず「何が楽しい?」と聞いて、子どもの好きなものに興味を持つことです。負けたときの怒りは、3段階温度計や比喩で言葉にする練習の素材になります。ルールは子どもと一緒につくり、やめるときには「イヤだよね」と先に気持ちを受けとめる。そして、生活に大きな支障が出ているときは、ゲーム障害かどうかを親が判断しようとせず、医療機関に相談してください。

最後に、親御さん自身のイライラや心配にも、どうか名前をつけてあげてください。「さみしい」「心配」と言葉にできたとき、親子の会話は、命令から対話へと変わっていきます。自分を大切にしよう。親が自分の気持ちを大切にする姿は、子どもが自分の気持ちを大切にするための、いちばんの道しるべです。

本記事の参考資料・科学的根拠

  • 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』(近刊)書籍原稿
  • Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
  • World Health Organization. International Classification of Diseases 11th Revision (ICD-11): 6C51 Gaming disorder.
  • Lieberman, M.D. et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421-428.
  • 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料(一般人口の10.1〜16.3%)
監修|中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感」理論創始者
著書累計77万部・15,000人臨床・回復率95%
本記事は心理学的知見に基づく一般情報です。医学的診断や治療の代わりにはなりません。心身に不調を感じる場合は、医療機関・専門家へのご相談をおすすめします。

無断転載禁止
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP
自己肯定感アカデミー
一般財団法人 自己肯定感学会 公式サイト