この記事のコアメッセージ
不登校は「なってから支援する」より
「なる前に予防する」方が圧倒的に効果的。
そして予防の核心は、6つの感の「居場所感」育成にある。
生徒指導提要原文引用・ページ番号付き|COCOLOプラン3本柱との対応表収録
欠席サイン早期発見チェックシート・12週カリキュラム・朝の会スクリプト付き

35.4万人。12年連続最多。いまの教室で何が起きているのか

「どうすればよかったのか」と問うのは、いつも後からだった

「先生、Aくんが今日も来ていません。もう3週間です。」

「昨日まで普通に来ていたのに、突然来なくなった。何のサインも出ていなかったと思う…。」

全国の担任の先生から届く声です。現場は、いつも「後から気づく」という構造の中に置かれています。

不登校の現状(文部科学省 最新データ)
35.4万人
不登校児童生徒数
(令和6年度・12年連続過去最多)
約1人
中学校では30人クラスに
約2人が不登校(6.8%)
出典:同調査。小学校は2.3%(1,000人あたり23.0人)

この数字の重さを、現場の先生は誰よりも知っています。問題は「どうすれば予防できるのか」という問いへの答えが、現場に届いていないことです。

答えは、文部科学省の生徒指導提要と、中島輝の「6つの感」の交差点にあります。提要が求める「居場所感の醸成」を、6つの感の理論で測定可能・実践可能な形に翻訳する——それがこの記事の全てです。

不登校が起きる「メカニズム」を6つの感で構造化する

不登校は「突然」ではない。6つの感の低下は必ずサインを出している

「突然来なくなった」という声は多いですが、実際には不登校の前に必ず「6つの感の低下」というプロセスがあります。中島輝の15,000人のカウンセリングデータと、文科省の不登校調査データを重ね合わせると、以下の共通パターンが見えます。

6つの感 役割 低下したときの不登校との関係 不登校リスク 担任が気づくサイン
自尊感情(根・BE) 「自分には価値がある」 学校に来る意味を見失う。「どうせ自分なんか」という思考が支配する。 ★★★ 高 「どうせ」「どうせ無理」が増える。発言・挙手が減る。
自己受容感(幹・OK) 「失敗してもOK」 小さな失敗・友人関係のトラブルから立ち直れなくなる。欠席の直接的引き金になる。 ★★★ 高 ちょっとした失敗で崩れる。保健室に行く頻度が増える。
自己効力感(枝・CAN) 「できるさ!」 「どうせできない」という無気力感。特に学習面でのつまずきが引き金になる。 ★★☆ 中 授業中ぼーっとする。宿題・課題の未提出が増える。
自己信頼感(葉・DO) 「やり抜く力」 継続的なストレスに対してのGRIT(やり抜く力)が弱くなる。長期欠席に転じやすい。 ★★☆ 中 途中でやめることが増える。部活・委員会をやめたがる。
自己決定感(花・GO) 「自分で選ぶ力」 「学校に来るかどうか」を自分で選べなくなる。親・友人の言葉に左右される。 ★☆☆ 低〜中 「どっちでもいい」「わからない」が増える。
自己有用感(実・YOU) 「誰かの役に立てている」 「自分がいなくても誰も気にしない」という孤立感が不登校の最大の直前サイン。 ★★★ 最高 「自分なんていなくてもいい」「誰も気にしない」という発言。

特に注目すべきは「自己有用感(YOU)の低下」が不登校の最大の直前サインだということです。「自分はこのクラスに必要な存在だ」という感覚が失われたとき、子どもは「学校に来る理由」を失います。

📌 不登校の構造的メカニズム(6感の連鎖)
  • 自尊感情(根)が揺らぐ → 「自分には価値がない」という思考が根づく
  • 自己受容感(幹)が低下 → 小さな失敗・人間関係で立ち直れなくなる
  • 自己有用感(実)が枯れる → 「自分がいなくてもいい」という孤立感
  • この3つが重なったとき → 欠席が始まる(欠席開始の1〜3週間前の状態)

欠席の1〜3週間前に現れる「6感別サイン」

サインを知れば、欠席が始まる前に動ける

「欠席が始まってから動いても遅い」という声を多くの担任から聞きます。でも、6つの感のサインを知っていれば、欠席が始まる1〜3週間前に行動できます。

🔴 緊急サイン(欠席まで1週間以内の可能性)
  • 「自分なんていなくてもいい」の発言
  • 「誰も気にしてくれない」の発言
  • 朝、なかなか教室に入れない
  • 保健室での滞在時間が急増
  • 給食を一人で食べるようになった
  • 月曜日の欠席・遅刻が2週連続
🟡 注意サイン(欠席まで1〜3週間の可能性)
  • 「どうせ自分なんか」「どうせ無理」が増えた
  • 授業中の挙手・発言が急に減った
  • ちょっとした失敗で崩れることが増えた
  • 宿題・課題の未提出が2回以上
  • 休み時間に一人でいることが増えた
  • 表情が暗くなった・笑顔が減った
🔵 観察サイン(要注意・継続的な観察が必要)
  • 前年度の欠席日数が10日以上
  • 進級・進学・クラス替え直後
  • 「どっちでもいい」が口癖になった
  • 部活・委員会をやめたがっている
  • 家庭環境の変化(引越し・転校・家族の変化)
  • 学習面でのつまずきが始まった

国立教育政策研究所の研究によると、不登校の前段階には必ず「休み始め」のサインが1〜2ヶ月前から現れているとされています。このサインに気づいて初期対応を行うことが、不登校の深刻化を防ぐ最大の鍵です。

提要×COCOLOプランと6つの感の完全対応表

文科省が求める「心の居場所」の実装方法が、6つの感にある

生徒指導提要(令和4年改訂)と、文科省のCOCOLOプラン(令和5年策定)は、不登校予防について明確な方向性を示しています。これらと6つの感の対応を見ると、完全に一致していることがわかります。

📘 生徒指導提要 p.14「自己存在感の感受」(最重要箇所)
「ありのままの自分を肯定的に捉える自己肯定感や、他者のために役立った、認められたという自己有用感を育むことも極めて重要です。」
📘 COCOLOプラン(令和5年)の核心
「全ての児童生徒にとって学校が『心の居場所・絆づくりの場』となるよう取り組みを推進する。不登校対策は、不登校になった子どもへの支援だけでなく、全ての児童生徒が安心して学べる環境づくりが重要。」
COCOLOプランの柱 文科省が求めること 対応する6つの感 学級での具体的実践
①「魅力ある学校」づくり 全ての児童生徒が学校を楽しいと感じる環境整備。授業・行事の工夫。 自己効力感(CAN)
自己決定感(GO)
スモールステップ授業設計・自分で決める体験・スリー・グッド・シングス
②不登校への支援充実 SC・SSW・校内教育支援センターとの連携。学習保障・心理的支援。 自尊感情(BE)
自己受容感(OK)
6感チェックシートによるスクリーニング・SC連携プロファイル共有
③「心の居場所・絆」機能強化 学校に「居場所感」と「つながり感」をつくる組織的取り組み。 自己有用感(YOU)
自尊感情(BE)
1人1役の役割設定・ありがとうの花束ボード・帰りの会「今日誰かの役に立てたこと」
📌 提案書に使える一文
  • 「本プログラムは、文科省COCOLOプランの3本柱すべてに対応する、生徒指導提要準拠の6つの感カリキュラムです。」
  • 「提要p.14が『極めて重要』と明記する自己有用感の育成を、学級活動として毎日3分で実践できる形に体系化しています。」

「居場所感」を学級に作る3つの原則

居場所感は「自己有用感(YOU)×自尊感情(BE)」の掛け算で生まれる

「居場所感」とは何でしょうか。単純に「いても大丈夫な場所」ではありません。「自分がいることで、誰かに価値をもたらしている感覚」こそが本当の居場所感です。

これは自己有用感(YOU)と自尊感情(BE)の掛け算です。どちらか一方では不十分。「役に立てている(YOU)」という感覚と、「自分には価値がある(BE)」という確信が重なったとき、子どもは本当の意味で「ここに来たい」と思います。

🏠 原則①:1人1役の「必要な役割」を全員に渡す(自己有用感)
「電気係」「植物の水やり係」「資料配り係」——どんな小さな役割でも、「あなたがいるからクラスが動く」という事実を作ることが大切です。ポイントは「全員に必ず1つ」。誰も役割を持っていない状態をゼロにすること。係・委員会・授業内の役割・日直の拡充など、あらゆる場面で「必要とされる場」を意図的に設計します。

今日からできる最小アクション:今週中に「まだ役割を持っていない子」を特定し、1つ役割を渡す。「○○さん、この仕事、あなたにお願いしたい」という一言が、居場所感の種になります。
💬 原則②:「存在を認める言葉」を1日1回(自尊感情)
「今日も来てくれてありがとう」「○○さんがいると安心する」「昨日のあの一言、よかったよ」——これらは特別な言葉ではありません。でも、毎日誰かから「あなたの存在が嬉しい」と伝えられた子どもの脳には、オキシトシンが分泌され、「ここに来ていい」という安心感の神経回路が作られます。

担任の実践:毎朝、クラスの中の誰か1人に「存在を認める一言」を伝える。クラス全員に1周するサイクルを設計する(30人学級なら1ヶ月で全員に届く)。
🌸 原則③:「役に立てた体験」を可視化する(自己有用感の蓄積)
帰りの会で「今日、誰かの役に立てたこと」を1分間発表する。教室に「ありがとうの花束ボード」を設置して、感謝の言葉を貼っていく。これらは単なるアクティビティではありません。自己有用感の「可視化」と「蓄積」です。子どもが「自分は役に立てた」という記憶を物理的に残すことで、「自分はこのクラスに必要だ」という確信が育まれます。

ポイント:発表は「強制」ではなく「できた人から」のスタンスで。最初は沈黙があっても、先生自身が「今日、○○さんが廊下でドアを開けてくれて嬉しかった」と率先して発表することで、クラスに流れが生まれます。

明日から使える 朝の会・帰りの会ワーク

特別な準備ゼロ。既存の学級活動に3分追加するだけ

☀️
朝の会ワーク(3分)——自尊感情×居場所感を育てる
COCOLOプラン「心の居場所・絆づくり」に対応|提要p.25「安心して生活できる」(基盤①)
そのままコピーして使えるスクリプト
「今日もここに来てくれてありがとう。昨日、よかったと思えたことを一つ、心の中で思い浮かべてみてください。大きなことじゃなくて大丈夫です。ごはんがおいしかった、空が青かった、友達に笑顔で話しかけてもらった——なんでもいい。……思い浮かんだら、隣の人に一言だけ話してみましょう。」
💡 ポイント:先生自身も「昨日よかったこと」を一緒に話す。「今日も来てくれてありがとう」の一言が、不登校傾向の子への最大のサポートになります。所要時間:2〜3分。週5日続けることで、月曜日の欠席率が下がっていきます。
🌙
帰りの会ワーク(3分)——自己有用感×居場所感を育てる
COCOLOプラン「心の居場所・絆づくり」に対応|提要p.25「集団に貢献できる役割を持てる」(基盤④)
そのままコピーして使えるスクリプト
「今日、だれかのためになにかできたことはありますか? 大きなことじゃなくて大丈夫です。ドアを開けてあげた、ノートを拾ってあげた、笑顔であいさつした、友達の話を聞いてあげた——なんでもいいです。思い当たることがある人は、心の中で『今日もよくやった』と自分に言ってあげてください。発表したい人がいれば聞かせてください。」
💡 ポイント:発表は強制しない。でも先生が「今日、○○さんが教室のゴミを拾ってくれているのを見ていたよ。ありがとう」と具体的に名前を挙げると、その子の自己有用感が一気に高まります。年間を通じて全員の名前を呼ぶことを意識してください。所要時間:2〜3分。

週1回(15分)のクラス会議:「みんなで決める」体験が自己決定感を育てる

🤝
週1回 クラス会議(15分)——自己決定感×自己有用感を同時に育てる
提要p.14「自己決定の場の提供」(実践的視点③)に対応
進行例(そのまま使えます)
「今日のクラス会議の議題は〇〇です。3分間グループで話し合って、意見をまとめてください。どのグループの意見も大切にします。正解は一つじゃなくて大丈夫です。全員が意見を言える場にしましょう。」
💡 提要が「自己決定の場の提供」を実践的視点の第3に置いているのは、「自分で決めた」という体験が自己肯定感の根幹を育てるからです。議題は「席替えの方法」「給食の食べ方ルール」「運動会の種目」など日常的なことで十分です。「私の意見でクラスが動いた」という体験を全員に届けてください。

12週「居場所感育成」カリキュラム

新学期の最初の3ヶ月が、1年間の不登校発生率を決める

不登校が最も増えるのは5〜6月(新学期の疲れが出る時期)と9〜10月(夏休み明け)です。4月の最初の3ヶ月(12週)で「居場所感の土台」を作ることが、年間の不登校予防の最大の投資です。

1〜2週
安心感の土台づくり自尊感情(根)
毎朝「今日もありがとう」の一言。全員の名前を1日1回以上呼ぶ。「ヤッター!のポーズ」で朝の会を始める。目標:全員が「先生は自分のことを見ている」と感じる状態。
3〜4週
「いいところ探検隊」で自尊感情を育てる自尊感情(根)
クラス全員のいいところを付箋に書いて本人に渡す。「自分には価値がある」という体験的確信を形成。5月の連休明け(欠席リスク最大期)の直前に実施することで予防効果が高まる。
5〜6週
1人1役の役割設定自己有用感(実)
全員に「このクラスに必要な役割」を渡す。朝の会で「今日の〇〇係さん、ありがとう」の感謝の習慣を始める。「誰かに必要とされている」という居場所感が定着し始める時期。
7〜8週
リフレーミングで自己受容感を育てる自己受容感(幹)
「短所は長所の裏返し」のリフレーミングワーク。「飽きっぽい→好奇心旺盛」など。失敗しても「OK」と思える心を育てる。6月の梅雨時期(気分が落ちやすい)の予防策として有効。
9〜10週
「ありがとうの花束ボード」設置自己有用感(実)
教室に感謝の言葉を貼る専用ボードを設置。毎日1枚以上のありがとうカードが増える仕組み。「自分の行動が誰かに感謝されている」という可視化が、居場所感を強固にする。
11〜12週
スモールステップ達成でGRITを育てる自己効力感(枝)
夏休み前に「1学期の自分の成長」を振り返るワーク。「できるようになったこと3つ」を書いて発表。自己効力感(CAN)を高めることで、夏休み明けの復学意欲につなげる。6感チェックシートの1回目を実施(7月)。

6感チェックシート:年4回のスクリーニング活用法

数値化することで、「なんとなく心配」が「早期介入のエビデンス」になる

感覚的な「この子は大丈夫かな」という観察を、客観的なデータに変換するのが6感チェックシートです。年4回(4月・7月・10月・2月)の実施で、生徒指導提要の第3層「課題早期発見的生徒指導」として機能します。

📋 自己肯定感チェックシート(12項目・5段階評価)

各項目について「全くそう思わない(1)〜とてもそう思う(5)」で評価してください。合計点(12〜60点)で自己肯定感の現在地を把握します。

自尊感情(BE)・自己受容感(OK)
私は、自分のことが好きだ
失敗しても、またやり直せると思う
自分のいいところが思い浮かぶ
うまくいかないことがあっても、「ま、いいか」と思える
自己効力感(CAN)・自己信頼感(DO)
新しいことに、挑戦してみようと思う
難しいことでも、「きっとできる」と思う
一度決めたことは、最後まであきらめないようにしている
自分を信じて、行動できることが多い
自己決定感(GO)・自己有用感(YOU)
自分のことは、自分で決めるようにしている
誰かに頼まれたことは、なるべく助けたいと思う
自分はクラスの中で役に立っていると思う
友達や家族のためになることができていると感じる
📌 チェックシートの活用基準(要観察ライン)
  • 合計点が前回比10点以上低下した生徒 → 担任からのアプローチを強化
  • 自己有用感・自尊感情のいずれかが8点以下(2問合計16点中8点以下) → SC(スクールカウンセラー)と情報共有
  • 2回連続で低スコアが続く生徒 → 第3層「課題早期発見的生徒指導」として管理職・SCに報告
  • 全体平均が前学期比5点以上低下 → 学級全体のアプローチを見直す

実践事例:担任の取り組みで変わった教室

「Bさんが自分から話しかけてきた」——6週間で起きた変化

📋 実際のカウンセリング事例
👩‍🏫
中学1年生担任教諭・28歳・教職歴4年 相談:「クラスに不登校気味の子が2名。学級全体も何か沈んでいて、どうすればいいかわからない。」
Bさんは毎週月曜日に遅刻か欠席を繰り返していました。チェックシートのスコアを見ると、自己有用感(YOU)が12点中3点——「自分はクラスに必要ない」という状態でした。

担任の先生に提案したのはたった2つです。①毎朝「今日もありがとう」を伝える、②「資料配り係」というクラスで唯一の役割をBさんに渡す。「毎日の授業で使う資料を配るのはBさんしかできない」という設定を作ったのです。

3週間後、Bさんは月曜日に休まなくなりました。6週間後のチェックシートで自己有用感は3点→9点。担任の先生から「先週、Bさんが自分から友達に話しかけているのを見た。あんな顔、初めて見ました」という連絡が届きました。
💡 「役割」と「存在を認める言葉」の2つだけで、自己有用感スコアが6週間で3点→9点に。不登校気味だった2名が安定して登校するようになりました。

段階別サポートの設計(提要の4層構造と6感の実装)

全員への日常的実践から、専門支援が必要な子への個別対応まで

第1層:発達支持的生徒指導(全員対象・毎日の実践)
提要の位置づけ:「全ての児童生徒の社会的資質・能力の育成」(1.2.2, p.20)
6感での実装:朝の会3分ワーク(スリー・グッド・シングス)、帰りの会3分ワーク(今日の自己有用感)、週1回クラス会議(自己決定感)、1人1役の役割設定(自己有用感)。これらを12週カリキュラムとして体系化した状態が第1層の完全実装です。
第2層:課題未然防止教育(不登校リスクがある子への重点支援)
提要の位置づけ:「不登校等の未然防止を目的とした教育プログラムの実施」(1.2.3, p.20)
6感での実装:欠席サイン(緊急・注意)の早期発見 → 担任からの「存在を認める声かけ」の意図的増加 → クラス内での「役割の強化」(自己有用感の集中投与)。月曜日の欠席・遅刻が2週連続の生徒は第2層扱いで個別フォローを開始。
第3層:課題早期発見対応(欠席が始まった子への初期対応)
提要の位置づけ:「課題の予兆行動が見られる児童生徒への早期発見・早期対応」(1.2.4, p.21)
6感での実装:6感チェックシートの緊急実施 → スコアの低い感(特に自己有用感・自尊感情)をSCと共有 → 「欠席の翌日に必ず担任から連絡」の原則徹底 → 「学校に来たらこれをお願いしたい」という役割を事前に準備しておく。
第4層:困難課題対応(長期欠席・SC・SSW連携が必要な子)
提要の位置づけ:「SC・SSW等の専門家との校内連携型支援チームによる対応」(1.2.5, p.21)
6感での実装:6感プロファイル(6項目のスコアグラフ)がSC・SSWとの共通言語になる。「この生徒は自尊感情と自己有用感が特に低い状態です」という形で専門家との情報共有をスムーズにし、支援の方向性を一致させる。

まとめ

不登校35.4万人の時代に、担任ができる最大の予防は「居場所感の育成」です。

居場所感は、自己有用感(YOU)×自尊感情(BE)の掛け算で生まれます。「役に立てている」と「自分には価値がある」の2つが重なったとき、子どもは「ここに来たい」と思います。

明日の朝、「今日もありがとう」の一言から始めてください。帰りに「今日誰かの役に立てたこと」を1分聞いてください。それだけでいい。続けることで、教室は変わります。

よくある質問(教員向け6問)

Q
不登校の直前に現れる「欠席サイン」とはどのようなものですか?
A
6つの感の観点から見ると、①自尊感情の低下サイン(「どうせ自分なんか」の発言増加)、②自己受容感の低下サイン(小さな失敗で崩れる・保健室滞在増加)、③自己有用感の低下サイン(「自分なんていなくてもいい」の発言)が代表的です。これらが2〜3つ重なって現れたときは、欠席開始の1〜3週間前の可能性があります。早期発見チェックシートを参照してください。
Q
COCOLOプランと6つの感はどう連携しますか?
A
COCOLOプランの3本柱(①「魅力ある学校」づくり、②不登校支援の充実、③「心の居場所・絆づくり」機能強化)は、6つの感の①自己効力感×自己決定感(魅力ある授業)、②自尊感情×自己受容感(支援・居場所感)、③自己有用感×自尊感情(絆・貢献感)に完全対応します。6感カリキュラムはCOCOLOプランを教室レベルで実装する具体的な方法です。
Q
不登校の予兆が見えたとき、担任は最初に何をすべきですか?
A
3つのステップを推奨します。①「存在を認める」一言——「今日も来てくれてよかった」と伝える。②6感チェックシートで現在地を確認し、どの感が低下しているかを把握する。③自己有用感を高める小さな「役割」を渡す——「植物の水やり係」でも「資料配り係」でも、クラスの中に「あなたが必要な場所」をつくることが最初の一手です。
Q
6感チェックシートはいつ、どのように使うのですか?
A
年4回(4月・7月・10月・2月)の実施を推奨します。12項目・5段階評価で5〜10分で完了します。全体スコアが前回比10点以上低下した生徒、または自己有用感・自尊感情のいずれかが低い生徒を「要観察」としてSCと情報共有します。これが提要の第3層「課題早期発見的生徒指導」に対応するスクリーニング機能です。
Q
「居場所感」はどうやって学級内に作るのですか?
A
居場所感は「自己有用感(YOU)」と「自尊感情(BE)」の掛け算で生まれます。具体的には、①1人1役の「必要な役割」を全員に渡す(自己有用感)、②「今日もここに来てくれてありがとう」という言葉を毎朝伝える(自尊感情)、③「誰かの役に立てたこと」を帰りの会で発表する(自己有用感の可視化)の3つが基本です。3〜4週間続けると学級の空気が変わります。
Q
中1ギャップ・小4の壁など、不登校リスクが高い時期はいつですか?
A
文科省の調査では、中学1年生(中1ギャップ)と小学4年生(小4の壁)が特にリスクが高い時期です。中1は小学校との環境変化が重なり自己効力感・自己決定感が急低下します。小4は「9歳の壁」とも呼ばれ、自己客観視能力が発達して他者との比較が始まり自尊感情が揺らぎやすくなります。これらの時期の4月・5月に特に集中的な「居場所感育成」の取り組みが有効です。
👨‍💼
中島 輝(なかしま てる)
心理カウンセラー・自己肯定感学会代表・自己肯定感アカデミー会長
15,000名以上へのカウンセリング実績・回復率95%。著書累計76万部(『自己肯定感の教科書』他・SBクリエイティブ)。困難な家庭環境・10年の引きこもり体験を経て独自の自己肯定感理論を構築。現在は自己肯定感アカデミー・学校・企業・自治体への「6つの感」プログラム導入を推進。
東洋経済オンライン 掲載多数 プレジデントオンライン 掲載多数 ダイヤモンド・オンライン 掲載 日経ウーマン 掲載
生徒指導提要×6つの感の全体像を理解する
不登校予防は「居場所感」の1つの感だけで解決しません。
提要が求める生徒指導の全体像と6つの感の完全対応表は、学校軸S1記事で解説しています。
生徒指導提要×6つの感の完全ガイドを読む