鳴り響く電話の音、課せられるノルマ、ミスが許されないと感じる雰囲気など、HSP(=Highly Sensitive Person(ハイリー センシティブ パーソン))の人にとって職場は刺激となる要素が多く、ストレスを抱えてしまう場所でしょう。
なかには細かなミスに必要以上に落ち込み、「自分にはこの仕事が合っていないのではないか」「自分にとっての適職は?」という気持ちを持っている方も多いと思います。
そこでこの記事では、HSPの特性に合わせた仕事選びについて解説します。実際にHSPであることを強みに変えて、いきいきと働く人もいます。そんな仕事を見つけるための参考にしてください。
目次
HSPの仕事探しは特性を理解することから
HSPの敏感かつ繊細である特性は、仕事をするうえで長所にも短所にもなります。そのため、長所を生かせる職業なら適職、短所が目立ってしまう職業ならできる限り避けたほうが良いでしょう。
どうしても続けたい仕事の場合は別ですが、あくまでHSPの人が感じるストレスを減らすという観点では、HSPである特性を活かし、そうでない環境からは距離をとったほうが良いでしょう。
そこで、次の章ではHSPの特性に合わせた仕事の探し方を解説します。適職や天職にめぐり合うには、HSPの特性を正しく理解し、その特性を生かせる職場を探すことが重要です。
HSPの特性「DOES」に合わせた仕事探し
HSPには「DOES(ダズ)」と呼ばれる4つの特性があると言われています。「DOES」の4つの特性に合わせた職業を選べば、HSPの長所が生かせる可能性があるので、それぞれの特性を見ていきましょう。
【4つの特性「DOES」】
- Depth of processing(深く考え込む)
- Overstimulated(刺激に敏感で疲れやすい)
- Emotional reactivity and high Empathy(人の気持ちに反応しやすく、共感性が高い)
- Sensitivity to Subtleties(少しの刺激にも感受性が高い)
HSPの思考力が生かせる仕事
HSPの特性である「Depth of processing(深く考え込む)」は1を聞いて、10のことを想像できる多角的で深い思考力を指します。
●この特性が生かせる仕事5つ (例)
- システムエンジニア
- プログラマー
- WEBデザイナー
- WEBライター
- 動画編集、製作
上記の職業に共通して求められることは、正確さと、じっくり慎重に深く考え抜くことです。慎重さが必要な場面で、HSPの人が持つ多角的で深い思考力がプラスとなります。
エンジニアやプログラマーには特に、正確さを求められるだけでなく、細かなエラーを発見する力も求められる職業です。また、コーディングで効率よく思った動作をする指示をできる力も必要で、こうした職業ではHSPの思考力が発揮されます。
また、在宅勤務できることも多く、マイペースで落ち着いて仕事ができる環境は、HSPの人に向いている仕事環境と言えるでしょう。
HSPの敏感な感覚が生かせる仕事
「Overstimulated(刺激に敏感で疲れやすい)」という特性では、人の言葉やしぐさや、人間関係を刺激と捉えます。
●この特性が生かせる仕事5つ (例)
- 図書館司書
- 学芸員
- ドライバー
- 在宅ライター
- 在宅デザイナー
上記の職業は、周囲に人が少なく静かな環境で仕事をすることができます。そのため、比較的、他者の言動を気にせずに没頭できるという共通点があります。
HSPの人にとって整った環境で、適度に自分を守りながら働ける職業と言えます。また、図書館司書や学芸員は知識を問われることが多く、深い思考力を持つHSPの能力を発揮しやすい職業の一つです。
HSPの共感力の高さが生かせる仕事
「Emotional reactivity and high Empathy(人の気持ちに反応しやすく、共感性が高い)」は、他者の痛みにも敏感であり、人一倍感情移入する特性を指します。
●この特性が生かせる仕事5つ (例)
- 看護師
- 介護士
- 教師、養護教諭
- セラピスト
- コーチング
看護師やセラピストといった職業はまさに、共感力を必要とする職業です。共感力に長けたHSPの人がこれらの職業に就くことによって、救われる人が増えるでしょう。
相手の気持ちを読み取って、相手が求める対応ができることは、HSPの人が仕事をするうえで大きな武器になります。
ただし、共感力の高さから、相手の苦しみをまるで自分のことのように感じてしまう傾向にあります。高い共感力ゆえに自分を追い詰め、苦しくなってしまうことがあるので注意が必要です。
HSPの感受性の高さが生かせる仕事
「Sensitivity to Subtleties(少しの刺激にも感受性が高い)」は、音楽や芸術作品などに号泣するほど感動できるような、豊かな感受性を指します。
●この特性が生かせる仕事5つ (例)
- デザイナー
- イラストレーター
- ハンドメイド作家
- カメラマン
- コピーライター
これらの職業は、ひらめきや独自の感性を生かせるという共通点があります。ゼロからものごとを生み出す仕事では、そのひらめきや感性を存分に活かすことができます。
他者への高い共感力が大きな武器となり、デザイナーやWEBデザイナーであればユーザーの視点で使いやすいデザインを創り出すことができ、コピーライターであれば消費者の心に響くキャッチコピーを生み出すこともできるでしょう。
HSPが避けたい環境はこちらの記事をご覧ください。
HSPが疲れやすいのはなぜ?原因と対策を解説
HSPが生かせる天職はあるの?
一言で「HSP」といっても人それぞれ個性があり、何にストレスを感じるか、どのくらいストレスに感じるか異なります。
そのため、HSPである全員が100%満足できる「天職」はありません。
自分にとっての「天職」に出会うためには、自分の特性や興味関心をよく見極めて仕事選びに役立てることが大事です。周囲にアドバイスを求めることもときには必要ですが、自分がどんな特性を持っているか、どんな状況を避けたいかは自分しかわからないこともあります。
就職活動をするうえで、自己分析をしたことがある人も多いと思いますが、HSPの場合は自分らしさを発揮できる環境や働き方についてより深く考えてみるとよいでしょう。
ただし、職場の雰囲気や上司・同僚の人間性などは、基本的には入社してみないと分かりません。もし可能なら、職場見学をするなど少しでも会社の雰囲気、一緒に働くかもしれない同僚の雰囲気を見ておくことをおすすめします。
HSPの人は持っている敏感さが、まるで第六感のように働くこともあります。会社の雰囲気を肌で感じることで、直感的に、自分に合うか合わないか感じることもあるでしょう。
その感覚を大切にして仕事選びに活かしてください。
日々働き生活する中で、HSPの人は特に、自分でも気づかないうちに多くのストレスをためがちです。自分に合ったセルフケアの方法を知り、日ごろからストレスを軽くできるよう、セルフケアを心がけましょう。
HSPに適した職場についてはこちらの記事をご覧ください。
HSPは仕事が長続きしない?職場選びのコツ3選
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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