後輩や部下のマネジメントを任されるようになり、「自分の教育は正しいのか」と悩んでいませんか。自分が行なうべきマネジメントに自信がないと、「会社の期待に応えられるか」「このままでチームの成功につながるか」と不安が募りますよね。
そもそもマネジメントとは、「組織をまとめる」ことであり、言い換えれば「経営管理」です。しかし、職場で「これからマネジメントの経験も積んでいこう」と言われたら、経営管理というよりも、チームを統制するリーダーの役割が求められているかもしれません。
そこで今回は、組織で求められるマネジメントとはどのようなものなのか分かりやすく解説します。中間管理職に求められるマネジメントの本質を知り、自分が行なうべき仕事を把握していきましょう。
目次
ドラッカーが挙げるマネジメントの仕事とは
マネジメントという言葉は、経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカー(1909年~2005年、以下ドラッカー)が1974年に刊行した書籍『マネジメント』から世界に知れ渡ったといわれています。
経済学や統計学、社会学の研究に熱心だったドラッカーは、その生涯をかけて多くの著書を刊行し、マネジメントの基礎を築いてきました。現代の経営活動における基盤がドラッカーにあることから、ドラッカーは「マネジメントの生みの親」「マネジメントの父」とも呼ばれている人物です。
そんなドラッカーが提唱するマネジメント理論では、マネジメントに次のような役割が求められるとされています。
<マネジメントに求められる役割>
- 組織の本質に向き合い、求められる使命を果たす
- 組織の人材を生かし、自己実現できるような組織づくりを行なう
- 会社は経営だけではなく社会のためであり、社会の問題に貢献する
また、ドラッカーによれば、マネジメントを行なう人には遂行すべき5つの仕事があります。
<マネジメントを行なう人の5つの仕事>
- 目標の設定
- 業務の遂行
- チームづくり
- 人材の育成
- メンタルヘルスの管理
上記の5つの仕事は総称してマネジメントと呼ばれ、マネジメントを行なう人はマネージャーと呼ばれます。では、組織のマネージャーに求められる能力とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。
マネジメントに必要な能力は5つ
会社組織におけるマネジメントでは、先に挙げた5つの仕事を遂行するための能力が必要です。どれか1つが特出していたり、欠けたりしていては、マネジメント能力に優れているとはいえません。
会社組織のマネジメントに必要な5つの能力を見ていきましょう。
1|目標を設定する能力
目標は、会社組織全体、部署やチーム、一人ひとりの社員など、異なるグループごとに必要です。中間管理職であれば、会社組織全体の目標をもとに部署やチーム、部下の目標を設定し、達成までのプロセスを提示します。
また、目標には長期的に達成を目指すものや、短期的に達成を目指すもの、またそれらに類しないものもあります。会社組織の目標を土台としながら、各目標を適切に設定する能力を身につけましょう。
<設定するべき目標の種類>
- 短期的目標
- 長期的目標
- 無形の目標
- 部下の業務態度における目標
- 社会に対する責任についての目標
2|業務を進める能力
業務を進めるうえでは、進捗管理だけでなく、部下の管理も欠かせません。業務上のフォローやサポートもマネジメントを行なう人の重要な役割ですが、業務外の部分で部下のモチベーションを管理する能力もマネジメントにおいて大切です。
例えば、普段からのコミュニケーションを通じて部下のモチベーションを維持し、業務の進行に支障が出ないようサポートすることなどが挙げられます。
部下のモチベーションを維持するには、日常的なコミュニケーションに加え、仕事の割り振り方やインセンティブ・報酬、昇進・昇格など、部下の欲求に関わる部分から考えることも大切です。
3|チームを機能させる能力
チームで業務を遂行するうえで忘れてはならないのが、適材適所の見極めとチームワークづくりです。
チームの能力を最大限に引き出すには、部下の能力を正しく認識し、一人ひとりが持つ特性を適所で発揮させることが大切です。そうすることで個々が持つ能力以上の目標が達成可能となり、チームとしての実績を積み上げられます。
また、チーム内の士気を高めて強固なチームワークを築くことも、チームを機能させる能力の一つです。職場内の風通しが悪くないか、業務に集中できない要因がないかなどを改めて考え、チームワークが生まれやすい環境を整えましょう。
4|人材を育成する能力
会社組織の業績アップにチームの成長が欠かせないように、チームの業績アップには個々の成長が欠かせず、人材は経営を支える土台となります。部下と近い距離で業務を行なうマネージャーには、部下の仕事ぶりを適正に分析・評価し、育成する能力が求められます。
人材育成では、フィードバックで会社の評価と部下自身の評価をすり合わせたうえで、コーチングを行ないましょう。コーチングとは、一方的な指示や指導を行なうのではなく、部下の能力や可能性を引き出すことを指します。
マネージャーは部下の立場に立って話を傾聴し、部下の欲求や行動力を引き出せるような質問を行なう姿勢が大切です。
5|メンタルヘルスをケアする能力
部下のメンタルの不調を防ぐために、マネジメントではメンタルヘルスに関する知識も求められます。社会問題ともいえる職場でのストレスですが、個人のストレスが周囲に見えるようなったときには、すでにメンタルヘルスの不調が起きているケースがあります。
会社組織のマネジメントにおけるメンタルヘルスケアでは、部下のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ対策を取り入れましょう。
日ごろから部下とコミュニケーションを取って相談しやすい環境を整えたり、不調の小さなサイン(遅刻や欠勤が増えた、業務に集中していない、など)を見逃したりしないなどの対策が有効です。
また、労働者のメンタルヘルス不調を防ぐ目的で、平成27年12月には厚生労働省によるストレスチェック制度が施行されました。本制度は常時50人以上の従業員が働く事業場に実施義務が課せられるものですが、それ以外の組織においてもストレスチェック制度はメンタルヘルスのケアにつながります。
マネージャークラスに必須のコンプライアンス
マネジメント能力は、自分に足りていない能力を見極め、日々の業務で訓練することで誰でも身につけられるものです。マネジメント能力が不足した状態で上司の権力を振りかざすことは、部下のモチベーション低下や業績ダウンを招くおそれがあります。
マネジメントの本質を理解し、会社組織への貢献につながるマネジメントを徹底しましょう。
また、部下を指導する立場にあるマネージャーは、マネジメントの知識に加え、コンプライアンスの遵守が必須となります。コンプライアンスとは、社会的な通念や規範、倫理や法律の概念のことです。
例えば、マネジメントにおいては、マネージャーが認知していなくとも、部下の指導を通じてパワハラやセクハラが発生してしまう可能性があるため注意しましょう。
マネージャークラスの中間管理職は、正しいコンプライアンス理解でマネジメントの知識を身につけ、日々の業務で実践していきましょう。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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