ママ友・PTAで「いい人」を演じて疲れるあなたへ|地域の人間関係と感情の言語化

ママ友・PTAで「いい人」を演じて疲れるあなたへ|地域の人間関係と感情の言語化

ママ友・PTAで「いい人」を演じて疲れるあなたへ
地域の人間関係と感情の言語化

夜9時、クラスのグループLINEに「明日の持ち物、確認です!」の通知。すぐに「ありがとうございます!」と返して、スタンプも添える。役員決めの沈黙に耐えられず「じゃあ、私やります」と手をあげてしまう。お迎えの立ち話ではずっと笑顔。それなのに、家に着いて玄関のドアを閉めたとたん、理由のわからない疲れがどっと押し寄せてくる。もしそんな毎日に心当たりがあるなら、あなたは「いい人」なのではなく、自分の気持ちに気づく前に相手に合わせる回路が、働きすぎているのかもしれません。

中島 輝(中島輝)
心理カウンセラー/自己肯定感アカデミー会長/「6つの感」理論創始者/著書累計77万部/15,000人臨床/『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ・累計32刷)『働く人のための自己肯定感』著者

玄関のドアを閉めたとたん、どっと疲れるあなたへ

よくある相談の典型例
「誰かに嫌なことをされたわけじゃないんです。
なのに、なぜかすごく疲れていて」
場面小学2年生と年中の子を育てる30代後半の女性。PTAの広報委員を引き受け、子ども会の行事の係もしている。習い事の送迎でほかのお母さんと話すのは楽しいはずなのに、帰りの車の中で、急に何もしたくなくなる。夫に「何がそんなに疲れるの?」と聞かれても、うまく説明できない。
この方の疲れは、怠けでも、人づきあいが下手だからでもありません。相手に合わせているあいだ、自分の中に湧いた「ちょっと嫌だな」「本当は断りたい」という気持ちを、気づく前に脇へ押しやっている。押しやった気持ちは消えずに残り、ひとりになった瞬間に「疲れ」としてまとめて出てくるのです。

ママ友、PTA、子ども会、習い事の保護者どうし。子育てをしていると、自分では選んでいない人間関係が、いつの間にか暮らしの中に入ってきます。子どものためにうまくやりたい。波風は立てたくない。そう思うのは、ごく自然なことです。

けれど、気を配ることに一生懸命になるほど、自分の気持ちはどんどん後回しになっていきます。そしていつか、「私は本当は、どう感じているんだろう」がわからなくなってしまう。この記事では、その状態を心理学のアレキシサイミアという視点から見つめ、今日からできる小さな練習をお伝えします。

先にお伝えしておきたいのは、あなたが疲れているのは、あなたがそれだけ周りに心を配ってきたからだということです。自分を責める必要はまったくありません。

感情迷子さんとは|感情がないのではなく、言葉が届いていない

アレキシサイミア(失感情症)とは、自分の感情に気づき、ほかの感情と見分け、言葉にすることが難しい状態をいいます。「感情がない」のではなく、「感情に言葉が届いていない」のがポイントです。研究によって幅はありますが、一般の人の約10〜16%、およそ10人に1人に強い傾向があるとされます。くわしくはアレキシサイミア(失感情症)とは|感情に名前がつけられない人の特徴・原因・回復のヒントで解説しています。

約10人に1人
一般の人のうち、感情に気づき言葉にすることが難しい傾向が強いとされる人の割合(研究により約10.1〜16.3%)
出典:TAS-20等を用いた複数の疫学研究(中島輝・自己肯定感アカデミー講座資料より)疫学データ

アレキシサイミアは病名ではなく、DSM-5やICD-11でも独立した診断名にはなっていません。誰もが持つ特性の濃淡です。そして、もともとの性格だけでなく、忙しさや緊張が続く環境の中で、一時的に強まることもあります。

私の近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』では、感情をうまく認識・表現しにくくなっている状態を「感情迷子さん」と呼んでいます。迷子は、能力がないからなるものではありません。誰でも道を見失うことはあります。迷子という言葉には、帰る場所があるという前提が含まれています。あなたの気持ちも、なくなったわけではありません。

本の中で、感情迷子さんの口ぐせナンバーワンとして紹介しているのが「大丈夫」です。気持ちに気づいていて、わかってもらいたい気持ちもどこかにある。でも、どう言ったらいいかわからないし、ちゃんと伝わる自信もない。だから結局「大丈夫です」と笑ってしまう。保護者どうしのつきあいの中で、何度この言葉を口にしてきたでしょうか。

「いい人」の仮面と過剰適応|気づく前に合わせてしまう心

周りの期待や場の空気に、自分を合わせすぎてしまう状態を過剰適応といいます。過剰適応は、心身症やアレキシサイミアとの関係でもよく語られてきました。外から見ると「よく気がつく、感じのいい人」。けれど内側では、自分の感情を感じる前に、相手の気持ちを読んで動いてしまうことが習慣になっています。

「いい人」の仮面の下にあるもの 見えている部分は小さく、見えない気持ちは大きい 人に見せている顔 自分でも気づきにくい気持ち 「大丈夫です」 「私やります」 本当は断りたい あの一言がひっかかった 私ばかり、と不公平に感じる 嫌われたらどうしようという不安 輪に入れないさみしさ 気づかれない気持ちは「疲れ」になって出てくる
▲ 保護者どうしの場で見せている「大丈夫です」「私やります」の下には、言葉にならなかった気持ちがたくさん沈んでいます。それに気づかないまま過ごすと、帰宅後の疲れや体の不調として表に出てきやすくなります。

「いい人」を選んできたのには理由がある

『感情迷子さんの本』に登場するエミコさん(仮名・30代)は、優秀な秘書として誰からも頼りにされる存在でした。気難しい上司と周りのあいだに立ち、言いにくいことを伝える役も引き受ける。波風を立てないように、人を困らせないように。その優しさと繊細さが、いつの間にか自分の感情を感じることへのブレーキになっていました。やがて彼女は、原因のわからない激しいめまいに悩まされるようになります。言葉にならなかった気持ちが、体を通して叫んでいたのです。

職場と保護者の集まりという違いはあっても、構図はとてもよく似ています。場をまとめる人、気がつく人、断らない人。その役を自然に引き受けてしまう人ほど、自分の気持ちに気づく余白がなくなりやすいのです。

そうなったのは、あなたが弱いからではありません。子どもの頃から「いい子でいなさい」と言われてきた、人の顔色に敏感だった、争いを避けたい性格だった。「いい人」でいることで、あなたはこれまで自分と周りを守ってきたのです。だから、その仮面を無理にはがす必要はありません。ときどき外して、自分の顔に戻る時間をつくればいいのです。

「いい人」でいることは、悪いことじゃない。
ただ、自分の気持ちを置き去りにしたままでは、
いつか心が先に疲れてしまう。

グループLINEで心がざわつくとき

保護者どうしのつきあいで、今いちばん心をすり減らしやすい場所のひとつが、グループLINEかもしれません。

  • 通知が鳴ると、内容を見る前に胸がキュッとする
  • 誰かが返信すると、自分も早く返さなければと焦る
  • 返信の文面を何度も書き直し、絵文字の種類まで迷う
  • 既読がついたのに誰も反応しないと、何か悪いことを書いたかと不安になる
  • 自分の発言のあとの「沈黙」が、夜まで気になる
  • 個別のLINEで誰かの話題が出ると、どう返せばいいかわからなくなる

こうした反応は、とても自然なものです。文字だけのやりとりでは、相手の表情や声のトーンがわかりません。そのぶん、心は「嫌われていないか」を確かめようと、必要以上に働き続けてしまうのです。

大切なのは、ざわついたときに、それを「気にしすぎる私がダメ」と打ち消さないことです。代わりに、「今、通知を見て胸がキュッとした」と、体の反応を言葉にしてみる。それだけで、ぼんやりとした不安に輪郭が生まれます。

グループLINEとのちょうどいい距離

こんなとき心を守る工夫
すぐ返さなきゃと焦る連絡事項には「確認しました」だけでも十分。返信は自分のタイミングでいい、と決めておく
夜の通知で落ち着かない夜は通知をオフにする時間をつくる。朝まとめて読んでも、困ることはほとんどない
文面に迷い続ける「3回書き直したら送る」など、自分なりの区切りをつくる
反応がなくて不安「既読スルーは忙しいだけ」と、自分に声をかける。相手の沈黙は、多くの場合あなたへの評価ではない

役員決め・お当番で「断れない」理由

年度はじめの役員決め。誰も手をあげない沈黙が続き、教室の空気が重くなっていく。その重さに耐えられなくなって、「じゃあ、私が……」。あとになって「どうして引き受けちゃったんだろう」と落ち込む。そんな経験をした方は多いのではないでしょうか。

断れないのは「気持ちに気づく前に、口が動く」から

断れない人の多くは、断りたい気持ちがないわけではありません。「今年は下の子が小さいから厳しい」「仕事との両立が不安」という気持ちに気づくより先に、場の空気を読んで口が動いてしまうのです。気持ちに気づくのは、たいてい家に帰ってから。そのときにはもう、引き受けたあとです。

『感情迷子さんの本』で紹介しているアカネさん(仮名・30代の会社員)も、職場でも家庭でも「大丈夫」「問題ありません」をくり返し、体に不調が出るまで自分の限界に気づけなかった方でした。ワークに取り組んで数か月後、彼女は「今日は疲れてイライラしているから、早めに休む」と自分に許可を出せるようになり、職場でも「この件は少し不安があるのでサポートをお願いしたいです」と言えるようになったと話してくれました。

感情がわかるようになると、自分に必要なものがわかるようになる。自分に必要なものがわかると、人に頼れるようになる。人に頼れるようになると、人間関係が変わるのです。断る力は、性格の強さではなく、自分の気持ちに気づく力から育っていきます。

「その場で決めない」という選択肢

気持ちに気づくのが遅れてしまう人にとって、いちばん効果的なのは、その場で答えを出さないことです。「家族と相談してからお返事してもいいですか」「スケジュールを確認して、明日までにご連絡しますね」。この一言で、気持ちに気づくための時間が生まれます。家に帰って胸に手を当て、「本当はどうしたい?」と聞いてから答えればいいのです。

体が先に教えてくれるサイン|肩こり・頭痛・眠れない夜

アレキシサイミアという言葉は、もともと心身症の研究から生まれました。言葉にならなかった気持ちは、体の言葉で話しはじめることがあります。気持ちに気づくのが苦手な人ほど、体のサインは大切な手がかりです。

  • 行事や集まりの前の日に、肩や首がガチガチにこる
  • PTAの会議のあと、頭が重くなる
  • グループLINEを見たあと、胃のあたりがキュッとする
  • 夜、布団に入ってから、昼間の会話を何度も思い返して眠れない
  • 休日になると、何もしたくなくなる
  • 理由もなく子どもや夫にイライラしてしまう

こうしたサインが続いているなら、それは「あなたの心は、もう十分がんばっている」という体からのメッセージかもしれません。ただし、体の不調そのものに病気が隠れていることもあります。頭痛やめまい、胃の痛み、眠れない状態が続くときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

中島輝より一言

私自身、子どもの頃から人に嫌われることを恐れて、異常なほど周りに気を遣っていました。表面上は「いい子」なのに、心の底では不安と孤独を抱えていた。周りに気を配れる人は、それだけ感じる力を持っている人です。その力を、たまには自分のために使ってあげてください。疲れに気づけた今日のあなたは、もう一歩、自分の気持ちに近づいています。

モヤモヤに名前をつける|送迎の帰り道にできる4つのワーク

感情に名前をつけることには、それだけで心を落ち着かせる働きがあります。心理学者リーバーマン(Lieberman)らの2007年の研究では、感情を言葉でラベリングすると、脳の扁桃体(不安や恐怖に関わる部位)の活動が下がることが示されました。「モヤモヤしている」と言えた瞬間から、モヤモヤは少しだけ扱いやすくなるのです。

ここでは、『感情迷子さんの本』で紹介しているワークを、保護者づきあいの場面向けに作り直してお伝えします。どれも1分以内でできるものです。

ワーク1|3秒
LINEを閉じたら「心の体温チェック」

グループLINEを読んだあとや、立ち話から離れたあと、手のひらを胸に当てて「今、体は温かい?冷たい?」と3秒だけ聞きます。「冷たい」「ざわざわ」「よくわからない」、どれでもかまいません。相手の気持ちを読むことに使っていたアンテナを、3秒だけ自分に向け直す練習です。

ワーク2|30秒
帰り道の「今日のオノマトペ」

送迎の帰り道や、子どもを習い事に送り届けたあとの車の中で、今の気分をオノマトペで言ってみます。「モヤモヤ」「ぐったり」「ほわほわ」「チクチク」。「悲しい」「不満」のような感情語はハードルが高くても、体の感覚に近いオノマトペなら選びやすいものです。出来事とセットで「役員の話、モヤモヤ」とスマホにメモすれば、それだけで立派な日記になります。

ワーク3|1分
「3段階温度計」で強さを測る

オノマトペが出てきたら、その強さを「ちょっと・そこそこ・すごく」の3段階で選びます。「そこそこモヤモヤ」「すごくぐったり」。強さを区別すると、「ちょっとなら流していい」「すごくなら、誰かに話そう」と、次の行動を選びやすくなります。感情を細かく区別できる人ほど、嫌な気持ちから立ち直るのが早いという研究もあります。

ワーク4|1分
寝る前の「比喩レッスン」

夜、子どもが寝たあとに、今日の気持ちを何かにたとえてみます。「今日のPTAは、満員電車で立ちっぱなしだったみたい」「あのLINEのあとの私は、雨の日の洗濯物みたい」。うまくたとえる必要はありません。比喩は、まだ名前のついていない気持ちに近づくための足場になります。

相手の気持ちを読む力を、
1日3秒だけ、自分のために。
それが「いい人」から「自分の味方」への第一歩。

小さく伝える練習|Iメッセージと角の立たない断り方

自分の気持ちに気づけるようになったら、次は、それを小さく、やわらかく伝える練習です。いきなり本音をぶつける必要はありません。関係を壊さずに、自分の気持ちを少しだけ外に出す。それで十分です。

「私は」を主語にするIメッセージ

Iメッセージとは、「あなたは〜」ではなく「私は〜と感じている」と、自分を主語にして気持ちを伝える方法です。相手を責める響きが弱まり、気持ちそのものが伝わりやすくなります。

Iメッセージの3つのパーツ 事実 → 私の気持ち → お願い の順に、短くつなげる ① 事実 「今年は下の子が 入園したばかりで」 ② 私の気持ち 「ちゃんとできるか 不安なんです」 ③ お願い 「来年なら お引き受けできます」 気持ちは「ちょっと」くらいの小ささで。理由を長く説明しすぎないのがコツ
▲ Iメッセージは「事実」「私の気持ち」「お願い」の3つで組み立てます。気持ちの部分は、大げさにせず「少し不安」「ちょっと大変」くらいで伝えると、相手も受けとりやすくなります。

そのまま使える、角の立たない言い方

こんな場面言い換えの例
役員を頼まれた「声をかけてもらえてうれしいです。ただ、今年は仕事の繁忙期と重なっていて、きちんと務められるか不安なので、今回は見送らせてください」
お当番を代わってほしいと言われた「力になりたいんですが、その日はどうしても動かせない予定があって。ほかの日なら代われるかもしれません」
ランチやお茶の誘い「誘ってくれてありがとう。今週はちょっと疲れがたまっているので、また今度ぜひ」
LINEで誰かの話題が出た「そうなんですね。私はよくわからなくて、なんとも言えないです」
負担が偏っていると感じる「最近、私の担当が少し多くて、正直ちょっと大変に感じています。分担を相談できたらうれしいです」

どの例にも、「うれしい」「不安」「疲れ」「大変」といった気持ちの言葉が一つだけ入っています。気持ちが一つ加わるだけで、ただの「お断り」が、「この人は今こういう状況なんだ」と相手に伝わる言葉に変わります。理由を長々と説明したり、何度も謝ったりする必要はありません。

相手にも「共感の一言」を

反対に、ほかの保護者から愚痴や相談を聞くこともあるでしょう。そんなときは、すぐにアドバイスや正論を返す前に、「それは大変だったね」「モヤモヤするよね」と共感の一言を先に置いてみてください。原稿のワーク「共感の一言」の応用です。相手が「わかってもらえた」と感じると、話は長引かず、あなたが全部を背負い込む必要もなくなります。

地域の人間関係全般についてはご近所・地域の人間関係に疲れる理由|感情を言葉にできない大人のつながり直し、職場で「大丈夫です」と笑ってしまう疲れについては職場で「大丈夫です」と笑ってしまう私へ|働く女性のための感情迷子さん脱出法でも書いています。

子どもは見ている|「いい人」より「気持ちを言える人」へ

保護者づきあいをがんばる理由の多くは、「子どものため」です。子どもが仲間はずれにされないように、学校で居心地よく過ごせるように。その思いは、とても尊いものです。

そのうえで、ひとつ知っておいてほしいことがあります。子どもは、親の言葉より、親の姿から感情の扱い方を学んでいくということです。いつも笑顔で何でも引き受けて、家ではぐったりしている。そんな姿を見て育つと、子どもは「嫌なことがあっても、外では笑っているものなんだ」と学ぶかもしれません。

反対に、「今日の集まり、ちょっと疲れちゃった」「お母さん、今回は役員を断ったんだ。今年は自分の体を大事にしたくて」と、気持ちを短く言葉にする姿を見せると、子どもは「気持ちは言っていいもの」「断ってもいいもの」だと学んでいきます。

『感情迷子さんの本』に登場するマナミさん(仮名)は、子どもの中学受験に伴走しながら、自分の感情を無視してがんばり続けていました。手帳の余白に「イライラ」と一言書く習慣を続けるうちに、ある日「今日は仕事が忙しくて疲れちゃったから、イライラしてごめんね」と家族に言えるようになります。するとお子さんは「なんだ。機嫌悪いのは私のせいかと思った」とほっとして、以前より笑顔が増えたそうです。

いつも笑顔のお母さんより、
「今日はちょっと疲れた」と言えるお母さんが、
子どもに感情の言葉を手渡していく。

自己肯定感の「6つの感」とのつながり

自分の気持ちに気づき、「疲れたと感じていいんだ」と受けとめることは、自己肯定感の「6つの感」のうち、木の幹にあたる自己受容感を育てます。そして、「今回は見送る」「来年ならやる」と自分で選ぶことは、花にあたる自己決定感につながります。根にあたる自尊心≒自己存在感、つまり「私はここにいていい」という感覚が育つと、誰かに合わせなくても、自分の居場所はなくならないと思えるようになっていきます。

よくあるご質問

ママ友づきあいがしんどいと感じる私は、心が狭いのでしょうか?
いいえ、まったく違います。子育てを介した人間関係は、自分で選んだわけではない相手と、長く関わり続けることが多いものです。しんどいと感じるのは自然なことです。むしろ、その気持ちに気づけたこと自体が大切な一歩です。
断ったら、子どもが仲間はずれにされないか心配です。
その心配はもっともです。ただ、気持ちの言葉を一つ添えて、感謝とともに断れば、関係が大きく崩れることは多くありません。「その場で決めず、いったん持ち帰る」「できる範囲を伝える」など、全部を断るのではない伝え方もあります。それでも関係がこじれるようなら、学校や担任の先生に相談することも考えてください。
自分の気持ちがわからなくて、Iメッセージの「気持ち」の部分が出てきません。
最初はそれで大丈夫です。まずは「心の体温チェック」や「今日のオノマトペ」で、体の感覚や「モヤモヤ」のような言葉から始めてください。慣れてきたら、「少し不安」「ちょっと大変」など、強さを小さくした言葉で伝えてみましょう。正確な言葉でなくてかまいません。
夫に話しても「気にしすぎ」と言われてしまいます。
相手が解決策を急いでしまうタイプだと、気持ちを受けとめてもらえない感じがしますよね。話す前に「アドバイスはいらないから、ただ聞いてほしい」と伝えておくと、受けとめてもらいやすくなります。夫婦で話しにくいときは、気心の知れた友人や、地域の子育て相談の窓口を頼るのもよい方法です。
集まりの前になると眠れない、動悸がするなど、体の不調が続いています。
体のサインは、心が限界に近いことを知らせてくれていることがあります。ただし、病気が隠れている場合もあるので、続くときは医療機関に相談してください。心療内科などで、気持ちと体の両方から相談することもできます。無理を続けず、休むことを自分に許してあげてください。
「いい人」でいることに、疲れたら。
まずは3秒、自分の気持ちに耳をすませて。
モヤモヤに名前がつくと、伝え方が見えてくる。
あなたが自分の気持ちを大切にする姿は、
子どもにとって、いちばん身近な感情の教科書になります。

自分を大切にしよう

ママ友、PTA、子ども会、習い事。子育てを介した人間関係の中で「いい人」を演じて疲れてしまうのは、あなたが弱いからでも、心が狭いからでもありません。相手の気持ちを読むことにアンテナを使いすぎて、自分の気持ちに気づく前に合わせてしまう。そんな過剰適応の状態が続くと、言葉にならなかった気持ちは、帰宅後の疲れや肩こり、眠れない夜として表に出てきます。感情に気づき、見分け、言葉にすることが難しい状態をアレキシサイミアと呼び、それは忙しさや緊張が続く環境の中で、誰にでも強まりうるものです。

まずは、気持ちに名前をつけるところから始めてみてください。LINEを閉じたら心の体温チェック、帰り道に今日のオノマトペ、強さを3段階温度計で測り、夜は比喩で今日をたとえる。気持ちに気づけるようになったら、その場で決めずに持ち帰る、Iメッセージで「私は少し不安です」と小さく伝える。気持ちの言葉が一つ加わるだけで、「お断り」は、あなたの状況を伝える言葉に変わります。

そして、そんなあなたの姿を、子どもはちゃんと見ています。いつも笑顔のお母さんでなくていい。「今日はちょっと疲れた」と言えるお母さんでいてください。自分を大切にしよう。あなたが自分の気持ちの味方になることが、子どもにとっても、周りの保護者にとっても、心地よい関係の始まりになります。

本記事の参考資料・科学的根拠

  • 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』(近刊)
  • 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料
  • Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
  • A.N.シン「心身症とアレキシサイミア(失感情症)」永田勝太郎ほか訳、『心身症の診断と治療』所収
  • Lieberman, M.D., et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421-428.
監修|中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感」理論創始者
著書累計77万部・15,000人臨床・回復率95%
本記事は心理学的知見に基づく一般情報です。医学的診断や治療の代わりにはなりません。心身に不調を感じる場合は、医療機関・専門家へのご相談をおすすめします。

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