「リーダーを任されそうだけど、HSPだから務まるか不安……」
「そもそも、HSPってリーダーに向いていないんじゃ?」
そのような不安を抱えた方もいるのではないでしょうか?
繊細なHSPは仕事においても疲れやすく、普段からストレスをためてしまっている人も多いはず。そんななか、管理職やマネージャーといった「リーダー」に抜擢された場合、かなりのストレスがかかりそうですよね。
挑戦してみたい気持ちがあっても、不安で及び腰になってしまうこともあるでしょう。繊細すぎて、リーダーなど向いていないのでは?と思うかもしれません。
結論からいうと、HSPはリーダーに向いています。HSPの気質はリーダー向きであり、HSPがリーダーになればうまくチームをまとめて成功へ導くことも可能です。
ただし、HSPがリーダーとして成功するためにはいくつか注意点もあります。現在抱えられている不安のように、リーダーには向いていても本人が負担で潰れてしまう可能性があるのです。
そこで本記事では、HSPがリーダーとして成功するためのコツや心構えをご紹介します。HSPがリーダーに向く理由・メリット・デメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
HSPは5つの点でリーダーに向いている
HSPは、リーダーに向いています。特に、新しい刺激が好きなタイプのHSS型HSPであれば、持ち前の積極性でチームを導いていけるでしょう。
HSPがリーダーに向く理由はいくつかあります。大きなところでは、「共感力の高さ」と「気付きやすさ」の2つ。
共感力がありすぎて、他人の感情に影響されてしまうHSP……
細かなことに気付きすぎて苦しくなるHSP……
普段はデメリットとして取り上げられやすい2点ですが、リーダーとしてはこの2点が大きな強みになるのです。
その他、細かく分けると以下がリーダーに向いている点としてあげられます。
【HSPがリーダーに向く点】
・思いやりと高い共感力で関係性を築きやすい
・小さなことにもよく気づく
・本音やニーズを把握しやすい
・責任感が強く他人を優先できる
・何事にも慎重なため大きなミスをしにくい
それぞれ、以下に詳しく紹介していきます。
思いやりと高い共感力で関係性を築きやすい
共感力の高いHSPは、どんな相手とも関係性を築きやすいといえます。そのため、HSPがリーダーになった場合、チームのメンバーひとりひとりを思いやり、よい関係性を作り上げていくことができます。
高い共感力をもつHSPなら、チーム内のメンバーから慕われるリーダーになれるといえます。
小さなことにもよく気づく
HSPは性質上、細かいことにもよく気付きます。このことは、リーダーになった際に強みになります。
例えば、なんとなく落ち込んでいる部下がいた場合、HSP気質のリーダーであればいち早く気付きフォローできるでしょう。物理的なところだと、書類のちょっとしたミスなどにも気付きやすいため、大きな失敗を防げます。
本音やニーズを把握しやすい
HSPは他人の心情変化を鋭く感じ、考えていることを推測することが得意です。そのため、チームの本音、顧客のニーズなどを敏感に察知し、期待に応えることができます。
なにか物事を決定する際には、全員が心から同意しているかどうかも察知できるため、チーム内の分断を未然に防ぐことが可能です。
責任感が強く他人を優先できる
他人の感情を大切にするHSPは、他人のためを思い責任感を強くもつ場合が多いです。これは、リーダーとしても大切な資質といえます。
リーダーが自分勝手なワンマンタイプでは、ついてきてくれないメンバーも増えますが、下の人間を大切にしてくれ、自分たちのために責任感をもって動いてくれるリーダーなら、ほとんどの人が「ついていきたい」と思うはずです。
何事にも慎重なため大きなミスをしにくい
脳の扁桃体のはたらきが生まれつき強いHSPは、不安を感じやすい特性があります。一見、よくない特性のように見えるかもしれませんが、大きな決断を任されるリーダーにとって、「不安(慎重さ)」も大切な資質のひとつです。
不安がなければ、大切な決断をよく考えずに勢いで決めてしまい、大きな失敗をすることも。しかし、不安から慎重な判断ができるHSPリーダーであれば、大きな失敗にはつながりにくいといえます。
HSPはリーダーに向くが、つらい側面も
HSPはリーダー向きの資質をもっていますが、責任感や気疲れから潰れてしまわないよう注意が必要です。
以下は、HSPの人がリーダーになった場合に、注意しておきたい側面です。
【HSPリーダーのつらい側面】
・関係性をよくすることに気疲れしてしまう
・大勢の前で話すことが緊張する
・合わない環境では自信を失う原因になる
これらがもし、あなたにとって耐えられないものであれば、最悪の場合、ストレスに耐えきれずに潰れてしまう可能性もあります。リーダーになることを迷っているのであれば、自分がそのような状況で耐えられそうか、事前に判断しておきましょう。
それぞれの項目について、以下に詳しくご紹介します。
関係性をよくすることに気疲れしてしまう
関係性をつくることが得意なHSPですが、よい関係を維持し続けることに気疲れしてしまう場合があります。
「この人は、本当は嫌がっていないかな?」
「この人とこの人を仲良くするにはどうしたらいいだろう?」
そんなふうに、チーム内の人間関係をまとめることに気持ちを奪われれば、しだいに疲弊していき、疲れ切ってしまう可能性も。
さらに、チームメンバーの仲がもともと悪かったり、攻撃的なタイプの人がいたりする場合は、特に注意が必要です。
HSPは人の争いを見たり、直接攻撃されたりすることがとても苦手。そのため、そのような人間関係をまとめなければならない場合は、リーダーになることを考え直したほうがいいかもしれません。
大勢の前で話すことが緊張する
HSPは、人前で話すことが苦手な場合が多いです。人前だと、緊張してうまく話せないという人も多いのではないでしょうか?
リーダーになった場合、どうしてもチームを代表して人前で話す場面が増えてきます。職種にもよりますが、人前で話すプレッシャーに耐えられなさそうであれば、リーダーを辞退することもひとつ。
うまく話せなかったことで自信やチームからの人望を失ってしまっては、元も子もありません。
リーダーになることがすべてではありませんから、自分ができるポジションに専念したほうが、ストレスなく過ごせる場合もあります。
合わない環境では自信を失う原因になる
HSPがリーダーとして活躍できるかどうかは、環境によるところが大きいといえます。もしも合わない環境だった場合、リーダーとしてうまくやれず、次第に自信を失っていくでしょう。
例えば、軍隊のような組織や、売上重視の競争的な職場は、HSPには向いていません。HSPが向くのは調和を基調とする協力的なチームづくり。軍隊的、競争的な組織では、HSPのよい部分はいかせないのです。
もしも今の職場がそのような環境であれば、リーダーになったとしても苦しいだけです。
「叱りたくないのに売上のために叱らなければならない……」
「上の人間から厳しくするよう求められる……」
そのような環境であれば、リーダーになることはおすすめしません。
HSPがリーダーになるメリット3つ
リーダーのポジションは多少のストレスやつらさはあれど、メリットも多いといます。以下は、HSPがリーダーを経験した場合の主なメリットです。
【HSPがリーダーになるメリット】
・自信につながる
・達成感や幸福感を得られる
・主導権を握れるため居心地のいい環境を自分でつくれる
上記3点について、それぞれご紹介します。
自信につながる
リーダーとして人の上に立った経験は自信につながり、以降の人生においても大きな力となります。
不安を感じやすいHSPは、他人の気持ちを考えすぎてしまうため、自信をなくしやすい傾向にあります。しかし、リーダーとしてチームをまとめた成功体験を経験することで、自信につながり自己肯定感を大きく高められます。
達成感や幸福感を得られる
リーダーになるということは、自分ひとりではできないプロジェクトや業務を成し遂げることにつながります。このことは、大きな達成感・幸福感を与えてくれるでしょう。
仮に大きなプロジェクトがなかったとしても、あなたがチームのメンバーのために動き、考えることは自分自身の幸福感につながります。心理学的にも、他人のために何かをすることで、幸福度を優位に高められるとわかっているのです。
主導権を握れるため居心地のいい環境を自分でつくれる
リーダーになると、自分自身が過ごす環境を自分で整えることも可能です。
例えば、これまでギクシャクした空気で働きにくい職場だったとしても、あなたがリーダーになって少しずつ働きかければ、穏やかで平和な環境へ変えることもできるのです。
HSPがリーダーとして成功するための5つのコツ
HSPが目指すべきは、メンバーひとりひとりと向き合い、協力的なチームをつくる「協力型リーダー」です。そのようなリーダーのことをサーバントリーダーといい、現代社会における理想的なリーダー像としても注目されています。
HSPがリーダーとして成功するためのコツは、以下の5つ。
【HSPがリーダーとして成功するためのコツ】
・天性の敏感さをポジティブに捉えていかす
・理想像にとらわれず自分らしく振舞う
・ひとりで抱え込みすぎない
・断る勇気をもつ
・回復する時間を確保する
それぞれご紹介します。
天性の敏感さをポジティブに捉えていかす
あなたがリーダーを目指すなら、HSP天性の繊細さ・敏感さが自分の強みであると認識しましょう。それが、自分自身の自信につながります。
HSP研究の第一人者であるエレイン・アーロン博士は、HSPの役割を以下のように述べています。
敏感さの社会的重要さについて。HSPであるあなたは相談役であり、考える人であり、社会的、精神的リーダーとなるべき人々のグループの一員として生まれたのである。自分の敏感さに誇りを持とう。 |
引用:エレイン・アーロン「些細なことにも「動揺」してしまうあなたへ」より
繊細なHSPのリーダーは、メンバーの相談役となり、精神的支えとなることで、チームをまとめられる才能をもつのです。
ひとりで抱え込みすぎない
HSPはメンバーからの信頼を得やすい半面、悩みをひとりで抱え込みやすい傾向があります。しかし、なんでもひとりで抱え込んでしまってはいずれ潰れてしまいます。
リーダーに必要なのは、万能な能力ではなく、メンバーを信頼して仕事を振り分ける力です。なるべく苦手なことを普段からメンバーに打ち明けるようにし、苦手なところは助けてもらうように心がけましょう。
断る勇気をもつ
リーダーだからといって、頼まれたことをなんでも引き受ける必要はありません。「ここまではOKだけど、これはNG」という線引きをしっかりし、できないこと、ストレスがたまりそうなことは勇気をもって断りましょう。
例えば、飲み会などの苦手な付き合いは断るようにするだけでも、ストレスを減らせる可能性があります。
理想像にとらわれず自分らしく振舞う
「リーダーならこうあるべき」という理想像がある場合、自分の理想に縛られて苦しくなってしまう場合があります。
例えば、叱ることが苦手なのに、「重要な場面では叱ることも必要」と思っていた場合、メンバーを叱ることでストレスをためてしまいます。
理想にとらわれず、自分らしいリーダー像を目指していきましょう。心が楽な状態が、「自分らしい」ということです。
回復する時間を確保する
HSPは人よりも多くの情報を受け取りやすく、さらに情報の処理に時間がかかります。そのため、HSPには回復するための時間が必要です。
リーダーというストレスがかかる状況では特に、意識して回復する時間を設けましょう。がんばることは、無理をすることではありません。無理のない範囲でがんばることが大切です。
HSPは優しく頼れる協力型リーダーを目指そう
HSPには協力型リーダーとしての素質があり、リーダーに向いているといえます。失敗も悪いことではないですから、挑戦したい気持ちがあるならぜひリーダーを経験してみてください。
ただし、無理をしすぎて潰れないよう、自分で自分の限界を見極めておくことも大切ですよ。
あなたが人生の糧となるリーダー経験をできることを祈っています。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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