イヤイヤ期・かんしゃくは「言葉にならない気持ち」のサイン
幼児の親ができる感情の名前づけ
夕方のスーパー、お菓子売り場の前でひっくり返って泣き叫ぶ2歳。周りの視線が刺さるなか、抱きかかえてレジに並ぶ。家に帰れば「自分で着る!」と言ったのに着られなくて大泣き、寝かしつけは1時間。「どうしてこんなに怒るの?」「私の育て方が悪いの?」。そう思ってしまう夜もありますよね。でも、どうか自分を責めないでください。かんしゃくは、わがままではなく、胸の中の大きな気持ちに、まだ言葉が追いついていないサインです。1〜5歳の子をもつお父さん・お母さんに、家庭の毎日の場面でできる「気持ちの名前づけ」をお伝えします。
かんしゃくは「わがまま」ではなく「言葉にならない気持ち」
正直、もう限界なんです」
イヤイヤ期のかんしゃくは、多くの子どもが通る自然な成長の一場面です。「自分でやりたい」という気持ちが育ってきたのに、それを言葉で伝える力や、思いどおりにならないときに気持ちを落ち着ける力は、まだ育っている途中。気持ちの大きさと、言葉の量がつり合っていない時期だと考えると、わかりやすいかもしれません。
大人の「感情迷子さん」と、子どもの「まだ言葉がない」はつながっている
中島輝の近刊『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』では、感情をうまく認識・表現しにくくなっている状態を「感情迷子さん」と呼んでいます。心理学では「アレキシサイミア(失感情症)」と呼ばれ、感情がないのではなく、感情に気づき、見分け、言葉にすることが難しい状態のことです。一般の人の約10〜16%に強い傾向が見られるとされ、病名ではなく誰もが持つ特性の濃淡です。全体像はアレキシサイミア(失感情症)とは|感情に名前がつけられない人の特徴・原因・回復のヒントで解説しています。
幼児がまだ気持ちを言葉にできないのは、もちろんアレキシサイミアではありません。発達の途中にある、当たり前の姿です。ただ、研究者たちは、大人になってから感情に名前をつけにくい人の背景のひとつに、子どものころ気持ちを言葉で「映し返してもらう」経験が少なかったことがあると考えています。逆に言えば、イヤイヤ期は、親子で感情の言葉を育てるいちばんのチャンスでもあるのです。
かんしゃくは、困らせたいからではない。
気持ちが大きすぎて、
まだ言葉という入れ物に入りきらないだけ。
1〜5歳の心の中|感情の言葉はまだ「工事中」
赤ちゃんは、自分の感情を自分で見分けることができません。おなかがすいた、眠い、こわい、さみしい。どれも最初は、「なんだか不快」という体のかたまりとして感じられています。精神分析家のクリスタル(Krystal)は、子どもが育つにつれて、体の感覚でしかなかった感情が「体から離れ、細かく分かれ、言葉になっていく」と説明しました。幼児期は、まさにこの工事の真っ最中です。
感情の気づきは段階を追って育つ
心理学者のレイン(Lane)とシュワルツ(Schwartz)は、人が自分の感情に気づく力は、段階を追って育っていくと考えました。幼児の姿に当てはめると、次のように見えてきます。
| 年齢の目安 | よく見られる姿 | 親の関わりのポイント |
|---|---|---|
| 1〜2歳 | 言葉はまだ少なく、泣く・投げる・たたくで気持ちを出す | 短い言葉で代弁する。「イヤだったね」「ほしかったね」 |
| 2〜3歳 | 「自分で!」「イヤ!」が増える。かんしゃくのピークになりやすい | やりたかった気持ちを実況中継し、できる選択肢を2つ出す |
| 3〜4歳 | 「いやだった」「かなしい」など、一つの気持ちを言えはじめる | 子どもの言葉を受け止め、少しだけ言葉を足す |
| 4〜5歳 | 「たのしいけど、ちょっとこわい」のように混ざった気持ちも出てくる | 理由を一緒に考える。絵本の登場人物の気持ちを話題にする |
ここで大切なのは、かんしゃくは「段階②」の正常な表現だということです。床に転がるのも、物を投げるのも、気持ちが行動として外に出ている姿。その行動に少しずつ言葉が重なっていくことで、子どもは③の段階、つまり「くやしい」と口で言える段階へ進んでいきます。
保育園の観察研究が教えてくれること|名前がつくと、かんしゃくは言葉に変わる
1961年、アメリカの精神分析家カタン(Katan)は、保育園の子どもたちを観察した研究を報告しました。子どもたちに自分の気持ちに名前をつけて表現することを教えたところ、気持ちのはけ口が「体の行動」から「言葉」へと移っていったというのです。
その結果、子どもたちは感情をコントロールしやすくなっただけではありませんでした。考える力や、空想と現実を区別する力など、心のほかの働きまで伸びていったと記録されています。感情研究の専門書であるテイラー(Taylor)らの『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』でも、この観察が、感情の言葉が子どもの心を育てる例として紹介されています。
同じ専門書では、子どもが気持ちを音声や体で表したときに、親がその意味や対応する言葉を教えることで、子どもの感情への気づきが次第に高まっていくこと、そして気持ちを言葉にしてもらえる家庭で育つことの大切さが述べられています。保育園だけでなく、家庭でもまったく同じことができるのです。
名前をつけると、子どもの脳も落ち着く
大人を対象にした研究ですが、カリフォルニア大学のリーバーマン(Lieberman)らは2007年、感情に名前をつけると、脳の扁桃体(へんとうたい)の活動が下がることを報告しています。扁桃体は、危険を察知して体を戦闘モードにする警報装置のような部位です。かんしゃくの真っ最中の子どもは、この警報が全開で鳴っている状態だと考えるとイメージしやすいでしょう。
そこに親が「くやしかったね」と気持ちの名前を差し出すと、子どもの中で「この感じは『くやしい』っていうんだ」という手がかりが生まれます。名前のついた気持ちは、名前のない気持ちより、ずっと扱いやすい。これは大人も子どもも同じです。
保育士さん向けには、保育室での声かけを保育園で「気持ちを言えない子」が気になったら|保育士が今日からできる感情の言葉の育て方で紹介しています。この記事では、家庭の毎日の場面に絞ってお伝えします。
「〜したかったんだね」|実況中継と情動調律
家庭でいちばん使いやすいのが、子どもの気持ちを「実況中継」する方法です。スポーツの実況のように、目の前の子どもの様子と、その奥にありそうな気持ちを、そのまま言葉にして伝えます。
「〇〇したかったんだね」+「〇〇な気持ちだね」
まず、子どもがしたかったことを言葉にします。「自分でボタンを押したかったんだね」。次に、そのときの気持ちに名前をつけます。「先に押されて、くやしかったね」。たったこれだけです。正しいかどうかは気にしなくて大丈夫。違っていれば、子どもは「ちがう!」と教えてくれます。それもまた、気持ちを言葉にする練習になります。
情動調律|気持ちの「音量」を合わせる
アメリカの発達心理学者スターン(Stern)は、親が赤ちゃんの気持ちの動きに、声の調子や表情、リズムを合わせて応えることを「情動調律(じょうどうちょうりつ)」と呼びました。たとえば、子どもがうれしくて手をパタパタさせたときに、親が「わあ〜!」と同じリズムで声を弾ませる。子どもは「自分の気持ちが相手に伝わった」「一緒に感じてもらえた」という感覚を受け取ります。
かんしゃくのときも、この「音量合わせ」が役に立ちます。子どもが激しく泣いているときに、親が淡々と「泣かないの」と言うと、気持ちの音量がまったく合いません。かといって、親まで大声になる必要もありません。少しだけ真剣な声で、子どもの気持ちの大きさを認めるのがコツです。「すっごくくやしかったんだね!」と、言葉の強さで気持ちの大きさを映し返します。
| つい言ってしまう言葉 | 実況中継に言いかえると |
|---|---|
| 「泣かないの!」 | 「涙が出ちゃうくらい、いやだったんだね」 |
| 「そんなことで怒らない」 | 「思ってたのと違って、びっくりしたね」 |
| 「わがまま言わないで」 | 「もっと遊びたかったんだね。楽しかったもんね」 |
| 「もう知らない!」 | 「ママ(パパ)はここにいるよ。落ち着いたら教えてね」 |
| 「何が嫌なの? 言わなきゃわからない」 | 「言葉にならないくらい、モヤモヤしてるんだね」 |
気持ちは受け止める、行動には線を引く
実況中継は、子どもの言いなりになることではありません。気持ちはまるごと受け止め、危ない行動や人を傷つける行動には、はっきり線を引きます。「たたきたくなるくらい怒ってるんだね。でも、たたくのはだめ。このクッションならたたいていいよ」。気持ちを否定されなかった子どもは、ルールのほうも受け入れやすくなります。
中島輝より一言
小学生のころ、私は理由もわからないまま、ふと涙が流れてくることがありました。悲しいのか、さみしいのか、自分でもわからない。そばに「さみしかったんだね」と言ってくれる大人はいませんでした。だからこそ思うのです。気持ちに名前をつけてもらえる子どもは、それだけで大きな守りを持っている、と。かんしゃくのたびに実況中継をするのは大変です。でも、その一言一言が、お子さんの心の中に、一生使える言葉の引き出しをつくっています。
家庭の4つの場面|スーパー・着替え・寝かしつけ・兄弟げんか
ここからは、イヤイヤ期の「あるある」場面ごとに、実際の声かけを紹介します。すべてを完璧にこなす必要はありません。1日に1回、どれか一つの場面でできれば十分です。
場面1|スーパーのお菓子売り場で
買わないことは変えずに、「ほしかった気持ち」は受け止める
お菓子を「買って!」と泣き出したら、まず子どもの目の高さにしゃがみます。「このお菓子、ほしかったんだね。きらきらの袋、すてきだもんね」。そのうえで「今日は買わない日なんだ。かわりに、帰ったらおやつのお皿を選んでいいよ」と伝えます。ルールは変えずに、気持ちの名前と小さな選択肢を渡すのがポイントです。周りの目が気になるときは、いったん売り場を離れて落ち着ける場所へ移動してかまいません。
場面2|朝の着替えで
「自分でやりたい」と「できなくてくやしい」の両方に名前をつける
「自分で着る!」と言ったのに、袖に腕が通らずに大泣き。忙しい朝ほど、つい手を出したくなりますよね。そんなときは「自分でやりたかったんだね。うまく入らなくて、くやしいね」と2つの気持ちを言葉にします。そして「袖のところだけ手伝ってもいい?」と聞きます。「自分でやりたい」気持ちを尊重してもらえると、手伝いも受け入れやすくなります。時間がない日は、前の晩に服を2着出して「どっちにする?」と選ばせておくのも助けになります。
場面3|寝かしつけで
「まだ遊びたい」の奥にある気持ちを探す
「寝ない!」「まだ遊ぶ!」は、楽しかった1日が終わってしまうさみしさや、親と離れる不安の表れであることも多いものです。「今日、楽しかったね。終わっちゃうのがさみしいんだね」。電気を消したあとに、「今日、うれしかったことひとつ教えて」と聞いてみるのもおすすめです。答えが出なければ、親が「ママ(パパ)は、一緒に公園に行けてうれしかったよ」と先に話します。
場面4|兄弟げんかで
どちらが悪いかより先に、二人それぞれの気持ちを代弁する
おもちゃの取り合いでたたき合いになったら、まず二人を離して安全を確保します。そのうえで、一人ずつ気持ちを実況中継します。「お兄ちゃんは、使ってたのに取られて怒ってるんだね」「妹は、どうしても使いたかったんだね」。どちらが正しいかを決めるのは、そのあとで十分です。上の子には「お兄ちゃんなんだから」ではなく、「いつも貸してくれてありがとう。今日は貸したくない気持ちだったんだね」と、我慢の裏にある気持ちにも名前をつけてあげてください。
スーパーでも、朝の玄関でも、布団の中でも。
「〜したかったんだね」の一言は、
どこでも使える心の救急箱。
絵本・感情カード・寝る前の「今日の気持ち」
かんしゃくの最中は、子どもも親も余裕がありません。感情の言葉を育てるには、落ち着いているときの「平和な時間」に、気持ちの言葉で遊んでおくことがとても効果的です。本で紹介しているワークを、幼児向けにアレンジしました。
登場人物の気持ちを「当てっこ」する
絵本を読みながら、ページをめくる前に「このくまさん、今どんな気持ちかな?」と聞いてみます。本の「キャラクター感情読み」の幼児版です。「かなしい」「おこってる」と答えたら、「どうしてそう思った?」「お顔がしょんぼりしてるね」と表情にも注目します。絵本の中の気持ちは、自分の気持ちより安全に話せるので、言葉の練習にぴったりです。
表情の絵カードで「今のきもち、どれ?」
にこにこ、しょんぼり、ぷんぷん、びっくり、どきどき。表情の絵を描いたカードを冷蔵庫に貼っておき、「今のきもち、どれ?」と指さしで選んでもらいます。言葉が少ない1〜2歳でも、指さしならできます。「ぷんぷん」「しょんぼり」のようなオノマトペは、体の感覚に近いので幼児にも選びやすい言葉です。手作りでも、市販のカードでもかまいません。
「今日の気持ち」を色や手で表す
本の「色彩感情カレンダー」と「3段階温度計」を組み合わせた遊びです。寝る前に「今日はどんな色の日だった?」と聞き、カレンダーに好きな色のシールを1枚貼ります。さらに「楽しかったのは、ちょっと? そこそこ? すごく?」と聞きながら、手を小さく・中くらい・大きく広げて気持ちの大きさを表してみましょう。言葉が少ない子でも、体で気持ちの強さを表現できます。
子どもの空想に全力で乗る
「ぼく、きょうりゅうになる!」と言われたら、「いいね! どんなきょうりゅう? 何を食べるの?」と全力で乗ります。本の中で私は、子どもの夢や空想には「なれる、なれる!」と乗ってあげてほしいと書きました。空想を楽しんでもらえた体験は、「自分の気持ちや想像を広げていい」という安心感になります。ごっこ遊びの中で「きょうりゅうさん、今おこってる?」と気持ちを聞くと、言葉の練習にもなります。
オノマトペは、子どもの気持ちの入り口
カウンセリングでお子さんと話すとき、私はよくオノマトペを使います。「どんな気持ち?」と聞いても答えられない子も、「モヤモヤ? チクチク? ソワソワ?」と聞くと選んでくれることがあるのです。本の中では、お母さんのことを「チクチク」と表現したお子さんの話を紹介しました。「チクチクってどんな感じ?」と聞いていくと、「怒られるとき、なんで怒られているのかわからないから困っている」という気持ちが出てきました。最初の「チクチク」があったからこそ、たどり着けた本当の気持ちです。
イライラする自分を責めないで|親が気持ちを言葉にする手本
ここまで読んで、「わかってはいるけど、毎回そんなに優しくできない」と思った方もいるかもしれません。それで大丈夫です。イヤイヤ期の子育てで、親がイライラするのは当たり前のことです。睡眠不足、家事、仕事、周りの視線。親の心の余裕も、毎日ぎりぎりのはずです。
「イライラしている」と言葉にするだけで、少しラクになる
実は、親自身が自分の気持ちに名前をつけることも、子どもへの大切な関わりです。かんしゃくに巻き込まれそうになったら、心の中で「私、今すごくイライラしてる」とつぶやいてみてください。気持ちに名前をつけると、気持ちと自分のあいだに少しだけすき間ができます。そのすき間が、怒鳴る前のひと呼吸になります。
心の体温チェック:胸に手を当てて3秒
本で紹介している「心の体温チェック」です。手のひらを胸に当てて、「今、私の体は温かい? 冷たい?」と3秒だけ聞きます。「カッと熱い」「よくわからない」でもかまいません。子どもが泣き叫んでいる最中でも、3秒ならできます。体に聞くことで、自分の心の状態に気づく力が少しずつ育っていきます。
親が気持ちを言葉にすると、子どもは「言い方」を学ぶ
子どもは、親の言葉を聞いて、気持ちの言い方を覚えます。親が黙って不機嫌になるよりも、「ママ、今ちょっとイライラしてるから、深呼吸するね」と言葉にするほうが、子どもにとってはずっとわかりやすく、安心できます。「イライラしてもいいんだ」「イライラしたら、深呼吸すればいいんだ」と、感情の扱い方の手本になるからです。
本の中で紹介した、中学受験の伴走をしていたマナミさん(仮名)は、手帳に「イライラ」と一言書くことを続けるうちに、「今日は仕事が忙しくて疲れちゃったから、イライラしてごめんね」と家族に言えるようになりました。するとお子さんは「機嫌が悪いのは自分のせいかと思った」とほっとしたそうです。子どもは、親の不機嫌の理由がわからないと、自分のせいだと思いやすいのです。これは、幼児でも同じです。
| 心の中で起きていること | 子どもへの言葉にすると |
|---|---|
| 疲れていて余裕がない | 「ママ(パパ)、今日はちょっと疲れてるの。ぎゅってしてくれる?」 |
| 怒鳴ってしまって後悔している | 「さっきは大きい声を出してごめんね。イライラしちゃったんだ」 |
| かんしゃくが続いて限界 | 「ちょっとだけ、あっちで深呼吸してくるね。すぐ戻るよ」 |
| 子どもの成長がうれしい | 「自分で靴をはけたね。ママ(パパ)、すごくうれしい!」 |
最後の行のように、うれしい気持ちを言葉にすることも同じくらい大切です。気持ちの言葉は、ネガティブなものだけではありません。「うれしい」「ほっとした」「楽しいね」を親子でたくさん交わすことが、気持ちの引き出しを豊かにしていきます。
パートナーと子育ての役割を分け合うことも、親の心の余裕を守ります。とくにお父さんの関わり方については、子どもの気持ちがわからないと感じる父親へ|仕事脳のパパのための感情の言語化入門も参考にしてください。
中島輝より一言
「怒鳴ってしまった私は、ダメな親です」と涙ぐむお母さん、お父さんにたくさんお会いしてきました。でも、ダメな親は、寝顔を見ながら反省したりしません。反省できるのは、子どものことを大切に思っている証拠です。完璧な対応より、「さっきはごめんね」と言える関係のほうが、子どもの心をずっと強く育てます。どうか、自分にも「疲れてるんだね」と声をかけてあげてください。
見守っていいかんしゃくと、相談したいサイン
イヤイヤ期のかんしゃくは、ほとんどの場合、成長とともに少しずつ落ち着いていきます。言葉が増え、気持ちを言葉で伝えられるようになるにつれて、体ごとぶつける必要が減っていくからです。とはいえ、「うちの子、ちょっと激しすぎるのでは」と心配になることもありますよね。次のようなときは、ひとりで抱えずに相談してみてください。
- かんしゃくのたびに、自分の頭を床や壁に強く打ちつけるなど、けがにつながる行動が続く
- 言葉の発達がゆっくりで、年齢のわりに意味のある言葉がほとんど出ない
- 呼びかけへの反応や、目が合う感じが少ないと感じる
- かんしゃくが極端に長く続き、毎日の生活が回らなくなっている
- 以前はできていたことができなくなった、急に様子が変わった
- 親のほうが、手をあげてしまいそう、限界だと感じる
発達や子育ての心配は、
かかりつけの小児科、自治体の乳幼児健診、
子育て支援センターや保健センターに相談できます。
子育てに行き詰まりを感じたときは、
児童相談所の相談ダイヤル「189」も利用できます。
1歳6か月児健診や3歳児健診は、発達の様子を専門職と一緒に確かめるよい機会です。「こんなことで相談していいのかな」と思うような小さなことでも、遠慮なく話してみてください。相談することは、親として弱いことではなく、子どもを守るための大切な行動です。なお、この記事は一般的な心理学の情報であり、発達の診断をするものではありません。
よくあるご質問
「わかってほしい」が、まだ言葉にならないだけ。
今日の「〜したかったんだね」が、一生の言葉の引き出しになる。
自分を大切にしよう
イヤイヤ期のかんしゃくは、わがままでも、親の育て方のせいでもありません。胸の中の大きな気持ちに、まだ言葉が追いついていない時期の、自然な表れです。幼児の感情は、体の感覚から、行動で表す段階、一つの気持ちを言える段階、まざった気持ちを言える段階へと育っていきます。1961年の保育園での観察でも、気持ちに名前をつけることを教えると、はけ口が体の行動から言葉へと移り、考える力まで伸びたことが報告されています。
家庭でできることは、決して難しくありません。スーパーで、着替えで、寝かしつけで、兄弟げんかで、「〜したかったんだね」「くやしかったね」と実況中継をする。気持ちの音量を合わせて受け止め、危ない行動にだけは線を引く。平和な時間には、絵本や感情カード、寝る前の「今日の気持ち」で遊んでおく。そして、親自身が「今、イライラしてる」「うれしい」と言葉にする姿が、子どもにとっていちばんの手本になります。
毎日かんしゃくに向き合っているあなたは、それだけで本当によく頑張っています。怒鳴ってしまう日があっても、「さっきはごめんね」と言えれば大丈夫です。心配なことがあれば、小児科や乳幼児健診、子育て支援センターを頼ってください。そして、自分を大切にしよう。親が自分の気持ちにやさしく名前をつけられるようになるほど、子どもの心にも、やさしい言葉の引き出しが増えていきます。
本記事の参考資料・科学的根拠
- 中島輝『感情を言語化すれば人生はうまくいく 感情迷子さんの本』(近刊)原稿
- 中島輝・自己肯定感アカデミー「アレキシサイミア 感情の鈍麻:失感情」講座資料
- Taylor, G.J., Bagby, R.M., & Parker, J.D.A. (1997). Disorders of Affect Regulation: Alexithymia in Medical and Psychiatric Illness. Cambridge University Press.(邦訳『アレキシサイミア―感情制御の障害と精神・身体疾患』星和書店)
- Katan, A. (1961). Some thoughts about the role of verbalization in early childhood. The Psychoanalytic Study of the Child, 16.
- Lane, R.D., & Schwartz, G.E. (1987). Levels of emotional awareness. American Journal of Psychiatry, 144, 133-143.
- Stern, D.N. (1985). The Interpersonal World of the Infant. Basic Books.(情動調律)
- Krystal, H. (1988). Integration and Self-Healing: Affect, Trauma, Alexithymia. Analytic Press.
- Lieberman, M.D. et al. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421-428.

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。






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