HSP(=Highly Sensitive Person(ハイリー センシティブ パーソン))の人は「人間関係のストレスに敏感」「電話の音や人の声を刺激と感じる」といった特性から、特に職場でストレスを抱えがちです。
そのため、なかなか自分に合った職場に出会えず、転職回数が多くなる人もいます。転職に悩むHSPの人の中には「なぜすぐに辞めたくなってしまうのだろう」「転職を繰り返すのはよくないことではないか」と悩む人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、HSPの人が心穏やかに過ごせる職場の選び方を紹介します。自分に合った職場で長く働きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
仕事が長続きしないHSPは多い
HSPの人には、「人の言動に敏感で、相手の気持ちが自分のことのようにわかる」「相手に嫌な思いをさせないよう、自分の本音を抑えて相手の気持ちを優先してしまう」といった気質があります。
その気質ゆえに、対人関係が苦手だったり、疲弊して自分を消耗したりすることが多いのです。そのため、人間関係におけるストレスを抱え、1つの職場で長続きせずに転職を繰り返してしまう人もいます。
では、1つの会社で長く勤めたいと考えるHSPの人は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。この記事では、HSPの人が気持ちよく長く働ける職場について解説します。
要注意!HSPが仕事を辞めたくなる職場とは
HSPの人にとって、辛さを感じ、辞めたくなる職場の条件はおもに次のようなものです。
- 多くの人と関わる必要がある
- ノルマがあるなど、人と競わされる
- 体育会系なノリ、雰囲気がある
HSPの人は周囲の人の言動にとても敏感で、相手の機嫌も手に取るようにわかります。そのため、さまざまな人に承認やハンコをもらう仕事では、タイミングを伺うことに神経を遣い、気疲れしてしまいます。
また、HSPの人は多角的な視点からものごとを深く考えることが得意なため、反対の性質を持つスピード重視の「質より量」といった働き方が苦手です。「競争」「ノルマ」という言葉には、追い込まれるような強いストレスを感じます。
本来、ノルマを達成できない場合、あくまで数字上の問題なので深く気にしすぎることはありません。達成できない原因を考え、改善すればよいのですが、HSPの人はそんなふうに切り替えるのが難しいという特徴があります。
その繊細さから、自分という人間そのものを否定されているように感じてしまい、必要以上に追い詰められてしまいます。
「質より量」という雰囲気から、同じように体育会系の職場も苦手な人が多い傾向があります。ものごとを静かに深く考えたいHSPの人にとって、勢いや活気を大切にする体育会系の職場の雰囲気にも馴染みづらいのです。
周囲の雰囲気に合わせようと、無理に自分のテンションをあげたり元気なフリをしたりしてしまうと、心が疲弊してしまいます。
HSPが仕事を続けたくなる職場3選
職場選びについて、一緒に働く上司や同僚は選べないので注意が必要です。しかし、ある程度の雰囲気や職場の傾向は選ぶことが可能です。
そこで、HSPの人が心穏やかに過ごせる職場がどのような職場なのか、その条件を紹介します。気持ちよく働ける環境で長く過ごせるよう、参考にしてください。
淡々と仕事を進められる職場
納期やノルマに追われることが苦手なHSPの人にとって、淡々と仕事を進められる職場は適していると言えます。HSPの人の多くはコツコツと作業をおこない、正確な仕事を得意とします。
そのため、繁忙期のような職場の環境の変化は刺激となり、疲れを感じてしまいます。
また、電話がなる音も強い刺激となるほか、「いつ電話がなるかわからない」という状況も常にプレッシャーにさらされる環境となります。そのため、電話を真っ先にとらなければいけない職場も適しません。
同じように、常に誰かに話しかけられる可能性のある状況も、刺激となります。電話や人に影響を受けず、自分の担当業務を淡々と進められる職場が、HSPの人にとって快適な職場となります。
関わる人が少ない職場
HSPの人は人の言動に敏感で、その人の機嫌を即座に察知する気質により、職場内の人間関係のトラブルもすぐに察します。争いごとが苦手で、他人の問題も自分の問題と捉えてしまうHSPの人にとって、そのような状況に強く刺激を感じます。
また、必要以上に相手の気持ちを優先してしまうため、仕事を頼めない、頼まれごとを断れない、相手のノリに無理して合わせてしまうなど、関わる人の多い職場では疲れてしまう要因が多く存在します。
そのため、関わる人が少ない職場が適していると言えます。できる限り関わる人を少なくし、刺激を減らすことが大切です。
また最近では、在宅勤務を認める職場が増えているので、そうした条件も踏まえて職場選びができるとよいでしょう。
マイペースでできる職場
HSPの人にとって、「質より量」という働き方は心が疲弊してしまう働き方です。また、監視の目を感じたり、細かな時間制限・期日制限を設けられたりすると、誰よりもプレッシャーに感じ、作業効率が落ちてしまうことすらあります。
反対に、自分の裁量・ペースで進められる仕事が向いていて、自分のペースで進められることがスピードアップにつながる場合もあります。そのため、マイペースでできる業務を担当できる職場がよいでしょう。
例えば営業の仕事はノルマが課されることが多いだけでなく、お客様による急な予定変更など突発的なことが多く起こります。そのため、HSPの人にとっては特に難しい仕事と言えます。
一方、自分の感性をいかし、自分のペースを大切に取り組める仕事であれば、HSPの人が本来持っている能力やよさを存分に発揮できます。そうした業務を任せてもらえる職場であれば、心穏やかに仕事を進められるでしょう。
具体的なHSPの適職は、以下の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
HSPの適職ってあるの? 特性を生かせる仕事の選び方を解説
HSPが仕事を長続きさせるには
HSPの人が1つの職場で長く仕事を続けるためには、これまでに紹介した職場選びも大切です。しかしそのほかに、コミュニケーションスキルも大切となります。
HSPの気質ゆえに「考えすぎる」「気遣いをしすぎる」ことで、自らストレスを増やしてしまっていることもあります。
そこで大切なことは2つあります。
「人は人、自分は自分」と線引きをして捉える
1つ目は、考えすぎないように自分の考え方を工夫することです。
例えば、HSPの人は自分だけでなく相手の感情にも敏感です。それにより、あからさまに機嫌が悪い人がいる環境や他の人が怒られているところに遭遇してしまうと、そわそわして自分も怒られているように感じてしまいます。
そんなときに必要なのが、「人は人、自分は自分」と線引きをして捉えることです。敏感な人はイライラする人を見るとなんとか解決できないかと考えがちですが、イライラする原因は本人にしかわからず、その解決も本人にしかできません。
また、怒られている人を見ると怒っている人に対して「そんなに言わなくてもいいのに」と不快に感じます。しかし、ときには怒られる本人に原因があり、怒られている人にとっては成長の機会となるかもしれません。
人と自分の線引きをすることで、誰が解決すべき問題なのか割り切ることができるようになります。
自分に合ったセルフケアの方法を見つける
2つは、自分に合ったセルフケアの方法を見つけることです。マスクの着用がマナーになった最近では、マスクをつけることで自分と他の人との間に心理的な境界線を作ることができて楽になったという人もいます。
同じように、デスクが向かい合わせとなる職場であれば、間にティッシュの箱を置くことで気持ちが軽くなることがあります。
また、帰宅したら部屋の照明を落とし、ゆったりとした音楽を聞きながら1人の時間を満喫するなど、本来の自分を取り戻すような時間の過ごし方が必要です。
HSPに見られる考え方のクセの改善やセルフケアを身に付けて、ストレスを溜めない工夫ができるようになり、心穏やかに気持ちよく働けるようになるといいですね。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
コメント