本音を言える場所の作り方【中島輝監修】|真実の風土と安心感の心理学

本音を言える場所の作り方【中島輝監修】|真実の風土と安心感の心理学

本音を言える
場所の作り方

職場でも家庭でも、本音を飲み込んでばかり。表面では穏やかに見えても、心の中は言いたいことで溢れている。この状態が続くと、心も関係も静かに枯れていきます。本音を言える場所は、自分で作れます。

中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感と安心感」理論創始者

本音を飲み込んでいる人の心の中

こんな日々を、過ごしていませんか。

読者の声
「言いたかったのに、また飲み込んだ」
場面30代・職場の会議。違和感を感じる意見が出ても、空気を読んで黙ってしまう。家に帰ってから「あの時、こう言えばよかった」と後悔する夜が、何年も続いている。
この苦しさは、性格の問題ではありません。本音を言える場所が、自分の周りに作れていないから起きています。けれど、場所は自分で作れます。

本音を飲み込み続けると、心の中に言わなかった言葉が溜まっていきます。最初は気にならなくても、半年、1年、5年と続くと、心の動きが鈍くなる。自分が何を感じているかすら、わからなくなっていきます。

米国の経営研究者が示した法則

ジム・コリンズは、偉大に飛躍した会社に、ある共通点を発見しました。それは、「真実が語られる風土」があることでした。良い知らせも悪い知らせも、誰もが本音で語れる場所。これが、長期で偉大な成果を生む土台になっていました。

偉大に飛躍した会社には、
誰もが「これは違う」と
言える風土があった

これは会社の話だけではありません。あなたの周りにも、本音を言える場所が必要です。職場、家庭、友人関係、どこか1か所でも、本音が語れる場所があるかどうかで、人生の質は大きく変わります。

3倍
心理的安全性の高い職場と低い職場の、生産性の差
出典:Google「Project Aristotle」2012-2015年・180チーム調査

中島輝より一言

15,000人を見てきて、私は気づきました。本音を飲み込み続ける人ほど、心の病に近づきます。なぜなら、言葉にしなかった感情は、消えるのではなく、内側に溜まり続けるからです。本音を言える場所を作ることは、わがままではなく、心の健康を保つための必要な手入れです。

真実の風土がある関係の特徴

「本音を言える場所」とは、具体的にどんな場所でしょうか。共通する4つの特徴があります。

特徴①|否定されない

本音を言った時、「そんなこと言うな」「考えすぎ」と否定されない場所。意見が違っても、まず聞いてもらえる。同意は要りませんが、否定だけはされない。これが第一の条件です。

特徴②|価値判断を急がない

本音を言った時、「正しい」「間違っている」と急いで判断されない場所。「あなたはそう感じたんですね」と、まず受け止めてもらえる。判断は、後でいい。受け止めが先です。

特徴③|外に持ち出されない

話したことが、知らないところで噂にならない場所。守秘が守られる場所。これがあると、人は安心して本音を出せるようになります。

特徴④|双方向である

自分だけが本音を言うのではなく、相手も本音を言ってくれる場所。一方通行ではなく、お互いに正直になれる関係。これが、本当の真実の風土です。

本音を言えない場所 相手 建前のみ 否定される 判断が急ぐ 噂が広まる 一方通行 心が枯れる 本音を言える場所 相手 受け止められる 急がない 守秘される 双方向 心が育つ 2種類の場所の違い どんな場所にいるかで、心の状態が変わる
▲ 本音を言えない場所では建前だけの会話が続き、心が枯れる。本音を言える場所では双方向の交流が生まれ、心が育つ。

安心感が場所を作る土台

本音を言える場所を作るには、まず自分の中の安心感を育てることが必要です。安心感は、木でいえば土壌の部分。すべての感が育つための土台です。

なぜ安心感が先なのか

自分の中に安心感がない人は、外に安心を求めようとして失敗します。相手に安心を作ってもらおうとするから、相手が冷たくすると一気に崩れる。逆に、自分の中に安心感が育っている人は、場所を選ぶ目場所を作る力を両方持っています。

安心感が育っている人育っていない人
合わない場所からは静かに離れる合わない場所にしがみつく
合う相手を見つけられる誰でもいいから受け入れてほしい
本音を言える相手を一人持っている本音を全員に求めて疲れる
場所がなくても自分を保てる場所がないと崩れる

場所は「すべての関係」で必要ない

多くの人が誤解しているのは、「すべての関係で本音を言わなければ」と思うことです。けれど、現実には、本音を言える場所は1か所か2か所で十分です。職場、家庭、友人、配偶者、カウンセラー、どこか1か所で本音が語れれば、人は健全に生きていけます。

すべての関係で本音を言う必要はない。
1か所か2か所、
本音が語れる場所があれば、
心は確実に守られる。

中島輝より一言

「本音を言える場所がない」と相談に来る方に、私はこう問います。「本当に1人もいませんか?」と。よく聞くと、本音を言える人が1人だけいることが多い。問題は、その1人を頼っていいと自分に許せていないこと。1人で十分です。1人いれば、人は十分に健全に生きていけます。

今日からできる5つの一歩

安心感を育て、本音を言える場所を作る。30秒から始められる5つの一歩です。

STEP 1|30秒
「飲み込んだ言葉」を一つ書く

1日の終わりに、その日飲み込んだ言葉を一つ書きます。「会議で言いたかったこと」「家族に言いたかったこと」、なんでも構いません。書き出すこと自体が、本音を言葉にする訓練です。誰にも見せる必要はありません。

STEP 2|1分
「本音を言える人」を1人挙げる

過去・現在の中で、少しでも本音を言えた相手を1人挙げます。連絡を取っていなくていい。亡くなった人でもいい。「あの人になら言えた」という1人が、必ずいるはずです。これが本音を言える場所の起点です。

STEP 3|3分
「小さな本音」を1つ言ってみる

挙げた相手、または信頼できそうな相手に、小さな本音を一つ言ってみます。「実は今日疲れた」「あの映画、つまらなかった」など。大きな本音ではなく、小さな本音から練習します。

STEP 4|5分
「相手の本音も聞く」を試す

自分が本音を言ったら、相手にも「あなたはどう思う?」と本音を尋ねます。一方通行ではなく、双方向にする。これが、本音を言える場所を育てる最も重要な作業です。

STEP 5|2週間
「本音の記録」を続ける

毎晩、その日に言えた本音と、言えなかった本音を手帳に書きます。言えた数より、言えなかった数を意識することで、次の機会を作れるようになります。場所は、続けることでしか育ちません。

すべての場所で本音を言わなくていい。
1か所、本音を言える場所があれば、
心は確実に守られる。

よくあるご質問

本音を言える人が、本当に1人もいません
家族、友人、知人、カウンセラー、コーチ、信頼できる先輩、SNSの繋がり、どこかに必ずいます。「1人もいない」と感じる時は、安心感が痩せているサインです。まずSTEP1の「飲み込んだ言葉を書く」から始めて、自分の中の本音を整理してください。
本音を言って嫌われるのが怖いです
小さな本音から始めてください。「実は疲れた」「あの料理、好みじゃなかった」など、命に関わらない本音から練習します。小さな本音で受け止めてもらえる経験を積むと、徐々に大きな本音も言えるようになります。
職場で本音を言うのは無理です
無理に職場で言う必要はありません。職場では業務上の本音(意見・違和感)に絞り、感情的な本音は他の場所で吐き出す。場所を使い分けることが、心を保つコツです。
家族にも本音を言えません
家族は、本来最も本音を言える場所のはずですが、現実には最も難しい場所であることも多いです。家族にこだわらず、他の場所(友人、カウンセラー)で本音を言える場所を作ってください。家族との関係は、ゆっくり改善していけば大丈夫です。
本音を言ったら、深く傷ついた経験があります
過去の傷は自然な反応です。一度傷ついた人にもう一度本音を言う必要はありません。違う相手、安全な場所を探してください。専門のカウンセラーは、守秘義務があり、傷つけない訓練を受けています。最初の場所として安全な選択肢です。
本音を言える場所は、
1か所で十分
その1か所を、
自分で育てていく。
安心感の土壌が育てば、
合う場所が自然と見えてくる。

自分を大切にしよう

本音を飲み込み続けることは、決して優しさではありません。心の中に言葉が溜まり、いつか動かなくなる。長く健全に生きるためには、本音を言える場所が必要です。それは、わがままではなく、心の必要な手入れです。

大切なのは、すべての関係で本音を言おうとしないこと。1か所か2か所、本音を語れる場所があれば、人は十分に生きていけます。その1か所を、自分で見つけ、育てていく。小さな本音から、双方向の練習から、少しずつ場所は育ちます。

そして、何より自分の中に安心感を育てること。自分の中の土壌が豊かなら、合う場所を見つける目も、場所を育てる力も、自然と備わります。今日、飲み込んだ言葉を一つだけ、紙に書いてみてください。自分を大切にしよう。あなたの本音は、誰かに届く価値のあるものです。

本記事の科学的根拠

  • 『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(ジム・コリンズ著):第4章「真実が語られる風土」原典
  • Edmondson, A. C. (1999):心理的安全性の研究
  • Google「Project Aristotle」2015年:高業績チームの共通点研究
  • Rogers, C. R. (1957):来談者中心療法・受容と共感の心理学
  • 中島輝(SBクリエイティブ)『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』
監修|中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感と安心感」理論創始者
著書累計77万部・15,000人臨床・回復率95%
本記事は心理学的知見に基づく一般情報です。医学的診断や治療の代わりにはなりません。心身に不調を感じる場合は、医療機関・専門家へのご相談をおすすめします。

無断転載禁止
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP