後輩や部下が増え、指導する側に立つと芽生えてくるのが責任感。後輩や部下の指導を担うようになったからこそわかる、直属の上司の“できなさ”に困っていませんか。
「これって上司としてどうなの?」と感じる機会が増えてくると、上司の指示に従うどころか、業務に対するモチベーションにも悪影響が。
職場にマネジメント能力の乏しい上司がいるときは、自分のモチベーションやメンタルの低下を防ぐため、早い段階で対処することが大切です。
ここでは、マネジメントができない上司の特徴や、直属の部下が取るべき対処法を解説します。部下がついてこない上司には実は多くの共通点があり、悩んでいるのは自分だけではないかもしれません。
目次
上司のマネジメント能力に疑問を抱くとき
マネジメントは、業務の遂行だけが仕事ではありません。日ごろから部下とコミュニケーションを取ってチームの士気や意欲を高めたり、ときには部下の相談に乗ったりと、やるべきことは多いもの。
「仕事ができる」のと「マネジメントが上手い」はイコールではないため、上司のマネジメント能力のなさにいち早く気付くのは、マネジメントされる側の直属の部下といえます。
仕事中、上司の言動に疑問やストレスを感じたことはないでしょうか。その疑問は、上司のマネジメント能力のなさから生まれている場合がほとんどです。
例えば、以下のようなシチュエーションを想像してみてください。
- こちらの状況を理解しようとせず、とりあえず「大丈夫?」と聞いてくる
- 部下の1日の作業内容や進捗を把握していない
- 慣習を変えることを嫌い、新しい提案は頭ごなしに「NO」と言う
上記のように、マネジメントができていない上司は少なくありません。「もしかして、うちの上司も?」と思ったら、マネジメント能力の低い上司に共通する5つの特徴をチェックしてみてください。
マネジメント能力のない上司の特徴5つ
マネジメント能力の低い上司がチームを統制するようになると、チームの業績が下がって部下の評価まで下がることに。
マネジメントができない上司の期待に無理して応えようとすると、最悪の場合、メンタルを病んだり、休職や退職する可能性が出てきます。
こうしたリスクを未然に回避するためにも、マネジメント能力の低い上司を早い段階で見抜き、「無理して聞き入れなくていいんだ」と自分に言い聞かせられる気持ちをつくっておきましょう。
ここからは、マネジメント能力の低い上司に多い、5つの共通点を解説します。
1|コミュニケーション能力が低い
先述のように、マネジメントにコミュニケーション能力は欠かせません。説明がわかりにくかったり、的確な指示を出してくれない上司は、そもそものコミュニケーション能力が低い可能性があるでしょう。
また、上司に求められるコミュニケーション能力には、部署やチームなどの集団を相手にするものと、能力が異なる一人ひとりの部下を相手にするものの2つがあります。
状況に応じたコミュニケーションを取ってチームの問題や部下の悩みを引き出し、個々のスキルを伸ばすような施策を打ち出してくれる上司こそが、理想の上司です。
2|マイクロマネジメントに固執する
部下のやり方や進捗をすべて管理するようなマイクロマネジメントは、優れたマネジメントとはいえません。なぜなら部下一人あたりに割くエネルギーが大きいうえに、部下の自主性を尊重できないためです。
上司がマイクロマネジメントに固執する職場では部下が受動的になりやすく、円滑なコミュニケーションや個々のスキルアップが難しくなります。チャレンジ精神が損なわれることで成功のチャンスも減るため、部下のモチベーションダウンを招くこともあるでしょう。
優れたマネジメントでは、上司は部下を信頼して仕事を任せ、個々の可能性を引き出すことに力を注ぎます。
3|手柄を独り占めし、責任を押し付ける
マネジメント能力が低い上司の傾向として、業績がよいときは注目を浴び、業績が悪いときは部下に責任を押し付けるような振る舞いが目立ちます。
本来上司は、チームの成功では個々の活躍をたたえ、失敗では責任を負う立場です。
ときには個人の失敗により、他の部署だけでなく、取引先や顧客に迷惑がかかるようなこともあるでしょう。そうしたときにもすべての責任を負って謝罪に出向くのが上司の務めです。
日々の業務で成功や失敗が発生したときは、マネジメントを行なう人の度量が表れやすいもの。手柄の独り占めや責任逃れが常習になっている上司は、優れたマネジメントができているとはいえません。
4|感情のコントロールができない
チームの目標設定や業務の遂行を握るマネジメントには、常に冷静で客観的な判断が求められます。業務上のトラブルや部下のミスに感情的になりやすい上司は、マネジメント能力に欠けているといえます。
特に、威圧的な態度で部下を萎縮させるような上司がいると、部下やチームのパフォーマンスが発揮されにくく、上司・部下間のコミュニケーションも円滑に進みません。
感情をコントロールできないまま施策や指示を出せば、判断を誤ることも考えられ、チームの業績も伸びずに苦労することがあります。
5|組織のビジョンが見えていない
目標に軸がなく、組織のビジョンが見えていないような上司に、部下のマネジメントはできません。そもそもマネジメントとは、会社組織の目標をもとにチームや部下の能力を引き出すことであり、全員で共有する目標が不可欠です。
一見、目標を掲げているようでも、着手しているプロジェクトの意義や本質、今後の方向性を捉えていない上司がマネジメントを行なうと、チームの成長に時間がかかるでしょう。
また、状況に応じて柔軟な対応を取ることと、方針がなく軸がブレていることは異なります。
上司の掲げる目標に一貫性がないときは、組織のビジョンから逸れていないか確認してみてください。
マネジメント能力の低い上司のもとで成長しようと努力すると、本来背負わなくてもよいはずの負担がかかる可能性があります。直属の上司にマネジメント能力がないとわかったら、メンタルを崩してしまう前に、自分自身を守る術を身につけましょう。
マネジメントできない上司の対処法3つ
どんなに上司に不満を持っていても、部下が上司を変えることは難しいでしょう。上司から受けるストレスが大きいときは、業務を滞らせることなくできる3つの対処法を取り入れてみてください。
1|報告・連絡・相談を必ず記録に残す
指示や連絡が曖昧で“言った・言わない”の水掛け論に持ち込まれるようなケースでは、大きなストレスが生まれます。責任逃れや威圧的な言動を取る上司に対しては、上司とのやりとりを記録しておきましょう。重要な連絡は復唱して伝えたり、メールやメモに残すことでミスやトラブルのリスクを減らすことにもつながります。
近年横行している職場でのハラスメント問題も、何らかの記録が残っていれば、いざというときに役だちます。
2|横のつながりを強化する
職場の同僚や異なる職種の友人など、理解ある横のつながりを広げることは、現代社会のストレス対策に有効な方法です。上下の関係がない人とお互いの悩みや愚痴をこぼし合うだけでも、ストレスから生まれる孤立感を減らせるでしょう。
第三者の意見や考え方に触れると、自分が置かれた状況を客観的に見られ、「悩むほどのことでもなかった」「最初からそう考えればよかった」など、前向きに気持ちを切り替えられることもあります。
3|上司の上司や、昔の上司に相談する
上司のマネジメント不足により業務上のトラブルが絶えないときは、上司をマネジメントする立場にいる上司や、関わりのある上司に相談しましょう。小さなトラブルは放っておくとチームの問題となり、やがて組織全体の問題となります。
負担に耐えきれなくなる前に信頼できる上司へ相談し、適切な助言をもらうことが大事です。
最優先は自分のメンタル
マネジメント能力がない上司は大勢います。運悪く、直属の上司が“できない人”だった場合、まずは自分のメンタルを優先して業務を進めるようにしましょう。
どんなに上司に不満があっても連絡を怠ったり、業務を投げ出すようなことは社会人として許されません。
ただし、「上司だから」といって、無理に期待に応える必要はまったくなく、負担が大きくなる前にストレスを軽減する対策を取り入れることが大切です。
あまりに精神的なストレスが強い状態が続くと、自分でも気付かないうちにメンタルを病んでしまう可能性があります。上司の対応に長期間悩んでいる方は、職場のコンプライアンス窓口や産業医、厚生労働省が運営するサポート窓口への相談も検討してみてください。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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