私の家族は古くて大きな家に住んでいました。代々酒蔵を営む家系で、酒造り時代の建物を自宅として使っていました。
帰宅すると店舗の入り口を通り、日常生活は事務所と繋がっている居間で過ごします。家の中には父、母、姉、私、住み込みの従業員さん、そして離れには曽祖父と曽祖母が暮らしていました。
家族以外の人が常に家にいたため、典型的な家族の会話はなく、父は常に外出していて、母も深夜まで仕事に追われていました。両親は私の育児に手が回らず、姉は母の実家で、私は車で15分ほど離れた親戚に預けられました。
両親はもちろん私たちのことを思ってくれていたでしょう。しかし、親子らしい交流がほとんどないままに育った当時の私にはただただ寂しさしかありませんでした。そして私が五歳の時、私が預けられていた里親も予告なく姿を消したのです。