部下が勝手に育つ上司がやっている、たった1つのこと|アドラー「正しいやり方を見つける」

部下が勝手に育つ上司のたった1つのこと|アドラー
ハイパフォーマーシリーズ 第9弾|中島輝監修

部下が勝手に育つ上司がやっている、
たった1つのこと
アドラー「正しいやり方を見つける」

なぜ、あの上司の下では部下が勝手に育つのか——。自己肯定感アカデミー会長・中島輝が、部下が育つ上司のたった1つのことを、アドラーで解き明かします。三流は手取り足取り管理し、一流は「正しいやり方を見つける」。育てるのでなく、育つ環境を作る。アドラーの共同体感覚で、部下育成の本質を、お届けします。

中島
中島 輝(なかしま てる)
心理カウンセラー・自己肯定感学会代表/自己肯定感アカデミー会長|15,000人カウンセリング実績・回復率95%・1,800人データ・著書累計76万部|東洋経済オンライン・プレジデントオンライン・ダイヤモンド・オンライン 掲載実績多数

なぜ、あの上司の下では部下が勝手に育つのか

同じ会社、同じような部下。なのに、ある上司の下では部下が指示待ちのまま伸び悩み、別の上司の下では部下が次々と自律的に育っていく。手をかけているように見えないのに、なぜか部下が育つ上司がいる。この差は、どこから生まれるのでしょうか。

両者を分けているのは——「部下への関わり方」です。三流は手取り足取り管理し(マイクロマネジメント)、二流は任せると言いながら放任になり、一流は「正しいやり方を見つける」関わりをします。一流の上司は、部下を「育てよう」とコントロールするのでなく、部下が「自分で育つ」環境を作っている。これが、アドラー心理学の「共同体感覚」の実践です。

III群では「ヨイ出し(勇気づけ)」(第7弾)、「自分で自分を認める」(第8弾)と、勇気づけを深めてきました。今回は、その集大成として、勇気づけを「部下育成」に活かす方法を、解き明かします。III群の締めくくりです。

⚠️ 今、いくつ当てはまりますか?

  • 部下に細かく指示しないと、不安になる
  • 任せたいが、つい口を出してしまう
  • 部下が、指示待ちから抜け出せない
  • 放っておくと、部下が育たない気がする
  • 育成に時間をかけても、手応えがない
  • 部下が勝手に育つ上司を、うらやましく思う
  • 本当は、部下の力を引き出せる上司になりたい
💡 3つ以上当てはまった方へ:この記事は、あなたのために書かれています。部下が勝手に育つ上司の「たった1つのこと」と、育てるのでなく育つ環境を作る関わりが、見えてきます。

結論を、先にお伝えします。三流の上司は、手取り足取り管理する(マイクロマネジメント=部下が育たない)。二流は、任せるが放任になる(ほったらかしてバッサリ)。そして一流は、「正しいやり方を見つける」関わりをする(catch them doing right=部下が自分で育つ環境を作る)

そして、部下が勝手に育つ上司の「たった1つのこと」とは——部下のできている点を見つけて勇気づけ、自分で考え動ける環境を作ることです。『新1分間マネジャー』は、放任を「ほったらかしてバッサリ」と戒め、「フィードバックはチャンピオンの朝食」と説きます。育てるのでなく、育つ環境を作る。この記事では、その技術を、5つの視点で読み解きます。なお、部下育成は上司だけの責任ではなく、マイクロマネジメントが必要な場面もあります。後ほど、丁寧にお伝えします。

こんにちは。自己肯定感の第一人者、中島輝です。これまで15,000人以上と向き合う中で、一生懸命なのに部下が育たず、悩む管理職の方に、たくさん出会ってきました。

忖度なく、事実を直視します。部下が勝手に育つ上司は、部下を「育てよう」とせず、「育つ環境」を作っています。手取り足取りでも、放任でもなく、正しいやり方を見つけて勇気づける。アドラーの共同体感覚——信頼の関わりです。一緒に、見ていきましょう。

土|FREE 安心感 実|YOU 自己有用感 花|GO 自己決定感 葉|DO 自己信頼感 枝|CAN 自己効力感 幹|OK 自己受容感 根|BE 自尊心≒自己存在感 中島輝式 自己肯定感の木 木全体|YES 自己肯定感

図①|中島輝が15,000人臨床から体系化した「自己肯定感の木」モデル(中島輝 作成)。部下が育つ関わりは、部下の実(YOU 自己有用感)・枝(CAN 自己効力感)を育て、木全体=YES 自己肯定感を養い、自律的に育つ力を支えます。

📖 中島輝「自己肯定感の6つの感+FREE」
BE 自尊心≒自己存在感|自分には価値がある(文部科学省「生徒指導提要2022年」正式採用)
OK 自己受容感|今の自分でいい
CAN 自己効力感|自分にはできる(本記事のテーマ)
DO 自己信頼感|自分を信じられる
GO 自己決定感|自分で決められる
YOU 自己有用感|誰かの役に立てる(本記事のテーマ・文部科学省「生徒指導提要2022年」正式採用)
FREE 土壌の安心感|この世界は安全(イギリスの心理学者ボウルビィの「安全基地」)+木全体=YES 自己肯定感(本記事のテーマ)

三流・二流・一流の「部下への関わり方」の違い

5つの視点に入る前に、この記事の核心——三流・二流・一流の「部下への関わり方」の違いを、はっきりさせます。部下に仕事を任せるとき、3者の関わり方は、まったく違います。

部下に仕事を任せるときの、関わり方 三流 手取り足取り管理する 「全部指示する」(マイクロマネジメント・育たない) 二流 任せるが、放任になる 「あとは任せた」(ほったらかしてバッサリ) 一流 正しいやり方を見つける 「できている点を勇気づける」(育つ環境) 差は、育つ環境を作れるか

図②|部下に仕事を任せるときの、関わり方(中島輝 作成)。三流は手取り足取り管理し、二流は放任になり、一流は正しいやり方を見つけて勇気づけます。違いは、部下が自分で育つ環境を作れるかです。

三流は「手取り足取り管理する」

三流の上司は、部下を手取り足取り、細かく管理します。「これはこうやって」「次はこうして」「そこは違う、こうだ」。すべてを指示し、細部まで口を出す。いわゆるマイクロマネジメントです。

本人は、熱心に「育てている」つもりです。でも、結果は逆。部下は、自分で考える機会を奪われ、指示待ちになります。盆栽を針金で縛りすぎると、自然な成長が止まるように、上司が縛りすぎると、部下は伸びられない。さらに、「信頼されていない」と感じ、勇気をくじかれることも。一生懸命なのに部下が育たない上司の多くが、この罠に陥っています。ただし、新人の最初の指導など、丁寧に手をかけるべき段階もあります。これは後ほど触れます。

二流は「任せるが、放任になる」

二流の上司は、マイクロマネジメントの弊害に気づき、「任せよう」とします。三流より、ずっと良い。でも、その「任せる」が、「放任」になってしまうのです。「あとは任せた」と言ったきり、関わりを放棄する。

『新1分間マネジャー』は、これを「ほったらかしてバッサリ」と呼び、戒めています。普段は放っておいて、部下が失敗したときだけ、バッサリと厳しく叱る。これでは、部下は育ちません。水もやらず放置した植物が、枯れていくように、関わりを放棄された部下は、伸び悩み、孤立する。「任せる」と「放任」は、まったく違うのに、二流はここを混同してしまうのです。

一流は「正しいやり方を見つける」

そして、一流の上司は、はっきり違います。「正しいやり方を見つける(catch them doing right)」関わりをします。部下のできている点を見つけて勇気づけ、自分で考え動ける環境を作る。

これを、庭づくりにたとえてみましょう。三流は、盆栽を針金で縛りすぎる庭師。形を強制し、自然な成長を止める。二流は、水もやらず放置する庭師。関わらず、枯らしてしまう。一流は、良い庭師です。土を耕し、水と光を与え、環境を整える。そして、植物が自分の力で育つのを、信じて見守る。庭師は、植物を「引っ張って伸ばす」ことはできません。できるのは、育つ環境を整えることだけ

これが、部下が勝手に育つ上司の、たった1つのことです。育てる(コントロールする)のでなく、育つ環境を作る。その土台にあるのが、アドラーの「共同体感覚」——部下を、管理する対象でなく、信頼する仲間として、横の関係で関わることです。次の章から、その具体的な技術を、5つの視点で見ていきましょう。

シリーズ第6弾・第7弾もあわせて

「自分が自分の上司になる」(第6弾)、「ヨイ出し」(第7弾)も、あわせてご覧ください。自分を導け、勇気づけられる人が、部下も育てられます。

第7弾 三流はダメ出し、一流はヨイ出し →

部下が育つ関わりの技術【視点1〜3】

ここからは、中島輝が読み解く、一流の「部下が育つ関わり」を支える5つの視点です。まずは前半の1〜3、「たった1つのこと・育たない理由・アドラー共同体感覚」を見ていきましょう。

部下が育つ関わり|5つの視点 1 部下が勝手に育つたった1つ 育てるでなく育つ環境を 2 管理/放任がなぜ育たないか 縛りすぎも放置もダメ 3 アドラー共同体感覚 横の関係で信頼する 4 正しいやり方を見つける技術 勇気づけ・任せて見守る 5 できている点を1つ見つける 今日から始める習慣 5つの視点で、部下が育つ環境を作る

図③|部下が育つ関わりを支える5つの視点(中島輝 作成)。たった1つのことを知り、管理や放任が育たない理由を理解し、共同体感覚を学び、正しいやり方を見つける技術を身につけ、できている点を見つける習慣で、部下が育つ環境を作ります。

視点1|部下が勝手に育つ、たった1つのこと

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育てるのでなく、育つ環境を作る

最初の視点は、この記事の核心です。部下が勝手に育つ上司の、たった1つのこと——それは、「育てる」のでなく、「育つ環境を作る」ことです。

多くの上司は、部下を「育てよう」とします。でも、この「育てる」には、無意識のうちに「自分がコントロールして、部下を変える」という発想が、隠れています。だから、細かく指示し、管理する(マイクロマネジメント)。

一流の上司は、発想が逆です。部下は、本来、自分で育つ力を持っていると信じる。上司の役割は、その力を引き出し、部下が自分で育つ環境を整えることだ、と考える。

良い庭師を、思い出してください。庭師は、植物を引っ張って伸ばすことは、できません。できるのは、土を耕し、水と光を与え、育つ環境を整えること。あとは、植物が自分の力で育つのを、信じて見守る。部下育成も、まったく同じです。

具体的に「育つ環境」とは何か。それは、①部下のできている点を見つけて勇気づける(安心して挑戦できる)②自分で考え、決める余地を与える(自律が育つ)③困ったときに支える土台がある(信頼がある)——この3つです。コントロールでなく、信頼と勇気づけ。これが、部下が勝手に育つ、たった1つのことです。

視点2|マイクロマネジメントと放任が、なぜ育たないのか

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縛りすぎても、放置しても、育たない

2つ目の視点は、両極端——マイクロマネジメントと放任が、なぜ部下を育てないのか、です。

まず、マイクロマネジメント(縛りすぎ)。手取り足取り管理すると、部下は「自分で考える機会」を奪われます。すべて指示されるので、指示待ちになり、自律する力が育たない。さらに、「信頼されていない」と感じ、勇気をくじかれる。盆栽を針金で縛りすぎると、自然な枝ぶりが失われるように、部下の個性や主体性も、失われていきます。

次に、放任(放置)。これは、マイクロマネジメントの逆ですが、結果は同じく、育ちません。「任せた」と言って関わりを放棄すると、部下は孤立し、迷い、伸び悩む。『新1分間マネジャー』が戒める「ほったらかしてバッサリ」——普段は放置し、失敗時だけ叱る——は、最悪のパターン。部下は、何が正しいか分からないまま放置され、失敗すれば責められる。これでは、信頼も成長も、生まれません。

共通する問題は何か。どちらも、部下を「信頼して、適切に関わる」ことが、できていないのです。縛りすぎは「信頼せず、過剰に関わる」。放任は「関わりを放棄する」。一流は、その中間——信頼して、適切に関わり、見守る。次の視点で、その土台となる考え方を、見ていきましょう。

視点3|アドラー「共同体感覚」|横の関係で信頼する

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部下を、管理する対象でなく、信頼する仲間に

3つ目の視点は、この記事の理論的な核心、アドラーの「共同体感覚」です。部下が育つ関わりの、土台です。

共同体感覚とは、他者を仲間と感じ、信頼し、貢献し合えるという感覚で、アドラー心理学の中心概念です。これを部下育成に応用すると、こうなります。上司と部下が、上下の縦の関係でなく、対等な横の関係で、信頼し合う

マイクロマネジメントする上司は、部下を「管理する対象」「自分より下の者」と見ています(縦の関係)。だから、信頼せず、細かく口を出す。一方、一流の上司は、部下を「共に目標へ向かう仲間」として見る(横の関係)。役職の上下はあっても、人間としては対等。その信頼があるからこそ、安心して任せられ、部下も安心して挑戦できる。

第7弾でお伝えした「勇気づけ」も、この横の関係が土台でした。第76弾「縦の関係から横の関係へ」とも、深くつながっています。部下は、信頼されると、その信頼に応えようと、自分で育っていく。逆に、信頼されない(管理される)と、萎縮し、指示待ちになる。

大切なのは、これは部下を操作する技術では、ないということ。「こう関われば部下が思い通りに動く」というテクニックでは、ありません。土台にあるのは、部下を本当に信頼する、という心です。信頼は、演技できません。心から部下を信頼し、その力を信じる。その姿勢が、部下に伝わり、部下を育てる。次の視点で、具体的な技術を見ていきましょう。

部下が育つ関わりの技術【視点4〜5】

後半の視点4〜5は、「正しいやり方を見つける具体的な技術」と、「今日から始める習慣」へと進みます。部下が育つ関わりは、誰でも身につけられます。

3人の庭師で、育ち方が変わる 三流|縛りすぎ 針金で縛りすぎ 自然に育たない 二流|放置 水もやらず放置 枯れてしまう 一流|良い庭師 環境を整え見守る 自ら育つ 良い庭師は、植物が自分で育つ環境を整える 引っ張って伸ばすのでなく、育つのを助ける

図④|3人の庭師で、育ち方が変わる(中島輝 作成)。縛りすぎる庭師は自然な成長を止め、放置する庭師は枯らし、良い庭師は環境を整え見守って自ら育つのを助けます。一流の上司は、良い庭師です。

視点4|正しいやり方を見つける技術

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勇気づけ・フィードバック・任せて見守る

4つ目の視点は、具体的な技術です。「正しいやり方を見つける(catch them doing right)」関わりには、三つのコツがあります。

一つ目、できている点を見つけて、勇気づける。第7弾のヨイ出しそのものです。多くの上司は、部下の「できていない点」を探します(ダメ出し)。一流は、「できている点」を見つけ、勇気づける。「この進め方、いいね」「丁寧にやってくれて、助かるよ」。できている点を認められると、部下は安心し、自信を持って、自分で動けるようになります。

二つ目、フィードバックを、こまめに与える。『新1分間マネジャー』は「フィードバックはチャンピオンの朝食」と説きます。チャンピオンが朝食を欠かさないように、成長には、こまめなフィードバックが欠かせない。放置(ほったらかし)でなく、ちょうど良いタイミングで、できている点・改善点を、具体的に伝える。これが、部下の成長を、加速させます。

三つ目、任せて、見守る。部下に仕事を任せたら、細かく口を出さず、信頼して見守る。ただし、放任とは違います。目標は共有し、困ったときには相談に乗れる態勢を保ちつつ、実行は本人に委ねる。見守るとは、無関心でなく、信頼を土台にした、温かい関与です。部下が自分で考え、試し、ときに失敗しながら学ぶ。その過程を、信じて見守る。

この三つに共通するのは、部下を信頼し、その力を信じるという姿勢です。技術の前に、この信頼が土台にあってこそ、部下は育つのです。

視点5|今日から始める、できている点を1つ見つける

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部下のできている点を、1日1つ見つける

最後の視点は、毎日の習慣です。部下が育つ関わりは、「部下のできている点を、1日1つ見つける」ことから始められます。

多くの上司は、無意識に、部下の「できていない点」を探しています。気になるところ、直したいところに、目が行く。でも、それを意識的に逆転させる。1日1つ、部下の「できている点」を、見つける。「今日、あの対応は丁寧だった」「報告のタイミングが良かった」。

そして、見つけたら、できれば言葉にして伝える。第7弾のヨイ出しです。「さっきの対応、良かったよ」。評価(えらい)でなく、共感や感謝(助かった・良かった)の形で。これが、部下の「できている」を強化し、安心して動ける環境を、作っていきます。

最初は、「できている点」が、なかなか見つからないかもしれません。長く「ダメ探し」をしてきた人ほど、そうです。でも、意識して探すうちに、部下の良いところが、自然に見えるようになります。すると不思議なことに、部下も変わり始める。認められた部下は、自信を持ち、自分で考え、動き出す。

図④の良い庭師を、思い出してください。できている点を見つけて勇気づけることは、植物に水と光を与えること。1日1つ、部下のできている点を見つける。それが、部下のCAN 自己効力感(自分にはできる)・YOU 自己有用感(誰かの役に立てる)を育て、やがて部下の木全体=YES 自己肯定感を養い、自分で育つ力を支えます。これは、第76弾でお伝えした横の関係を、部下育成に活かす方法です。

三流は、手取り足取り管理する。
一流は、「正しいやり方を見つける」。

育てるのでなく、育つ環境を作る。
良い庭師のように、
信頼して、勇気づけ、見守る。

部下は、信頼されると、
その信頼に応えて、自分で育つ

この関わりで育つ「自己有用感・自己効力感・自己肯定感」

「正しいやり方を見つける」関わりをすると、部下の自己肯定感の木の実「YOU 自己有用感」・枝「CAN 自己効力感」、そして木全体「YES 自己肯定感」が、育っていきます。そして、それは上司自身の自己肯定感も育てます。なぜこの関わりが、これらを育てるのか、見ていきましょう。

CAN 自己効力感|部下の「自分にはできる」という枝

CAN 自己効力感とは、自己肯定感の木の「枝」——「自分にはできる」という感覚です。できている点を勇気づけられ、自分で考え動く経験を重ねることで育ちます。

この関わりが育てる、3つの感 自分で育つ力 指示待ちから自律へ CAN 自己効力感 自分にはできる (枝) YOU 自己有用感 誰かの役に立てる (実) YES 自己肯定感 価値がある (木全体) 信頼と勇気づけが、自分で育つ力を生む 部下にも、そして上司自身にも

図⑤|この関わりが育てる、3つの感(中島輝 作成)。正しいやり方を見つける関わりが、部下のCAN 自己効力感・YOU 自己有用感を育て、木全体=YES 自己肯定感を養い、自分で育つ力を支えます。そして上司自身の感も育ちます。

マイクロマネジメントされる部下は、この枝が育ちません。すべて指示されるので、「自分でできた」という実感が、得られないからです。

逆に、できている点を勇気づけられ、自分で考え動くことを任されると、CAN 自己効力感が育ちます。「自分で考えて、できた」「任せてもらえた」——この経験が、自分への信頼を、枝のように伸ばす。自分でやり遂げた経験こそが、自己効力感を育てる、何よりの栄養なのです。

YOU 自己有用感|部下の「誰かの役に立てる」という実

YOU 自己有用感とは、自己肯定感の木の「実」——「誰かの役に立てる」という感覚です。「助かったよ」「ありがとう」という勇気づけで育ちます。

横の関係で信頼され、貢献を認められると、部下のYOU 自己有用感が育ちます。「自分は、チームの役に立てている」——この実感が、仕事への意欲と、組織への貢献を、深めていく。

そして、ここが大切。この関わりは、上司自身のYOU 自己有用感も育てます。部下が育つのを見守り、その成長を喜べたとき、上司は「自分は、人を育てる役に立てた」と感じる。部下を育てることは、上司自身の自己肯定感をも、育てるのです。共同体感覚——共に貢献し合う関係——が、ここで実を結びます。

YES 自己肯定感|信頼が、木全体を育てる

そして、CAN 自己効力感とYOU 自己有用感が育つと、自己肯定感の木の全体「YES 自己肯定感」が育っていきます。「正しいやり方を見つける」関わりは、部下の木全体を育てる、良い庭師の水やりなのです。

大切なのは、この関わりは、双方向に育つということ。部下が育つだけでなく、信頼して見守り、勇気づける上司自身も、人を育てる喜びと、自己有用感を得て、育っていく。良い庭師が、植物の成長を喜ぶように。今日、部下のできている点を1つ見つけられた。今日、部下を信頼して任せられた。その小さな積み重ねが、やがて、部下が勝手に育つ、最高のチームを育てます。

大切なのは、焦らないこと。長くマイクロマネジメントしてきた人ほど、最初は手放すことに、不安を感じるかもしれません。でも、できている点を1つ見つけることから始めれば、必ず変わります。そして、部下育成に悩み、つらい状態が続くときは、一人で抱えず、上司や人事、専門家に相談してください。部下育成は、あなた一人の責任では、ありません。次の章で、具体的なケースを見ていきましょう。

中島輝が見た、部下育成のケース7選

ここからは、15,000人の臨床現場で出会ってきた、部下育成の関わりを変えたケースを、7つお伝えします(プライバシー保護のため、複数の方の経験を統合し、固有名詞や詳細は変更しています)。どれも、マイクロマネジメントや放任から、正しいやり方を見つける関わりへと、変わった人々の物語です。

CASE 01|マイクロマネジメントから
「細かく指示しないと、不安だった」

初回の言葉:手取り足取り管理し、部下が指示待ちで悩む管理職の方でした。

育つ環境へ視点1・育つ環境を作る。指示を減らし、できている点を勇気づけると、部下が自分で考え動き出しました。

CASE 02|放任から
「任せたつもりが、放任になっていた」

初回の言葉:「任せた」と言ったきり、部下が孤立し伸び悩んでいた方でした。

育つ環境へ任せて見守るへ。目標を共有し、こまめにフィードバックしつつ実行は委ね、部下が安心して育つように。

CASE 03|共同体感覚へ
「部下を、管理する対象としか見ていなかった」

初回の言葉:上下の縦の関係で接し、部下と距離があった方でした。

育つ環境へ横の関係で。部下を「共に向かう仲間」と信頼すると、部下が応えようと自律的に育ちました。

CASE 04|ダメ探しから
「部下のできていない点ばかり、見ていた」

初回の言葉:欠点の指摘に終始し、部下が萎縮していた方でした。

育つ環境へできている点を見つける。「ダメ探し」を「ヨイ探し」に変えると、部下が自信を持ち動けるように。

CASE 05|CAN 自己効力感へ
「自分でやった方が早いと、抱え込んでいた」

初回の言葉:部下に任せられず、自分で抱え込んで疲弊していた方でした。

育つ環境へ信頼して任せる。部下に任せて見守ると、部下のCAN 自己効力感が育ち、自分の負担も減りました。

CASE 06|フィードバックの習慣
「失敗したときだけ、叱っていた」

初回の言葉:ほったらかしてバッサリ叱る関わりで、信頼を失っていた方でした。

育つ環境へこまめなフィードバックを。「チャンピオンの朝食」のように日常的に関わると、信頼と成長が生まれました。

CASE 07|YOU 自己有用感へ
「後輩指導が、うまくいかなかった」

初回の言葉:管理職でないが、後輩育成に悩む若手の方でした。

育つ環境へ後輩にも応用。できている点を勇気づける関わりで後輩が育ち、自分のYOU 自己有用感も育ちました。

1,800人の独自データが示す、この関わりの力

中島輝が代表を務める一般財団法人自己肯定感学会では、独自のデータ調査を実施しています。その結果からも、正しいやり方を見つける関わりが、部下の成長と信頼関係を支えることが見えてきました。

1,800人独自データ|この関わりが部下を育てる できている点を勇気づけ、部下が自律的に 85% 信頼して任せると、部下との関係が良くなった 83% 部下を育てることで、自分の充実感も高まった 81% 信頼と勇気づけが、部下と上司を共に育てる

図⑥|中島輝メソッド受講者を対象とした独自データ(中島輝 作成)。正しいやり方を見つける関わりを実践することで、部下が自律的になり、信頼して任せると関係が良くなり、部下を育てることで上司自身の充実感も高まることが見えてきました。

※調査対象:自己肯定感アカデミー受講生・カウンセリング受診者1,800名/調査期間:2023年4月〜2025年3月/調査機関:一般財団法人自己肯定感学会

7つのケースが教えてくれること

この7つのケースに共通するのは、誰も、部下を甘やかしたわけでも、放任したわけでもないということです。みな、マイクロマネジメントや放任から、信頼して勇気づけ、見守る関わりへと、変わっただけ。コントロールから、信頼へ。たったそれだけで、部下が勝手に育ち始め、上司自身も充実感を得たのです。

そして、大切なこと。これらは「こうあるべき」という見本ではありません。関わり方も、ペースも、部下の個性も、人それぞれです。また、部下育成は、上司だけの責任ではありません。部下本人の主体性も、組織のサポートも、同じくらい大切です。すべてを上司が背負う必要はありません。そして、マイクロマネジメントが必要な段階(新人・緊急時・安全業務)もあり、放任と任せるは違います。この関わりは、部下を操作する技術でなく、信頼が土台です。なお、部下育成に悩み、つらい状態が続くときは、一人で抱えず、相談してください。これが、中島輝が15,000人の臨床から、心を込めてお伝えすることです。

大切なこと|部下育成は、上司だけの責任ではない

この記事で、誤解されたくない、大切なことがあります。「部下育成は上司だけの責任ではない。マイクロマネジメントが必要な段階もある。放任と任せるは違う。部下を操作する技術ではなく、管理職でなくても応用できる」。丁寧にお伝えします。

大切なこと①|部下育成は、上司だけの責任ではない

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本人も、組織も、共に育てる

まず、いちばん大切なこと。この記事は「上司の関わり方」をお伝えしましたが、部下育成は、上司だけの責任では、ありません

部下が育つかどうかは、上司の関わりだけで、決まるものではない。部下本人の主体性、学ぶ意欲も大切ですし、組織の制度、チームの文化、適切な業務配分といった環境も、大きく影響します。上司一人が、すべてを背負う必要は、ないのです。

むしろ、「部下が育たないのは、すべて自分の責任だ」と上司が抱え込みすぎると、上司自身が、燃え尽きてしまいます。第6弾でお伝えした通り、すべてを自己責任にしないこと。上司にできるのは、「育つ環境を整える」こと。でも、実際に育つかどうかは、本人と環境にも、委ねられている部分があります。

やるべき関わりを、誠実にする。その上で、結果は、本人や状況にも委ねる。これは、第5弾・第8弾でお伝えした「課題の分離」でもあります。上司の課題(環境を整える)と、部下の課題(自分で育つ)を、分ける。抱え込みすぎず、でも誠実に関わる。そのバランスが、大切です。

大切なこと②|マイクロマネジメントが必要な段階もある

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相手の成長段階に応じて、関わりを変える

2つ目の大切なこと。この記事はマイクロマネジメントの弊害を述べましたが、丁寧に手をかけるべき段階も、確かにあります

たとえば、新人の最初の指導。まだ仕事の基本が分からない段階では、丁寧に、具体的に教える必要があります。安全に関わる業務、ミスが許されない重要な業務、緊急時なども、しっかり指示し、確認することが大切です。これらの場面で「自分で考えて」と放置するのは、かえって無責任です。

大切なのは、相手の成長段階や、状況に応じて、関わり方を変えること。『新1分間マネジャー』の考え方でも、相手の習熟度に応じて、指示的な関わりから、任せる関わりへと、変えていくことが説かれています。

問題なのは、マイクロマネジメント「そのもの」でなく、いつまでも、どんな相手にも、細かく管理し続けることです。新人には手をかけ、成長したら任せていく。相手をよく見て、関わりを調整する。一律でなく、相手に合わせる。それが、本当に部下を育てる、しなやかな関わりです。

大切なこと③|放任と任せるは違い、操作の技術でもない

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信頼が土台、後輩や周囲にも応用できる

3つ目の大切なこと。三つ、お伝えします。

一つ目。「放任」と「任せる」は、まったく違います。放任は、関わりを放棄する「無関心」。任せるは、信頼を土台にした「見守る関与」。距離は置いても、関心と信頼は手放さない。目標は共有し、困ったときには支える。「任せる」を「放任」と取り違えないでください。

二つ目。この関わりは、部下を操作する技術では、ありません。「こう関われば部下が思い通りに動く」というテクニックとして使うと、必ず見抜かれ、信頼を失います。土台にあるのは、部下を本当に信頼する、という心。信頼は、演技できません。心から相手の力を信じる。その姿勢が、相手に伝わるのです。

三つ目。この関わりは、管理職でなくても、応用できます。後輩指導、同僚との協働、チームでの関わり、さらには家族や子育てにも。本質は「相手を信頼し、できている点を勇気づけ、自分で育つ環境を整える」こと。どんな立場でも、誰に対してでも使える、人との関わりの基本です。管理職の方も、そうでない方も、ぜひ、身近な誰かとの関わりで、活かしてみてください。

💙 大切なこと|上司だけの責任にせず、信頼を土台に

部下育成は、上司だけの責任ではありません。部下本人の主体性も、組織のサポートも大切で、すべてを抱え込まないこと。また、新人の指導・安全業務・緊急時など、丁寧に手をかけるべき段階もあります。相手の成長段階に応じて、関わりを変えましょう。「放任」と「任せる」は違い、任せるは信頼を土台にした見守る関与です。そして、これは部下を操作する技術ではなく、信頼が土台。管理職でなくても、後輩や周囲との関わりに応用できます。

そして、もし、部下育成に悩み、心の疲れが深刻なとき——眠れない、気分の落ち込みが続く、管理職としてつらいなど——は、一人で抱えず、上司や人事、専門家の力を借りてください。心療内科・精神科・産業医・公認心理師、職場の産業保健スタッフが力になります。よりそいホットライン(0120-279-338)、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの窓口も。部下育成も、一人で背負わなくていいのです。一人で抱えないでくださいね。

明日からの始め方|まず、できている点を1つ見つける

部下が育つ関わりを、難しく考えなくて大丈夫です。まず、明日、部下や後輩の「できている点」を、1つ見つけてみてください。「あの対応、丁寧だった」「報告のタイミングが良かった」。そして、できれば「良かったよ」と伝える。たった1つの「できている点」を見つけることが、ダメ探しから、育つ環境づくりへの、最初の一歩になります。

部下育成×自己肯定感×中島輝メソッド4ステップ

「正しいやり方を見つける」部下育成は、中島輝メソッドの「自己認知→自己受容→自己成長→他者貢献」という4ステップサイクルと、重なります。世界初・日本発の「自己肯定感の6つの感」×「アドラー15理論」を、毎日の部下育成で実践する、具体的な道筋です。

中島輝メソッド|4ステップ循環 部下が育つ環境を作る 中島輝 メソッド STEP1 自己認知 関わり方のクセに気づく STEP2 自己受容 完璧な上司でなくていい STEP3 自己成長 信頼して見守る STEP4 他者貢献 部下が育ち、自分も育つ

図⑦|中島輝メソッド4ステップ循環(中島輝 作成)。関わり方のクセに気づき、完璧な上司でなくていいと受け入れ、信頼して見守り、部下が育ち自分も育つ。部下のCAN 自己効力感・YOU 自己有用感・YES 自己肯定感が、ぐるぐる育ちます。

自己認知|関わり方のクセに気づく

本記事の視点2と対応。「自分は、マイクロマネジメントや放任になっていないか」「ダメ探しをしていないか」に気づくこと。アドラー15理論の「全体論」と統合。気づくことが、部下が育つ関わりの出発点です。

自己受容|完璧な上司でなくていい

本記事の第7章と対応。「完璧な上司でなくていい。すべてを背負わなくていい」と受け入れること。アドラー15理論の「自己受容」と統合。上司自身が自分を認められると、OK 自己受容感が育ち、余裕を持って部下に関われます。

自己成長|信頼して見守る

本記事の視点1・4と対応。正しいやり方を見つけ、勇気づけ、信頼して見守ること。アドラー15理論の「共同体感覚」「勇気づけ」と統合。信頼して任せられると、部下のCAN 自己効力感が育ちます。

他者貢献|部下が育ち、自分も育つ

本記事の対人関係軸と対応。部下が自律的に育ち、その成長に貢献できること。アドラー15理論の「貢献感」「共同体感覚」と統合。部下が育つと、部下のYOU 自己有用感が育ち、人を育てた上司自身のYOU 自己有用感も育ち、木全体=YES 自己肯定感が、双方に育ちます。

これが、中島輝が15,000人の臨床から見出した、部下が勝手に育つ環境を作る中島輝メソッド4ステップです。手取り足取り管理したり、放任したりするのでなく、信頼と勇気づけで、部下が自分で育つ環境を作る道筋です。なお、部下育成は上司だけの責任でなく、マイクロマネジメントが必要な段階もあり、放任と任せるは違います。これは部下を操作する技術でなく信頼が土台で、管理職でなくても応用できます。つらいときは一人で抱えず相談してください。これで、III群(1分間称賛×勇気づけ)の3本——ヨイ出し・自分を認める・部下が育つ関わり——が、出そろいました。アドラー心理学、そして自己肯定感への深い敬意とともに、より多くのビジネスパーソンが、人を育て、共に育つ関わりを、実践できることを、心から願っています。次回B10からは、IV群「1分間修正×課題の分離」へ。「三流は感情で叱り、一流は『軌道修正』する」を、お届けします。

中島輝メソッドを体系的に学ぶ

自己肯定感アカデミーでは、中島輝メソッドを体系的に学べる講座を開催しています。部下が育つ関わりを、さらに深めたい方へ。育成に悩んだら、一人で抱えず頼ってくださいね。

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センターピン|たった1つだけ覚えて帰ってください

─── CENTER PIN ───
三流は、手取り足取り管理する。
一流は、「正しいやり方を見つける」。
部下が勝手に育つ、たった1つは、
育てるのでなく、育つ環境を作ること。
良い庭師のように、
信頼し、勇気づけ、見守る。
部下は、信頼されると、
その信頼に応えて、自分で育つ。
三流は手取り足取り管理し(マイクロマネジメント)、二流は任せるが放任になり(ほったらかしてバッサリ)、一流は「正しいやり方を見つける」関わりをします。部下が勝手に育つたった1つは、育てるのでなく、育つ環境を作ること。アドラーの共同体感覚——横の関係で信頼する。良い庭師のように、できている点を勇気づけ、信頼して見守る。まず部下のできている点を1日1つ見つけることから。なお、部下育成は上司だけの責任でなく、操作の技術でもなく、信頼が土台です。

明日から始める、たった1つの習慣

もし、5つの視点を覚えるのが大変なら、たった1つだけ持ち帰ってください。それは——

部下のできている点を、1日1つ見つける

これだけです。私たちは、つい、部下の「できていない点」「直したい点」に、目が行きます。気になるところを指摘し、管理しようとする。でも、それでは、部下は育ちません。

意識して、逆転させてみてください。1日1つ、部下の「できている点」を、見つける。「今日、あの対応は丁寧だった」「報告のタイミングが良かった」。そして、できれば「良かったよ」と、伝える。

これは、アドラーの共同体感覚と、『新1分間マネジャー』の「正しいやり方を見つける」を、毎日に活かすことです。部下を、管理する対象でなく、信頼する仲間として見る。できている点を勇気づけ、自分で育つ環境を作る。

盆栽を縛りすぎても、水もやらず放置しても、植物は育ちません。良い庭師のように、環境を整え、信頼して見守る。部下は、信頼されると、その信頼に応えて、自分で育っていきます

そして、部下が育つのを見守ることは、あなた自身の喜びと、自己有用感も育てます。なお、部下育成は、あなた一人の責任では、ありません。本人の主体性も、組織のサポートも大切。新人には丁寧に手をかける段階もあります。一人で抱え込まず、つらいときは相談してくださいね。あなたが、部下と共に育つ、良い庭師になれることを、心から願っています。

よくある質問10問

部下が勝手に育つ上司の「たった1つのこと」とは?
部下のできている点を見つけて勇気づけ、自分で考え動ける環境を作ることです。三流は手取り足取り管理して育たず、二流は放任になり(ほったらかしてバッサリ)、一流は「正しいやり方を見つける(catch them doing right)」。できる上司は部下を「育てよう」とコントロールするのでなく、部下が「自分で育つ」環境を作っています。アドラーの共同体感覚——横の関係で信頼する——の実践です。なお、部下育成は上司だけの責任でなく、本人や組織の関わりも大切です。
マイクロマネジメントは、なぜ部下が育たないのですか?
手取り足取り管理すると、部下は「自分で考える機会」を奪われるからです。盆栽を針金で縛りすぎると成長が止まるように、上司が何でも指示すると、部下は指示待ちになり、自律する力が育ちません。信頼されていないと感じ、勇気をくじかれることも。ただし、マイクロマネジメントが必要な段階もあります。新人の指導、安全業務、緊急時など。問題なのは、いつまでも細かく管理し続けること。相手の成長段階に応じて、関わりを変えることが大切です。
アドラーの「共同体感覚」とは何ですか?
他者を仲間と感じ、信頼し、貢献し合えるという感覚です。部下育成では、上司と部下が、上下の縦の関係でなく、対等な横の関係で信頼し合うこと。上司が部下を「管理する対象」でなく「共に目標へ向かう仲間」として信頼し、力を信じる。この信頼があるから、部下は安心して挑戦でき、自分で育っていきます。なお、これは部下を操作する技術でなく、信頼関係そのものが土台です。信頼は演技できません。
「任せる」と「放任」は、どう違うのですか?
まったく違います。放任は、関わりを放棄してほったらかしにすること。『新1分間マネジャー』は「ほったらかしてバッサリ」——普段は放っておいて失敗時だけ叱る——と戒めています。一方、健全な「任せる」は、信頼して委ねつつ、適切に見守り、必要なときに支える関わり。目標は共有し、できている点は勇気づけ(フィードバックはチャンピオンの朝食)、困ったときは相談に乗る。放任が「無関心」なら、任せるは「信頼を土台にした見守る関与」です。
管理職でなくても、この考え方は役立ちますか?
はい、大いに役立ちます。「部下が勝手に育つ関わり」は、後輩指導、チームでの協働、子育てや家族関係にも応用できます。本質は、相手を信頼し、できている点に注目して勇気づけ、相手が自分で成長できる環境を整えること。どんな立場でも、誰に対してでも使える、人との関わりの基本です。なお、相手を「育てよう」とコントロールするのでなく、相手が「自分で育つ」のを助ける視点が大切。操作する技術ではありません。
部下に任せると、失敗しないか不安です。
その不安は自然なものです。でも、任せるとは「丸投げ」ではありません。目標を共有し、こまめにフィードバックし、困ったときに支える態勢を保ちつつ、実行を委ねること。これなら、大きな失敗は防ぎつつ、部下に経験を積ませられます。小さな失敗は、むしろ成長の糧。すべての失敗を防ごうと管理すると、部下は育ちません。安全に関わる重要な業務は別として、任せられる範囲から、信頼して委ねてみてください。
自分でやった方が早いので、つい抱え込みます。
とても多いお悩みです。確かに、短期的には自分でやる方が早い。でも、それでは部下が育たず、長期的には自分の負担が増え続けます。「今は時間がかかっても、任せることが、未来の時間を生む」と考えてみてください。最初は、できている点を勇気づけながら、小さな仕事から任せる。部下が育てば、やがてチーム全体の力が上がり、あなたも本来やるべき仕事に集中できます。抱え込みは、第5弾の「捨てる勇気」も参考になります。
『新1分間マネジャー』の考え方と、どう関係しますか?
深く関係します。『新1分間マネジャー』は、放任を「ほったらかしてバッサリ」と戒め、「フィードバックはチャンピオンの朝食」(こまめなフィードバックの大切さ)、「正しいやり方を見つける(catch them doing right)」(できている点を認める)を説きます。そして究極の目標は「部下が自分で自分を管理できるようになること」(第6弾参照)。本記事の「育てるでなく育つ環境を作る」は、この考え方が土台です。
部下が育たないのは、自分の責任でしょうか?
すべてが、あなたの責任ではありません。部下が育つかは、上司の関わりだけで決まらず、部下本人の主体性、組織の制度、業務環境など、多くの要因が influence します。「育たないのは全部自分のせい」と抱え込みすぎると、上司自身が燃え尽きます。上司にできるのは「育つ環境を整える」こと。実際に育つかは、本人や環境にも委ねられます。誠実に関わった上で、結果は抱え込みすぎない。つらいときは、人事や専門家に相談してください。
中島輝先生のメソッドは、どこで学べますか?
自己肯定感アカデミーでは、6つの感×アドラー15理論で部下が育つ関わりを学ぶ実践を体系的に学べる講座を提供しています。ただし、部下育成に悩み、心の疲れが深刻なときは、まず上司や人事、専門家を頼ってください。学びは、心に余裕が出てからで十分です。詳細は公式サイトをご覧ください。

こころが疲れたときの相談窓口

💙 一人で抱え込まず、頼れる場所

  • よりそいホットライン|0120-279-338(24時間・無料)
  • こころの健康相談統一ダイヤル|0570-064-556
  • いのちの電話|0120-783-556(フリーダイヤル)
  • 職場の産業医・産業保健スタッフ|働く人の心の相談窓口
  • 厚生労働省 まもろうよこころ公式サイト

次に読むべき記事|シリーズ予告

ハイパフォーマーシリーズ第9弾に、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。三流は手取り足取り管理し、一流は「正しいやり方を見つける」。部下が勝手に育つたった1つは、育てるのでなく、育つ環境を作ること。良い庭師のように、信頼し、勇気づけ、見守る。これが、伝わりましたでしょうか。部下育成は上司だけの責任でなく、操作の技術でもなく、信頼が土台です。あなたが、部下と共に育つ、良い庭師になれることを、心から願っています。

🔥 III群「1分間称賛×勇気づけ」、完結!次はIV群へ

第7弾「ヨイ出し」、第8弾「自分で自分を認める」、第9弾「部下が育つ関わり」——勇気づけを、3本でお伝えしてきました。他者へ、自分へ、そして部下へ。勇気づけの輪が、広がります。

次回・第10弾予告|IV群「1分間修正×課題の分離」へ。「三流は感情で叱り、二流は我慢し、一流は『軌道修正』する」。叱ると軌道修正の違い、感情に飲まれない関わりを、解き明かします。どうぞ、お楽しみに。

🛡️ 本記事の権威性とトラスト

  • 監修者:中島輝(自己肯定感アカデミー会長/心理カウンセラー/一般財団法人自己肯定感学会代表)
  • 監修者実績:著書累計76万部/15,000人臨床/回復率95%/1,800人独自統計
  • 参照原典:アルフレッド・アドラー『人生の意味の心理学』(1931年・岸見一郎訳)
  • 引用書籍:岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社、2013年・世界1,350万部)
  • 引用書籍:岸見一郎・古賀史健『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社、2016年・日本国内約95万部)
  • 参照原典:R.ドライカース/野田俊作監訳『アドラー心理学の基礎』
  • 参照書籍:ケン・ブランチャード&スペンサー・ジョンソン『新1分間マネジャー』(ダイヤモンド社)
  • 参照理論:アドラー「共同体感覚」「横の関係」「勇気づけ」「貢献感」「課題の分離」/中島輝「自己肯定感の6つの感」
  • 政策準拠:文部科学省「生徒指導提要2022年」自己存在感・自己有用感の正式採用
  • 掲載実績:東洋経済オンライン・プレジデントオンライン・ダイヤモンド・オンライン・現代ビジネス・NewsPicks・日経xwoman他1,000媒体以上
  • 所属:自己肯定感アカデミー/一般財団法人自己肯定感学会/トリエ
  • 公開日:2026年9月26日(ハイパフォーマーシリーズ 第9弾|真の100点満点版)
  • 編集方針:編集方針はこちら
  • 利益相反開示:本記事は中島輝が代表を務める自己肯定感アカデミーの公式記事です。プライバシーポリシー

❗ 重要:専門家への相談について(YMYL:メンタルヘルス・キャリア情報)

本記事は世界1,350万部の名著『嫌われる勇気』への深い敬意と感謝を込めた論評記事として、著作権法第32条「引用」の要件(公正な慣行、引用の必然性、明瞭区別、主従関係、出所明示)に準拠して執筆されています。本記事の内容は中島輝オリジナルの解説であり、岸見一郎先生・古賀史健先生およびダイヤモンド社の公式見解を示すものではありません。

本記事は医学的診断・治療を提供するものではなく、深刻なメンタル不調がある方は必ず精神科医・産業医・公認心理士等の専門家への相談を強く推奨します。緊急時はよりそいホットライン(0120-279-338)またはいのちの電話(0120-783-556)へ。

本記事の内容を実生活に取り入れる際は、ご自身の判断と責任において行ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する助言を代替するものではありません。

自己肯定感ラボで、部下が育つ関わりを

自己肯定感ラボでは、アドラー心理学×自己肯定感の記事を多数公開しています。あなたのビジネスと人生に、人を育て、共に育つ関わりが、広がっていきますように。

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