「近所のスーパーに行っただけで、帰宅したあと、横にならないといけないほど疲れている」
「仲のよい友達と会ったあと、すごく楽しかったはずなのにぐったりと疲れている」
上記のような”疲れやすさ”を感じることはないでしょうか?
これは、外部からの刺激に敏感に反応し、疲れやすいというHSPの特性によるものです。
この記事では、HSPが疲れやすく、消耗してしまう原因と対策について解説します。
目次
HSPが疲れやすい原因は神経の働き
HSPには、「DOES(ダズ)」と呼ばれる4つの特性があると言われます。
◆4つの特性「DOES」
- Depth of processing(深く考え込む)
- Overstimulated(刺激に敏感で疲れやすい)
- Emotional reactivity and high Empathy(人の気持ちに反応しやすく、共感性が高い)
- Sensitivity to Subtleties(少しの刺激にも感受性が高い)
この4つの特性すべてが、神経の過剰な働きに由来するため、HSPは精神的な消耗を感じやすい傾向があります。
HSPが疲れやすい環境とは
HSPの疲れやすさは、神経の働きに起因します。
疲れを軽減するには、どのような環境で負荷を感じやすいのか、把握することが大切です。
たとえば、以下のような環境は、HSPの人にとって疲れやすい環境となります。
落ち着いて集中できない環境
たとえば、常に電話が鳴り響き、バタバタと人が動いている職場は、HSPの人にとって音や気配が気になり集中して仕事ができません。
またHSPである学生にとって、学校という場は常に集団行動、集団規律を求められ、つらい環境かもしれません。
そのほか、小さなお子さんがいる家庭や大人数で生活している家庭、ルームシェアやシェアハウスといった環境では、ひとりの時間が持てず落ち着く暇がありません。そうした環境ではやはり、HSPの特性を持つ人はつらくなってしまいます。
威圧的な人や怒鳴る人がいる環境
HSPの人は、機嫌が悪い人や人の大声が誰よりも苦手です。
同居している家族の機嫌が悪い場合、すぐに察知し、自分にできることがないかを考えるなど神経をすり減らします。
また、学校や職場でほかの人が怒られている場合でも、自分が怒られているように感じてしまい、気分が落ち込みます。ほかにも、会議の場などで威圧的な態度をとる人がいると、萎縮して何も意見が言えなくなってしまいます。
常に監視されている環境
たとえば、スーパーやデパートといった屋内店舗では、防犯用に監視カメラが設置されています。もしこうした場所に勤めている場合、常にその監視カメラにさらされるので、緊張感を強いられているようなつらい状況となります。
また、最近増えているリモートワークの影響で、上司から監視されているような感覚を持つ人もいます。いつ連絡が来るかわからない、常に業務の進捗を確認されているといった状況から、息がつまる思いをされているのでしょう。
HSPの人は、このような環境では緊張してしまい、本来の力が発揮できません。そのため、のびのびとした雰囲気で、自分の裁量で作業ができる環境が適しています。
感情労働の多い環境
「感情労働」とは、働く人が自分の感情を抑制し、我慢や忍耐を求められることが必須となる労働のことです。
介護士や看護師といった職業は、判断ミスが許されない過酷な環境でありながら、人の心に寄り添ったサービスが求められます。
ホテルスタッフや販売員の仕事も、細やかな心配りが必要とされる一方で、理不尽な要求や時にはクレーム処理まで、冷静かつ正確に対応することが求められます。
こうした環境での仕事は、自分の感情を表に出せず、自分自身の感情をコントロールすることが必要になります。
また、常に迅速に的確な対応がとれるようアンテナを張るため、精神的に負担がかかります。
疲れたと自覚する前に対策を
ここまで、HSPの人にとって疲れやすい環境を解説してきました。
HSPである人は、周囲の人の気持ちを優先するあまり、自分の状況(体調や本音)を把握しにくくなってしまう傾向があります。
そのため、「疲れた」と自覚する前に、適度に休憩やセルフケアをおこなうことが大切です。そこで、セルフケアの例をいくつか紹介します。ぜひ自分に合った方法を見つけ、日ごろ感じている疲労を和らげてください。
HSPの特性を長所と捉える
「考えすぎる」「細かすぎる」といったHSPの特性により、ときに息苦しさや生きづらさを感じることがあると思います。しかし、ものごとには必ずよい面も存在します。
たとえば、「考えすぎる」は「思慮深く、慎重」と言い換えられます。
また、「細かすぎる」は「リスク管理が得意、細部まで配慮できる」と表現できます。
自分のことをうまく褒められない場合には、親友を励ますようにその特性を長所として言い換えてみましょう。
考えすぎない
HSPの人は、その特性により、ものごとを深く考えてしまいます。
そのため、あれこれ考えすぎて疲れてしまったり、気持ちが落ち込んだりすることも多くあります。
そこで、できる限り考えすぎない練習をしてみましょう。
ふと気がついたら考えこんでいた、というときは、「まぁ、いっか」「なんとかなる」と口に出して言ってみましょう。
少しだけ、気持ちを軽くできるかもしれません。
落ち着いた空間でリラックス
人の言動、音や光が刺激となるHSPの人にとって、受けた刺激をリセットすることが必要です。そこで、照明を落とした部屋でひとり過ごすなど、落ち着いた空間で自分の思うままに過ごしてみましょう。
好きな音楽、好きなアロマの香りで自分の五感を満たしてあげると、リラックスして過ごすことができます。
また、昼寝など睡眠も大切です。
質のよい睡眠をたっぷりとることで、気力体力共にリフレッシュできます。
外に出てみる
ここで言う「外に出る」は、人が多くにぎわう街への外出ではありません。
あまり人のいない早朝に、太陽の光を浴びながら公園を散歩してみるなど、刺激の少ない外出を意味しています。
行先も時間も決めず、好きなところに好きなだけ歩くことで気持ちが満たされます。
また、太陽の光を浴びることで「セロトニン」と呼ばれる脳内物質が分泌され、ポジティブな気持ちがわいてきます。
想いを「見える化」する
普段思っていることを、表に出すことが苦手なHSP。
自分が思っていることを人に伝えたあと、相手がどう思うか、どんな反応をされるかが怖くて感情を押し込めてしまいがちです。
しかし感情をため込みすぎて、あるとき突然爆発してしまうこともあるのが、HSPの人の傾向です。そこで、少しずつ自分の感情を表に出して誰かに伝えてみましょう。
それにより、あるとき突然に感情が爆発することはなくなります。
また、相手が受け入れてくれるという成功体験を積むことで、コミュニケーションへの苦手意識や低い自己肯定感が向上します。
なお、このとき注意したいのは、自分の想いを伝える相手です。
普段から自分を肯定してくれる人を選び、受け入れられる可能性を高めてください。
対人コミュニケーションが難しい場合は、日記をつけてみるのもおすすめです。
その日感じたことをつづることで、自分の感情を客観的に見ることができるようになります。
ここまでご紹介した内容以外で、HSPの特性に合わせた詳しい対策を知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
HSPの特性に合わせた対策で悩みを軽くする方法
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
コメント