感情の言語化が業績を変える
心理的安全性とアレキシサイミアの関係
会議で誰も意見を言わない。悪い報告ほど遅れて上がってくる。新しい挑戦が生まれない。「心理的安全性を高めよう」と言われても、何から手をつければいいのかわからない。そんな経営者・管理職の方にお伝えしたいのは、心理的安全性の入り口には「不安です」「わかりません」と言える感情の言語化があるということです。感情を「ノイズ」から「情報」に変えると、チームの成果は変わりはじめます。
業績が伸び悩むチームに共通する「静けさ」
誰も何も言わないんです」
業績が伸び悩むチームを見ていると、ある共通点に気づきます。それは、会議が「静か」だということです。トラブルがないから静かなのではありません。誰もが何かを感じているのに、それが言葉になって場に出てこない。その結果、問題の発見が遅れ、改善のアイデアも生まれず、挑戦も起きにくくなっていきます。
この「静けさ」の背景を考えるうえで、ひとつ知っておいていただきたい言葉があります。アレキシサイミア(失感情症)です。感情がないのではなく、自分の感情に気づき、見分け、言葉にすることが難しい状態のことで、研究によって幅はありますが、一般の人の約10〜16%、およそ10人に1人に強い傾向が見られるとされています。病名ではなく、誰もが持つ特性の濃淡です。くわしくはアレキシサイミア(失感情症)とは|感情に名前がつけられない人の特徴・原因・回復のヒントをご覧ください。
私は近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』の中で、感情をうまく認識・表現しにくくなっている状態の人を「感情迷子さん」と呼びました。そして、感情迷子さんは強い傾向を持つ1割の人だけではありません。忙しさや緊張が続く職場では、誰もが一時的に感情迷子さんになりうるのです。チームが静かになるのは、そのためです。
静かな会議は、問題がない会議ではない。
まだ言葉になっていない違和感が、
テーブルの下に沈んでいる会議である。
心理的安全性とは何か|成果を出すチームの条件
心理的安全性(psychological safety)とは、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン(Edmondson)が1999年の研究で示した概念です。チームの中で、「こんなことを言ったら否定されるのではないか」「無知だと思われるのではないか」という不安を感じずに、率直に発言したり、助けを求めたり、失敗を報告したりできる状態を指します。
Googleが2015年ごろに公表した「プロジェクト・アリストテレス」では、どんなメンバーが集まっているかよりも、チームがどのように協力しているかが成果を左右することが示されました。そして、その中で最も重要な因子とされたのが心理的安全性でした。この発表をきっかけに、日本でも心理的安全性という言葉が広く知られるようになりました。
心理的安全性は「ぬるま湯」ではない
ここで誤解されやすいのは、心理的安全性を「仲がいい」「厳しいことを言わない」「誰も傷つかない」状態だと考えてしまうことです。エドモンドソンは、心理的安全性と高い目標や責任は両立すると説明しています。むしろ、高い目標に向かうからこそ、不安や懸念を早く口にできることが大切なのです。
| 心理的安全性が高いチーム | ぬるま湯のチーム |
|---|---|
| 「この計画、不安な点があります」と言える | 波風を立てないよう、懸念を飲みこむ |
| 失敗をすぐに報告し、学びに変える | 失敗を責めないかわりに、振り返りもしない |
| 意見がぶつかっても、関係は壊れない | 意見がぶつからないよう、議論を避ける |
| 高い目標に向けて率直に話し合う | 目標が低いので、話し合う必要がない |
心理的安全性の入り口には、感情の言語化がある
心理的安全性を高める取り組みとして、よく「発言しやすい雰囲気をつくろう」「否定しないルールをつくろう」といった方法が紹介されます。どれも大切です。けれど、それだけではうまくいかないチームがあります。なぜでしょうか。
それは、発言しても安全な場がつくられても、言うべき言葉が本人の中で見つかっていなければ、発言は生まれないからです。
「不安です」と言うまでの3つのハードル
私は本の中で、感情を言葉にするには①体の信号に気づく → ②感情を解釈する → ③言葉に変換するという3つのステップが必要だと書きました。会議で「この計画には不安があります」と言うためには、まず胸のざわつきに気づき、それが「不安」だと解釈し、さらにそれを会議の場で伝わる言葉にしなければなりません。
感情に名前がつくと、頭が働きはじめる
感情の言語化は、気持ちを伝えるためだけのものではありません。感情に名前をつけると、不安や怒りに関わる脳の扁桃体の活動が下がることが研究で示されています(Liebermanら, 2007)。「今、自分は不安なんだな」と言葉にできた瞬間、人は不安に飲みこまれずに考えはじめることができるのです。
反対に、言葉にならない感情は脳の中で「未完了のタスク」として残り続けます。途中で中断したことほど記憶に残り続けるというツァイガルニク効果と同じように、心の中で渋滞を起こし、常に脳のメモリを使い続けます。チームの全員が少しずつ言葉にならない感情を抱えている状態は、チーム全体の思考力が目に見えない形で削られている状態ともいえるのです。
感情を「ノイズ」として扱う組織で起きること
多くの組織には、暗黙のうちに「仕事に感情を持ちこむべきではない」という空気があります。感情的になって判断を誤らないように、という意味では大切な考え方です。ただ、それが行き過ぎると、感情を「ノイズ」として切り捨てる組織文化が生まれます。
「泣くのは無能の証拠」と教えられた経営者
本に登場するケンジさん(仮名・50代)は、20代で起業し、百名を超える社員を抱える会社に育てた経営者です。業界紙のインタビューでは「とにかく悩むことが嫌い。決断さえすればあとはその通りになる」と語り、カリスマ経営者として知られていました。
ケンジさんは幼いころから「泣くのは無能の証拠」と教えこまれ、「泣いている暇があったら解決策を探す」ことが大事だと信じてきました。感情はノイズであり、失敗するのは感情に振り回されるからだ、と。それは確かに一定の成果につながりました。けれど、そんなケンジさんがカウンセリングで口にしたのは、「最近、何のために働いているのかわからなくなった」という虚無感でした。
なぜ感情を切り捨ててしまうのか
こうした人の多くは、感情がわからないのではありません。「感情はノイズだ」と意識的、あるいは無意識に判断して、シャットアウトしているのです。その背景には、心理学でいう「認知的不協和」が働いていると考えられます。「感情的になるのは非効率だ」という思いこみと、実際には感情を持っている自分とのあいだに矛盾が生まれる。脳はその矛盾のストレスを解消するために、「最初から感じないようにしよう」という方向に働くのです。
リーダーの感情観は、組織の文化になる
リーダーが感情をノイズとして扱うと、それは組織の文化として広がっていきます。
| 組織で起きること | その結果 |
|---|---|
| 「不安です」が「弱音」として扱われる | 懸念が会議に出てこず、問題の発見が遅れる |
| 失敗の報告が叱責で終わる | 悪い報告ほど遅れ、隠されるようになる |
| 成果だけが評価され、気持ちは問われない | メンバーが「何のために」を見失い、燃え尽きる |
| 感情を表に出す人が「扱いにくい人」になる | 率直な人から先に辞め、静かな人が残る |
アレキシサイミア傾向は、対人関係では「冷たい」「距離がある」「自己主張しにくい」といった特徴と関連することが報告されています。こうした傾向がリーダーにある場合、本人に悪気がなくても、チームは少しずつ静かになっていきます。米ギャラップ社の「State of the Global Workplace」では、日本で「熱意あふれる社員」は約6%と、世界でも最低水準とされています。この数字の背景にはさまざまな要因がありますが、感情を言葉にしにくい職場の空気も、そのひとつとして考えてみる価値があると私は思います。
リーダーが変わると、チームが変わる
では、ケンジさんはどう変わっていったのでしょうか。
効率の悪い無意味な時間かもしれませんね」
私はケンジさんにそう伝えました。少し立ち止まって、意識を自分の内側に向ける時間が必要だったのです。それは無駄なことではありません。自分の感情そのものに価値があるのだと思えたとき、ケンジさんははじめて涙をこぼしました。
経営者や管理職は、つねに外側に意識を向けています。数字、競合、顧客、次の打ち手。自分の内側を見る時間がないまま一日が終わり、それが何年も続きます。けれど、リーダーが自分の感情に気づけないチームで、メンバーだけが感情を言葉にできるようになることはありません。
「つらかったね」の一言で、部下の表情が変わった
もうひとり、本に登場するタカシさん(仮名・40代管理職)の話をしましょう。タカシさんも「感情はノイズだ」と考えてきた人でした。部下が相談に来ても、まず解決策を出す。それが当たり前でした。カウンセリングを始めて半年ほどたったころ、タカシさんはこう話してくれました。
「部下が落ち込んでいるとき、つらかったね、と言えるようになりました。それだけで、部下の表情が変わるんですね。驚きました。そして、自分もなんだか、スッとするんです」
タカシさんは、部下の感情を想像するところから始めて、自分の感情にも気づけるようになっていきました。感情に気づくと、思考が変わる。思考が変わると、行動が変わる。行動が変わると、結果が変わる。これは個人だけでなく、チームにもあてはまります。
リーダーのための「感情タイムアウト」
忙しいリーダーにおすすめしたいのが、本で紹介している「感情タイムアウト」です。1日3回、スマホのアラームをセットし、鳴ったら3秒だけ「今、どんな気分?」と自分に問いかけます。ポリヴェーガル理論(Porges)の考え方を借りれば、私たちの神経系には外の世界に対処する「効率モード」と、内側の安全を確かめる「安全モード」があります。リーダーは効率モードに偏りがちです。1日3回、内側に意識を向けることで、安全モードを少しずつ起動させていきましょう。リーダーの神経系が落ち着くと、その落ち着きはチームにも伝わります。
中島輝より一言
中学生のころ、私はバスケットボール部でレギュラーとしてプレーしていました。チームが勝つと、みんな満面の笑みで喜び合います。その輪の中で、私だけが無表情で立っていました。うれしいはずなのに、感情がよくわからなかったのです。今振り返ると、あのチームで私は「勝利の喜びを分かち合う」という、チームにとって大切な何かに参加できていませんでした。成果を一緒に喜べること。それもまた、チームの力なのだと思います。
会議を変える|今日のオノマトペと5秒ルール
チームの心理的安全性を高めるいちばんの近道は、毎週必ず全員が集まる「会議」を変えることです。ここでは、私の本で紹介しているワークを会議向けにアレンジした方法を紹介します。
今日のオノマトペ・チェックイン
会議の最初に、一人ひと言ずつ今の気分をオノマトペで言う時間をとります。「今日はバタバタです。午前中にトラブル対応があったので」「ワクワクです。新しい提案が通りそうで」。理由は言っても言わなくてもかまいません。リーダーが最初に言うのがコツです。誰がどんな状態で会議に臨んでいるかがわかるだけで、議論の受けとめ方が変わります。
懸念の強さを3段階で聞く
提案や計画について「何か意見は?」と聞くかわりに、「この計画への不安は、ちょっと・そこそこ・すごく、のどれ?」と全員に聞きます。本で紹介している「3段階温度計」の応用です。手を挙げる、チャットに打つなど、答え方は自由です。「すごく」が一人でもいたら、その人に「どのあたりが気になる?」と聞いてみてください。言葉になりにくい違和感が、議論の材料に変わります。
5秒ルール
誰かの発言に反論や正論を返したくなったら、5秒だけ待ちます。その間に「この人は今、何を感じてこの発言をしているんだろう?」と心の中で問いかけます。相手の行動を、その奥にある感情や考えから理解しようとする力を、心理学ではメンタライゼーションと呼びます(Fonagyら)。5秒の問いかけは、その最小単位のトレーニングです。
共感の一言を先に
懸念や反対意見が出たら、内容を検討する前に「言いにくいことを言ってくれてありがとう」「その不安、わかる」と一言返します。正論はそのあとで十分です。共感の一言があるだけで、発言した人は「言ってよかった」と感じ、次も発言しやすくなります。
感情だけのチェックアウト
会議の終わりに、決定事項の確認に加えて、「今の気持ちを一言で」と聞きます。「すっきり」「まだ少しモヤモヤ」。本で紹介している「感情だけ日記」の考え方です。「まだ少しモヤモヤ」と言った人には、会議のあとに個別で声をかけるきっかけになります。
チェックインを続けるための3つのルール
- パスしてもいい:言いたくない日は「パス」で十分。強制は逆効果です
- 評価しない:「ずっしり」と言った人を、能力が低いと判断しない
- リーダーから先に:リーダーが自分の感情を言葉にするお手本を見せる
最初はぎこちなくても、数週間続けると、多くのチームで自然な習慣になっていきます。そして、「感情を言葉にしても大丈夫だった」という小さな体験の積み重ねが、チームの心理的安全性そのものをつくっていくのです。
悪い報告が早く上がってくる職場のつくり方
業績に直結するのが、悪い報告のスピードです。トラブルやミスは、小さいうちに見つかれば小さなコストで済みます。けれど、報告が遅れれば遅れるほど、損失は大きくなっていきます。
報告が遅れるのは、「言い方」がわからないから
悪い報告が遅れる理由は、叱られるのが怖いからだけではありません。感情を言葉にしにくい人にとっては、「うまくいっていない」「焦っている」という自分の状態に気づくこと、それを上司にどう伝えればいいかわからないことも大きな壁になっています。気づいたときには、もう取り返しがつかない段階になっているのです。
感情と思考をセットで伝える
私は本の中で、「感情と思考は切り分けずに伝えてみてください」とお伝えしました。事実や結果だけでなく、感情も合わせて伝えるのです。たとえば、こんなふうに。
| 場面 | 感情を添えた伝え方 |
|---|---|
| 不安なタスクを抱えたとき | 「このタスクは少し苦手で不安な部分があるので、時間がかかるかもしれません。フォローしてもらえたらありがたいです」 |
| 結果が出なかったとき | 「結果を出すことができず、悔しく思っています。原因を整理したので聞いてください」 |
| うまくいったとき | 「予定を上回る進捗なので、うれしくて報告してしまいました」 |
感情が一つ加わるだけで、相手は「この人は今、こういう状態なんだ」と理解でき、早めに手を打てます。そして、上司がこの伝え方を歓迎することで、チーム全体に広がっていきます。
報告を受ける側の「最初の一言」
悪い報告を受けたとき、上司の最初の一言がチームの未来を決めます。「なぜもっと早く言わなかった」から始めれば、次の報告はさらに遅れます。「報告してくれてありがとう。焦ったよね」から始めれば、次の報告は少し早くなります。原因の追及や再発防止策の検討は、そのあとで十分にできます。
悪い報告に「ありがとう」と返すチームには、
悪い報告が早く集まる。
それが、損失を小さくするいちばんの仕組み。
4タイプが混ざるチームで、強みを成果に変える
感情迷子さんには4つのタイプがあります。大切なのは、それぞれのタイプが弱みだけでなく、チームにとっての強みも持っているということです。感情の言語化を少し後押しするだけで、その強みは成果に変わります。
| タイプ | チームでの強み | 強みを活かすための後押し |
|---|---|---|
| タイプ1 感情がわからない | 周囲への気配り、場を乱さない安定感 | 体のサインを確認する声かけで、無理を防ぐ |
| タイプ2 感情を説明できない | 言葉を大切にする誠実さ、慎重な思考 | 会議のあとにチャットで意見を出せるルートをつくる |
| タイプ3 感情に興味がない | 論理的な判断力、素早い問題解決 | 5秒ルールと共感の一言で、提案が届きやすくなる |
| タイプ4 想像できない | 堅実さ、現実的なリスクの見極め | 小さな「もしも」で、アイデア出しに参加しやすくする |
新しいアイデアを生む「もしも」の時間
業績を伸ばすには、改善だけでなく新しい挑戦も必要です。ところが、タイプ4の傾向を持つ人が多いチームでは、ブレインストーミングをしても現実的な案しか出てこないことがあります。そこで役立つのが、本で紹介している「もしもタイム」の考え方です。
いきなり「新規事業のアイデアを出して」と言うのではなく、「もし予算が無限にあったら、お客さまに何をしてあげたい?」「もし競合がいなかったら、どんなサービスにする?」と、小さくて安全な「もしも」から始めてみてください。荒唐無稽なアイデアが出たら、まず「いいね!それで?」と全力で乗ること。否定されない空想の時間は、チームの想像力を少しずつ開いていきます。
お客さまの気持ちを想像する
本で紹介している「キャラクター感情読み」は、ドラマや映画の登場人物に「この人は今、何を感じている?」と問いかけるワークです。チームでは、これを顧客理解に応用できます。商品を手にとったお客さまは、どんな気持ちだったのか。問い合わせをくれたお客さまは、何に困って、何を期待していたのか。データだけでなく感情を想像する習慣は、商品やサービスの質を確実に変えていきます。
4タイプそれぞれの部下の育て方は、感情を言葉にできない部下の育て方|4タイプ別・感情迷子さんの人材育成でくわしく紹介しています。
成果につなげるための「測り方」
経営者や管理職にとって、取り組みの効果をどう確かめるかは大切な問題です。ただし、感情の言語化や心理的安全性は、それ自体を直接数字にするのが難しいテーマです。ここでは、すでに多くの会社にある指標を使って、変化の兆しを読みとる視点を紹介します。
| 領域 | 見ておきたい指標 | 変化の読みとり方 |
|---|---|---|
| エンゲージメント | エンゲージメントサーベイ、パルスサーベイ | 「上司に率直に意見を言える」などの項目の推移 |
| 定着 | 離職率、早期離職率 | とくに「理由がはっきりしない離職」が減っているか |
| 健康 | 体調不良による欠勤・休職 | 言葉にならないストレスが体に出ていないか |
| 業務の質 | トラブルの発見から報告までの時間、手戻りの件数 | 問題が小さいうちに上がってくるようになったか |
| 挑戦 | 提案件数、新しい取り組みの数 | アイデアが出やすくなっているか |
測るときに気をつけたいこと
ひとつ注意していただきたいのは、感情を話すこと自体を評価やノルマにしないことです。「チェックインで発言した回数」を目標にしたり、「感情を話さない人」を低く評価したりすれば、それはかえって心理的安全性を壊してしまいます。数字はあくまで、チーム全体の変化を半年から1年の単位でゆるやかに見るための手がかりです。
感情を扱う力は、人間にしかできない仕事
AIの発展によって、情報を整理したり、文章を作ったりする仕事の多くは、急速に効率化されています。私自身も、資料作成などでAIに大いに助けられています。けれど、私は本の中で「感情をAIに任せない」ことの大切さをお伝えしました。「感じること」そのものは、人間にしかできません。
不安がっている仲間を安心させる。失敗した部下に「悔しかったね」と声をかける。成果を一緒に喜び合う。温度感のある言葉やまなざしは、人間にしか出せないものです。これからの時代、感情を言葉にし、扱える組織こそが、人が集まり、人が育ち、成果を出し続ける組織になっていくと、私は考えています。
よくあるご質問
チームの中にある、まだ使われていない情報。
言葉にできるチームから、成果は変わりはじめる。
小さな習慣が、心理的安全性をつくっていきます。
自分を大切にしよう
成果を出すチームの条件とされる心理的安全性。その入り口には、「不安です」「わかりません」「ちょっとモヤモヤします」と言える感情の言語化があります。発言しても安全な場があっても、言うべき言葉が本人の中で見つかっていなければ、会議は静かなままです。感情を言葉にしにくい人はおよそ10人に1人。そして忙しく緊張の続く職場では、誰もが一時的に感情迷子さんになりえます。
リーダーが感情を「ノイズ」として扱えば、それは組織の文化となり、悪い報告は遅れ、挑戦は減り、人は静かに離れていきます。反対に、リーダーが自分の感情に気づき、「つらかったね」「報告してくれてありがとう」と言えるようになると、チームは変わりはじめます。会議の冒頭の今日のオノマトペ、懸念を3段階で聞く問い、5秒ルール、共感の一言、感情を添えた報告。小さな習慣の積み重ねが、心理的安全性をつくり、業績の土台を育てていきます。
そして何より、チームを率いるあなた自身の感情を大切にしてください。数字と責任を背負って走り続けてきたあなたにこそ、「効率の悪い無意味な時間」が必要なのかもしれません。今日、アラームが鳴ったら3秒だけ、自分に「今、どんな気分?」と聞いてみてください。自分を大切にしよう。自分の感情を大切にできるリーダーのもとで、チームは安心して本音を話し、力を発揮できるようになります。
本記事の参考資料・科学的根拠
- 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』(近刊)
- Edmondson, A. (1999). Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.
- Google re:Work「プロジェクト・アリストテレス」
- Gallup. State of the Global Workplace.
- Lieberman, M.D. et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science.
- Fonagy, P. et al. (2002). Affect Regulation, Mentalization, and the Development of the Self.
- Porges, S.W. (2011). The Polyvagal Theory.
- Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
- 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。






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