大学生活が「なんとなく楽しくない」あなたへ|大学生のための感情の言語化

大学生活が「なんとなく楽しくない」あなたへ|大学生のための感情の言語化

大学生活が「なんとなく楽しくない」あなたへ
大学生のための感情の言語化

新歓で連絡先を交換した友だちとのグループLINEは、通知が鳴りっぱなし。サークルの飲み会でもちゃんと笑えているし、バイトもそこそこ順調。それなのに、ワンルームの部屋に帰って電気をつけた瞬間、どっと力が抜ける。「大学って、もっと楽しいものだと思ってた」。そんな気持ちを、誰にも言えずにいませんか。最初にお伝えしたいのは、それはあなたが贅沢だからでも、弱いからでもないということです。心の中では何かがちゃんと動いているのに、まだ名前がついていないだけかもしれません。この記事では、大学1〜2年生のあなたと一緒に、その「なんとなく」の正体をほどいていきます。

中島 輝(中島輝)
心理カウンセラー/自己肯定感アカデミー会長/「6つの感」理論創始者/著書累計77万部/15,000人臨床/『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ・累計32刷)『働く人のための自己肯定感』著者

「楽しいはずなのに、なんだか楽しくない」大学生活

よくある相談の典型例
「毎日それなりに過ごしてるのに、
なんか、全部どうでもいい感じがするんです」
場面大学1年生の秋。第一志望の大学に合格し、春は新歓でいくつものサークルを回った。友だちもできたし、カフェのバイトも始めた。けれど夏休みが明けたころから、朝起きるのがつらくなってきた。インスタのストーリーには楽しそうな写真をあげているのに、本人は「楽しい」という実感がほとんどない。
この人は、何も感じていないわけではありません。疲れ、心細さ、「思っていたのと違う」という戸惑い、置いていかれる焦り。いくつもの気持ちが重なりすぎて、ひとかたまりの「どうでもいい」になってしまっているのです。

大学に入ると、生活は一気に自由になります。時間割は自分で組めるし、門限もない。誰と過ごすか、何に時間を使うかも、全部自分で決められます。高校までの「決められた毎日」から解放されて、楽しいことばかりが待っているはずでした。

ところが実際には、入学して半年ほどたったころに「なんとなく楽しくない」「やる気が出ない」と感じる学生は珍しくありません。周りはみんな充実しているように見えるので、「こんなことで悩むのは自分だけ」と思いこみ、誰にも言えなくなってしまいます。

でも、その「なんとなく」こそが、とても大事な手がかりです。はっきりした理由が言えないのは、あなたの心がサボっているからではありません。気持ちが動いているのに、それを見分けて言葉にする道がまだ細い。それだけのことかもしれないのです。

「なんとなく楽しくない」は、
わがままでも、甘えでもありません。
まだ名前のついていない気持ちからの、小さな合図です。

気持ちが迷子になる状態には名前がある|アレキシサイミアと感情迷子さん

自分の感情に気づき、ほかの感情と見分け、言葉にすることが難しい状態を、心理学ではアレキシサイミア(失感情症)と呼びます。「失感情」と聞くと「感情がない人」のように思えるかもしれませんが、そうではありません。感情は生まれているのに、それをつかまえて名前をつけるところでつまずいている状態のことです。基本的なしくみはアレキシサイミア(失感情症)とは|感情に名前がつけられない人の特徴・原因・回復のヒントでくわしく解説しています。

約10人に1人
アレキシサイミアの傾向が強いとされる人の割合(研究によって約10〜16%)
出典:アレキシサイミアに関する複数の疫学研究(一般人口の10.1〜16.3%)研究知見

100人が入る大教室なら、10人以上がこの傾向を強く持っていてもおかしくない数字です。しかもこれは病名ではありません。医師が使う診断の基準(DSM-5やICD-11)にも独立した病気としては載っておらず、誰もが持っている特性の「濃い・薄い」と考えられています。環境が大きく変わったときや疲れがたまったときには、誰でも一時的に濃くなります。

私はこの状態にある人を「感情迷子さん」と呼んでいます。中島輝の近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』で使っている言葉で、感情をうまく認識・表現しにくくなっている状態のことです。迷子という言葉には、帰る場所があるという前提が含まれています。今は少し道がわからなくなっているだけで、自分の気持ちに帰る道は、ちゃんと残っています。

感情迷子さんには4つのタイプがある

タイプ大学生活でよくある姿
タイプ1
感情がわからない
「楽しい?」と聞かれても、楽しいのかどうか自分でもわからない。そのかわり、朝起きられない、食欲がないなど体がしんどい。
タイプ2
感情を説明できない
モヤモヤはあるのに、友だちに話そうとすると「まあ、普通かな」で終わってしまう。
タイプ3
感情に興味がない
「単位さえ取れればいい」「気持ちとか考えてもしょうがない」と、効率で毎日を回している。
タイプ4
想像できない
「将来どうなりたい?」と聞かれても、何も浮かばない。ワクワクする未来が想像しにくい。

どれか1つにきっちり当てはまる必要はありません。「この時期はタイプ1っぽい」「ゼミではタイプ2になる」のように、場面によって変わるのが普通です。自分を分類するためではなく、今の自分に合うワークを選ぶための目印として使ってください。

受験が終わると、心のエンジンが止まることがある|入学後の燃え尽き

大学1年生の「なんとなく楽しくない」の背景として、まず知っておいてほしいのが入学後の燃え尽きです。

受験期のあなたを思い出してみてください。模試の判定に一喜一憂しながら、毎日何時間も机に向かっていたかもしれません。その間、「遊びたい」「疲れた」「不安」といった気持ちの多くは、「今は考えないでおこう」と後回しにされていたはずです。それは目標を達成するための、とても賢いやり方でした。

ところが合格した瞬間、目の前にあった大きな目標が消えます。後回しにしていた気持ちを受けとめる準備もないまま、新しい生活が始まる。心のエンジンは「合格」という燃料で動いていたので、燃料がなくなると急に止まってしまうのです。

受験から入学後へ|気持ちの「後回し」が残るしくみ 受験期 目標がはっきり 疲れ・不安は 「あとで」に 合格 大きな達成感 でも目標が 一度に消える 新生活 人間関係・一人暮らし 新しい刺激が 次々に重なる 半年後 「なんとなく 楽しくない」 朝がつらい 心の中の「後回しボックス」 受験期の疲れ / 友だちと遊べなかったさみしさ / 「落ちたらどうしよう」の不安 新しい環境での緊張 / 「思っていたのと違う」戸惑い 名前のつかないまま積み重なると、ひとかたまりの「どうでもいい」に見えてくる
▲ 受験期に後回しにした気持ちは、合格しても自然には消えません。新生活の刺激が重なり、半年ほどたってから「なんとなく楽しくない」という形で表に出てくることがあります。

このとき起きているのは、心が強いストレスから自分を守るために感じる回路を一時的に絞っている状態です。心理学では、強いストレスのもとで一時的に感情がわかりにくくなる状態を「2次性アレキシサイミア」と呼びます。生まれつきの性格とは違い、環境が落ち着き、気持ちを受けとめる時間がとれると、少しずつ薄れていくことが多いとされています。

だからこそ大切なのは、「楽しめない自分」を責めることではなく、後回しにしてきた気持ちに、遅ればせながら名前をつけてあげることです。「受験、本当はしんどかったな」「春は緊張しっぱなしだったな」。そう言葉にしただけで、少し肩が軽くなる人もいます。

中島輝より一言

中学生のころ、私はバスケ部でレギュラーとして試合に出ていました。チームが勝つと、みんなは満面の笑みで飛び上がって喜びます。その輪の中で、私だけが無表情で立っていました。嬉しいはずなのに、その「嬉しい」がどこにあるのかわからなかったのです。「楽しいはずの場所で楽しめない」というのは、心がないからではなく、感情にふたをしているから起きることがある。当時の私に教えてあげたかった言葉を、今のあなたに届けたいと思います。

サークル・ゼミ・バイトで「ノリに合わせる」疲れ

大学に入ると、人間関係の数が一気に増えます。学科の友だち、サークルの先輩と同期、ゼミや語学クラスのメンバー、バイト先の店長やパートさん。それぞれに少しずつ違う「ノリ」があり、知らず知らずのうちに場面ごとのキャラを使い分けている人も多いでしょう。

笑顔のまま、気持ちが置き去りになる

サークルの飲み会で、本当は早く帰りたいのに二次会まで付き合う。グループLINEで、内心モヤッとした発言にも「それな」とスタンプを返す。バイト先で理不尽な注意をされても、「すみません!」と明るく謝る。一つひとつは小さな我慢ですが、そのたびに「嫌だった」「疲れた」という気持ちがスルーされていきます。

スルーされた気持ちは、消えてなくなるわけではありません。帰り道の電車でどっと疲れる。部屋に帰るとスマホを見たまま何時間も動けない。理由のない頭痛や肩こりが続く。そんな形で、あとから表に出てくることがよくあります。

「何でもない」が口ぐせになっていないか

書籍原稿には、20代の男性ハヤトさん(仮名)の話が出てきます。恋人に「不満があるなら言ってよ」と言われるたびに、「別に、何でもないよ」と黙りこんでしまう。カウンセリングで、彼はこう話しました。「心の中にはモヤモヤと渦を巻いているカタマリがあるんです。でも、それに合う言葉が見つかりません」。

ハヤトさんは、気持ちがなかったのではありません。ぴったりの言葉を探そうとしすぎて、出口をふさいでいたのです。サークルやゼミで「何でもない」「大丈夫」がつい口から出てしまう人も、同じことが起きているのかもしれません。

  • 飲み会や集まりのあと、楽しかったはずなのにぐったり疲れている
  • グループLINEの返信に、毎回かなり気を使っている
  • 「どう思う?」と聞かれると、周りの意見に合わせてしまう
  • バイトで嫌なことがあっても、誰にも話さず流している
  • 友だちに「何考えてるかわからない」と言われたことがある
  • 一人になると、何もしたくなくなる

3つ以上当てはまったとしても、あなたが冷たい人だという意味ではありません。むしろ、周りの空気を読むのが上手で、場を壊さないように気を配れる人ほど、自分の気持ちを後回しにしやすいのです。その優しさを手放す必要はありません。ただ、自分の気持ちにも同じくらいの優しさを向けてあげてほしいのです。

一人暮らしの部屋で、気持ちの行き場がなくなるとき

大学進学をきっかけに一人暮らしを始めた人にとって、最初の1年は想像以上にエネルギーを使います。ごはんを作る、洗濯をする、ゴミの日を覚える、家賃や光熱費をやりくりする。どれも、実家にいたころは誰かがやってくれていたことです。

そして何より大きいのは、「ただいま」と言う相手がいないことかもしれません。高校までは、帰れば家族がいて、「今日どうだった?」と聞かれたり、聞かれなくても顔色で気づいてもらえたりしました。その「気持ちを映し返してくれる人」が、急にいなくなるのです。

心細さは「さみしい」という名前を持っている

夜、部屋の電気を消したあとに胸がざわざわする。週末に予定がないと、なんだか落ち着かない。ついついSNSを何時間もスクロールしてしまう。こうした感覚の奥には、「さみしい」「心細い」「誰かと話したい」という気持ちが隠れていることがよくあります。

ところが、「もう大学生なんだから、さみしいなんて言っていられない」と思っていると、その気持ちに名前をつけることができません。名前のない心細さは、スマホを見続ける、夜ふかしをする、食事を抜くといった行動になって表に出てきます。

よくある相談の典型例
「実家に電話したら、
なぜか涙が出てきて自分でびっくりしました」
場面地方から上京して一人暮らしを始めた大学1年生。ゴールデンウィーク明けに、母親から「元気にしてる?」と電話があった。「うん、大丈夫」と答えた直後、理由もわからず涙があふれてきた。
涙は、言葉より先に気持ちを教えてくれることがあります。「大丈夫」と言いながら、心の中には緊張と心細さがたまっていたのでしょう。驚くようなことではなく、気持ちがやっと出口を見つけた瞬間です。

一人暮らしのさみしさは、決して恥ずかしいものではありません。「さみしい」と自分に向かって言えた瞬間から、実家に電話する、友だちを誘ってごはんを食べる、地元の友だちとオンラインで話すといった、自分を満たす行動を選べるようになります。ひとり暮らしの気持ちの扱い方は、ひとり暮らしの感情の言語化の記事でも別の角度から紹介しています。

授業に行けない朝は、心からのサインかもしれない

「1限があるのに、どうしても起きられない」「教室の前まで来たのに、入る気になれずに引き返した」。大学では出席を厳しく管理されない授業も多いので、一度休むと、ずるずると休みが続いてしまうことがあります。

そんな自分を「だらしない」「意志が弱い」と責めていないでしょうか。でも、ここで少し視点を変えてみてください。授業に行けないのは、怠けではなく、心が「これ以上はしんどい」と伝えているサインかもしれないのです。

体の不調は、言葉になれなかった気持ち

アレキシサイミアという言葉は、もともと心身症の研究から生まれました。気持ちを言葉にしにくい人ほど、ストレスが頭痛や腹痛、だるさ、眠れなさといった体の不調として出てきやすいことがわかっています。「朝になるとお腹が痛くなる」「授業の前になると気持ちが悪くなる」という人は、体が気持ちの代わりに話しているのかもしれません。

よくある体や行動のサイン奥にあるかもしれない気持ち
朝起きられない、二度寝がやめられない行きたくない、怖い、疲れきっている
授業の前になるとお腹が痛くなる緊張、不安、置いていかれる焦り
夜中までSNSや動画を見てしまうさみしい、考えたくないことがある
レポートの締め切りぎりぎりまで手がつかない完璧にできない不安、自信のなさ
食欲がない、または食べすぎてしまうモヤモヤ、ストレス、空っぽな感じ

大事なのは、「行けない自分」を無理やり動かそうとする前に、「今、私はどんな気持ちだろう?」と一度だけ問いかけてみることです。答えが「わからない」でもかまいません。問いかけたこと自体が、心とのやりとりの再開になります。

なお、何週間も授業に出られない状態が続いている、眠れない・食べられない日が続いているという場合は、気持ちの問題だけで抱えずに、後で紹介する学生相談室や保健管理センターに相談してください。単位や履修のことも、早めに相談すれば一緒に方法を考えてもらえることが多いものです。

4タイプ別・大学生のための感情の言語化ワーク

ここからは、書籍原稿の第4章で紹介しているワークを、大学生の毎日に合わせてアレンジしたものです。全部やる必要はありません。「これならできそう」と思うものを1つだけ選んで、1週間続けてみてください。

4タイプと「6つの感」の木|大学生活で育てたいところ タイプ4 想像できない 花=自己決定感 タイプ3 興味がない 葉=自己信頼感 タイプ2 説明できない 幹=自己受容感 タイプ1 わからない 根=自尊心≒自己存在感
▲ 自己肯定感の「6つの感」を1本の木にたとえると、4つのタイプはそれぞれ根・幹・葉・花に対応します。根から順に育てていくと、大学生活の「なんとなく」が少しずつ言葉に変わっていきます(枝=自己効力感、実=自己有用感)。

タイプ1「感情がわからない」人へ|体から気持ちを探す

ワーク|心の体温チェック(3秒)
1限の前に、胸に手を当てて3秒

朝起きたとき、お昼を食べたあと、寝る前に、手のひらを胸に当てて「今、温かい?冷たい?」と3秒だけ聞いてみます。「温かい」「冷たい」「よくわからない」のどれでも正解です。授業に行けない朝ほど、このチェックをしてみてください。「今日は冷たいな」とわかるだけで、自分を責める気持ちが少しやわらぎます。

ワーク|感情が動いた瞬間日記(2分)
スマホのメモに「体が反応した瞬間」を1行

寝る前に、今日いちばん体が反応した瞬間を1行だけ書きます。「ゼミで発表の順番が回ってきて、手が冷たくなった」「バイト終わりに先輩に『助かった』と言われて、胸がふわっとした」。感情の名前はつけなくて大丈夫です。体の反応を拾うだけで、気持ちを見つける力は育っていきます。

タイプ2「感情を説明できない」人へ|ざっくりでいいから言ってみる

ワーク|今日のオノマトペ(30秒)
グループLINEを見る前に、自分の気分をひと言

「モヤモヤ」「ソワソワ」「ずっしり」「スッキリ」。今の気分にいちばん近いオノマトペを1つ、スマホのメモに書きます。正確な感情語でなくても、名前をつけるだけで気持ちは少し落ち着くことが研究でもわかっています(感情ラベリング、Lieberman et al., 2007)。

ワーク|3段階温度計(1分)
「ちょっと・そこそこ・すごく」で強さをつける

オノマトペに慣れたら、強さをつけてみます。「サークルの飲み会、そこそこ疲れた」「課題が終わって、すごくホッとした」。友だちに「どうだった?」と聞かれたときも、「普通」ではなく「ちょっと楽しかった」と言えると、会話がぐっと広がります。

タイプ3「感情に興味がない」人へ|1日3回だけ内側を見る

ワーク|感情タイムアウト(3秒×3回)
時間割に合わせてアラームをセット

2限の前、昼休み、バイトの前など1日3回、スマホのアラームをかけておきます。鳴ったら「今、どんな気分?」と3秒だけ自分に聞きます。「よくわからない」「眠い」でもOK。予定と課題に追われる毎日の中に、自分の内側を見る小さな時間をつくるワークです。

タイプ4「想像できない」人へ|小さな「もしも」から始める

ワーク|もしもタイム
「もし明日、授業も予定も全部なかったら?」

将来の夢のような大きな問いではなく、「もし1日自由な時間があったら、何をしたい?」くらいの小さな「もしも」を考えてみます。「一日中寝ていたい」でもかまいません。そこには「疲れている」という大事な気持ちが隠れています。

ワーク|未来日記(5分)
1年後の自分の「気分」を書く

週末に5分だけ、「1年後の私は、どんな気持ちで毎日を過ごしていたい?」という問いから書き始めます。「何をしたいか」ではなく「どんな気持ちでいたいか」に注目するのがポイントです。「朝、少しだけ楽しみな気持ちで起きたい」。それが、今のあなたが本当に求めているものの手がかりになります。

うまく言えなくていい。
「モヤモヤ、そこそこ」くらいで十分。
言葉にした分だけ、心は少し軽くなる。

一人で抱えないで|学生相談室・保健管理センターの使い方

ワークは、あくまで自分でできる小さな工夫です。しんどさが長く続くとき、一人では抱えきれないときは、人の力を借りてください。大学には、そのための場所がちゃんと用意されています。

相談先(大学によって名称は異なります)こんなときに
学生相談室・カウンセリングルーム人間関係、気分の落ち込み、「なんとなくつらい」など、内容を問わず話を聞いてもらえる。カウンセラーが常駐していることが多い。
保健管理センター・保健センター眠れない、食べられない、体調不良が続く。医師や看護師に相談でき、必要に応じて学外の医療機関を紹介してもらえる。
学科の担任・チューター、学生支援の窓口授業に出られない、単位や履修が心配、休学を考えている。

「こんなことで行っていいのかな」と思う必要はありません。学生相談室は、悩みがはっきりしていなくても利用していい場所です。「うまく言えないんですけど、最近ずっとモヤモヤしていて」。それだけで十分な相談の始まりになります。多くの大学では無料で、相談の内容が成績に影響したり、勝手に家族に伝えられたりすることも基本的にありません。不安なら、最初にそのことを聞いてみてください。

「消えたい」と感じたら

気持ちがわからない状態が長く続くと、ふと「消えたい」「いなくなりたい」という言葉が浮かぶことがあります。もしそう感じているなら、それはあなたの心が「もう限界に近い」と伝えている大切なSOSです。おかしなことでも、恥ずかしいことでもありません。

そして、助けを求めることは、弱さではありません。つらさを誰かに伝えることは、自分を守るためのとても勇気ある行動です。学生相談室に行く元気がないときは、次の窓口に電話やSNSで相談することもできます。

つらい気持ちを話せる相談窓口

こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556

よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)

いのちSOS 0120-061-338

厚生労働省「まもろうよ こころ」
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
(SNSで相談できる窓口を探せます)

命の危険が迫っているときは、迷わず119番・110番へ

友だちから「消えたい」と打ち明けられた場合も、一人で抱えこまないでください。「話してくれてありがとう」と受けとめたうえで、学生相談室や上の窓口に一緒につながることが、何よりの支えになります。

よくあるご質問

大学が楽しくないのは、学部選びを間違えたからでしょうか?
そうとは限りません。入学後の燃え尽きや新生活の疲れで、一時的に何も楽しく感じられなくなることはよくあります。学部や進路を考え直すのは、まず気持ちを少し整理して、「何がしんどいのか」に名前がついてからでも遅くありません。迷ったら、学生相談室で話しながら考えるのもおすすめです。
友だちはいるのに、さみしいと感じるのは変ですか?
変ではありません。友だちの数とさみしさは別のものです。ノリを合わせる関係が多いと、「本当の気持ちを話せる相手がいない」というさみしさを感じることがあります。まずは自分の中で「さみしい」と名前をつけることから始めてみてください。
授業をさぼりがちな自分が情けないです。
情けないと感じるのは、あなたが本当はちゃんとしたいと思っているからです。行けない朝は、心が疲れているサインかもしれません。責めるより先に「今、どんな気分?」と聞いてみてください。欠席が続いている場合は、早めに学科の窓口や学生相談室に相談すると、履修の面でも一緒に方法を考えてもらえます。
学生相談室に行くほどではない気がします。
「行くほどではない」と感じる段階で利用するのが、実はいちばんよいタイミングです。悩みがはっきりしていなくても大丈夫です。「最近なんとなく楽しくない」と話すだけでも、気持ちを言葉にする練習になります。
気持ちを言葉にするのが苦手なのは、性格だから治らないのでしょうか?
感情を言葉にする力は、性格というより、練習で育つ「スキル」に近いものです。特に環境の変化やストレスで一時的に感じにくくなっている場合は、生活が落ち着き、ワークを続けるうちに少しずつ戻ってくることが多いとされています。
「なんとなく楽しくない」は、
あなたの心が話しかけてきた合図。
今日、ひと言だけ名前をつけてみよう。
気持ちに名前がつくと、
大学生活の景色は少しずつ変わっていきます。

自分を大切にしよう

大学生活が「なんとなく楽しくない」と感じるとき、心の中では疲れ、心細さ、戸惑い、焦りといったいくつもの気持ちが重なりあっています。受験期に後回しにしてきた気持ち、サークルやバイトでノリに合わせるたびにスルーしてきた気持ち、一人暮らしの部屋でぶつける相手のいなかった気持ち。それらが名前のないまま積み重なって、ひとかたまりの「どうでもいい」に見えているのかもしれません。

それは、あなたが冷たいからでも、甘えているからでもありません。気持ちを感じ、見分け、言葉にするまでの道が、今は少し細くなっているだけです。心の体温チェック、今日のオノマトペ、3段階温度計、感情タイムアウト、小さな「もしも」。どれか1つを続けるだけで、その道は少しずつ広がっていきます。そして、一人でしんどいときは、学生相談室や保健管理センターを頼ってください。

大学の4年間は、勉強やキャリアのためだけの時間ではありません。自分がどんなときに嬉しくて、どんなときに疲れるのかを知っていく時間でもあります。今日の「なんとなく」に名前をつけることは、これから先の人生を自分らしく選んでいくための、いちばん確かな準備です。就職活動が近づいたときにも、この力はきっとあなたを助けてくれます(就活生のための感情の言語化)。自分を大切にしよう。あなたの中には、まだ名前のついていない気持ちが、ちゃんと息づいています。

ひとりで抱えきれないときの相談先

こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556

よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)

いのちSOS 0120-061-338

厚生労働省「まもろうよ こころ」(SNS相談の窓口を探せます)
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/

命の危険が迫っているときは、迷わず119番・110番へ

本記事の参考資料・科学的根拠

  • 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』(近刊)書籍原稿
  • Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
  • A.N.シン「心身症とアレキシサイミア(失感情症)」永田勝太郎ほか訳、『心身症の診断と治療』所収(1次性/2次性アレキシサイミア)
  • Lieberman, M.D. et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421-428.
  • 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料(一般人口の10.1〜16.3%)
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
監修|中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感」理論創始者
著書累計77万部・15,000人臨床・回復率95%
本記事は心理学的知見に基づく一般情報です。医学的診断や治療の代わりにはなりません。心身に不調を感じる場合は、医療機関・専門家へのご相談をおすすめします。

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