会議で誰も本音を言わない組織へ
感情の言語化から変える組織コミュニケーション
「ほかに意見はありますか?」と議長が見回しても、誰も口を開かない。会議が終わると、廊下や給湯室、別のチャットで「本当はあの案、無理だと思う」という本音が飛び交う。Gallupの調査で、日本の「熱意あふれる社員」は約6%と世界最低水準。会議の沈黙は、社員のやる気の問題ではなく、組織が「感情を持ち込まない」ことを続けてきた結果かもしれません。経営層・部門長・社内コミュニケーション担当の方に向けて、会議・部門間・全社のコミュニケーションを感情の言語化から変える方法を、結論から解説します。
結論:会議の沈黙は「感情を持ち込まない」組織が生んでいる
結論からお伝えします。会議で誰も本音を言わないのは、社員に意見がないからではありません。「この場で感情を出してはいけない」という暗黙のルールが、意見そのものを封じているからです。意見の多くは、「不安だ」「納得できない」「もったいない」といった感情から生まれます。感情を持ち込めない会議では、意見の芽も一緒に摘まれてしまうのです。
押さえておきたいポイントは3つです。
- 沈黙の下には感情がある。会議で黙る人は「何も考えていない」のではなく、不安・遠慮・あきらめを言葉にできずにいることが多い。
- 部門間の対立は、数字ではなく感情の対立。「うちばかり負担が重い」という不公平感や、「失敗の責任を押しつけられるかもしれない」という不安が、議論を硬くする。
- 感情の語彙を組織の共通言語にする。会議の最初の「チェックイン」や、気分を3段階で伝える習慣で、感情を安全に扱える場をつくる。
この記事の背景にあるのは、心理学でアレキシサイミア(失感情症)と呼ばれる状態です。感情に気づき、見分け、言葉にすることが難しい状態のことで、病名ではなく、一般の人の約10〜16%に強い傾向が見られる特性の濃淡です。中島輝の近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』で、私はこの状態にある人を「感情迷子さん」と呼んでいます。基本はアレキシサイミア(失感情症)とはをご覧ください。
ここで大切なのは、感情迷子さんは個人の中だけにいるわけではない、ということです。「仕事に感情を持ち込むな」が長く続いた組織では、組織そのものが感情迷子さんになります。誰も気持ちを言わないから、誰も気持ちに気づかない。気づかないから、問題が表に出るのは、誰かが辞めるときや、プロジェクトが失敗したあとになってしまうのです。
数字で見る、職場の熱意と心理的安全性
「感情の話は、組織運営とは別のもの」と考える方もいるでしょう。けれども、研究と調査の数字は、むしろその逆を示しています。
| 指標 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 約6% | 日本で仕事に「熱意あふれる(エンゲージしている)」社員の割合。世界最低水準 | Gallup「State of the Global Workplace」 |
| 最重要因子 | 成果を出すチームに共通していたのは、メンバーの顔ぶれより「心理的安全性」だった | Google「プロジェクト・アリストテレス」(2015年頃) |
| 学習行動 | 心理的安全性の高いチームほど、質問・相談・ミスの報告などの学習行動が多い | Edmondson(1999) |
| 約10〜16% | 一般の人のうち、アレキシサイミア傾向が強いとされる人の割合 | TAS-20等を用いた複数の疫学研究 |
| 扁桃体の鎮静 | 感情に名前をつけると、不安や恐れに関わる扁桃体の活動が下がる | Lieberman et al.(2007) |
ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン(Edmondson)は、心理的安全性を「このチームでは、対人関係のリスクをとっても大丈夫だ」とメンバーが共有している信念と定義しました。対人関係のリスクとは、「こんなことを聞いたらばかにされるかも」「反対したら嫌われるかも」という不安のことです。つまり心理的安全性とは、不安という感情を、組織としてどう扱っているかの問題でもあります。
中島輝・自己肯定感アカデミーの講座資料でも、職場でアレキシサイミア傾向が強く出ると、モチベーションの低下、報連相の不足、会話の回避、欠勤や生産性の低下につながりやすいと整理しています。会議で黙る、相談が遅れる、部門をまたぐ話を避ける。これらは個人の性格の問題に見えて、実は組織のコミュニケーションの問題として現れているのです。
心理的安全性とは、
「不安を言葉にしても大丈夫」という合意のこと。
感情を扱えない組織に、安全は生まれない。
会議で誰も本音を言わない3つの構造
会議の沈黙には、いくつかの典型的な構造があります。よくある相談の典型例をもとに、3つに整理します。
構造1|「空気」が感情の代わりに決めている
日本の会議でよく聞くのが、「空気を読んで発言を控えた」という声です。空気とは、言葉にされていない場の感情の総和のようなものです。「部長は乗り気らしい」「この案はもう決まっているらしい」。誰も口にしていないのに、全員がそう感じとり、黙る。結果として、会議は空気が決めたことを追認する場になります。
問題は、空気そのものではなく、空気の中身が一度も言葉にされないことです。「実は私、この案に少し不安があります」と誰かが言えれば、空気は「意見」に変わります。言葉にならないまま残った空気は、会議のあとに陰口や不満として漏れ出します。
構造2|根回しで決まり、会議は「確認の場」になっている
事前の根回しそのものは、合意形成の知恵でもあります。ただ、根回しが行きすぎると、会議は「すでに決まったことを確認する儀式」になります。参加者は「ここで何を言っても変わらない」と学び、あきらめという感情を抱えたまま、黙って座るようになります。あきらめは静かな感情なので、周りからは「賛成」に見えてしまうのが厄介なところです。
構造3|「正解を言わなければ」という緊張
役員や他部門の部長が並ぶ会議では、「間違ったことを言ってはいけない」という緊張が強くなります。準備した資料は読み上げられても、「まだ整理できていないけれど、気になっていること」は出てきません。ところが、組織にとって本当に価値があるのは、この「整理前の違和感」です。トラブルの芽は、たいてい誰かの小さな違和感として、最初に現れるからです。
なぜ現場が動かないんでしょう」
部門間の対立の裏にある感情|不公平感と不安
営業と開発、本社と現場、管理部門と事業部門。部門間の対立は、どの組織にもあります。表向きは「納期」「コスト」「優先順位」の議論ですが、話をよく聞いていくと、その下にははっきりとした感情が流れています。
| 表に出る言葉 | その下にある感情(例) |
|---|---|
| 「その納期では無理です」 | また無理を押しつけられるのではという不安。現場の苦労をわかってもらえない悔しさ |
| 「数字が足りないのは営業の責任では」 | 失敗の責任を自分たちが負わされることへの恐れ |
| 「本社は現場を知らない」 | 自分たちの仕事が評価されていないという不公平感、さみしさ |
| 「ルールなので」 | 例外を認めたら自分が責められるという緊張。トラブルを防ぎたい責任感 |
| 「検討します」 | 本当は反対だが、波風を立てたくないという遠慮 |
部門間の議論が平行線になるのは、双方が「事実」と「数字」だけで戦おうとするからです。感情は、事実の議論では決着しません。「うちばかり負担が重い」という不公平感は、データを見せられても消えないのです。むしろ「数字で言い負かされた」という悔しさが加わり、対立はさらに深まります。
一方で、感情を言葉にできると、議論の質が変わります。「正直に言うと、また現場に負担が来るのではと不安なんです」と言えた瞬間、相手は反論ではなく、「その不安をどう減らすか」という問いに向き合えるようになります。感情は対立を生む原因であると同時に、合意への入り口でもあるのです。
部門長が先に「自部門の感情」を言葉にする
部門間の会議で効果的なのは、部門長がまず自分の部門の感情を言葉にすることです。「うちの部はいま、正直そこそこ疲れています」「このプロジェクトには期待している一方で、人員面では不安もあります」。部門長が感情を開示すると、相手の部門も「実はこちらも…」と話しやすくなります。感情の開示は、交渉の弱みではなく、信頼の合図として働きます。
中島輝より一言
組織の相談を受けていると、「あの部署とはどうしても話が合わない」という声をよく聞きます。ところが、両方の部門の方に話を聞くと、驚くほど同じ感情を抱えていることが多いのです。どちらも「自分たちの頑張りをわかってほしい」と感じている。対立していたのは人ではなく、言葉にならなかった同じ気持ちでした。そこに気づけたとき、会議の空気はふっとやわらぎます。
社内チャットのすれ違い|文字だけで感情は伝わらない
ビジネスチャットが普及し、部門をまたぐやりとりの多くが文字で行われるようになりました。スピードは上がった一方で、感情のすれ違いが起きやすくなっています。
- 「了解です」の一言が、冷たく突き放されたように感じる
- 返信が遅いと「怒っているのでは」と不安になる
- 「確認お願いします」が、責められているように読める
- スタンプだけの返事で、本当に納得しているのかわからない
- 大事な反対意見ほど、チャットでは書きにくい
対面の会議なら、表情や声のトーン、間の取り方から、相手の感情をある程度読みとれます。ところが文字だけのやりとりでは、その手がかりがほとんど失われます。すると人は、足りない情報を自分の不安で埋めて読むようになります。「了解です」に怒りを読みとるのは、相手ではなく、読み手の不安であることも多いのです。
チャットに「感情の一言」を添える
対策はシンプルです。業務連絡に、感情の一言を添える習慣を組織として広めます。
「急ぎで申し訳ないのですが」+「助かります」
「この資料、明日までに確認お願いします」だけでなく、「急ぎで申し訳ないのですが、明日までに確認いただけると本当に助かります」と書く。申し訳なさと感謝が伝わるだけで、受けとる側の負担感は大きく変わります。
「方向性には賛成です。そのうえで、少し不安な点があります」
反対意見を文字だけで書くと、攻撃に読まれがちです。共有できる部分を先に、不安は「不安」という言葉で書きます。「反対です」より「この点が少し不安です」のほうが、相手は解決策を一緒に考えやすくなります。
「文字だと誤解が生まれそうなので、5分話せますか」
感情が強く動く話題は、チャットで完結させないのが原則です。「文字だと伝わりにくいので」と感情の理由を添えて、短い通話や対面に切り替えます。
リモートワークでのチームづくりについては、リモートワークと感情の言語化の記事でも詳しく扱っています。この記事では、部門をまたぐ全社的なルールとして、チャットに感情の一言を添える文化を広げることをおすすめします。
会議の最初の「チェックイン」|一言で今の気分を共有する
会議を変えるために、今日からすぐに始められるのが「チェックイン」です。会議の冒頭に、参加者が一人ひと言ずつ、今の気分を言葉にする。それだけの習慣ですが、会議の空気は大きく変わります。
チェックインのやり方
議長がまず自分の気分を言う
「今日は朝から立て込んでいて、正直そこそこ疲れています。でも、この議題は楽しみにしていました」。立場がいちばん上の人が先に感情を開示することで、ほかの人も話しやすくなります。
「今の気分」と「強さ」を一言で
書籍原稿の「3段階温度計」を会議用にアレンジします。「ちょっと不安」「そこそこ楽しみ」「すごく眠い」のように、感情の言葉に「ちょっと・そこそこ・すごく」の強さをつけるだけです。理由は言っても言わなくてもかまいません。
評価もアドバイスもせず、「ありがとう」で受ける
「疲れているなら早く終わらせよう」と議長が反応したくなりますが、ここはぐっとこらえます。チェックインは聞いてもらう時間であって、解決する時間ではありません。一人が話し終えたら「ありがとうございます」で次へ進みます。
「チェックアウト」で今の気分をもう一度
会議の終わりにも一言ずつ、「すっきりした」「ちょっともやもやが残っている」と気分を言います。もやもやが残っている人がいれば、それが次に話すべきテーマです。会議のあとに本音が漏れ出すのを防ぐ効果もあります。
感情に名前をつけると扁桃体の活動が下がるという、リーバーマンら(Lieberman et al., 2007)の研究があります。「ちょっと不安です」と言葉にするだけで、その不安は少し扱いやすくなる。チェックインは、参加者全員で、会議の最初に感情のラベリングをする時間だといえます。
「感情の話は時間のむだ」という反論への答え
チェックインを提案すると、「忙しいのに気分の話をしている時間はない」という反論が必ず出ます。けれども、10人の会議でも一人10秒なら2分弱です。その2分で、会議の後に別の場所で交わされる本音の時間や、決定事項が動かないことによる手戻りを減らせるなら、むしろ費用対効果の高い投資です。最初は「今日は試しに」と、定例会議の一つから始めてみてください。
感情の語彙を組織の共通言語にする
チェックインが定着してきたら、次の段階は、感情の語彙を組織の共通言語にすることです。「不安」「焦り」「もったいない」「納得できない」。こうした言葉を会議や報告の中で使ってよい、という合意を組織として持つことです。
「納得度」を3段階で聞く
会議で何かを決めたとき、「異論はありませんか」と聞くと、ほとんどの場合、沈黙が返ってきます。そこで聞き方を変え、「この決定への納得度は、ちょっと・そこそこ・すごくのどれですか」と尋ねてみてください。「ちょっと」と答えた人がいれば、その人がまだ言葉にしていない不安を持っているサインです。反対かどうかを問うより、感情の強さを問うほうが、人は正直に答えやすくなります。
組織版の「感情ことば帳」をつくる
書籍原稿には、日常で出会った感情の言葉をメモしていく「感情ことば帳」というワークがあります。これを組織版にアレンジします。たとえば、社内チャットに「今週の気持ちことば」のようなチャンネルをつくり、仕事の中で感じた気持ちを短く投稿してもらう。「やっと形になってほっとした」「お客様の一言で報われた」「正直、焦っている」。こうした言葉が日常的に流れている組織では、会議でも感情を口にするハードルが下がります。
| 組織でよく使われる言葉 | 感情の語彙に言いかえると |
|---|---|
| 「問題ありません」 | 「大きな不安はありません。ただ、ここは少し気になっています」 |
| 「検討します」 | 「前向きに考えたい気持ちと、人員面での不安が半々です」 |
| 「厳しいですね」 | 「正直、焦っています」「悔しいです」 |
| 「お疲れさまです」 | 「今回は本当に助かりました。ありがとうございます」 |
| 「仕方ないですね」 | 「残念です。次はこうしたいと思っています」 |
広報・社内報で「感情のある物語」を伝える
総務や広報、社内コミュニケーション担当の方にお伝えしたいのは、社内報やイントラネットの記事にも感情の言葉を入れてほしいということです。「新製品の発売に成功しました」という事実だけでなく、「開発チームは、最後の1週間、本当に間に合うのかと不安で眠れない夜もあった」という物語を伝える。社員は数字ではなく、感情のある物語に心を動かされ、「自分もこの組織の一員だ」と感じるものです。
ただし、感情の開示を「義務」にしないことも大切です。チェックインで「パスします」と言ってよい、と最初に伝えておきましょう。感情は、強制された瞬間に、また奥へ引っ込んでしまうからです。
アドラー心理学で見る組織|共同体感覚と横の関係
私は長年、アドラー心理学をベースにカウンセリングを行ってきました。オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラー(1870〜1937)の考え方は、個人の悩みだけでなく、組織のコミュニケーションを考えるうえでも大きなヒントになります。ここでは3つの考え方を紹介します。
「すべての悩みは対人関係の悩みである」
アドラー心理学には、「すべての悩みは対人関係の悩みである」という考え方があります。岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』で広く知られるようになった整理です。業務の悩み、数字の悩み、仕組みの悩みに見えるものも、その根っこをたどると「あの人にどう思われるか」「あの部署とうまくやれるか」という対人関係の悩みにたどり着きます。だからこそ、組織の問題を「仕組み」だけで解決しようとしても、うまくいかないことが多いのです。
縦の関係から、横の関係へ
アドラー心理学では、人間関係を「縦の関係」と「横の関係」に分けて考えます。縦の関係とは、上下・優劣・評価でつながる関係です。横の関係とは、立場や役割は違っても、人として対等につながる関係です。
会議で本音が出ないのは、多くの場合、会議が縦の関係で運営されているからです。上の人が評価し、下の人は評価される。その関係の中では、「不安です」「わかりません」と言うことは、評価を下げるリスクになります。チェックインで議長が先に自分の気分を言うのは、縦の関係を一時的に横の関係に近づける工夫でもあります。役職ではなく、一人の人として気分を言う。その数秒が、場の関係性を変えます。
共同体感覚|「ここにいていい」「役に立てている」
アドラーが心の健康の指標として重視したのが「共同体感覚」です。自分は共同体の一員であり(所属感)、仲間の役に立てている(貢献感)と感じられる感覚のことです。会議で発言しない人の多くは、「自分の意見は役に立たない」「ここで言っても意味がない」と感じています。つまり、共同体感覚が揺らいでいるのです。
共同体感覚を育てるのは、ほめ言葉ではなく、「ありがとう」「助かった」という勇気づけの言葉です。会議で誰かが不安を口にしたとき、「その視点はありがたいです。言ってくれて助かりました」と返す。不安を言ったことが組織への貢献として受けとめられると、その人は次の会議でも発言しやすくなります。
自己肯定感の6つの感|組織で育つ「実」
自己肯定感の6つの感を木にたとえると、組織コミュニケーションでとくに育つのは「自己有用感=実」です。自己有用感とは、「自分は誰かの役に立っている」と感じられる感覚で、アドラーの貢献感ととても相性のよい考え方です。
ただし、実は木の上のほうにつきます。根にあたる自尊心≒自己存在感(ここにいていいという感覚)と、幹にあたる自己受容感(不安な自分もそのまま認める感覚)がしっかりしていないと、実は育ちません。チェックインで「今日はちょっと不安です」と言っても受けとめてもらえる経験は、自己受容感という幹を太くします。そのうえで、発言が誰かの役に立ったという経験が、自己有用感という実を実らせるのです。
不安を言葉にしても受けとめてもらえる。
その言葉が、誰かの役に立つ。
それが、組織の中で実る自己有用感。
上司と部下の1対1の対話については、1on1が「業務報告会」で終わる理由で詳しく扱っています。会議・部門間のコミュニケーションと、1on1の対話は、組織の感情を扱う両輪です。
よくあるご質問
「今日はちょっと〇〇です」
議長のその一言から、組織は変わります。
感情を言葉にできる会議へ。
自分を大切にしよう
会議で誰も本音を言わないのは、社員に意見がないからではありません。「仕事に感情を持ち込まない」という暗黙のルールが、意見の芽になる不安や違和感まで封じてきたからです。日本の「熱意あふれる社員」が約6%にとどまり、心理的安全性がチームの成果を左右するといわれる今、感情を言葉にできる組織づくりは、経営の課題そのものになっています。
会議の水面下には、不安、遠慮、不公平感、あきらめ、違和感が流れています。部門間の対立も、その多くは数字ではなく感情の対立です。会議の最初のチェックインで気分を一言ずつ共有する。決定の納得度を3段階で聞く。チャットに感情の一言を添える。感情の語彙を組織の共通言語にする。そして、アドラー心理学の視点から、縦の関係を横の関係に近づけ、不安を口にしてくれた人に「ありがとう、助かった」と返す。その積み重ねが、社員の共同体感覚と自己有用感を育てていきます。
組織のコミュニケーションを良くしようと奮闘している方ほど、自分の疲れや焦りを後回しにしがちです。経営層として、部門長として、担当者として、多くの人の感情を受けとめているあなた自身の気持ちにも、名前をつけてあげてください。「今日は、そこそこ疲れた」「少し報われた」。その一言でかまいません。自分を大切にしよう。自分の感情を大切にできる人が増えるほど、組織の会議は、本音が行き交う場に変わっていきます。
本記事の参考資料・科学的根拠
- 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』(近刊)原稿
- 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料(一般人口における割合、職場への影響)
- Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
- Gallup. State of the Global Workplace.
- Edmondson, A. (1999). Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.
- Google re:Work「効果的なチームとは何か」を知る(プロジェクト・アリストテレス)
- Lieberman, M.D. et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18, 421-428.
- アルフレッド・アドラー『人生の意味の心理学』
- 岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。







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