「つらい」と言えない子どもを守る
感情の言語化と自殺予防のために大人ができること
「毎日楽しそうにしていたのに」「何も言ってくれなかった」。子どものつらさに、大人があとから気づくことは少なくありません。でも、子どもは何も伝えていなかったのではなく、言葉にならないかたちでSOSを出していたのかもしれません。つらさを言葉にしにくい子のSOSに気づき、受けとめ、つなぐために、保護者と先生ができることをお伝えします。
「つらい」と言えない子のSOSは、周りに届きにくい
いま、つらい気持ちを抱えているあなたへ
一人で抱えず、どうか誰かに話してください。
24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)0120-0-78310
チャイルドライン(18歳まで)0120-99-7777
よりそいホットライン(24時間)0120-279-338
命の危険が迫っているときは、迷わず119番・110番へ
この数字の一人ひとりに、家族があり、友だちがいて、毎日の暮らしがありました。そして多くの場合、周りの大人は「まさか」と感じています。子どものつらさは、それほど外から見えにくいのです。
自殺の背景には、学校や家庭の問題、心の病気、体の病気など、さまざまな要因が複雑に重なっています。一つの理由で説明できるものではありません。そのうえで、この記事では一つの視点に光を当てます。それは、つらさを「つらい」と感じ分け、言葉にすることが難しい子は、SOSが周りに届きにくいということです。
自分の気持ちに気づき、見分け、言葉にすることが難しい状態を、心理学ではアレキシサイミア(失感情症)と呼びます。感情がないのではありません。感情はあるのに、言葉にたどり着くまでの道で迷子になっている状態です。一般の人の約10人に1人に強い傾向があるとされる、誰にでもある特性の濃淡です(くわしくはアレキシサイミア(失感情症)とは|感情に名前がつけられない人の特徴・原因・回復のヒント)。私は近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』で、この状態にある人を「感情迷子さん」と呼びました。
なお、アレキシサイミア傾向があることが自殺の原因になる、ということではありません。大切なのは、言葉で「助けて」と言えない子もいると知っておくこと。そして、言葉以外のSOSを大人が受け取れるようになることです。
言葉にならないつらさは、どこから出てくるのか
感情は、言葉にならないときほど、別の出口を探して表に出てきます。体の不調、行動の変化、表情の変化、絵や文章の中のことば。子どものSOSは、言葉ではなく「変化」として現れることが多いのです。
心は、つらさを「感じないこと」で自分を守ることがある
強いストレスが長く続くと、心は耐えきれない痛みから自分を守るために、感じる回路を一時的に絞ることがあります。うつ状態の初期に「何も感じない」「何をしても楽しくない」と感じる人が多いのも、このためです。これは心が弱いからではなく、生き延びるための反応でもあります。
けれど、感じる回路が絞られると、子ども自身も「自分がどれだけつらいのか」がわからなくなります。だから「大丈夫?」と聞かれても「大丈夫」と答えてしまう。うそをついているのではなく、本当にそう感じているのです。周りの大人が「言わないから大丈夫だろう」と考えてしまうと、SOSはますます見えなくなります。
心理学者のレインとシュワルツは、感情の気づきが「体の感覚」から「言葉で見分けられる段階」へと育っていくと説明しました。つらさが体の感覚の段階にとどまっていると、子どもは「なんか体が重い」「なんか全部どうでもいい」としか表現できません。この「なんか」の奥に、大きなつらさが隠れていることがあるのです。
中島輝より一言
小学生の頃、私はときどき理由もわからず涙が止まらなくなりました。友だちに「どうしたの?」と聞かれても、「わからない」「なんでもない」としか言えませんでした。悲しいという自覚さえなかったのです。今振り返れば、あれは私の心が出していた精いっぱいのSOSでした。言葉にならないSOSは、受け取ってくれる人がいてはじめて、言葉になっていきます。
大人が気づきたい「言葉にならないSOS」
次のような変化が、いくつか重なっている、急に起きた、2週間以上続いているときは、子どもが言葉にできないつらさを抱えているサインかもしれません。
体と生活の変化
- 眠れない、夜中に何度も起きる、または一日中眠っている
- 食欲が極端に落ちた、または急に食べすぎるようになった
- 腹痛・頭痛・だるさなど、原因のわからない体の不調が続く
- 身だしなみに気を配らなくなった、お風呂に入らなくなった
行動と表情の変化
- 好きだったことに興味を示さなくなり、表情が乏しくなった
- 友だちや家族と話さなくなり、一人でこもることが増えた
- 遅刻や欠席、成績の急な低下が見られる
- 大切にしていた物を人にあげたり、身の回りを整理したりしはじめた
- 自分を傷つける行為の跡がある、けがを隠そうとする
- 落ち込んでいた子が、理由なく急に晴れやかな様子になった
ことばの断片
- 「消えたい」「いなくなりたい」「疲れた、もういい」と口にする
- 「自分なんかいないほうがいい」「迷惑ばかりかけている」と自分を責める
- 作文や絵、SNSの投稿に、死や消えることをほのめかす表現がある
- 「どうせ」「意味ない」「全部どうでもいい」が口ぐせになった
これらは診断のためのチェックではありません。一つでも気になったら、「考えすぎかもしれない」と打ち消さずに、声をかけるきっかけにしてください。大人の思い過ごしで終わるなら、それに越したことはありません。夏休みなど長期休みの終わりの時期は、とくに気持ちが不安定になりやすいとされています。この時期は、いつも以上に子どもの様子に目を向けてください。
「考えすぎかな」と思ったら、
それが声をかけるタイミング。
思い過ごしなら、それでいい。
4タイプ別|感情迷子さんのSOSの出方
『感情迷子さんの本』では、感情迷子さんを4つのタイプに分けています。タイプによって、SOSの出方も、大人の受け取り方のコツも違います。子どもをタイプに当てはめるためではなく、「この子はどんなかたちでSOSを出しているだろう」と想像するための手がかりとして読んでください。
SOSは「体」から出る
つらいという自覚がないまま、体の不調や保健室通いの増加として表れやすいタイプです。本人は「なぜ体調が悪いのかわからない」と感じています。「どこがつらい?」と気持ちを聞くより、「最近、夜は眠れてる?」「ご飯はおいしく感じる?」と体と生活のことから聞くと、少しずつ状態が見えてきます。養護教諭の先生の気づきがとても大切なタイプです。
SOSは「大丈夫」と「断片」に隠れる
何かがあることはわかっているのに、言葉にできず「大丈夫」「別に」で終わらせてしまうタイプです。作文の一文、絵、SNSの短い投稿、ノートの落書きなど、断片的なかたちで本音がこぼれることがあります。こうした断片に気づいたら、問い詰めずに「これを見て、ちょっと心配になったんだ」と、大人の気持ちを伝えるところから始めましょう。
SOSは「意味がない」という虚無感になる
感情を「役に立たないもの」として切り捨ててきたタイプです。つらさを感じないかわりに、「何のためにがんばっているのかわからない」「全部意味ない」という虚無感として表れることがあります。成績が良く、しっかりして見えるぶん、周りに気づかれにくいのが特徴です。理屈で反論せず、「そう感じるくらい、疲れているのかもしれないね」と、虚無感の奥にある疲れに目を向けてください。
SOSは「将来が見えない」という言葉になる
楽しい未来を思い描くことにブレーキがかかっているタイプです。「将来なんてない」「どうせ何も変わらない」という言葉が出たときは、未来を想像する力がとても小さくなっているサインかもしれません。大きな将来の話はせず、「今週末、何か食べたいものある?」のような、手の届くほど近い小さな未来を一緒に描くことから始めましょう。
| タイプ | SOSが出やすい場所 | 育てたい「感」 |
|---|---|---|
| 1 感情がわからない | 体の不調、保健室、睡眠や食欲 | 自尊心≒自己存在感(根) |
| 2 感情を説明できない | 「大丈夫」、作文・絵・SNSの断片 | 自己受容感(幹) |
| 3 感情に興味がない | 「意味ない」という虚無感、燃え尽き | 自己信頼感(葉) |
| 4 想像できない | 「将来が見えない」「どうせ」 | 自己決定感(花) |
表の右側は、自己肯定感を一本の木にたとえた「6つの感」(自尊心≒自己存在感=根、自己受容感=幹、自己効力感=枝、自己信頼感=葉、自己決定感=花、自己有用感=実)のうち、各タイプがとくに詰まりやすい場所です。どのタイプでも、つらさの渦中にいる子に最初に必要なのは、木の根っこにあたる「あなたがここにいてくれることが大切」というメッセージです。
「死にたい」と打ち明けられたら|SOSとして受けとめる
子どもから「死にたい」「消えたい」と打ち明けられたら、大人は動揺し、どうしていいかわからなくなるでしょう。まず知っておいてほしいのは、その言葉は、つらさを伝えるためのSOSだということです。言葉にすることが難しい子が、やっとの思いで差し出した言葉かもしれません。
厚生労働省は、悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞き、必要な支援につなげ、見守る人を「ゲートキーパー」と呼び、その役割を広めています。保護者も先生も、子どもにとっての大切なゲートキーパーです。
受けとめるときの4つのポイント
話してくれたことに、まず感謝する
「話してくれてありがとう」。言葉にできたこと自体が、子どもにとって大きな一歩です。驚きや悲しみで表情がこわばっても大丈夫。深呼吸をして、子どもの言葉を受け取ったことを伝えてください。
否定も説得もせず、気持ちを聞く
「そんなこと言っちゃだめ」と言いたくなる気持ちをこらえて、「そう思うくらい、つらいんだね」と受けとめます。うまく言葉にならない子には、「つらさは、ちょっと・そこそこ・すごく、どれに近い?」と強さを聞いたり、「重たい感じ?からっぽな感じ?」と感覚を選んでもらったりすると、気持ちを外に出しやすくなります。
ためらわずに、はっきりたずねる
心配なときは、「死にたいと思うくらいつらいの?」とはっきりたずねてかまいません。直接たずねることで、その危険が高まるわけではないことが研究で示されています。むしろ子どもは、「この人には本当のことを話していいんだ」と感じることができます。
一人にしない、一人で抱えない
危険が差し迫っていると感じたら、子どもを一人にせず、すぐに周りの大人や専門機関につないでください。命の危険が迫っているときは、迷わず119番・110番へ。そうでない場合も、保護者、先生、スクールカウンセラー、医療機関、相談窓口と、できるだけ早く支える人を増やしていきます。
いま相談できる窓口
24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)0120-0-78310
チャイルドライン(18歳まで)0120-99-7777
よりそいホットライン(24時間)0120-279-338
いのちSOS 0120-061-338
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
SNSで相談したいときは、厚生労働省「まもろうよ こころ」で相談先を探せます
命の危険が迫っているときは、迷わず119番・110番へ
SNSでの相談先は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」から探すことができます。電話で話すのが苦手な子にとっては、文字で気持ちを伝えられるSNS相談が、助けを求める入り口になることもあります。
かけたい言葉・避けたい言葉
大人の言葉は、子どもが「もう一度話してみよう」と思えるかどうかを左右します。避けたい言葉の多くは、子どもを心配するあまり、つい口から出てしまうものです。責める必要はありません。気づいたときから、言いかえていけばいいのです。
| 避けたい言葉 | かけたい言葉 |
|---|---|
| 「そんなこと言っちゃだめ」 | 「そう思うくらい、つらかったんだね」 |
| 「命を粗末にするな」「親が悲しむよ」 | 「あなたがいてくれることが、私にとって大切なんだ」 |
| 「みんなつらいんだから」「がんばれ」 | 「よくここまで一人でがんばってきたね」 |
| 「気のせいだよ」「考えすぎ」 | 「話してくれてありがとう。一緒に考えさせて」 |
| 「何がそんなにつらいの?ちゃんと説明して」 | 「うまく言えなくていいよ。言えるところだけで大丈夫」 |
| (話題を変える、笑ってごまかす) | 「もう少し聞かせてくれる?」 |
「助けを求めることは、弱さではない」と伝える
つらさを言葉にしにくい子ほど、「人に頼るのは迷惑だ」「弱い自分を見せてはいけない」と思い込んでいることがあります。だからこそ、ふだんから「つらいときに助けを求めるのは、弱さじゃなくて大事な力だよ」と伝えておいてください。大人自身が「今日はちょっと疲れたから手伝ってほしいな」と頼る姿を見せることも、子どもにとっての大切なお手本になります。
『感情迷子さんの本』に登場する30代の会社員アカネさん(仮名)は、何年も自分の気持ちがわからないまま、「大丈夫」「問題ありません」を繰り返していました。感情に気づくワークを続けるうちに、「このプロジェクトは少し不安があるのでサポートをお願いしたいです」と言えるようになったそうです。感情がわかるようになると、自分に必要なものがわかる。必要なものがわかると、人に頼れるようになる。これは子どもも同じです。
日ごろから「感情の言葉」を育てることが、子どもを守る
SOSに気づくことと同じくらい大切なのが、ふだんから子どもが「つらい」と言える力を育てておくことです。感情に名前をつけると、不安や恐れに関わる脳の扁桃体の活動が下がることがわかっています(Lieberman et al., 2007)。正確な言葉でなくても、「モヤモヤ」のようなオノマトペでも、名前がつくだけで心は少し落ち着きます。
『感情迷子さんの本』の第4章のワークから、子どもと一緒にできるものを選んで、家庭や教室向けにアレンジしました。心が落ち着いているときに、遊びの感覚で続けることがポイントです。
胸に手を当てて「あったかい?つめたい?」
朝と夜、手のひらを胸に当てて3秒だけ体に聞きます。「よくわからない」でも正解です。気持ちを直接言葉にしなくても、体から心の状態に気づく習慣がつきます。親子で一緒に、大人も自分の答えを言ってみましょう。
今日の気分を1色で塗る
寝る前に、今日の気分に近い色をカレンダーに1マス塗ります。続けると、色の変化がその子の心のリズムを教えてくれます。黒や白が何日も極端に続くときは、助けが必要なサインかもしれません。責めたり理由を問い詰めたりせず、「最近、体の調子はどう?」とそっと声をかけ、必要に応じて専門家に相談してください。
出来事ではなく「感じたこと」だけを書く
その日の出来事は書かずに、「ちょっと疲れた」「なんかホッとした」と、感じたことだけを一言書きます。「何も感じなかった」も立派な記録です。感情を書き出すことがストレスの軽減につながることは、ペネベーカーらの研究をはじめ多くの研究で示されています。思春期の子には、誰にも見せなくていいと伝えたうえで取り組んでもらいましょう。
小さな「もしも」を一緒に広げる
子どもが「もしも〜だったら」と話したら、どんなに突飛でも「いいね!それでどうする?」と全力で乗ります。「もし1日自由だったら何する?」のような小さな「もしも」を大人から投げかけるのもおすすめです。未来を想像する力は、明日を楽しみにする力でもあります。押しつけず、楽しい会話として続けてください。
そして何より大切なのは、子どもが感情を出したときの大人の反応です。泣いても、怒っても、「わからない」と言っても、「そう感じているんだね」と受けとめてもらえた経験の積み重ねが、いざというときに「助けて」と言える力になります。
いじめや不登校の背景に、言葉にならないつらさが隠れていることもあります。それぞれの関わり方はいじめを「大丈夫」と隠す子どもたち|感情を言葉にできない心理と大人ができること、不登校の子が「理由がわからない」と言うとき|感情迷子さんの視点で考える関わり方でお伝えしています。
先生と学校ができること|一人で抱えず、チームで支える
学校は、子どもが一日の多くの時間を過ごす場所です。先生は、家庭では見えない子どもの変化に気づける立場にいます。一方で、先生一人がすべてを背負う必要はありません。子どもの命を守るのは、学校というチームの仕事です。
気づいたら、その日のうちに共有する
気になる様子に気づいたら、学年の先生、管理職、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとその日のうちに情報を共有してください。「たいしたことないかもしれない」と思うことでも、複数の先生の小さな気づきを重ねると、子どもの全体像が見えてきます。
「誰にも言わないで」と言われたとき
子どもが「先生だけに話す」「誰にも言わないで」と言うことがあります。信頼して話してくれたことに感謝しつつ、命に関わることは秘密にできないこと、それはあなたを守るためだということを正直に伝えてください。誰に、どのように伝えるかを子どもと一緒に考えることで、信頼を保ちながら支援につなげることができます。
言葉にしなくても伝えられる窓口をつくる
定期的なアンケートや面談に加え、色や天気マーク、3段階の顔マークで今の気分を選べるカードなど、言葉にできない子もSOSを出せる仕組みを用意してください。タブレット端末で気分を記録できる仕組みを取り入れている学校もあります。
授業の中で「助けを求める力」を育てる
道徳や保健の時間に、感情の言葉を増やす活動や、「困ったときに誰に、どう相談するか」を考える時間をつくる。感情を言葉にすることと、助けを求めることは、練習によって育てられる力です。保育園の子どもたちに気持ちの名前を教えると感情のコントロールが伸びたという観察(Katan, 1961)が示すように、感情の言葉は早くから育てるほど心の支えになります。
保護者と学校が、同じ方向を向くために
保護者と学校が互いに遠慮していると、子どものSOSが間に落ちてしまいます。学校は気づいたことを早めに家庭に伝え、家庭も家での様子を学校に伝えてください。「責任を追及する」ためではなく、「子どもを一緒に守る」ための共有だと、お互いに確認しておくことが大切です。
支える大人も、一人で抱えない
子どものつらさに向き合う大人は、大きな不安や緊張を抱えます。「自分の関わり方が悪かったのでは」と自分を責めたり、眠れなくなったりすることもあるでしょう。そして、支える側の大人自身が「しっかりしなければ」と自分の感情に蓋をして、感情迷子さんになってしまうことも少なくありません。
『感情迷子さんの本』に登場する40代の管理職タカシさん(仮名)は、「感情はノイズだ」と思って生きてきた方でした。相手の気持ちを想像するところから少しずつ練習を重ね、半年ほどたったころ、「部下が落ち込んでいるとき、つらかったね、と言えるようになりました。それだけで表情が変わるんですね。そして、自分もなんだかスッとするんです」と話してくれました。相手の感情を受けとめる言葉は、言う側の心も軽くしてくれるのです。
保護者の方も先生も、どうか自分の気持ちにも名前をつけてあげてください。「怖い」「不安」「疲れた」。それを信頼できる人に話したり、相談窓口を利用したりすることは、支える大人にとっても大切なことです。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)やよりそいホットライン(0120-279-338)は、大人も相談できます。あなたが一人で抱え込まないことが、子どもを守り続けることにつながります。
中島輝より一言
私が暗闇から抜け出せたのは35歳のときでした。長い時間がかかりましたが、自分の感情を認め、言葉にしてきたからこそ、今の私がいます。だからお伝えしたいのです。感情は何歳からでも育て直すことができ、人は回復することができます。子どもを支えるあなたも、子ども自身も、帰り道は必ずあります。
よくあるご質問
受け取れる大人でいよう。
助けを求めることは、弱さではない。
どれか一つでも、子どもの命を支える力になります。
自分を大切にしよう
子どものつらさは、外からとても見えにくいものです。とくに、気持ちに気づき、見分け、言葉にすることが難しい「感情迷子さん」の状態にある子は、「つらい」と言えないまま、体の不調や行動の変化、表情の乏しさ、断片的なことばとしてSOSを出していることがあります。アレキシサイミア傾向が自殺の原因になるのではありません。ただ、言葉にしにくい子のSOSは周りに届きにくい。だからこそ、大人が言葉以外の変化に目を向けることが大切です。
「死にたい」「消えたい」という言葉は、つらさを伝えるSOSです。打ち明けられたら、まず「話してくれてありがとう」と伝え、否定も説得もせずに気持ちを聞き、心配なときははっきりたずね、一人にせず専門家や相談窓口につないでください。そして日ごろから、心の体温チェックや色彩感情カレンダー、感情だけ日記などを通して、子どもが「つらい」と言える力と、「助けを求めることは弱さではない」という安心感を育てていきましょう。
子どもを支えるあなた自身の気持ちも、どうか大切にしてください。不安や怖さを感じるのは、あなたが子どもの命を大切に思っているからです。一人で抱え込まず、周りの人や相談窓口を頼ってください。自分を大切にしよう。大人が自分を大切にする姿こそが、子どもに「あなたも大切にされていい」と伝える、何よりのメッセージになります。
つらいとき、迷ったときの相談窓口
24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)0120-0-78310
チャイルドライン(18歳まで)0120-99-7777
よりそいホットライン(24時間)0120-279-338
いのちSOS 0120-061-338
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
SNS相談は厚生労働省「まもろうよ こころ」から探せます
命の危険が迫っているときは、迷わず119番・110番へ
本記事の参考資料・科学的根拠
- 厚生労働省・警察庁「令和6年中における自殺の状況」
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/)/ゲートキーパー養成に関する資料
- 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』(近刊)
- Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
- Lane, R.D., & Schwartz, G.E. (1987). Levels of emotional awareness. American Journal of Psychiatry, 144, 133-143.
- Lieberman, M.D. et al. (2007). Putting feelings into words. Psychological Science, 18(5).
- Pennebaker, J.W., & Chung, C.K. (2007). Expressive writing, emotional upheavals, and health. In Handbook of Health Psychology. Oxford University Press.
- Dazzi, T. et al. (2014). Does asking about suicide and related behaviours induce suicidal ideation? Psychological Medicine, 44(16).
- Katan, A. (1961). Some thoughts about the role of verbalization in early childhood. The Psychoanalytic Study of the Child, 16.
- 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。






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