「自己肯定感が低いせいで何をやっても上手くいかない…」
「プライドばかり高い同僚が近くにいてストレス…」
一件関係なさそうなこの2つの悩みは、実は密接に関係しています。
先に結論からお伝えすると、自己肯定感が低くなるほど、プライドが高くなってしまう、高く見せてしまう傾向にあります。
今回は、自己肯定感とプライドがどう関係しているのかを解説しつつ、自己肯定感の低さやプライドの高さに対しての向き合い方や対処方をお伝えさせていただきます。
目次
自己肯定感とプライドの共通点とは?どう違うの?
そもそも自己肯定感とプライドって似た言葉ですよね。
そこにはどんな共通点や違いがあるのでしょうか?
自己肯定感とプライドの共通点とは
自己肯定感とプライドとの共通点は、「自分を守ろうとする心の働き」だと言えます。
例えば上司から叱られたとき、恋人に辛く当たられたとき、友人から軽く扱われたとき、ずっとくよくよしていては趣味にも仕事にも手が付きませんよね?
それは人間が「自分の心を強く保っていた方が生産性を高く保てる」という性質を持っているからです。
そんなときに脳が心を守るために使うのが、「自己肯定感とプライド」です。
両者とも自分の心を守るために非常に役に立ちます。
そんな共通点を持つ自己肯定感とプライドですが、両者にはどんな違いがあるのでしょうか?
自己肯定感とプライドの違いとは
ひと言で表せば、自己肯定感とプライドには以下の違いがあります。
- プライド=「価値の高い自分を愛すること」
- 自己肯定感=「ありのままの自分を愛すること」
順番に見ていきましょう。
1.プライド=「価値の高い自分を愛すること」
プライドの高い人には、「価値の高い自分を愛そうとする傾向」があります。
例えば、以下のような心の動き方をする傾向があります。
- 上司に怒られた→「でも私は部で一番仕事できるし…」
- 恋人に冷たく当たられた→「私は恋人候補がたくさんいて引く手数多だわ」
- 友人にバカにされた→「でも私はあの人より学歴が良いわ」
上述のように、自分の優れた点を挙げて、自分の心に安寧をもたらそうとする心の動きが「プライド」だと言えます。
2.自己肯定感=「ありのままの自分を愛すること」
対して自己肯定感の高い人には、「ありのままの自分を愛そうとする傾向」があります。
例えば、以下のような心の動き方をする傾向があります。
- 上司に怒られた→「上司の評価だけが世界の全てじゃない」
- 恋人に冷たく当たられた→「恋人関係はどちらか一方だけが原因じゃない(自分だけが悪いわけではない)」
- 友人にバカにされた→「友人の価値観が全てじゃない。少なくとも自分は現状に満足している。」
上述のように、物事に優劣を付けず「現状の自分に満足感を与える」ことで自分の心に安寧を与えようとするのが「自己肯定感」だといえます。
自己肯定感が低いとどうなる?
自己肯定感が低いと、周りからの評価に恐怖しやすくなります。
例えば、以下のような心の動き方になりやすいです。
- 私なんかと話しても相手は楽しくないだろう
- 私の仕事は不完全だから、皆に迷惑をかけるだろう
- 私が相手を好きになっても、きっと相手は私を嫌うだろう
このように、自分の存在や行動がもたらす誰かからの反応に恐怖しやすくなるわけです。
プライドが高いとどうなる?
プライドが高いと、攻撃的になる傾向があります。
前項で「プライドとは価値の高い自分を愛すること」だとお話しましたね。
しかしそれは裏を返せば「優秀な自分でなければ、価値を失ってしまう」という恐怖に苛まれます。(心理学の言葉でアイデンティティクライシスとも呼ばれます。)
強い恐怖は強い強迫観念となり、「自分は優秀だ」という前提を死守するために攻撃的になるというわけです。
この傾向があまりにも強くなると、「自己愛性パーソナリティ障害」と呼ばれる精神疾患と診断され治療が必要になります。
「自己肯定感の低さ」こそが「プライドが高い人の本質」?
ここまで自己肯定感とプライドについて、それぞれの特徴と共通点、そして違いについてお伝えしてきました。
冒頭でもお伝えしましたが、「自己肯定感の低さ」と「プライドの高さ」は表裏一体であり、自己肯定感の低さがプライドの高さを産み出すとも言えるでしょう。
これには学校教育の性質も関わっているかもしれません。
学校では、常にテストの点数で優劣をつけられ、「優秀な自分」を求められてきたわけですから。
自己肯定感の低さとプライドが高い人への対処方
それでは、私たちは「プライドの高さ」と「自己肯定感の低さ」について、どう対処すれば良いのでしょうか?
1.プライドが高い人への対処法
まず、攻撃性が高く自分に害を与えてくる「プライドが高い人」には大きく分けて以下の対処法があります。
- 一旦褒めて満足させる
- 相手の攻撃を空回りさせる
順番に見ていきましょう。
1.「一旦褒めて満足させる」
相手は自分が優秀であるために必死なわけですから、一旦相手を褒めて満足させてあげましょう。
具体的な方法としては、相手の自慢話を先出しする、「さすがですね!」などわかりやすく褒める」といった方法がおすすめです。
そうすれば、相手にとっての危機と共に、あなたを攻撃してくる理由もなくなります。
2.「相手の攻撃を空回りさせる」
上手く言葉を使って相手の攻撃を受け流し空回りさせましょう。
具体的な方法としては、一度相手に賛同した上で「それで、何なのでしょうか?」と返す、相手の言葉をオウム返しした上で、「それって、どういう意味ですか?」とかき乱すなどの方法があります。
あなたに対しての吐かれた威圧的な言葉を、そのまま相手に返すことで、相手のプライド維持のための「はけ口」であるあなたを、その対象から外すことが期待できます。
ここでお伝えした「具体的な方法」は、「賢く『言い返す』技術」という本でより詳しく紹介されているので気になった方はぜひ参考にしてみてください。
さて、これはあくまで「あなたに攻撃的な態度を取ってくる相手」に対する対処法です。
最低限の時間と労力であなたを守る手段です。
それでは、あなたの配偶者やご友人など、時間と労力をかけてでも相手との関係を「改善したい」場合にはどのようにすれば良いでしょうか?
それは、プライドの高さの根本にある「自己肯定感の低さ」を解消してあげることです。
2.自己肯定感が低い人への対処法
プライドが高い人の根本原因である「自己肯定感の低さ」の対処法は、対象が自分のときでも他人のときでも共通しています。
「自己肯定感の低さ」の対処法は以下の3つです。
- 共感
- 肯定
- 未来の創造
順番に見ていきましょう。
1.共感
まず、自己肯定感の低い状態にある相手(自分である場合は自分自身)について、その苦しさに共感してあげます。
「うん、うん、わかるよ、それは苦しいよね。」というように、相手の言葉を傾聴して、相手の「感情」に共感してあげるのが大切です。
上手く共感ができれば、相手はこちらに信頼をとても向けてくれやすくなります。
自分を相手にしたときでも、自分自身に耳を向けている自分自身との信頼関係が築けます。
2.肯定
上手く共感をした上で、自己肯定感が低い状態を全力で肯定してあげます。
「そんな状態にあるのは、あなただけのせいじゃない。あなたは精一杯やった上で今の状態なんだ。あなたが悪いわけじゃない。」そんな言葉をかけてあげましょう。
ここまでで、「ありのままの姿を受け入れる」という自己肯定感の基礎は盤石といえるでしょう。
そしてここに加えて、「未来の創造」までできればさらに良いです。
3.未来の創造
未来の創造とは、「今の現状から、こんな風に変わったら良いよね」という価値観を共有し、明確にすることです。
理想の状態を明確にすることで、「それ以外への羨望」をシャットアウトすることができます。
自己肯定感が低い状態はとても繊細な状態なので、自分を理想化するためにあらゆる要素を詰め込もうとします。
その結果として「プライドが高い状態になる」というのはもうお分かりかと思います。
そうではなく、あくまで自分だけの理想に焦点を当てることで、無駄な羨望にエネルギーを割かずに済むようになります。
その結果、「自分自身の理想が明確だから、他人は関係ない」という心の動き方になり、誰かを攻撃する必要がなくなってきます。
以上のことから、
- 共感
- 肯定
- 未来の創造
この3点こそが、自己肯定感の低さに対処する方法ということができるでしょう。
まとめ
自己肯定感が低くなればなるほど、プライドが高くなり、自分を守ろうとしてしまいます。その結果、他人に対して攻撃的な態度を取ってしまうのです。
ですので、自己肯定感が低いと感じている人は、共感・肯定・未来の創造を意識し、ゆっくりでいいので自己肯定感が高まるよう取り組んでみてください。
そうすることで、今まで以上に自分らしく人生を歩んでいけるはずです。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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