感情を見せない経営者が組織を止める
トップのための感情言語化マネジメント
役員会の議論は、数字のうえでは申し分なく終わった。それなのに帰りの車の中で、ふと「自分は何のためにこれをやっているのだろう」と思う。幹部からは「問題ありません」しか上がってこない。もし思い当たるなら、結論から申し上げます。組織を止めているのは戦略ではなく、トップ自身の「言葉にならない感情」かもしれません。経営者・役員・部長クラスの方に向けて、感情を言語化するマネジメントを具体的にお伝えします。
結論|トップの感情の言語化は、組織の情報インフラである
最初に、この記事の結論を3つにまとめます。
トップが感情を言葉にしないと、組織の「悪い情報」が止まる
社長が不安や迷いを決して口にしない会社では、部下も不安や違和感を口にしなくなります。感情は、数字に出る前のリスク情報です。それが上がってこない組織は、計器を外して飛んでいる飛行機のようなものです。
感情を切り捨てた判断は、速いが粗い
「感情に振り回されない」ことと「感情を無視する」ことは別物です。感情を情報として扱えるトップほど、判断の精度と納得感が上がります。
感情の言語化は、トレーニングで身につく経営スキルである
性格の問題ではありません。1日数秒〜数分の習慣で、誰でも少しずつ鍛えられます。この記事の後半で、役員会や1on1でそのまま使える型を紹介します。
ここで使う「感情迷子さん」とは、中島輝の近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』の言葉で、感情をうまく認識・表現しにくくなっている状態を指します。心理学では「アレキシサイミア(失感情症)」と呼ばれ、一般の人の約10〜16%に強い傾向が見られるとされています。病名ではなく、誰もが持つ特性の濃淡です。全体像はアレキシサイミア(失感情症)とは|感情に名前がつけられない人の特徴・原因・回復のヒントで詳しく解説しています。
そして経営者や役員の方には、この傾向が「強み」として表に出ていることが少なくありません。冷静、ぶれない、決断が速い。その強みの裏側で、感情の回路だけが静かに細くなっている。今回お伝えしたいのは、その部分です。
100人の会社なら、10人以上いても不思議ではありません
「悩むのが嫌い」なカリスマ経営者が抱えていた空洞
本に登場するケンジさん(仮名・50代)は、学生時代からビジネスを学び、20代で起業した方です。苦しい時期を乗り越え、社員100名を超える会社に育てました。業界では「カリスマ経営者」と呼ばれ、インタビューでは「とにかく悩むことが嫌い。決断さえすればあとはその通りになる」と語っていました。
考えを整理したいんです」
「泣くのは無能の証拠」という教え
ケンジさんは幼いころから「泣くのは無能の証拠」「泣いている暇があったら解決策を探せ」と教えられて育ちました。目標に向かうとき、感情は邪魔なもの。失敗するのは感情に振り回されるから。その信念は、実際に事業の成功を支えてきました。
けれど、感情を切り捨てるとき、人は不快な感情だけを選んで捨てることはできません。不安や悲しみと一緒に、達成の喜びや仲間と分かち合う手応えまで、まとめて感じにくくなるのです。本ではこれを「人生の彩り」という最大の報酬まで捨ててしまっていた、と表現しています。会社が大きくなるほど空洞が広がっていく。成功している経営者ほど、この感覚に心当たりがあるのではないでしょうか。
処方箋は「効率の悪い時間」だった
私がケンジさんにお伝えしたのは、意外に聞こえるかもしれませんが、あえて効率の悪い、意味のない時間をつくることでした。少し立ち止まり、意識を自分の内側に向ける時間です。最初は戸惑っていたケンジさんでしたが、自分の感情そのものに価値があると思えたとき、はじめて涙をこぼしました。
経営者にとって、時間は最も希少な資源です。だからこそ、内側を見る時間は真っ先に削られます。しかしそれは、工場の点検時間を削って稼働率を上げているようなものです。短期的には効率が上がっても、いつかどこかで止まります。
中島輝より一言
私は里親のもとで育ちました。5歳のとき、その里親が夜逃げをしていなくなりました。あの日から、私は感情を出すことをやめました。泣いても、怒っても、誰も戻ってこないとわかったからです。感情を閉じたことで、私は生き延びることができました。だから、感情を切り捨ててきた経営者の方を、私は否定しません。それはかつて、あなたを守った大切な戦略だったのです。ただ、今のあなたにはもう、別の戦略を選ぶ余裕があるはずです。
感情を切り離した意思決定は、かえって粗くなる
「経営判断に感情を持ち込むべきではない」。多くの経営者がそう考えています。ここで整理しておきたいのは、感情に「支配される」ことと、感情を「情報として使う」ことは別だという点です。
ソマティック・マーカー仮説という考え方
神経科学者アントニオ・ダマシオ(Damasio)は、ソマティック・マーカー仮説という考え方を提唱しました。私たちが選択肢を前にしたとき、過去の経験と結びついた「体の感覚」が、その選択肢に「よさそう」「危なそう」という目印をつける。その目印があるからこそ、膨大な選択肢を素早く絞り込めるのではないか、という仮説です。
ここでは細部には立ち入りませんが、この考え方が示しているのは、感情は合理的な判断を邪魔するものではなく、判断を支える土台のひとつかもしれないということです。経営者がよく口にする「嫌な予感がした」「この案件は筋がいい気がする」という直感も、言葉になる前の感情の働きと言えるでしょう。
感情に名前をつけると、判断が落ち着く
もうひとつ、知っておいていただきたい研究があります。カリフォルニア大学のリーバーマン(Lieberman)らは2007年、感情に「怒り」「不安」などの名前をつけると、脳の扁桃体の活動が下がることを報告しました。扁桃体は、危険を察知して体を戦闘態勢にする「警報装置」のような部位です。
つまり、「今、自分はこの案件に焦っている」と言葉にできれば、焦りに引きずられた判断を避けやすくなる。逆に、焦りを「ないもの」として扱えば、焦りは気づかれないまま判断に入り込みます。感情を無視する人ほど、実は感情に動かされている。これが、感情の言語化が経営スキルである理由です。
| 感情を無視した判断 | 感情を言語化した判断 |
|---|---|
| 「問題ない、進めよう」 | 「正直、少し焦っている。焦りを外して、もう一度条件を見よう」 |
| 違和感は「気のせい」として処理 | 違和感を「確認すべき論点」として書き出す |
| 反対意見に苛立ち、議論を打ち切る | 「苛立っている」と自覚し、反対意見の中身を聞く |
| 結果が出ても、喜びを感じない | 成果を言葉にして喜び、次の意欲につなげる |
「直感を信じる力」は自己信頼感である
自己肯定感の「6つの感」でいえば、言葉にならない「なんとなくこう感じる」を価値のないものとして切り捨てず、信じてあげる力は自己信頼感にあたります。木のたとえでは「葉」の部分です。葉は光を受け、木全体に栄養を届けます。感情という情報を受け取る葉が茂っていないと、どれほど太い幹を持つ経営者でも、やがて内側から枯れていくのです。
感情を見せないトップの下で起きる4つの停滞
トップの感情スタイルは、本人が思っている以上に組織全体へ伝わります。社長が感情を見せない会社では、次の4つの停滞が起きやすくなります。
停滞1|悪い報告が「事実」に加工されて遅れる
現場の「なんか嫌な感じがする」は、数字になるまで報告されません。数字になったときには、もう手遅れのこともあります。感情を言ってはいけない組織では、リスクは確定してからしか上がってこないのです。
停滞2|幹部が忖度し、役員会が「確認の場」になる
トップが表情を変えずに聞いていると、幹部はトップの機嫌を読もうとします。読めないから、無難な案だけを出す。反論が出ない役員会は、意思決定の場ではなく確認の場になります。エドモンドソン(Edmondson)が1999年に示した「心理的安全性」、そしてGoogleの「プロジェクト・アリストテレス」で成果を出すチームの最重要因子とされたこの条件は、トップの一言で大きく左右されます。組織全体の業績との関係は感情の言語化が業績を変える|心理的安全性とアレキシサイミアの関係で詳しく扱っています。
停滞3|社員の熱意が静かに冷えていく
米ギャラップ社の「State of the Global Workplace」では、日本の「熱意あふれる社員」は約6%と、世界でも最低水準とされています。背景にはさまざまな要因がありますが、成果は評価されても気持ちは問われない職場で、熱意が育ちにくいのは自然なことです。トップが仕事の喜びを言葉にしない会社で、社員だけが喜びを語ることはありません。
停滞4|優秀な人ほど、理由を言わずに去る
自分の考えや感情を率直に言える人は、言っても届かない組織に見切りをつけるのも早いものです。講座資料でも、アレキシサイミア傾向は職場でモチベーションの低下、報連相の不足、会話の回避、欠勤や生産性の低下と結びつくことがまとめられています。退職面談で「特に不満はありません」と言われたとき、それは本当に不満がないのではなく、不満を言葉にする回路が組織から失われているのかもしれません。
経営者の孤独は「言葉にならない感情」で深くなる
「社長は孤独だ」とよく言われます。最終責任を負う人は、迷いを相談できる相手がいない。社内には弱みを見せられない。社外の経営者仲間とも、本音より情報交換になりがちです。
ただ、カウンセリングの現場で多くの経営者と向き合ってきて感じるのは、孤独の根っこは「相談相手がいないこと」以上に「自分の気持ちがわからないこと」にある場合が多い、ということです。相談相手がいても、何を相談すればいいのかがわからない。「どうしたいんですか?」と聞かれても、「業績を上げたい」としか答えられない。そうなると、人に囲まれていても心は一人のままです。
ただ、何も感じなくなっただけで」
家庭にも同じ距離が生まれる
講座資料では、アレキシサイミア傾向が対人関係の問題を測る尺度(IIP-64)で「冷たさ・距離感」「非主張的」と関連すること、また2008年の研究でパートナーとの関係満足度の低下と関連することが紹介されています。会社で感情を閉じている人は、家に帰っても急には開けません。「夫は何を考えているのかわからない」「父とは仕事の話しかしたことがない」。家族のそうした言葉は、トップの孤独が家庭にまで広がっているサインかもしれません。
孤独の正体は、相談相手がいないことではなく、
自分の気持ちに名前がついていないこと。
名前がつけば、人に渡せるようになる。
後継者が育たない会社のトップに共通すること
「後継者が育たない」。これは多くの経営者が抱える課題です。能力の高い人材はいる。経験も積ませた。それなのに、任せきれない。ここにも、感情の言語化が深く関わっています。
トップは「結論」は語れても「迷い」は語れない
経営判断を後継者に引き継ぐとき、多くのトップは「何を決めたか」と「その理由」は説明できます。けれど、決める前に何に迷い、何が怖く、何を手放したのかは語りません。語らないのではなく、本人も言葉にしたことがないのです。
しかし後継者が本当に学ぶ必要があるのは、教科書に書けるロジックではありません。「この局面でトップはどんな不安を抱え、それをどう扱ったのか」という感情の扱い方です。そこが伝わらないと、後継者はトップの判断を「正解の暗記」としてしか受け取れず、新しい局面で判断できなくなります。
| 引き継げているもの | 引き継げていないもの |
|---|---|
| 決定事項と、その論理的な理由 | 決める前の迷い、怖さ、手放したもの |
| 成功した判断の結果 | 失敗したときの悔しさと、そこからの立ち直り方 |
| 数字の見方 | 数字に出る前の「嫌な予感」の扱い方 |
| 会社のビジョン(言葉) | そのビジョンにトップが込めている感情 |
後継者に「迷っている姿」を見せる
後継者育成でおすすめしたいのは、判断のプロセスを感情ごと言葉にして見せることです。「この案件、数字はいい。でも正直、相手の担当者が変わったことが引っかかっていて、少し不安なんだ。君ならどう扱う?」。こう話せるトップのもとでは、後継者は判断の「型」と同時に、不安を抱えたまま決める「胆力」を学びます。
そしてこれは、後継者自身の感情の言語化を育てることにもつながります。トップが迷いを語れば、後継者も「実は私も不安です」と言えるようになる。不安を言える後継者は、不安を言える部下を育てます。こうして、組織に感情の言葉が受け継がれていくのです。部下の育成全般については感情を言葉にできない部下の育て方|4タイプ別・感情迷子さんの人材育成もあわせてご覧ください。
中島輝より一言
私が長いひきこもりとパニック障害の暗闇から抜け出せたのは、35歳のときでした。振り返ると、転機になったのは「強くなったこと」ではありません。弱さや怖さを、少しずつ人に言葉で渡せるようになったことでした。経営者の方にも、同じことが起きます。迷いを語れるようになったトップの会社は、驚くほど風通しが変わります。
経営者に多い感情迷子さんの傾向をセルフチェック
感情迷子さんには4つのタイプがあります。経営者や役員の方に多いのは、とくにタイプ3「感情に興味がない」ですが、ほかのタイプが重なっていることもよくあります。それぞれのタイプは、自己肯定感の「6つの感」と木のたとえに対応しています。
| タイプ | 経営者に現れやすい姿 | 土台になる感 |
|---|---|---|
| タイプ1 感情がわからない | ストレスを自覚しないまま、不眠や胃の不調、血圧の上昇など体に先に出る | 自尊心≒自己存在感(根) |
| タイプ2 感情を説明できない | 何か引っかかっているのに「まあ、いい」で済ませ、幹部に意図が伝わらない | 自己受容感(幹) |
| タイプ3 感情に興味がない | 感情はノイズ。相談されると即座に解決策を出す。成果が出ても喜ばない | 自己信頼感(葉) |
| タイプ4 想像できない | 中期計画は描けても、「自分は本当はどうしたいか」が描けない | 自己決定感(花) |
次のうち、当てはまるものを数えてみてください。
- 部下に相談されると、話を最後まで聞く前に解決策が浮かび、口に出している
- 大きな契約がまとまっても「次」のことを考えていて、喜びを感じた記憶がない
- 「社長は何を考えているかわからない」と言われたことがある
- 役員会で反対意見が出ると、内容より先に苛立ちを感じる(が、それを認めたくない)
- 自分の内面について考えるのは、時間の無駄だと感じる
- 健康診断の数値が悪くても、忙しさを理由に後回しにしている
- 「引退したら何をしたいですか」と聞かれると、言葉に詰まる
- 家族との会話が、連絡事項と仕事の話だけになっている
3つ以上当てはまる方は、感情の回路が少し細くなっているかもしれません。これは診断ではありません。「自分にもこういう傾向があるかもしれない」と気づくこと自体が、変化のスタートです。
トップのための感情言語化マネジメント|5つの習慣
ここからは実践編です。本の第4章で紹介しているワークを、経営者の一日に合わせて組み替えました。どれも数秒〜数分でできます。
感情タイムアウトを、秘書やカレンダーに組み込む
1日3回アラームをセットし、鳴ったら「今、どんな気分?」と3秒だけ自分に問いかけます。答えは「よくわからない」でもかまいません。経営者は「意識したときにやる」ではまず続きません。外側からきっかけを強制的につくることが大切です。移動の車中、昼食後、最後の会議の直前など、決まった時間に設定しましょう。
決裁の前に、判断に混ざっている感情に名前をつける
重要な決裁の前に、メモの隅に「この判断に混ざっている感情」を1語だけ書きます。「焦り」「意地」「恐れ」「期待」「面倒」。書いたうえで、その感情を外しても同じ判断をするかを自分に問います。先ほどの感情ラベリングの研究を、経営判断に応用する方法です。
相談を受けたら、5秒待ってから共感の一言
部下や幹部から相談されたら、解決策が浮かんでも5秒だけ待ち、「この人は今、何を感じているのだろう」と一度だけ問いかけます。答えはわからなくてかまいません。そのうえで「それは悩むよね」「大変だったね」と共感の一言を先に出してから、本題に入ります。正論はそのあとで大丈夫です。扉が開いてから届けた助言は、同じ言葉でもまったく違う温度で相手に届きます。
手帳の余白に「感情だけ日記」
夜、手帳やスマホに、今日の出来事ではなく感じたことだけを書きます。「達成感があった。でも少し空回りした感じもある」「とくに何も感じなかった」。最後の「何も感じなかった」も立派な記録です。予定と実績で埋まった経営者の手帳に、感情の欄をひとつ足すイメージです。
「効率の悪い時間」をカレンダーに予約する
ケンジさんへの処方箋と同じです。目的のない散歩、音楽をただ聴く、ぼんやり景色を眺める。何かを生み出すためではない時間を、週に一度、会議と同じようにカレンダーに入れてください。予定にしない限り、この時間は必ず別の用事に奪われます。
感情の言語化は、才能ではなく習慣。
数字を毎日見るように、感情も毎日見る。
それだけで、判断の質は変わっていく。
経営会議で「感情」を扱うための言葉の型
個人の習慣が整ってきたら、次は組織の場に広げます。いきなり「みんな感情を話そう」と言っても、幹部は戸惑うだけです。まずはトップ自身が、感情と思考を合わせて伝えることから始めましょう。本でも、感情と思考を切り分けずに伝えると相手は「この人は今こういう状態なんだ」と理解でき、信頼感が生まれると書いています。
| 場面 | これまでの言い方 | 感情を添えた言い方 |
|---|---|---|
| 新規事業の判断 | 「進める。以上」 | 「進める。正直、不安もある。だから撤退基準を一緒に決めておきたい」 |
| 業績が落ちたとき | 「原因と対策を来週までに」 | 「悔しいね。私も悔しい。そのうえで、原因を一緒に見よう」 |
| 反対意見が出たとき | 「それは前提が違う」 | 「一瞬、むっとした。でも大事な指摘だと思う。続きを聞かせてほしい」 |
| 成果が出たとき | 「次の目標は」 | 「うれしい。本当にありがとう。次の話はそのあとにしよう」 |
幹部に投げかける3つの質問
トップが感情を添えて話すようになったら、幹部にも感情の言葉を引き出す質問をしてみます。いきなり「どう感じた?」と聞くより、答えやすい形にするのがコツです。
- 「この計画、3段階でいうと、ちょっと不安・そこそこ不安・すごく不安のどれ?」
- 「数字には出ていないけれど、引っかかっていることはある?」
- 「この件、もし言いにくいことがあるとしたら何だろう」
大切なのは、出てきた感情を評価しないことです。「不安です」と言った幹部に「弱気だな」と返せば、二度と感情は上がってきません。「言ってくれてありがとう。どのあたりが不安?」と受け取る。この往復が積み重なると、役員会は確認の場から、本当の意思決定の場に戻っていきます。
中島輝より一言
トップが「不安だ」と口にすると、組織が揺らぐのではないか。そう心配される方がいます。実際には逆です。不安を言葉にできるトップは、不安に飲み込まれていないことを示しています。社員が本当に不安になるのは、トップが何を感じているのかまったく見えないときです。
よくあるご質問
感情を言葉にできるトップは、遠くまで走れる。
今日の決裁の前に、10秒だけ自分の気持ちに名前を。
自分を大切にしよう
感情を見せない経営者のもとでは、悪い報告が事実に加工されて遅れ、役員会は確認の場になり、社員の熱意は静かに冷え、優秀な人ほど理由を言わずに去っていきます。トップの感情の言語化は、組織の情報インフラです。そして、感情を切り離した判断は速くても粗くなりがちです。感情に名前をつけ、情報として扱えるトップほど、判断の精度と納得感が高まります。
経営者の孤独は、相談相手がいないこと以上に、自分の気持ちに名前がついていないことで深くなります。後継者が育たないのも、トップが「結論」は語れても「迷い」を語れないからかもしれません。感情を切り捨ててきたことは、かつてあなたを守った大切な戦略でした。責める必要はまったくありません。ただ、今のあなたには、別の戦略を選ぶ余裕があります。
感情タイムアウト、決裁前の感情ラベル、5秒ルールと共感の一言、感情だけ日記、そして効率の悪い時間。どれも数秒から数分で始められます。会社を大切にしてきたのと同じように、これからは自分を大切にしよう。あなたの内側にある感情は、組織を次の段階へ連れていく、まだ使われていない経営資源です。
本記事の参考資料・科学的根拠
- 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』(近刊)原稿
- 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料
- Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
- Damasio, A.R. (1994). Descartes’ Error: Emotion, Reason, and the Human Brain. Putnam.(ソマティック・マーカー仮説)
- Lieberman, M.D. et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421-428.
- Edmondson, A. (1999). Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.
- Google re:Work「効果的なチームとは何か を知る」(プロジェクト・アリストテレス)
- Gallup「State of the Global Workplace」

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。






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