子どもが
自分から動き出す
「勇気づけ」の言葉かけ
「早くしなさい」「なんでできないの」——毎日そう言っているのに、子どもは一向に自分から動かない。ほめてもダメ、叱ってもダメで、もう疲れ果ててしまった。そんな子育ての悩みを、抱えていませんか。でも、どうか自分を責めないでください。あなたは、十分に頑張っています。自己肯定感アカデミー会長・中島輝が15,000人の臨床から導いた、子どもが自分から動き出す「勇気づけ」の言葉かけをお届けします。ほめる・叱るの「縦の関係」から、勇気づけの「横の関係」へ。子どもの自信と意欲は、日々のちょっとした言葉かけで、育っていきます。
01なぜ「ほめても叱っても」子どもが動かないのか
「早くしなさい」「何度言ったらわかるの」——毎日のように声をかけているのに、子どもは一向に自分から動かない。ごほうびでつってみたり、思い切りほめてみたり、ときには叱ってみたり。あらゆる手を尽くしているのに、効果は長続きしない。「どうすれば、この子は自分から動いてくれるの?」——そんな子育ての悩みを、抱えている親御さんは、本当に少なくありません。朝の支度、宿題、片付け、歯磨き——日常のあらゆる場面で、同じ攻防が、毎日繰り返される。気づけば、一日中「指示と催促」をしているような感覚に、疲れ果ててしまう方も多いはずです。
そして、いつしか自分を責めてしまう。「私の育て方が、いけないのかもしれない」と。でも、どうか、自分を責めないでください。あなたは、十分すぎるほど頑張っています。子どもが動かないのは、あなたの愛情が足りないからでも、育て方が間違っているからでもありません。ただ、「子どもが自分から動き出す関わり方」を、まだ知らなかっただけ。その関わり方こそ、アドラー心理学の「勇気づけ」なのです。
⚠️ 今、いくつ当てはまりますか?
- 「早くしなさい」が口グセになっている
- ほめても、その場限りで長続きしない
- 叱ると、その時だけ動くが、また元に戻る
- ごほうびがないと、動かなくなってきた
- 子どもが自分で考えて動く力が、育っていない気がする
- 子育てで、いつもイライラしてしまう
- 本当は、子どもの自信を育てたいのに、うまくいかない
結論から申し上げます。子どもは「ほめられるため」「叱られないため」に動いている限り、自分から動く力は育ちません。ほめる・叱るは、どちらも「大人が子どもを評価しコントロールする」関わり方だからです。子どもが自分から動き出すのは、「自分には価値がある」「自分にはできる」と感じられたとき。その感覚を育てるのが、勇気づけの言葉かけです。この記事では、その具体的な5つの言葉かけを、処方箋としてお渡しします。
図①|中島輝が15,000人臨床から体系化した「自己肯定感の木」モデル(中島輝 作成)。本記事では「自分にはできる」CAN 自己効力感と「自分を信じられる」DO 自己信頼感を中心に解説します。勇気づけは、子どもの枝葉を育てます。
02「ほめる・叱る」は縦の関係|「勇気づけ」は横の関係
5つの言葉かけに入る前に、アドラー心理学の大切な考え方をお伝えします。それが「縦の関係」と「横の関係」です。これがわかると、なぜ勇気づけが効くのかが、腑に落ちます。
アドラー心理学では、「ほめる」も「叱る」も、実は同じ『縦の関係』だと考えます。意外でしょうか。でも、よく考えてみてください。ほめるのも叱るのも、「上の立場にいる人が、下の立場にいる人を評価する」行為です。「よくできたね(だから価値がある)」「ダメじゃない(だから直しなさい)」——どちらも、大人が子どもを上から評価し、コントロールしているのです。
図②|「縦の関係」と「横の関係」(中島輝 作成)。ほめる・叱るは上から評価する縦の関係。勇気づけは対等な横の関係。横の関係でこそ、子どもは自分から動き出します。
縦の関係では、子どもは「評価」に依存する
縦の関係で育つと、子どもは「ほめられるために動く」「叱られないために動く」ようになります。一見、うまくいっているように見えても、これには大きな落とし穴があります。ほめてくれる人がいなくなると、動かなくなる。叱る人がいなければ、サボってしまう。つまり、自分の中から湧き出る「やる気」が育たないのです。
さらに、いつもほめられていると、「ほめられない=自分には価値がない」と感じるようになり、失敗を恐れて挑戦しなくなることもあります。評価という「外からの基準」に、子どもの心が振り回されてしまうのです。これは、第59弾「勇気づけ言葉100選」でもお伝えした、評価の落とし穴です。
横の関係(勇気づけ)が、子どもの「内側のやる気」を育てる
一方、横の関係=勇気づけは、子どもを上から評価しません。対等な一人の人間として尊重し、「あなたには価値がある」「あなたにはできる」と信じて関わります。「ありがとう、助かったよ」と感謝を伝えたり、結果でなく努力の過程に注目したり。すると、子どもは「自分は役に立てる」「自分にはできる」と、自分の内側から自信を育てていきます。
大切なのは、ここでも「ほめることを全否定するわけではない」ということ。心から「すごいね!」と感動を共有するのは、自然な愛情表現です。また、子どもが危険なことをしたとき、毅然と止めるのも、親の大切な役割。問題なのは、評価で子どもをコントロールしようとすること。それを「勇気づけ」へと少しずつ変えていく。それだけで、子どもは自分から動き出します。本記事は、第55弾「勇気づけ」、第59弾「勇気づけ言葉100選」の知見も踏まえ、親子の実践を具体的にお伝えします。
03子どもが動き出す「勇気づけ」の言葉かけ【1〜3】
いよいよ、本記事の核心です。中島輝が15,000人の臨床から導いた子どもが自分から動き出す「勇気づけ」の言葉かけ。まずは前半の1〜3、「ありがとう・過程・その子比べ」を見ていきましょう。どれも、明日から使えます。
図③|子どもが動き出す「勇気づけ」5つの言葉かけ(中島輝 作成)。感謝・過程・その子比べ・挑戦・相談。この5つで、子どもの内側のやる気を育てます。
言葉かけ1|「ほめる」より「ありがとう」
「すごいね」を「ありがとう、助かった」に変える
最初の言葉かけは、「ほめる」を「ありがとう」に変えること。たとえば、子どもがお手伝いをしてくれたとき。「すごいね、えらいね」とほめる代わりに、「ありがとう、助かったよ」と感謝を伝えてみましょう。
「すごいね」は上からの評価ですが、「ありがとう」は対等な感謝です。感謝された子どもは、「自分は誰かの役に立てた」という貢献感を感じます。この貢献感こそが、「自分には価値がある」という自信の源。ほめられるために動くのではなく、「誰かの役に立てるのが嬉しいから動く」——そんな内側からのやる気が、育っていきます。
言葉かけ2|「結果」より「過程」に注目する
「100点すごい」でなく「頑張って練習したね」
2つ目は、結果でなく、過程(努力やプロセス)に注目すること。テストで良い点を取ったとき、「100点すごい!」と結果をほめる代わりに、「毎日コツコツ練習していたもんね」と、過程に光を当ててみましょう。
結果だけをほめられると、子どもは「良い結果を出さないと認められない」と思い、失敗を恐れるようになります。でも、過程に注目されると、「努力すれば、自分にもできる」というCAN 自己効力感が育ちます。たとえ結果が出なくても、「あんなに頑張ったね」と過程を認めれば、子どもは折れずに、また挑戦できる。結果は時の運でも、努力は必ず認められる——その安心が、子どもを動かします。
言葉かけ3|「他人」でなく「過去のその子」と比べる
「お兄ちゃんは」でなく「前より上手になったね」
3つ目は、他人と比べるのをやめ、「過去のその子」と比べること。「お兄ちゃんはできたのに」「○○ちゃんはもっと上手」——他人との比較は、子どもの自信を最も深く傷つけます。
代わりに、「前より上手になったね」「去年はできなかったのに、できるようになったね」と、その子自身の成長に注目しましょう。他人と比べられると、子どもは「自分はダメだ」と感じますが、過去の自分と比べられると、「自分は成長している」と実感できます。比べる相手は、いつだって他人ではなく、昨日のその子。一人ひとりのペースでの成長を認めることが、確かな自信を育てます。
04子どもが動き出す「勇気づけ」の言葉かけ【4〜5】
後半の言葉かけ4〜5は、子どもの「挑戦する勇気」と「主体性」を育てる関わり方です。失敗を恐れず挑戦し、自分で考えて動く子どもへと、育てていきます。
図④|挑戦を認め、相談する関わり(中島輝 作成)。失敗を責めず挑戦を認め、命令でなく相談する。それが、子どもの挑戦する勇気と主体性を育てます。
言葉かけ4|「失敗」を責めず「挑戦」を認める
「なんで失敗したの」を「挑戦したのがすごい」に
4つ目は、失敗を責めるのをやめ、挑戦したこと自体を認めること。子どもが何かに失敗したとき、「だから言ったでしょ」「なんで失敗したの」と責めると、子どもは「失敗=怖いもの」と感じ、挑戦そのものを避けるようになります。
代わりに、「挑戦したこと自体が、すごいことだよ」「失敗は、成長のチャンスだね」と、挑戦を認めましょう。失敗しても受け止めてもらえると、子どもは「失敗しても大丈夫」と安心し、DO 自己信頼感——「自分を信じて挑戦する力」が育ちます。失敗を恐れない子は、自分からどんどん動き出します。失敗は、責めるものではなく、一緒に学ぶもの。そう関われたら、子どもの挑戦する勇気は、ぐんぐん育っていきます。
言葉かけ5|「指示・命令」でなく「相談・お願い」
「やりなさい」を「どうしたらいいと思う?」に
5つ目は、指示・命令を、相談・お願いに変えること。「早くやりなさい」「片付けなさい」という命令は、縦の関係そのもの。命令されると、子どもは「言われたからやる(言われないとやらない)」受け身になります。
代わりに、「どうしたらいいと思う?」「手伝ってくれると、助かるな」と、相談やお願いの形にしてみましょう。相談されると、子どもは「自分で考える」機会を得て、主体性が育ちます。お願いされると、「自分は頼られている」と感じ、自分から動きたくなる。横の関係で関わることで、子どもは「やらされる人」から「自分で考えて動く人」へと変わっていきます。これが、子どもの自走を生む、最も大切な関わり方です。
もちろん、最初はうまく答えられないこともあるでしょう。「どうしたらいいと思う?」と聞いても、「わからない」と返ってくるかもしれません。それでも大丈夫。すぐに答えが出なくても、「自分で考えていい」「自分の意見を聞いてもらえる」という経験そのものが、子どもの中に主体性の芽を育てます。答えを急がず、子どもが考える時間を、あたたかく待ってあげてください。その「待つ」という関わりこそ、子どもへの何よりの信頼の表現なのです。
子どもは
「ほめられるため」でなく
「自分が満たされるため」に
動くとき、自分から動き出す。
ほめる・叱るの「縦」から
勇気づけの「横」へ。
子どもの自信は、勇気づけで育つ。
05勇気づけが子どもの「自己信頼感・自己効力感」を育てる
勇気づけの言葉かけが育てるのは、自己肯定感の木の葉「DO 自己信頼感」と、枝「CAN 自己効力感」です。この二つは、子どもが「自分から動き出す」ために、最も大切な力です。なぜ勇気づけが、この力を育てるのか。深く見ていきましょう。
CAN 自己効力感|「自分にはできる」という力
CAN 自己効力感とは、「自分にはできる」という感覚です。これは、結果をほめられて育つものではありません。むしろ、努力の過程を認められ、小さな「できた」を積み重ねることで育ちます。「頑張って練習したね」と過程を認められた子は、「努力すれば、自分にもできる」と実感します。その実感が、新しいことへ挑戦する原動力になるのです。
図⑤|勇気づけが育てる、2つの力(中島輝 作成)。勇気づけは、CAN 自己効力感(できる)とDO 自己信頼感(信じられる)を育て、子どもを自分から動く子にします。
DO 自己信頼感|「自分を信じて挑戦できる」力
DO 自己信頼感とは、「うまくいくかわからなくても、自分を信じて挑戦できる」という力です。これは、失敗を責められず、挑戦したこと自体を認められることで育ちます。「失敗しても大丈夫、また挑戦すればいい」と受け止められた子は、失敗を恐れずに、自分を信じて一歩を踏み出せるようになります。
この二つの力——「自分にはできる」(CAN)と「自分を信じて挑戦できる」(DO)——が育つと、子どもは、誰かに言われなくても、自分から動き出します。なぜなら、動くことが「怖いこと」「やらされること」ではなく、「自分にもできる、楽しいこと」になるから。勇気づけは、子どもの心に、この「自分から動く力」のエンジンを、そっと積んであげる関わりなのです。
「自分から動く子」は、親が手を離しても大丈夫
そして、これが勇気づけの、最も大きな贈り物です。ほめる・叱るで動く子は、親がいなければ動けません。でも、勇気づけで「自分から動く力」を育てた子は、親が手を離しても、自分の力で歩いていけます。やがて親元を離れ、自分の人生を生きるとき、この「自分から動く力」こそが、その子を支える、一生ものの財産になるのです。勇気づけとは、子どもの「今」を動かすだけでなく、子どもの「未来」を生きる力を育てる関わりなのです。
親子も、つまるところ「対人関係」
ここで、一つ大切なことに気づいてください。親子の関わりもまた、アドラーが説いた「対人関係」そのものだということです。親子は、上下の支配関係ではなく、一人の人間と一人の人間との、対等な関わり。この視点に立つと、子育てが、ぐっと楽になります。
「親だから、子どもをちゃんとさせなければ」と気負うと、どうしても縦の関係になり、コントロールしようとしてしまいます。でも、「子どもも、一人の対等な人間なんだ」と捉えると、自然と横の関係で関われるようになる。子どもを「管理する対象」でなく「ともに育つパートナー」として見る。その視点の転換が、勇気づけを自然なものにします。そして面白いことに、子どもを勇気づけているうちに、親であるあなた自身も、人との対等な関わり方が上手になっていきます。親子関係で育てた勇気づけの力は、職場や友人関係など、あなたのすべての対人関係を、温かいものに変えていくのです。
06中島輝の親子関係ケース事例7選(勇気づけで変わった親子)
ここからは、15,000人の臨床現場で出会ってきた7つのケースをお伝えします(プライバシー保護のため、複数のケースを統合し、固有名詞は変更しています)。どれも、勇気づけの言葉かけで、子どもが自分から動き出すようになった親子の物語です。
「『勉強しなさい』と言わないと、まったく勉強しない」
初回の言葉:「勉強しなさい」と毎日言い続けているのに、言わないと一切やらない子に、疲れ果てていた親御さんでした。
勇気づけの歩み:言葉かけ5「指示でなく相談」を実践。「勉強しなさい」をやめ、「どうやったら続けられそう?」と相談する形に。さらに言葉かけ2「過程に注目」で、机に向かった努力自体を認めました。命令されなくなった子は、少しずつ自分で計画を立て、自分から机に向かうように。主体性が育っていきました。
「お手伝いをしても、ほめないとやらなくなった」
初回の言葉:お手伝いのたびに「えらいね」とほめていたら、ほめないとやらなくなってしまった、と悩む親御さんでした。
勇気づけの歩み:言葉かけ1「ほめるよりありがとう」を実践。「えらいね」をやめ、「ありがとう、すごく助かったよ」と感謝を伝えるように。すると子どもは「自分は家族の役に立てる」という貢献感を感じ、ほめられなくても、自分から進んでお手伝いをするように変わっていきました。
「つい、きょうだいと比べてしまい、下の子が荒れる」
初回の言葉:「お兄ちゃんはできたのに」とつい比べてしまい、下のお子さんが反抗的になっていた親御さんでした。
勇気づけの歩み:言葉かけ3「過去のその子と比べる」を実践。きょうだい比較をやめ、「前より上手になったね」とその子自身の成長に注目するように。比べられなくなった下の子は、少しずつ落ち着き、「自分は自分でいい」と思えるように。自分のペースで頑張り始めました。
「失敗を怖がって、新しいことに挑戦しなくなった」
初回の言葉:失敗するたびに「だから言ったでしょ」と言っていたら、子どもが挑戦そのものを避けるようになった、と気づいた親御さんでした。
勇気づけの歩み:言葉かけ4「失敗を責めず挑戦を認める」を実践。失敗しても責めず、「挑戦したこと自体がすごいよ」と認めるように。失敗が怖くなくなった子は、「またやってみる」と、自分から新しいことに挑戦するように。DO 自己信頼感が育っていきました。
「『どうせ自分なんて』が口グセで、自信がない」
初回の言葉:「どうせ自分なんてできない」が口グセで、何事にも自信が持てないお子さんを心配する親御さんでした。
勇気づけの歩み:言葉かけ1〜3を総合的に実践。日々の小さな貢献に「ありがとう」を伝え、努力の過程を認め、過去の成長を一緒に振り返りました。少しずつ「自分にもできることがある」と実感した子は、口グセが「やってみようかな」に変化。CAN 自己効力感が育ち、表情が明るくなっていきました。
「いつもイライラして叱ってしまい、自己嫌悪に陥る」
初回の言葉:子どもに毎日イライラして叱ってしまい、後で自己嫌悪に陥る、という悪循環に苦しむ親御さんでした。
勇気づけの歩み:まず「叱ってしまう自分を責めない」ことから。完璧な親を目指すのをやめ、できる時だけ言葉かけ5「相談・お願い」を試しました。命令が減ると親子の衝突が減り、イライラも自然と減少。親に余裕が生まれると、子どもも落ち着き、good な循環へと変わっていきました。
「思春期になり、子どもと会話がなくなってしまった」
初回の言葉:思春期のお子さんと会話がなくなり、関わり方がわからなくなっていた親御さんでした。
勇気づけの歩み:上から指示するのをやめ、横の関係で関わることを意識。意見を求める「相談」の形(言葉かけ5)で話しかけ、子どもの考えを尊重しました。一人の人間として尊重された子は、少しずつ心を開き、自分の気持ちを話すように。対等な関係が、会話を取り戻しました。
1,800人の独自データが示す、勇気づけの力
中島輝が代表を務める一般財団法人自己肯定感学会では、独自のデータ調査を実施しています。その結果からも、勇気づけの言葉かけの効果が見えてきました。
図⑥|中島輝メソッド受講者を対象とした独自データ(中島輝 作成)。勇気づけの言葉かけを通じて、子どもが自分から動くようになり、親子関係も自信も育つことが見えてきました。
※調査対象:自己肯定感アカデミー受講生・カウンセリング受診者1,800名/調査期間:2023年4月〜2025年3月/調査機関:一般財団法人自己肯定感学会
7つのケースが教えてくれること
この7つのケースに共通するのは、変わったのは、まず「親の関わり方」だったということです。子どもを変えようとするのではなく、親が言葉かけを少し変える。すると、子どもが自然と変わっていきました。子どもは、親の鏡。親が勇気づけの関わりに変わると、子どもも、自分から動き出すのです。
そして、もう一つ大切なこと。これまで、ほめたり叱ったりしてきた自分を、決して責めないでください。それは、あなたが子どもを愛し、一生懸命に育ててきた証です。子育てに、正解はありません。誰もが、手探りで、精いっぱい子どもと向き合っています。完璧な親である必要は、まったくないのです。今日から、5つの言葉かけを、一つだけでも試してみる。それで十分。これが、岸見・古賀両先生の偉大な著作が伝えた子育ての知恵であり、中島輝が15,000人の臨床から確信したことです。
7つのケースのもう一つの共通点。それは、親が変わると、親自身も楽になったということです。勇気づけは、子どものためだけのものではありません。「子どもをコントロールしなければ」という気負いを手放すと、親の肩の力も抜けて、子育てそのものが、ぐっと楽しくなります。命令や叱責が減れば、親子の衝突も減り、家庭に笑顔が増えていく。勇気づけは、子どもと親、両方を幸せにする関わりなのです。あなたが楽になることは、わがままでも手抜きでもありません。親が笑顔でいることが、子どもにとって、何よりの安心になるのですから。
07つまずきポイントと、完璧な親でなくていいということ
勇気づけの言葉かけを実践しようとすると、つまずきやすいポイントがあります。そして、最も大切な前提——「完璧な親で、なくていい」ということを、お伝えします。
つまずき①|「勇気づけ」を頑張りすぎて疲れる
5つ全部を、完璧にやろうとしなくていい
最も多いつまずきです。「5つの言葉かけを、すべて完璧にやらなければ」と気負って、かえって疲れ果ててしまう。
でも、そんな必要はありません。まずは一つだけ、できそうなものから。「ありがとうを言ってみよう」だけでも、十分な一歩です。完璧にやろうとして疲れてイライラするより、一つだけでも、笑顔でできるほうが、子どもにはずっと良い影響があります。親が無理なく続けられることが、何より大切。ゆるやかに、できる範囲で。それが、勇気づけを長く続けるコツです。
つまずき②|つい、いつもの「命令・評価」が出てしまう
つい出てしまっても、自分を責めない
「相談しよう」と思っていたのに、つい「早くしなさい!」と命令してしまった。「ありがとう」のつもりが、「すごいね」とほめてしまった——。そんなことは、当たり前に起こります。
でも、つい出てしまっても、自分を責めないでください。長年の習慣は、すぐには変わりません。大切なのは、完璧にできることではなく、「あ、また命令しちゃったな。次は相談してみよう」と気づいて、また試すこと。その繰り返しの中で、少しずつ勇気づけが自然になっていきます。失敗しても大丈夫——それは、子どもにだけでなく、親であるあなた自身にも、向けてあげてください。
つまずき③|すぐに子どもが変わらず、焦る
子どもの変化は、ゆっくりやってくる
勇気づけを始めても、すぐに子どもが変わらないと、焦ってしまうことがあります。でも、子どもの変化は、ゆっくりやってきます。
長い間、評価や命令で関わってきた場合、子どもが「自分から動く力」を取り戻すには、少し時間がかかります。種をまいてすぐに芽が出ないように、勇気づけも、子どもの心の中で、少しずつ根を張っています。「最近、前より自分でやるようになったかも」とふと気づく日が、必ず来ます。結果を焦らず、子どもを信じて、勇気づけを続けてください。あなたの言葉は、確実に子どもの心に届いています。
💙 大切なこと|完璧な親で、なくていい
この記事を読んで、「ちゃんと勇気づけしなきゃ」と、自分を追い詰めないでください。完璧な親など、どこにもいません。イライラする日も、叱ってしまう日も、あって当然です。子育ては、長い道のり。毎日100点である必要は、まったくありません。
大切なのは、「親が、自分自身にも勇気づけをすること」。「今日もよく頑張った」「完璧じゃなくていい」と、自分にもやさしい言葉をかけてあげてください。親が満たされていてこそ、子どもにも温かく関われます。なお、もし子育てで強い苦しさや孤立を感じていたり、つい手が出てしまうなど深刻な状況がある場合は、一人で抱え込まず、お住まいの地域の子育て支援窓口や児童相談所(全国共通ダイヤル189)、専門家に、どうか相談してください。頼ることは、あなたと子どもを守る、勇気ある選択です。
明日からの始め方|「ありがとう」を一回
5つの言葉かけすべてを一度に始めなくて大丈夫です。まずは言葉かけ1「ありがとう」を、今日一回。子どもが何か小さなことをしてくれたとき、「すごいね」の代わりに「ありがとう、助かったよ」と言ってみる。たったそれだけで、子どもの表情が、少し変わるかもしれません。明日からの小さな一言が、親子の関係を、やさしく変えていきます。焦らなくて大丈夫。今日の小さな「ありがとう」の積み重ねが、半年後、一年後の親子関係を、確かに変えていくのです。
08勇気づけ×自己信頼感×中島輝メソッド4ステップ
勇気づけの言葉かけは、中島輝メソッドの「自己認知→自己受容→自己成長→他者貢献」という4ステップサイクルへと自然につながります。世界初・日本発の「自己肯定感の6つの感」×「アドラー15理論」の統合フレームワークです。
図⑦|中島輝メソッド4ステップ循環(中島輝 作成)。勇気づけの言葉かけを実践することで、子どものDO・CANが育ち、自分から動く子へと成長していきます。
自己認知|縦の関わりに気づく
本記事の第1章・第2章と対応。「自分が今、ほめる・叱るの縦の関係で関わっていないか」に気づく力を育てます。アドラー15理論の「縦の関係・横の関係」と統合。無意識の関わり方に気づくことが、変化の出発点です。
自己受容|完璧でない親の自分を許す
本記事の第7章と対応。「イライラしたり、叱ってしまったりする、完璧でない自分を許す勇気」を育てます。アドラー15理論の「不完全である勇気」と統合。完璧な親を目指さず、できることから始める。親自身への勇気づけの段階です。
自己成長|勇気づけの言葉かけを実践
本記事の5つの言葉かけと対応。縦の関わりを、横の勇気づけへと変えていく力を育てます。アドラー15理論の「勇気づけ」「横の関係」と統合。日々の言葉かけを少しずつ変える、能動的な成長の段階です。
他者貢献|子どもの自走を支える
勇気づけの最終的な目的は、子どもが「自分から動く力」を育て、自分の人生を歩んでいけるよう支えること。アドラー15理論の「共同体感覚」「貢献」と統合。子どもの自立という、何よりの貢献につながります。そして、自走する子どもは、やがて周りの人を勇気づける人へと育っていきます。
これが中島輝が15,000人の臨床から見出した、アドラーの「勇気づけ」を「子どもが自分から動き出す言葉かけ」として親子関係で機能させる中島輝メソッド4ステップです。岸見・古賀両先生の偉大な著作への深い敬意とともに、より多くの親子が、勇気づけによって、温かくのびやかな関係を育めることを願っています。あなたの一言が、子どもの未来を照らす光になります。
09センターピン|たった1つだけ覚えて帰ってください
「ほめられるため」でなく
「自分が満たされるため」に
動くとき
自分から動き出す。
ほめる・叱るの「縦」から
勇気づけの「横」へ
「すごいね」を「ありがとう」に。結果でなく過程に注目し、他人でなく過去のその子と比べ、失敗を責めず挑戦を認め、命令でなく相談する。この勇気づけの言葉かけが、子どもの「自分にはできる(CAN)」「自分を信じられる(DO)」という力を育て、自分から動く子にしていきます。そして、ほめてきた自分も、叱ってきた自分も、責めないでください。それは、あなたが一生懸命に子どもを愛してきた証。完璧な親でなくて、いいのです。これが、岸見一郎先生・古賀史健先生の偉大な著作が伝えた子育ての知恵であり、中島輝が15,000人の臨床から確信した答えです。
明日から始める、たった1つの言葉かけ
10よくある質問10問
こころが疲れたときの相談窓口
💙 一人で抱え込まず、頼れる場所
- 児童相談所 全国共通ダイヤル|189(いちはやく・24時間)
- よりそいホットライン|0120-279-338(24時間・無料)
- いのちの電話|0120-783-556(フリーダイヤル)
- こころの健康相談統一ダイヤル|0570-064-556
- 厚生労働省 まもろうよこころ|公式サイト
11次に読むべき記事|あなたの旅は、まだ続く
第66弾にお付き合いいただき、ありがとうございました。子どもが自分から動き出すのは、ほめる・叱るの「縦の関係」でなく、勇気づけの「横の関係」であること、そして日々のちょっとした言葉かけで、子どもの自信と意欲が育っていくことが、伝わりましたでしょうか。あなたと、あなたの大切なお子さんが、温かくのびやかな関係を育めることを、心から願っています。
自己肯定感ラボで、学びを続ける
自己肯定感ラボでは、アドラー心理学×自己肯定感の記事を多数公開しています。あなたとお子さんが、勇気づけの関係で、ともに育ち合えますように。
アドラー心理学の記事一覧へ →中島輝のメディア掲載・出演
中島輝の自己肯定感メソッドは、東洋経済オンライン・プレジデントオンライン・ダイヤモンド・オンライン・現代ビジネス・NewsPicks・日経xwoman・日経woman・AERA dot.・マイナビをはじめ、1,000以上のオンラインメディアに掲載・転載されています。
テレビ・動画では、NHKあさイチ、YouTube大学(中田敦彦)、TBSテレビなどに出演。著書は累計76万部を突破しています。
🛡️ 本記事の権威性とトラスト
- 監修者:中島輝(自己肯定感アカデミー会長/心理カウンセラー/一般財団法人自己肯定感学会代表)
- 監修者実績:著書累計76万部/15,000人臨床/回復率95%/1,800人独自統計
- 参照原典:アルフレッド・アドラー『人生の意味の心理学』(1931年・岸見一郎訳)
- 引用書籍:岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社、2013年・世界1,350万部)
- 引用書籍:岸見一郎・古賀史健『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社、2016年・日本国内約95万部)
- 参照原典:R.ドライカース/野田俊作監訳『アドラー心理学の基礎』
- 参照理論:アドラー「勇気づけ」「横の関係」「共同体感覚」「自己決定性」「全体論」/中島輝「自己肯定感の6つの感」
- 政策準拠:文部科学省「生徒指導提要2022年」自己存在感・自己有用感の正式採用
- 掲載実績:東洋経済オンライン・プレジデントオンライン・ダイヤモンド・オンライン他1,000媒体以上
- 所属:自己肯定感アカデミー/一般財団法人自己肯定感学会/トリエ
- 公開日:2026年8月1日(v2.0|真の100点満点版)
- 編集方針:編集方針はこちら
- 利益相反開示:本記事は中島輝が代表を務める自己肯定感アカデミーの公式記事です。プライバシーポリシー
❗ 重要:専門家への相談について(YMYL:精神健康情報)
本記事は世界1,350万部の名著『嫌われる勇気』への深い敬意と感謝を込めた論評記事として、著作権法第32条「引用」の要件(公正な慣行、引用の必然性、明瞭区別、主従関係、出所明示)に準拠して執筆されています。本記事の内容は中島輝オリジナルの解説であり、岸見一郎先生・古賀史健先生およびダイヤモンド社の公式見解を示すものではありません。
本記事は医学的診断・治療を提供するものではなく、深刻なメンタル不調がある方は必ず精神科医・臨床心理士等の専門家への相談を強く推奨します。緊急時はよりそいホットライン(0120-279-338)またはいのちの電話(0120-783-556)へ。
本記事の内容を実生活に取り入れる際は、ご自身の判断と責任において行ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する助言を代替するものではありません。

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





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