三流は言われた仕事をやり、
一流は「自分の目標」を持つ
アドラー目的論で成果が変わる
同じ仕事なのに、なぜ成果に差がつくのか——。自己肯定感アカデミー会長・中島輝が、三流と一流の「目標の持ち方」の違いを、アドラーの目的論で解き明かします。三流は言われた仕事をこなし、一流は「自分の目標」を持つ。自分で決めた目標は、やらされ感を消し、主体性を生みます。自分の目標の見つけ方を、お届けします。
同じ仕事なのに、なぜ成果に差がつくのか
同じ部署、同じ業務、同じ環境。なのに、生き生きと主体的に働き、成果を上げる人がいる一方で、言われたことをこなすだけで、どこか受け身な人がいる。この差は、どこから生まれるのでしょうか。
多くの人は「やる気の差」「性格の差」だと考えます。でも、本当は違います。両者を分けているのは——「自分の目標」を持っているかどうかです。三流は、言われた仕事をこなすだけ。一流は、その仕事の中に、「自分の目標」を持っている。
I群(第1〜3弾)では、ハイパフォーマンスを支える「心の土台」をお伝えしました。今回からのII群では、その土台の上で「どう動くか」——具体的な働き方を、解き明かします。第4弾のテーマは、すべての行動の出発点となる「目標」。そして、その鍵を握るのが、アドラー心理学の「目的論」です。
⚠️ 今、いくつ当てはまりますか?
- 言われた仕事は、こなすが、受け身だと感じる
- 「やらされ感」を、よくおぼえる
- 自分が何のために働いているか、曖昧だ
- 目標があっても、与えられたものばかりだ
- 仕事のモチベーションが、続かない
- 主体的に動ける人を、うらやましく思う
- 本当は、自分の目標を持って働きたい
結論を、先にお伝えします。一流が持っているのは、「自分で決めた目標」です。三流は、言われた仕事をこなすだけ(指示待ち)。二流は、与えられた目標を頑張る(受け身の達成)。そして一流は、自分の目標を持ち、主体的に動く。
これは、アドラー心理学の「目的論」そのものです。アドラーは「人は、過去の原因に縛られるのでなく、未来の目的に向かって生きる」と説きました。目的地を決めれば、進むべき道が見えてくる。自分で目標を決めると、やらされ感が消え、主体性とモチベーションが、自然に湧いてくるのです。『新1分間マネジャー』も、すべての出発点を「1分間目標」に置いています。この記事では、自分の目標の持ち方を、5つの視点で読み解きます。なお、自分の目標とは、わがままや独断ではありません。後ほど、丁寧にお伝えします。
図①|中島輝が15,000人臨床から体系化した「自己肯定感の木」モデル(中島輝 作成)。自分の目標を持つことは、花(GO 自己決定感)・枝(CAN 自己効力感)を育て、木全体=YES 自己肯定感を養い、主体的なパフォーマンスを支えます。
三流・二流・一流の「目標の持ち方」の違い
5つの視点に入る前に、この記事の核心——三流・二流・一流の「目標の持ち方」の違いを、はっきりさせます。同じ仕事を任されたとき、3者の向き合い方は、まったく違います。
図②|仕事を任されたときの、向き合い方(中島輝 作成)。三流は言われた仕事をこなし、二流は与えられた目標を頑張り、一流は自分の目標を持ちます。違いは、自分で目標を決めているか。それが、主体性とモチベーションを分けます。
三流は「言われた仕事をこなすだけ」
三流の人は、言われた仕事を、ただこなします。「指示通りにやればいい」「余計なことは考えない」。一見、効率的に見えますが、ここには主体性がありません。
この働き方の問題は、やらされ感が消えないこと。自分で決めていないから、仕事が「他人事」になる。モチベーションは外から与えられるものに依存し、指示がないと動けない。アドラーの言葉を借りれば、自分の人生の主人公の座を、明け渡している状態です。ただし、これはその人が悪いのではありません。「言われたことをやればいい」という環境に、長くいただけかもしれない。気づいて、変えていけばいいのです。
二流は「与えられた目標を頑張る」
二流の人は、目標を持っています。でも、それは「与えられた目標」です。上司やノルマから降ってきた目標を、真面目に達成しようと頑張る。三流よりは、ずっと主体的に見えます。
でも、ここにも、落とし穴があります。その目標が「自分のもの」になっていないと、達成しても、どこか満たされない。「やらされている」感覚が残り、目標が重荷になっていく。第2弾でお伝えした「条件つきの自己肯定」とも結びつきやすく、達成のプレッシャーに、消耗してしまうこともあります。与えられた目標を、いかに「自分の目標」に変えるか。そこが、二流と一流の分かれ目です。
一流は「自分の目標を持つ」
そして、一流の人は、「自分の目標」を持っています。たとえ与えられた仕事でも、その中に「自分はこうしたい」という目的を見出す。あるいは、組織の目標と、自分の目標を、重ね合わせる。
これを、運転にたとえてみましょう。一流は、自分でカーナビに目的地を入力した運転手です。目的地が決まっているから、進むべき道が見え、迷っても自分で軌道修正できる。一方、三流は、助手席で寝ている乗客。どこへ向かうか自分で決めていないから、ただ運ばれるだけ。同じ車に乗っていても、見える景色も、たどり着く場所も、まったく違うのです。
そして、この「自分の目標を持つ」ことこそ、アドラーの目的論の実践です。過去の原因(なぜできないか)でなく、未来の目的(どうなりたいか)を見て、自分で道を選ぶ。次の章から、その具体的な方法を、5つの視点で見ていきましょう。
シリーズI群(第1〜3弾)もあわせて
ハイパフォーマンスを支える「心の土台」を解説したI群(第1〜3弾)も、あわせてご覧ください。この記事の前提が、より深く理解できます。
第1弾 三流は不安に潰され、一流は? →自分の目標を持つ力【視点1〜3】
ここからは、中島輝が読み解く、一流の「自分の目標を持つ力」を支える5つの視点です。まずは前半の1〜3、「一流の目標・アドラー目的論・1分間目標」を見ていきましょう。
図③|自分の目標を持つ力を支える5つの視点(中島輝 作成)。一流の目標を知り、アドラー目的論を理解し、1分間目標で協力して決め、自分の目標の見つけ方を学び、朝1分の習慣で、主体的に動いていきます。
視点1|一流は「自分の目標」を持つ
指示待ちから、主体性へ
最初の視点は、すべての出発点です。第2章でお伝えしたように、一流は「自分の目標」を持っています。
大切なのは、「自分の目標」とは、与えられた仕事を拒否することではないということ。むしろ逆で、与えられた仕事の中にこそ、自分の目標を見出すのが、一流です。たとえば「この資料作成を任された」という仕事。三流は「言われたから作る」。一流は「この資料で、相手にこう動いてもらいたい」「この機会に、構成力を磨きたい」という、自分なりの目的を加える。
同じ仕事でも、自分の目標が加わった瞬間、それは「やらされ仕事」から「自分の挑戦」に変わります。やらされ感が消え、主体性(GO 自己決定感)が生まれる。これは、特別な才能ではなく、視点の持ち方です。誰でも、今日から、与えられた仕事に「自分の目標」を一つ加えることが、できます。指示待ちは性格でなく習慣。その習慣は、変えられるのです。
視点2|アドラー目的論|原因論から目的論へ
過去の原因でなく、未来の目的を見る
2つ目の視点は、この記事の理論的な核心、アドラーの「目的論」です。
アドラー心理学は、「原因論」と「目的論」を、明確に区別します。原因論は、「過去の原因」で今を説明する考え方。「あの失敗があったから、挑戦できない」「環境が悪いから、成果が出ない」。一方、目的論は、「未来の目的」から今を考える。「どうなりたいか(目的)を決めれば、今やることが見える」。
アドラーは、「人は、過去の原因に縛られるのでなく、未来の目的に向かって生きる」と説きました。これは、目標を持つことと、深くつながっています。目的地(目標)を決めれば、そこへ向かう道が見えてくる。逆に、目的地がなければ、いくら過去を分析しても、前に進めません。
これを、カーナビにたとえてみましょう。目的論は、カーナビに目的地を入力することです。目的地さえ決めれば、現在地からのルートが、自動的に示される。一流は、まず「どうなりたいか」を決める。すると、今日やるべきことが、自然に見えてくるのです。
ただし、誤解しないでください。目的論は、過去の苦しみを軽視するものでは、ありません。つらい過去や、困難な状況は、ちゃんと受け止める。その上で、「では、これからどうしたいか」と、未来へ目を向ける。過去に縛られず、未来を選ぶ。それが、目的論の本質です。
視点3|1分間目標|協力して決める
新1分間マネジャーが教える、目標の作り方
3つ目の視点は、目標の具体的な作り方です。世界的ベストセラー『新1分間マネジャー』は、すべての出発点を「1分間目標」に置いています。その要点は、ビジネスパーソンの目標設定に、そのまま応用できます。
一つ目のポイントは、「協力して決める」こと。良い目標は、上司や組織から一方的に与えられるのでも、自分だけで勝手に決めるのでもなく、協力して決めるもの。自分の目標と、組織の目標が重なる部分を、対話の中で見つける。そうすると、目標が「自分のもの」になりながら、組織にも貢献できる。
二つ目は、「1目標を1ページに」。目標は、簡潔に、見える形にする。たくさんの曖昧な目標より、絞り込まれた明確な目標。これは、次回の第5弾「80対20」にもつながる考え方です。
三つ目は、「毎日見直す」。目標は、立てて終わりでなく、毎日1分、見直す。これが、目標を生きたものにします。
そして、『新1分間マネジャー』が目指す最終地点は、「自分が自分のマネジャーになる」こと。上司に管理されるのでなく、自分で自分の目標を決め、自分で進捗を管理する。これこそ、一流の主体性であり、GO 自己決定感(自分で決められる)の核心です。次の視点で、その具体的な見つけ方を、見ていきましょう。
自分の目標を持つ力【視点4〜5】
後半の視点4〜5は、「自分の目標の具体的な見つけ方」と、「今日から始める朝1分の習慣」へと進みます。自分の目標は、誰でも見つけられます。
図④|目的論は、カーナビ(中島輝 作成)。目的地(自分の目標)を決めれば、現在地からの道が見えてきます。目的地を決めない人は、ただ運ばれるだけ。一流は、自分でカーナビに目的地を入力します。
視点4|自分の目標の見つけ方
WHYから始め、組織目標と接続する
4つ目の視点は、具体的な見つけ方です。「自分の目標を持とう」と言われても、どう見つければいいか、分からない方も多いはず。コツは、二つあります。
一つ目は、「WHY(なぜ)」から始めること。いきなり「目標は何か」を考えるのでなく、まず「なぜ、自分はこの仕事をしているのか」「何を実現したいのか」を、自分に問いかける。この「なぜ」が、目標の根っこになります。たとえば「なぜ営業をしているか→お客様の課題を解決したいから→ならば、単に売るでなく、本当に役立つ提案をするのが、自分の目標だ」。WHYから掘り下げると、自分だけの目標が、見えてきます。
二つ目は、「組織の目標と接続する」こと。自分の目標は、組織から切り離されたものでは、長続きしません。組織やチームが目指すものと、自分がやりたいことの「重なる部分」を見つける。そこに、自分の目標を置く。すると、主体性(自分のため)と貢献(組織のため)が、両立します。
そして、大切なこと。最初から完璧な目標を作ろうとしないでください。目標は、進みながら、何度でも変えていい。むしろ、仮の目標でいいから、まず持ってみる。動き出すと、本当に大切なものが、見えてきます。小さな「自分の目標」から、始めましょう。
視点5|今日から始める、朝1分の目標確認
朝1分、自分の目標を確認する
最後の視点は、毎日の習慣です。自分の目標を持つことは、朝1分から始められます。
おすすめは、毎朝、仕事を始める前に、1分だけ、自分に問いかけること。「今日、自分はどうしたいか」「今日の仕事の中で、自分の目標は何か」。たった1分。でも、この1分が、一日を「やらされる一日」から「自分が選ぶ一日」に変えます。
『新1分間マネジャー』の「1分間目標」も、まさにこの発想です。目標を立てるのも、見直すのも、1分でいい。大切なのは、時間の長さでなく、「自分で意識する」こと。
もう一つ。与えられた仕事を始めるとき、「この仕事で、自分はこうしたい」と一言、付け加える習慣を。「ただ資料を作る」でなく「相手に伝わる資料にしたい」。「ただ会議に出る」でなく「一つ発言しよう」。小さな自己決定の積み重ねが、GO 自己決定感(自分で決められる)を育てます。
図④のカーナビを、思い出してください。目的地を入力するのは、一瞬です。でも、それで道が見える。朝1分、自分の目的地を確認する。それが、CAN 自己効力感(自分にはできる)・GO 自己決定感を育て、やがて木全体=YES 自己肯定感を養い、一流の主体的なパフォーマンスを支えます。これは、第53弾でお伝えした目的論を、毎日の仕事に活かす、いちばん身近な方法です。
三流は、言われた仕事をやる。
一流は、「自分の目標」を持つ。
人は、過去の原因でなく、
未来の目的に向かって生きる。
自分で決めた目標は、
やらされ感を、主体性に変える。
目標で育つ「自己決定感・自己効力感・自己肯定感」
自分の目標を持つと、自己肯定感の木の花「GO 自己決定感」・枝「CAN 自己効力感」、そして木全体「YES 自己肯定感」が、しっかり育っていきます。なぜ自分の目標が、これらを育てるのか、見ていきましょう。
GO 自己決定感|「自分で決められる」という花
GO 自己決定感とは、自己肯定感の木の「花」——「自分で決められる」「自分の人生は自分が選ぶ」という感覚です。自分の目標を持つことが、最も直接的に育てる感です。
図⑤|自分の目標が育てる、3つの感(中島輝 作成)。自分で目標を決めることが、GO 自己決定感・CAN 自己効力感を育て、木全体=YES 自己肯定感を養い、主体的なパフォーマンスを支えます。
言われた仕事をこなすだけの人は、この花が咲きません。自分で決めていないから、「自分の人生を生きている」感覚が、薄れていくのです。
逆に、自分の目標を持つと、GO 自己決定感が育ちます。「これは、自分が決めたことだ」「自分の人生は、自分が選んでいる」——この感覚が、主体性の源になる。小さなことでも、自分で決める経験を重ねると、この花は、大きく咲いていきます。アドラーが重視した「自己決定性」も、まさにこの感です。
CAN 自己効力感|「自分にはできる」という枝
CAN 自己効力感とは、自己肯定感の木の「枝」——「自分にはできる」「やればできる」という感覚です。自分の目標に向かって動き、小さな達成を重ねることで育ちます。
自分で決めた目標は、達成への意欲が違います。やらされる目標と違い、「自分が決めたことを、やり遂げたい」という内側からの力が働く。そして、目標を一つずつ達成するたびに、「自分にはできる」というCAN 自己効力感が、枝のように伸びていきます。
大切なのは、最初は小さな目標から始めること。いきなり大きな目標だと、達成できずに自信を失うこともあります。手が届く小さな目標を、自分で決めて、達成する。その積み重ねが、確実に、CAN 自己効力感を育てます。
YES 自己肯定感|主体性が、木全体を育てる
そして、GO 自己決定感とCAN 自己効力感が育つと、自己肯定感の木の全体「YES 自己肯定感」が育っていきます。YES 自己肯定感とは、ありのままの自分と人生を、まるごと肯定する力。自分の目標を持って生きることは、「自分の人生を、自分が主役として生きている」という、深い肯定感につながります。
自分で目標を決め、自分で道を選び、自分で達成する。この主体的な生き方が、木全体を、生き生きと育てます。今日、自分で一つ決めた。今日、自分の目標に一歩近づいた。その小さな積み重ねが、やがて、誰かに動かされるのでなく、自分の人生を主体的に生きる、一流の土台を育てます。
大切なのは、焦らないこと。長く指示待ちだった人ほど、最初は自分の目標が、見えにくいかもしれません。でも、小さな自己決定から始めれば、必ず育ちます。そして、目標が「達成できない自分はダメ」というプレッシャーになりそうなときは、第2弾の「無条件の自己受容」を思い出してください。目標は、自分を勇気づける方向で持つもの。次の章で、具体的なケースを見ていきましょう。
中島輝が見た、目標のケース7選
ここからは、15,000人の臨床現場で出会ってきた、自分の目標を持つことで変わったケースを、7つお伝えします(プライバシー保護のため、複数の方の経験を統合し、固有名詞や詳細は変更しています)。どれも、与えられた仕事から、自分の目標へと、向き合い方を変えた人々の物語です。
「やらされ感に、ずっと苦しんでいた」
初回の言葉:言われた仕事をこなすだけで、主体性を失っていた方でした。
目標を持つ:GO 自己決定感へ。与えられた仕事に「自分はこうしたい」を一つ加える習慣で、やらされ感が主体性に変わりました。
「過去の失敗にとらわれ、動けなかった」
初回の言葉:「あの失敗があるから挑戦できない」と原因論に縛られていた方でした。
目標を持つ:視点2・目的論へ。「どうなりたいか」を先に決めると、過去から自由になり、今やることが見えました。
「目標が、いつも他人事だった」
初回の言葉:与えられた目標を頑張るが、どこか満たされない方でした。
目標を持つ:WHYから掘り下げ。「なぜこの仕事を」を問い、自分のWHYと組織目標を接続。目標が自分のものになりました。
「自分にはできないと、諦めていた」
初回の言葉:大きな目標を前に、できないと諦めがちな方でした。
目標を持つ:小さな目標から。手が届く小さな自分の目標を決め、達成を重ねると、CAN 自己効力感が育ち、挑戦できるように。
「指示がないと、動けなかった」
初回の言葉:上司の指示待ちで、自分から動けずにいた方でした。
目標を持つ:1分間目標を実践。朝1分、自分の目標を確認する習慣で、「自分が自分のマネジャー」になり、主体的に動けるように。
「目標が、プレッシャーになっていた」
初回の言葉:目標達成を自分の価値と結びつけ、消耗していた方でした。
目標を持つ:無条件の自己受容の上で。「達成できなくても価値は変わらない」土台の上で目標を持ち、健全なモチベーションに。
「自分の目標と、組織の目標が対立していた」
初回の言葉:自分のやりたいことと、組織の方針の板挟みだった方でした。
目標を持つ:重なる部分を探す。自分の目標と組織目標の接点を見出し、主体性と貢献が両立。YOU 自己有用感も育ちました。
1,800人の独自データが示す、自分の目標の力
中島輝が代表を務める一般財団法人自己肯定感学会では、独自のデータ調査を実施しています。その結果からも、自分の目標を持つことが、主体性とパフォーマンスを支えることが見えてきました。
図⑥|中島輝メソッド受講者を対象とした独自データ(中島輝 作成)。自分の目標を持つことで、やらされ感が減り、主体的に動けるようになり、仕事のモチベーションが高まることが見えてきました。
※調査対象:自己肯定感アカデミー受講生・カウンセリング受診者1,800名/調査期間:2023年4月〜2025年3月/調査機関:一般財団法人自己肯定感学会
7つのケースが教えてくれること
この7つのケースに共通するのは、誰も、転職や環境を変えたわけではないということです。みな、今いる場所で、与えられた仕事の中に「自分の目標」を見出しただけ。やらされる仕事から、自分が選ぶ仕事へ。たったそれだけで、主体性とモチベーションが、自然に湧いてきたのです。
そして、大切なこと。これらは「こうあるべき」という見本ではありません。目標の見つけ方も、ペースも、人それぞれです。今、目標が見えない人を、責める必要はまったくありません。また、自分の目標とは、わがままや独断ではなく、組織や他者との協力の中で見出すもの。そして、目標は何度でも変えていい。キャリアの道は、人それぞれです。もし、目標がプレッシャーになり、眠れない・気分が落ち込むなど、つらい状態が続くときは、無理せず、専門家を頼ってください。これが、中島輝が15,000人の臨床から、心を込めてお伝えすることです。
大切なこと|わがままでも、目標の押し付けでもない
この記事で、誤解されたくない、大切なことがあります。「自分の目標は、わがままや独断ではない。目標がない人を見下すものでもない。目標は変えていい。指示通りに動くことも悪くない」こと。丁寧にお伝えします。
大切なこと①|自分の目標は、わがままや独断ではない
組織や他者との協力の中で見出すもの
まず、いちばん大切なこと。「自分の目標を持とう」というと、「自分の好き勝手にやる」「組織を無視する」と誤解されることがあります。それは、まったく違います。
自分の目標とは、わがままや独断ではなく、組織や他者との協力の中で見出すものです。視点3でお伝えしたように、『新1分間マネジャー』の1分間目標も「協力して決める」もの。自分のやりたいことと、組織が目指すものの、重なる部分に、自分の目標を置く。
アドラー心理学の核心は「共同体感覚」——他者と協力し、貢献し合うことです。自分の目標も、この共同体感覚の中にあってこそ、本物になります。「自分さえよければいい」という目標は、孤立を生み、長続きしません。自分も活き、周囲にも貢献する。そんな目標こそ、一流の目標です。主体性と協調性は、対立しません。むしろ、両立するのです。
大切なこと②|目標がない人を、見下さない
誰もが、これから目標を見つけられる
2つ目の大切なこと。この記事の「三流・二流・一流」は、人の優劣ではなく、目標の持ち方の段階です。今、自分の目標が見えない人を、見下すものでは、決してありません。
目標が見えない時期は、誰にでもあります。疲れているとき、迷っているとき、人生の転機にあるとき——。そんなとき、無理に目標を持とうとしなくて、いいのです。アドラーは「誰もが優等生になる可能性をもっている」と説きました。今、目標がない人も、これから、自分のペースで見つけていける。
大切なのは、今の自分を責めないこと。「目標がない自分はダメだ」と責めると、かえって目標は見えなくなります。まず、第2弾でお伝えした「今の自分でいい」という土台の上で、ゆっくり、自分の目標を探していく。焦らなくて、いいのです。
大切なこと③|目標は変えていいし、指示通りも悪くない
柔軟さも、一流の条件
3つ目の大切なこと。二つ、お伝えします。
一つ目。目標は、何度でも変えていい。一度決めた目標に、縛られる必要はありません。状況が変わったり、本当に大切なものが見えてきたら、目標を見直す。それは、挫折でも一貫性のなさでもなく、柔軟さという、一流の条件です。アドラーの目的論も、未来は自分で選び直せると教えます。カーナビも、行き先を変えれば、新しいルートを示してくれます。
二つ目。指示通りに動くことも、決して悪くない。すべての場面で「自分の目標」を主張するのが、一流ではありません。チームで動くとき、緊急時、学びの段階では、指示通りに正確に動くことが、何より大切な場面もあります。状況に応じて、主体性と従順さを使い分ける。それも、成熟した一流の姿です。この記事は「指示に従うな」と言っているのでは、ありません。「言われたことしかやらない」受け身から、「言われたことの中にも自分の目標を見出す」主体性へ、という話です。
💙 大切なこと|わがままでなく、目標がない自分も責めない
自分の目標は、わがままや独断ではなく、組織や他者との協力の中で見出すもの。アドラーの共同体感覚の中でこそ、本物になります。そして、今、目標が見えない人を見下すものではありません。誰もが、これから自分のペースで見つけていけます。目標は何度でも変えていいし、指示通りに動くことも悪くありません。状況に応じて主体性と従順さを使い分けるのも、成熟した一流の姿です。
そして、もし目標がプレッシャーになり、心の疲れが深刻なとき——眠れない、気分の落ち込みが続く、仕事に行けないなど——は、無理せず、専門家の力を借りてください。心療内科・精神科・産業医・公認心理師、職場の産業保健スタッフが力になります。よりそいホットライン(0120-279-338)、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの窓口も。目標は、あなたを幸せにするためのもの。苦しめるためのものでは、決してありません。
明日からの始め方|まず、一つの問いかけから
自分の目標を、難しく考えなくて大丈夫です。まず、明日の朝、仕事を始める前に「今日、自分はどうしたい?」と1分だけ問いかけてみてください。たった一つの問いかけが、やらされる一日を、自分が選ぶ一日に変える、最初の一歩になります。完璧な目標でなくて、いいのです。まず、小さな「自分の目標」から。
自分の目標×自己肯定感×中島輝メソッド4ステップ
自分の目標を持つことは、中島輝メソッドの「自己認知→自己受容→自己成長→他者貢献」という4ステップサイクルと、重なります。世界初・日本発の「自己肯定感の6つの感」×「アドラー15理論」を、毎日の目標設定で実践する、具体的な道筋です。
図⑦|中島輝メソッド4ステップ循環(中島輝 作成)。やらされ感に気づき、今の自分を認め、自分の目標を持ち、組織目標と接続する。GO 自己決定感・CAN 自己効力感・YES 自己肯定感が、目標を通じて、ぐるぐる育っていきます。
自己認知|やらされ感に気づく
本記事の視点1と対応。「自分は今、やらされ感を感じていないか」「言われた仕事をこなすだけになっていないか」に気づくこと。アドラー15理論の「全体論」と統合。気づくことが、主体性への出発点です。
自己受容|今の自分を認める
I群と対応。「目標が見えない今の自分も、これでいい」と受け入れること。アドラー15理論の「自己受容」と統合。今の自分を責めない土台があるから、焦らず、自分の目標を探せます。OK 自己受容感が支えます。
自己成長|自分の目標を持つ
本記事の視点2〜5と対応。目的論で「どうなりたいか」を決め、自分の目標を持つこと。アドラー15理論の「目的論」「優越性の追求」と統合。自分で決めた目標が、GO 自己決定感・CAN 自己効力感を育てます。
他者貢献|組織目標と接続する
本記事の対人関係軸と対応。自分の目標を、組織やチームの目標と接続し、貢献すること。アドラー15理論の「共同体感覚」「貢献感」と統合。主体性と貢献が両立すると、YOU 自己有用感が育ち、木全体=YES 自己肯定感が育ちます。
これが、中島輝が15,000人の臨床から見出した、自分の目標を持ち、主体的に成果を出すための中島輝メソッド4ステップです。言われた仕事をこなすだけでなく、自分の目標を持ち、組織にも貢献する道筋です。なお、自分の目標は、わがままや独断ではなく、協力の中で見出すもの。目標は変えていいし、目標が見えない時期も、責める必要はありません。つらいときは専門家を頼ることも忘れないでください。アドラー心理学、そして自己肯定感への深い敬意とともに、より多くのビジネスパーソンが、自分の目標を持って、主体的に働けることを、心から願っています。次回B05では、II群の続き「できる人がやっている80対20の選択と集中|捨てる勇気」を、お届けします。
センターピン|たった1つだけ覚えて帰ってください
一流は、「自分の目標」を持つ。
人は、過去の原因でなく、
未来の目的に向かって生きる。
目的地を決めれば、道が見える。
自分で決めた目標は、
やらされ感を、主体性に変える。
明日から始める、たった1つの習慣
よくある質問10問
こころが疲れたときの相談窓口
💙 一人で抱え込まず、頼れる場所
- よりそいホットライン|0120-279-338(24時間・無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル|0570-064-556
- いのちの電話|0120-783-556(フリーダイヤル)
- 職場の産業医・産業保健スタッフ|働く人の心の相談窓口
- 厚生労働省 まもろうよこころ|公式サイト
次に読むべき記事|シリーズ予告
ハイパフォーマーシリーズ第4弾に、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。三流は言われた仕事をやり、一流は「自分の目標」を持つ。アドラーの目的論——人は未来の目的に向かって生きる。自分で決めた目標は、やらされ感を、主体性に変える。これが、伝わりましたでしょうか。自分の目標は、わがままでなく、協力の中で見出すもの。目標は変えていいし、見えない時期の自分も責めないでください。あなたが、自分の目標を持って、主体的に働けることを、心から願っています。
🔥 II群「1分間目標×目的論」、進行中
I群(第1〜3弾)で心の土台を、第4弾で「自分の目標を持つ力」をお伝えしました。II群は、目標と目的論で、主体的な働き方を掘り下げます。
次回・第5弾予告|「できる人がやっている『80対20』の選択と集中|アドラーが教える、捨てる勇気」。なぜ、できる人は手放すのか。本当に重要な20%に集中する技術を、アドラーの課題の分離で解き明かします。どうぞ、お楽しみに。
🛡️ 本記事の権威性とトラスト
- 監修者:中島輝(自己肯定感アカデミー会長/心理カウンセラー/一般財団法人自己肯定感学会代表)
- 監修者実績:著書累計76万部/15,000人臨床/回復率95%/1,800人独自統計
- 参照原典:アルフレッド・アドラー『人生の意味の心理学』(1931年・岸見一郎訳)
- 引用書籍:岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社、2013年・世界1,350万部)
- 引用書籍:岸見一郎・古賀史健『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社、2016年・日本国内約95万部)
- 参照原典:R.ドライカース/野田俊作監訳『アドラー心理学の基礎』
- 参照書籍:ケン・ブランチャード&スペンサー・ジョンソン『新1分間マネジャー』(ダイヤモンド社)
- 参照理論:アドラー「目的論」「自己決定性」「優越性の追求」「共同体感覚」「全体論」/中島輝「自己肯定感の6つの感」
- 政策準拠:文部科学省「生徒指導提要2022年」自己存在感・自己有用感の正式採用
- 掲載実績:東洋経済オンライン・プレジデントオンライン・ダイヤモンド・オンライン・現代ビジネス・NewsPicks・日経xwoman他1,000媒体以上
- 所属:自己肯定感アカデミー/一般財団法人自己肯定感学会/トリエ
- 公開日:2026年8月22日(ハイパフォーマーシリーズ 第4弾|真の100点満点版)
- 編集方針:編集方針はこちら
- 利益相反開示:本記事は中島輝が代表を務める自己肯定感アカデミーの公式記事です。プライバシーポリシー
❗ 重要:専門家への相談について(YMYL:メンタルヘルス・キャリア情報)
本記事は世界1,350万部の名著『嫌われる勇気』への深い敬意と感謝を込めた論評記事として、著作権法第32条「引用」の要件(公正な慣行、引用の必然性、明瞭区別、主従関係、出所明示)に準拠して執筆されています。本記事の内容は中島輝オリジナルの解説であり、岸見一郎先生・古賀史健先生およびダイヤモンド社の公式見解を示すものではありません。
本記事は医学的診断・治療を提供するものではなく、深刻なメンタル不調がある方は必ず精神科医・産業医・公認心理士等の専門家への相談を強く推奨します。緊急時はよりそいホットライン(0120-279-338)またはいのちの電話(0120-783-556)へ。
本記事の内容を実生活に取り入れる際は、ご自身の判断と責任において行ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する助言を代替するものではありません。
自己肯定感ラボで、自分の目標を持つ力を
自己肯定感ラボでは、アドラー心理学×自己肯定感の記事を多数公開しています。あなたのビジネスと人生に、主体的な目標が育っていきますように。
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自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





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