昔から感受性が強かったり敏感だったりして、普通に暮らしているだけでも疲れてしまう……そんな生きづらさを感じている人は、決して少なくありません。現代においては、約5人に1人がそういった特性を持つ「HSP(Highly Sensitive Person)」であると言われています。
HSPの生きづらさは、その特徴を知ったうえで工夫することで、ある程度和らげることが可能です。
この記事ではHSPの特性「DOES」を解説するとともに、日常生活の中でできる「生きづらさを和らげる工夫」を紹介します。
目次
HSPの特性「DOES」とは?
HSP(Highly Sensitive Person)とは、あらゆる物事に対してとても敏感な人のことを指します。
現代では5人に1人がこのHSPであると言われており、HSPの人のなかにはストレスフルな生活の中でひどく消耗してしまっている人も少なくありません。
HPSは、病気というよりかは、その人の持つ感じ方の特性です。
HSPの人には、次の4つの特徴があると言われており、それぞれの英語の頭文字をとって「DOES(ダズ)」と言われます。
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
D:Depth of processing(物事を深くとらえる)
HSPの人は、物事を深くとらえることが得意です。例えば、一見単純な物事であっても「どうしてこうなったんだろう?」と一歩踏み込んで考えることができます。
一方で、物事を深くとらえるという特性が、マイナスに働くこともあります。
相手の言葉の裏を深読みして傷ついたり、何気ない仕草を深読みして落ち込んだりしやすいのです。
時には、考えても仕方がないこと・結論が出ないことが頭から離れなくなることもあります。
ある程度のところで気持ちを切り替える・考えるのをやめることができれば良いのですが、HSPの人の場合、「物事を深くとらえる特性」のためにそれが難しいことも珍しくありません。
結果として、体調を崩してしまったり、やるべきことが手につかなくなったりします。
O:Overstimulated(刺激に対して敏感)
HSPの人は、刺激に対しても敏感です。
痛み・かゆみといった皮膚感覚はもちろん、音や光、においなどの刺激にも敏感なため、大きな音がする場所やまぶしい場所、においがキツい場所に行くと消耗してしまうことがあります。
HSPの人は、体に与えられる刺激だけでなく、精神的な刺激に対しても敏感です。
新しい環境に馴染むのに時間がかかったり、人に対して必要以上に気を使ったりして、疲れてしまうことがあります。
E:Emotionally reactive and high Empathy(他人に深く共感する)
他人に深く共感するのも、HSPの持つ特性のひとつです。
HSPの共感は、一般的な共感とはすこし違っていて、その人と同じ体験をしているかのような痛み・苦しみも伴います。
人によっては、悲しいニュースやショッキングなニュースを見聞きしただけで、耐えがたい苦痛を感じて涙を流すほどです。
S:Sensitivity to Subtleties(些細なことにも影響を受けやすい)
良くも悪くも影響を受けやすいのも、HSPの特性です。
人は基本的に、不機嫌な人と一緒にいると委縮したり、自分が怒られたわけではないのに自責の念を感じたりします。
一方で、機嫌がよくポジティブな人といっしょにいると、いつも以上に過ごしやすく感じられたり、実力以上の力を発揮できたりします。HSPの場合は、この傾向が顕著です。
また、HSPの場合、些細な物事の変化や欠点に気付きやすいという特徴もあります。
責任感が強い人であれば、自分が何とかしなければとひとりでそれらを抱え込んで、パンクしてしまうことも少なくありません。
生きづらさを和らげるための7つの工夫
HSPの持つ特性「DOES」を紹介しましたが、「特性のせいで生きづらい」「ラクに生きたい」と思っている人も多いでしょう。
そんなときは、これから紹介する6つの工夫を試してみてください。
HSPの特性は、工夫次第で和らげることができます。特性がマイルドになれば、少しだけ生きやすくなるでしょう。
2-1.思考の過程を記録する
物事を深く考えられるのは、ひとつの長所です。しかし、それに囚われてしまうのは疲れますし、苦痛も伴います。
もし、ひとつの物事に囚われて、次から次へと考え事や心配事が浮かんでくるのであれば、それらをノートに記録してみましょう。
ノートに記録することで考えがまとまるだけでなく、自分の考え方のクセも見えてきます。
答えが出ないことを繰り返し考えて堂々巡りするのも防げるでしょう。
2-2.自分が安心できる場所・心身を休められる空間をもつ
情報過多な現代は、HSPにとってひどく消耗しやすい生活環境です。
疲れてしまったときや消耗したときに、自分の心と体を回復させるための場所・空間を作っておきましょう。
・暗い部屋でじっとしている
・ゆったりとお風呂に入る
・周囲の音が聞こえない場所に閉じこもる
など、刺激を遮断して心と体を休められる場所を作っておくと、少しだけ生きづらさが和らぎます。
2-3.刺激を和らげる道具を使う
聴覚が過敏であればイヤホンやイヤーマフで外の音を遮断する、光に敏感ならサングラスでまぶしさを和らげるのも有効です。
最近は、ノイズキャンセリング機能が付いたイヤホンやヘッドホンもあれば、音の遮断性能に優れた聴覚過敏用のイヤーマフも市販されています。
肌が敏感なのであれば、着る下着にこだわりましょう。天然素材のものは、比較的刺激が少ないと言われています。
2-4.避けられる刺激物は避ける
カフェインや刺激物など、避けられるものは無理のない範囲で避けるのも大切なことです。
カフェインを摂りすぎると頭が痛くなったり、眠れなくなったりすることはよく知られていますよね?HSPの人の場合、そうでない人に比べて少しの量でこれらの不調が出てくることがあります。
コーヒーを飲むのであればデカフェやカフェインレスのものにする、スパイス類は控えめにするなど、自分の体と相談しながらベストな量を探っていきましょう。
2-5.他人と自分を切り離して考える
HPSの人は感受性が強く、他人に強く共感することができます。これはとても素敵なことですが、共感しすぎるのも困りものです。
他人と自分の境界があいまいになって、相手のプライベートな部分に土足で踏み込んでしまったり、自分自身が疲れてしまったりします。
HSPの人は、意識して自分と他人と切り離して考えるようにしましょう。
「私は私、相手は相手」と切り離して考えられるようになれば、必要以上に強く共感して疲弊することも減るはずです。
2-6.人の話を聞く際のテクニックを身につける
HSPの人は共感力が高いため、自分でも無意識のうちに、他人のカウンセリング的なことをしてしまうことがあります。
そして、他人の重たい話や深刻な悩みに強く共感して、心の調子を崩してしまうことが珍しくありません。
HSPの人の多くは、専門知識を持ったカウンセラーではありません。本職のカウンセラーと同じようにカウンセリングするのは無茶です。
とはいっても、人は共感してくれる人に話を聞いてもらいたいもの。HSPの人のところには、話を聞いてほしい人が集まってくるでしょう。
そんなときは、「一切話を聞かない」のではなく「聞いたら忘れる」「適当に受け流す」スキルが役に立ちます。
相手の話が終わったら、その話題はそこまで。自分から掘り下げる・自分に何かできないか考えるのはやめましょう。
2-7.自分に悪影響を及ぼす人とは距離をとる
自分に悪い影響を及ぼす人とは、意識して距離を取りましょう。人の悪口ばかり言っている人や噂話が好きな人、物事のあら探しばかりしている人は、HSPの天敵です。
その人からネガティブな影響を受けて、落ち込んだり傷ついたりしてしまうことがあります。
攻撃的な人やネガティブな人とは、上手に距離を取りましょう。どうしても会わなければならないのであれば、深入りしないようにしたり、他の人と一緒に会うなど工夫するのが大切です。
まとめ 自分の特性に合わせた工夫で生きづらさを和らげよう
何かと生きづらさを抱えがちなHSPですが、自分の特性がわかれば、生きづらさを和らげる工夫ができます。
自分の特性や生きづらさを和らげる方法を考える際は、この記事中で紹介した「DOES」や7つの工夫を思い出してください。
HSPという特性は、大きな魅力であり、素晴らしい特性です。ぜひ自分に合った工夫で、生きづらさを和らげましょう。
タイトルを記載の上、HSPの解説記事にリンクをお願いいたします。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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