「気持ちの授業」は学力も伸ばす
学校で始める感情教育(SEL)とアレキシサイミア
「授業時数が足りないのに、気持ちの授業まで手が回らない」。校内研修でこう言われたことはないでしょうか。ところが海外の大規模な研究では、感情を学ぶプログラムを受けた子どもたちは、学力も伸びていたのです。不登校もいじめも過去最多となった今、感情教育は「余裕があればやるもの」ではなく、学校の土台を支える仕組みになりつつあります。校長・教頭、学年主任、スクールカウンセラー、教育委員会の皆さんに向けて、学校という組織で感情教育を始める道筋をお伝えします。
結論|感情教育は学力の「土台工事」である
最初に結論をお伝えします。感情を言葉にする教育は、学力向上と対立するものではなく、学力が積み上がるための土台工事です。そして、その効果を最大にするには、熱心な一人の先生の工夫に任せるのではなく、学校全体の仕組みにする必要があります。
理由は3つあります。
エビデンスがある
社会性と情動の学習(SEL:Social and Emotional Learning)の効果を調べた大規模なメタ分析で、SELを受けた子どもは、受けなかった子どもより学力テストの成績が高かったことが示されています(Durlak et al., 2011)。
学校の課題の多くは「言葉にならない感情」から始まる
不登校、いじめ、教室での衝突、保健室への頻回来室。その手前には、「つらい」「こわい」「くやしい」を言葉にできないまま抱えている子どもがいることが少なくありません。
個人技では続かない
感情教育に熱心な先生が異動すると、取り組みが消えてしまう。これは多くの学校で起きていることです。時間割、校務分掌、評価の中に位置づけて、はじめて文化になります。
この記事では、個々の先生の声かけの技術ではなく、管理職と推進担当が「学校の仕組み」として感情教育を設計するための考え方を整理します。
数字で見る学校の現状と、SELの効果
まずは、判断の材料になる数字を確認しておきましょう。いずれも出典が明確なものだけを挙げます。
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 小中学校の不登校児童生徒数 | 約34万6千人(過去最多) | 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」令和5年度 |
| いじめの認知件数 | 約73万2千件(過去最多) | 同上 令和5年度 |
| SELの効果を調べたメタ分析の規模 | 213プログラム・約27万人 | Durlak et al. (2011), Child Development |
| SELを受けた児童生徒の学力の伸び | 11パーセンタイルポイント向上 | 同上 |
| 感情を言葉にしにくい特性が強い人の割合 | 約10〜16% | TAS-20等を用いた疫学研究 |
「11パーセンタイルポイント」をどう読むか
パーセンタイルとは、100人を成績順に並べたときの位置のことです。真ん中(50番目)にいた子が、SELを受けることで61番目あたりまで上がるイメージです。学力向上だけを目的にした施策と比べても、決して小さな数字ではありません。
Durlakらのメタ分析では、学力のほかにも、社会性と情動のスキル、自分や他者・学校に対する態度、問題行動や精神的な苦痛の面でも、よい変化が報告されています。そしてもう一つ重要なのは、外部の専門家ではなく、学校の教職員が実施したプログラムでも効果が出ていた点です。つまり、特別な人材がいなくても、学校の中で取り組める余地が大きいということです。
感情を学ぶ時間は、
学力を削る時間ではない。
学力が積み上がる地盤をつくる時間である。
教室にいる「感情迷子さん」|アレキシサイミアという視点
心理学にはアレキシサイミア(失感情症)という概念があります。感情が「ない」のではなく、感情に気づき、見分け、言葉にすることが難しい状態を指します。病名ではなく、誰もが持つ特性の濃淡で、医学の診断基準(DSM-5、ICD-11)でも独立した病名にはなっていません。概念の全体像はアレキシサイミア(失感情症)とは|感情に名前がつけられない人の特徴・原因・回復のヒントで解説しています。
私は、近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』で、この状態を「感情迷子さん」と呼んでいます。感情をうまく認識・表現しにくくなっている状態のことです。迷子という言葉には、帰る場所があるという前提が含まれています。
35人学級なら、3〜4人
一般の人の約10〜16%にこの傾向が強く見られるという研究に照らすと、35人の学級なら3〜4人が、感情を言葉にすることに強い苦手さを抱えている計算になります。さらに、強いストレスや喪失体験があると、一時的に感情を感じる回路を絞る「2次性」のシャットダウンも起こります。学校という場では、表に出ている人数より多くの子が、その時々で感情迷子さんになっていると考えるのが現実的です。
| 教室で見える姿 | 背景にあるかもしれないこと |
|---|---|
| 「別に」「普通」「やばい」しか言わない | 感情を表す語彙が少なく、見分けられていない |
| 腹痛・頭痛で保健室に何度も来る | 言葉にならない感情が体の症状として出ている |
| 急にキレる、物に当たる | 小さな不快感に気づけず、限界で一気に噴き出す |
| いじめられていても「大丈夫」と言う | 「つらい」の言葉がなく、SOSが周りに届きにくい |
| 登場人物の気持ちを問う問題が極端に苦手 | 他者の感情を想像する手がかりが少ない |
ここで強調したいのは、これは「問題児」を見つけ出すためのリストではないということです。感情の言語化は、全員が伸ばせる力です。だからこそ、特定の子への個別対応だけでなく、全員を対象にしたユニバーサルな取り組み、つまりSELとして設計する意味があります。
SELの全体像|CASELの5つの力とRULER
SELの国際的な枠組みとして広く使われているのが、アメリカの非営利団体CASEL(Collaborative for Academic, Social, and Emotional Learning)が整理した5つの力です。日本の学校の活動に当てはめると、次のようになります。
| CASELの5つの力 | 内容 | 日本の学校での場面 |
|---|---|---|
| 自己への気づき | 自分の感情・強み・価値観に気づく | 朝の会の気持ちチェック、振り返りシート |
| 自己管理 | 感情や衝動を調整し、目標に向かう | テスト前の深呼吸、クールダウンの場所の活用 |
| 社会的気づき | 他者の気持ちや立場を理解する | 国語の登場人物の心情、道徳の役割演技 |
| 対人関係スキル | 伝える・聴く・協力する・助けを求める | グループ学習、委員会活動、話し合い活動 |
| 責任ある意思決定 | 自分と周りのためになる選択をする | 学級会での合意形成、行事の計画 |
表を見ると気づかれると思いますが、日本の学校は、すでにSELに近い活動をたくさん持っています。特別活動、道徳、生活指導、学級活動。足りないのは新しい活動ではなく、「感情を言葉にする」という視点で既存の活動をつなぎ直すことです。
RULER|感情の言語化に特化したアプローチ
イェール大学感情知能センターのマーク・ブラケットらが開発したRULERは、感情の言語化を中心に据えたSELのアプローチです(邦訳書にブラケット『感情のメタ認知』)。名前は5つのスキルの頭文字から来ています。
- Recognizing:感情に気づく
- Understanding:感情の原因と結果を理解する
- Labeling:感情に正確な名前をつける
- Expressing:場に合った形で表現する
- Regulating:感情を調整する
RULERの代表的な道具がムードメーターです。横軸に「快・不快」、縦軸に「エネルギーの高さ」をとり、4つの色の領域に分けます。エネルギーが高く快なら黄、高く不快なら赤、低く不快なら青、低く快なら緑。子どもは「今は赤のあたり」と色と位置で気持ちを示してから、言葉を探すことができます。感情の語彙が少ない子にとって、最初の一歩のハードルが大きく下がります。
Labeling(名前をつける)が
真ん中にあることに注目したい。
感情の言語化は、SELの中心にある力である。
朝の会・帰りの会の「気持ちチェック」を全校の仕組みにする
感情教育を始めるとき、最も負担が小さく、効果が見えやすいのが朝の会・帰りの会の「気持ちチェック」です。ポイントは、学級ごとのアイデアにせず、全校共通の型にすることです。担任が替わっても、学年が上がっても、同じ言葉と道具で気持ちを語れる。この一貫性が、子どもの安心につながります。
学年段階に応じた型の例
| 段階 | 所要時間 | 型の例 |
|---|---|---|
| 小学校低学年 | 1分 | 心の天気:晴れ・くもり・雨・かみなりのカードから選ぶ。手のひらを胸に当てて「心はあたたかい?つめたい?」と3秒聞く「心の体温チェック」も合わせやすい |
| 小学校中・高学年 | 2分 | ムードメーター:4色の領域に名前マグネットを貼る。気持ちの言葉の掲示(50語程度)から1語選ぶ |
| 中学校 | 2分 | 色と一語:手元のシートに今日の色を塗り、気持ちの言葉を1語書く。発表は任意、担任だけが見る |
運用で守りたい3つのルール
どの気持ちにも「正解・不正解」をつけない
「赤はダメ」「いつも晴れでいようね」という言葉は、感情を隠す練習になってしまいます。不快な感情を選べることこそ、安全な教室の証拠です。
言いたくない自由を保障する
全員の前で発表させる形は、中学生以上では特に逆効果になりがちです。「パス」も選択肢に入れ、担任だけが見る形を基本にします。
気になる変化は、チームで共有する
同じ子が何日も暗い色や「わからない」を選び続ける場合は、担任ひとりで抱えず、学年会や養護教諭、スクールカウンセラーと共有します。気持ちチェックは、早期発見の仕組みでもあります。共有の基準と窓口を、あらかじめ校内で決めておきましょう。
リーバーマンらの研究(Lieberman et al., 2007)では、不快な感情に名前をつけると、脳の扁桃体の活動が落ち着くことが示されています。朝の2分で気持ちに名前をつけることは、1時間目の授業に向かう準備にもなるのです。
教科の中で感情を扱う|国語・道徳・特別活動
感情教育のための時間を新たに確保するのは、多くの学校にとって現実的ではありません。そこで有効なのが、既存の教科の中に「感情を言葉にする」問いを埋め込む教科横断の設計です。
国語|登場人物の気持ちを「複数の言葉」で
国語の読解では「このときの主人公の気持ちは?」という問いが定番です。ここに一工夫を加えます。「うれしい」以外の言葉で3つ挙げてみよう。ほっとした、誇らしい、照れくさい。答えを一つに絞らず、感情の語彙を広げる時間にします。「うれしいけれど、少しさみしい」のように、混ざった感情を言葉にする練習は、心理学者レインとシュワルツが示した「感情の気づきの段階」を一段上るための練習そのものです。
道徳|「どうすべきか」の前に「どう感じたか」
道徳の授業は、ともすると「正しい行動」を答える時間になりがちです。行動を問う前に、「この場面で、自分ならどんな気持ちになるか」「相手はどう感じているか」を言葉にする時間を取ります。感情を経由した判断は、行動の理由に厚みを持たせます。
特別活動・行事|振り返りを「感情」でも書く
運動会や合唱祭の振り返りは「何をがんばったか」で終わることが多いものです。そこに「いちばん心が動いた瞬間は?」の一問を加えます。出来事だけでなく、感情に触れて書くことで、経験が深く残ります。感情を書き出すことの効果については、ペネベーカーの筆記開示(エクスプレッシブ・ライティング)の研究でも、感情に触れた記述が鍵だとされています。
保健・体育、理科との接続
保健の「心と体のつながり」の単元は、緊張すると心臓が速くなる、不安でおなかが痛くなるといった体のサインと感情の関係を学ぶ絶好の機会です。中学校の理科で脳や神経を学ぶ単元とつなげると、生徒は「感情は科学で扱えるもの」と実感しやすくなります。
アドラー心理学に学ぶ学級経営|勇気づけ・横の関係・クラス会議
感情教育の仕組みを支える「学級の空気」をつくるうえで、私がカウンセリングの土台にしてきたアドラー心理学の考え方は、とても役に立ちます。アルフレッド・アドラー(1870〜1937)はオーストリアの精神科医で、教育にも深い関心を持ち、ウィーンで教師や親を対象にした相談活動を行っていました。
縦の関係から、横の関係へ
アドラーの考え方では、人間関係を「上下」で捉える縦の関係ではなく、立場や役割は違っても対等な横の関係で捉えることを大切にします。教師と子どもには役割の違いがあります。でも、人としての価値に上下はない。この前提がある教室では、子どもは「こんなことを言ったら評価が下がる」と恐れずに、自分の感情を口にできます。
ほめる・叱るではなく、勇気づける
| ほめる・叱る(縦の関係) | 勇気づけ(横の関係) |
|---|---|
| 「えらいね」「よくできました」 | 「手伝ってくれてありがとう。助かったよ」 |
| 結果に注目する | 過程や工夫、貢献に注目する |
| 評価されないと動かなくなることがある | 自分から貢献しようとする力が育つ |
勇気づけの言葉には、教師自身の感情の言葉が入ります。「助かった」「うれしかった」「ほっとした」。教師が自分の感情を言葉にする姿は、そのまま子どもにとっての感情語のモデルになります。
クラス会議|感情を安全に扱う学級の場
アドラー心理学の流れをくむ実践に、学級全員で輪になって話し合うクラス会議(アドラー派の学級会議)があります。一般的には、輪になって座り、まず互いへの感謝や良かったことを伝え合い、そのあと学級の困りごとを議題にして、全員で解決策を考えるという流れで行われます。
この場の価値は、「困った」「いやだった」という感情を、責め合いではなく解決のための材料として扱える点にあります。そして、自分の提案が採用されてクラスが良くなる経験は、アドラーのいう共同体感覚、すなわち「自分はこのクラスの一員だ(所属感)」「自分はクラスの役に立てる(貢献感)」という感覚を育てます。所属感と貢献感は、不登校やいじめの予防という観点からも、学校が最も育てたい感覚ではないでしょうか。
「ここでは、気持ちを言っても大丈夫」。
その安心感は、教師一人の人柄ではなく、
学級の仕組みとして育てることができる。
6つの感と感情教育の対応表
私は自己肯定感を、1本の木にたとえて「6つの感」で説明してきました。感情教育の取り組みが、子どものどの部分を育てるのかを整理すると、校内での説明や評価の観点づくりに役立ちます。
| 6つの感 | 木の部位 | 対応する取り組み |
|---|---|---|
| 自尊心≒自己存在感 | 根 | 横の関係の学級経営、どの感情も否定されない安心感 |
| 自己受容感 | 幹 | 気持ちチェック、感情の語彙の掲示、「不快な感情もOK」の共有 |
| 自己効力感 | 枝 | 深呼吸やクールダウンで「落ち着けた」経験の積み重ね |
| 自己信頼感 | 葉 | 国語・道徳で自分の感じ方を言葉にし、受けとめられる経験 |
| 自己決定感 | 花 | 発表するかパスするかを自分で選べる運用、学級会での合意形成 |
| 自己有用感 | 実 | クラス会議、係活動、「ありがとう」の伝え合い |
特に意識したいのは、幹にあたる自己受容感です。「イライラしている自分」「不安な自分」を、まず自分で認められること。感情を言葉にする練習は、この幹を太くする作業そのものです。幹が太くなると、枝や葉、花や実も育ちやすくなります。
先生自身の感情の言語化が、学校を変える
感情教育を組織で進めるとき、見落とされがちなのが教職員自身の感情です。保護者対応、行事の準備、生徒指導。先生方は日々、強い感情労働の中にいます。そして、教える立場にある人ほど「先生がイライラしてはいけない」「弱音を吐いてはいけない」と、自分の感情に蓋をしがちです。
しかし、感情に蓋をし続けると、感情は消えるのではなく、体の不調や突然の燃え尽きという形で表に出てきます。感情を言葉にできない状態は、子どもだけの課題ではありません。
職員室でできる3つの仕組み
- 職員会議の冒頭1分チェックイン:今の気持ちを一語で。「焦り」「ほっとしている」「疲れ気味」。管理職から先に言う
- 学年会での「困った」の共有:解決策の前に「こういう場面で、こう感じた」を話す時間を5分取る
- 感謝を言葉にする掲示板:同僚に「助かった」を一言で伝える。勇気づけを職員室から始める
管理職が「今日は正直、少し焦っています」と自分の感情を言葉にすることには、大きな意味があります。職員室に「感情を言っても大丈夫」という空気が生まれ、それが教室に伝わっていきます。エドモンドソン(Edmondson, 1999)が示した「心理的安全性」、すなわち対人関係のリスクをとっても安全だと信じられる状態は、チームの学習を促す土台です。学校も一つのチームです。
アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と考えました。教職員の負担感の多くも、業務量だけでなく、同僚や保護者、子どもとの関係の中で生まれます。だからこそ、教職員同士で感情を言葉にし合える関係は、働き方の改善そのものでもあるのです。
中島輝より一言
私は中学生のころ、バスケットボール部で試合に勝っても、一人だけ無表情で立っていました。うれしくないわけではなかったはずです。ただ、幼いころに感情を出すことをやめてしまった私には、その気持ちをつかまえる手立てがありませんでした。もしあのとき、先生が「今、どんな気持ち?」と、答えなくてもいい形で聞いてくれる教室があったら。そう思うと、学校の仕組みが、言葉を持たない子どもの代わりに気づいてくれることの意味を、強く感じます。
導入の3ステップと保護者への説明
感情教育を学校全体の仕組みにするための道筋を、3つのステップで整理します。最初から完璧な全校展開を目指す必要はありません。小さく始め、評価し、広げる。この順番が、現場の負担を最小にし、取り組みを定着させます。
STEP1|小さく始める
まずは1つの学年、1学期間から始めます。内容は朝の会の気持ちチェック2分だけで十分です。大切なのは、推進担当を校務分掌に明記し、実施前に子どもへの簡単なアンケート(「自分の気持ちを言葉にできる」「困ったとき先生に話せる」など)を取っておくことです。
STEP2|評価する
学期末に同じアンケートを取り、変化を見ます。数字だけでなく、保健室の来室状況や欠席の推移、担任の手ごたえも合わせて確認します。うまくいかなかった点を正直に共有し、型を修正することも評価の重要な目的です。
STEP3|広げる
試行学年の成果と修正点をもとに、全学年へ展開します。教科横断の問いを年間指導計画に位置づけ、職員室のチェックインも始めます。担当者が替わっても続く仕組みを文書に残すことが、最後の仕上げです。
保護者への説明のポイント
感情教育には、「勉強の時間が減るのでは」「家庭のことを詮索されるのでは」という保護者の不安がつきものです。説明の際は、次の3点を押さえると理解が得やすくなります。
- 学力との関係:大規模なメタ分析で学力の向上も示されていること(Durlak et al., 2011)
- 時間の負担:新しい授業を増やすのではなく、朝の会や既存の教科の中で行うこと
- プライバシーへの配慮:発表は任意で、気持ちの記録は担任だけが見ること。家庭の事情を聞き出す目的ではないこと
家庭でできる関わりとして、親子で「心の天気」を言い合う方法を学校だよりで紹介するのもよいでしょう。家庭での感情の受けとめ方については、「泣かないの!」をやめると子どもは強くなる|感情コーチングとアドラーの勇気づけも保護者向けの資料として参考にしていただけます。
よくあるご質問
学力も、関係も、学校も育てる。
まずは朝の2分から。
子どもも先生も、気持ちを言葉にできる場所へ。
自分を大切にしよう
感情を言葉にする教育は、学力向上と対立するものではありません。213のプログラム、約27万人を対象にしたDurlakらのメタ分析では、SELを受けた子どもの学力が11パーセンタイルポイント向上していました。不登校が約34万6千人、いじめの認知件数が約73万2千件と、いずれも過去最多となった今、感情教育は学校の土台を支える仕組みとして位置づける価値があります。教室には、感情を言葉にしにくい「感情迷子さん」が一定数いることを前提に、全員を対象とした取り組みとして設計することが大切です。
CASELの5つの力やRULERのムードメーターを手がかりに、朝の会の気持ちチェックを全校共通の型にし、国語・道徳・特別活動の中に感情を言葉にする問いを埋め込む。アドラー心理学の横の関係と勇気づけ、クラス会議で、所属感と貢献感を育てる。そして、先生方自身が感情を言葉にできる職員室をつくる。これらは、6つの感の根から実までを育てる取り組みでもあります。
導入は、小さく始め、評価し、広げる。この順番で十分です。そして最後に、日々子どもたちの感情を受けとめている先生方ご自身にも、この言葉を届けたいと思います。自分を大切にしよう。先生が自分の気持ちに名前をつけ、いたわることができる学校は、子どもにとっても安心して気持ちを語れる学校です。
本記事の参考資料・科学的根拠
- Durlak, J.A., Weissberg, R.P., Dymnicki, A.B., Taylor, R.D., & Schellinger, K.B. (2011). The impact of enhancing students’ social and emotional learning: A meta-analysis of school-based universal interventions. Child Development, 82(1), 405-432.
- CASEL (Collaborative for Academic, Social, and Emotional Learning). SEL Framework(5つの力)
- マーク・ブラケット『感情のメタ認知』(イェール大学感情知能センター、RULER・ムードメーター)
- Lieberman, M.D. et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5).
- Edmondson, A. (1999). Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2).
- Pennebaker, J.W. (1997). Writing about emotional experiences as a therapeutic process. Psychological Science, 8(3).
- Lane, R.D., & Schwartz, G.E. (1987). Levels of emotional awareness. American Journal of Psychiatry, 144, 133-143.
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」令和5年度
- Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
- アルフレッド・アドラー『人生の意味の心理学』/岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)
- 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』原稿
- 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。







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