イヤイヤ期の癇癪に怒鳴る前の「30秒」。
子の心が落ち着く親がしていること
床にひっくり返って大泣き。何を言っても聞かない。手がつけられない癇癪に、つい「いいかげんにして!」と怒鳴ってしまう——。そして、あとで自己嫌悪。そんな経験、ありませんか。でも、癇癪は感情が育っている発達のサイン。怒鳴って抑え込むより、ずっと早く心が落ち着く「30秒の関わり」があります。自己肯定感アカデミー会長・中島輝が、モンテッソーリ教育と自己肯定感の「6つの感」で解き明かします。
怒鳴っては、自己嫌悪になっていませんか
スーパーの床にひっくり返って、大泣き。お菓子売り場で「買って!」と泣き叫ぶ。家でも、ちょっとしたことで火がついたように泣き続ける。なだめても、叱っても、おさまらない——。
そしてとうとう、「いいかげんにしなさい!」と怒鳴ってしまう。その瞬間は子どもがびっくりして泣きやんでも、あとに残るのは、「また怒鳴ってしまった」という、深い自己嫌悪。夜、寝顔を見ながら「ごめんね」とつぶやく。そんな夜を、過ごしていませんか。
まず、お伝えしたいことがあります。あなたは、悪い親ではありません。手がつけられない癇癪に、毎日向き合っているのですから、怒鳴ってしまう日があって当然です。そのうえで、知っておいてほしいことがあります。癇癪は、わがままでも、あなたの育て方のせいでもなく、子どもの感情が育っているサイン。そして、怒鳴るより早く心が落ち着く「30秒の関わり」があるのです。この記事で、それをお伝えします。
こんなこと、ありませんか?
- 癇癪が始まると、何を言っても聞かない
- なだめても叱っても、おさまらない
- つい怒鳴ってしまい、あとで自己嫌悪
- 外出先での癇癪に、どうしていいか分からない
- 「私の育て方が悪いのかな」と落ち込む
一つでも当てはまったら、どうぞ読み進めてください。読み終えるころには、癇癪への向き合い方が、少し楽になっているはずです。
癇癪の正体は「感情の処理しきれなさ」
癇癪を起こしている子どもの頭の中では、何が起きているのでしょうか。実は、強い感情があふれ出して、子ども自身もどうしていいか分からなくなっている状態です。怒り、悲しみ、悔しさ——その大きな波に、小さな心が飲み込まれてしまっているのです。
大切なのは、この時期の子どもは、まだ自分の感情を言葉にすることも、コントロールすることもできないということ。「悲しい」「悔しい」と言えれば癇癪にはなりません。言葉にできないから、体ごと、泣き叫ぶことでしか表現できないのです。つまり癇癪は、「感情の敏感期」に、心が育とうとしている姿なのです。
そして覚えておいてほしいのは、癇癪は必ずおさまるということ。どんなに激しい嵐も、必ず止みます。そして、言葉で気持ちを表現できるようになるにつれて、癇癪は自然と減っていきます。今は、感情という大きな力と、子どもが格闘し、付き合い方を学んでいる最中なのです。
怒鳴る親、待てる親|30秒の分かれ道
癇癪の場面で、親の関わりは大きく2つに分かれます。どちらの親も、子どもを思う気持ちは同じ。違いは、最初の「30秒」をどう過ごすかです。
怒鳴って、力で止める
「いいかげんにして!」と怒鳴る。一瞬おさまるが、子どもは「気持ちを否定された」と感じる。怒鳴る回数が増え、親も自己嫌悪に。
安全を守り、そばで待つ
安全を確保し、落ち着いて待つ。「ここにいるよ」と伝える。子どもは「受け止めてもらえた」と安心し、結果的に早く落ち着く。
怒鳴って力で抑え込むと、確かに一瞬は静かになります。でも、それは「安心して落ち着いた」のではなく、「怖くて止まった」だけ。子どもの心には、「自分の気持ちは、出してはいけないものなんだ」という思いが残ります。これが積み重なると、自分の感情を抑え込む子、本音を言えない子になっていきます。
一方、嵐をそばで受け止めてもらえた子は、「こんなに激しい気持ちでも、受け止めてもらえる」という安心を得ます。この安心感こそ、自己肯定感の土台。怒鳴らずに待つことは、甘やかしではなく、子どもの心に「安全基地」を築く関わりなのです。
最初の30秒、怒鳴るのをこらえるだけ。「止めよう」ではなく「そばにいよう」。それが分かれ道です。
心が落ち着く「30秒の関わり」3ステップ
では、具体的にどうすればいいのか。怒鳴る代わりにできる、シンプルな「30秒の関わり」を3ステップでお伝えします。難しいことは一つもありません。
ポイントは、STEP2の「そばで待つ」。何もしないように見えて、これがいちばん大切です。子どもは「こんなに泣いても、お母さんはそばにいてくれる」と、体で安心を学びます。そしてSTEP3、嵐が少し落ち着いたら、「悲しかったね」と気持ちに名前をつけてあげる。これは、子どもが自分の感情を理解し、やがて言葉で表現できるようになるための、大切な手助けです。
メタファーで言えば、癇癪は「心の中で起きる夕立」のようなもの。急に降り出し、激しく降りますが、必ず止みます。親にできるのは、雨をやませることではなく、子どもが濡れすぎないよう、そばで傘をさしてあげること。雨そのものは、止むのを待つしかありません。でも「ひとりじゃない」と感じられれば、子どもは安心して、嵐を通り抜けられるのです。
癇癪を受け止めると育つ3つの感
子どもの癇癪を、怒鳴らずに受け止めることで、自己肯定感を支える「6つの感」のうち、特に次の3つが育ちます。
「どんな気持ちも受け止めてもらえる」。激しい感情ごと受け止められる経験が、心の安全基地をつくる。最も大切な土台。
「こんな自分でも大丈夫」。泣いても怒っても見捨てられない経験が、ありのままの自分を受け入れる心を育てる。
「自分の気持ちには価値がある」。感情を尊重される経験が、自分を大切な存在だと感じる心を育てる。
とくに大切なのが安心感です。癇癪という、子どもが見せるいちばん激しくて、いちばん扱いにくい姿。それを「ダメ」と拒否せず、そばで受け止めてもらえること。これは子どもにとって、「どんな自分でも、見捨てられない」という、究極の安心体験です。この安心感が、自己肯定感の木のいちばん深い根を育てます。怒鳴らずに受け止めた30秒は、決して無駄ではありません。それは、お子さんの心の奥に、一生の安全基地を築いているのです。
図|安全を守る→そばで待つ→気持ちに名前をつける。この30秒が安心感という心の安全基地を育てる(中島輝「6つの感」をもとに作成)
中島輝が見た、癇癪ケース5選
よくある5つの場面を、「抑え込む関わり」と「受け止める関わり」で見ていきましょう。
スーパーの床にひっくり返って大泣き
つい:「みっともない!立ちなさい!」と怒鳴る
受け止める関わり:可能なら人の少ない場所へ移動。「落ち着いたら行こうね」と穏やかに、そばで待つ。周りの目より、お子さんの心を優先して大丈夫です。
「買って!」が通らず泣き叫ぶ
つい:根負けして買う/「ダメ!」と怒鳴る
受け止める関わり:「欲しかったね」と気持ちは受け止める。でも要求は「今日は買わないよ」と穏やかに一貫して。気持ちの受容と、要求への線引きは分けて考えます。
眠い・疲れたで火がついたように泣く
つい:「なんで泣くの!」とこちらもイライラ
受け止める関わり:眠さ・疲れが原因のことも多い。理由を問い詰めず、「疲れたね」と抱っこできるなら抱っこ。早めに休める環境を整えてあげましょう。
抱っこしようとすると、もっと激しく泣く
つい:「もう知らない!」と離れてしまう
受け止める関わり:触られたくない子もいます。無理に抱かず、少し離れて、でも目は離さずそばに。「落ち着いたらおいで」と、安心できる距離を保ちましょう。
癇癪が長く続いて、親も限界
つい:感情的に怒鳴ってしまう
受け止める関わり:安全を確保したうえで、親自身が深呼吸する時間を。完璧でなくていい。限界の時は、家族や周りに「少し代わって」と頼ることも、大切な選択です。
怒鳴ってしまった日へ|親を責めない
ここまで「怒鳴らずに」とお伝えしてきました。でも、現実には、怒鳴ってしまう日もあります。それは、ダメな親だからではありません。毎日、全力で子どもに向き合っているからこそ、疲れもするし、限界もくるのです。
「また怒鳴った、最低だ」
怒鳴った自分を責め続ける。完璧を求めて、できない自分にダメ出し。親の心がすり減り、余裕がなくなる。
「怒鳴った、でも謝れた」
怒鳴っても、落ち着いてから「ごめんね」と伝える。完璧でなく、フォローを大切に。親も自分を受け入れる。
大切なのは、怒鳴ったあとのフォローです。落ち着いてから「さっきは大きな声を出してごめんね」と一言伝える。たったそれだけで、子どもは安心しますし、「間違えたら謝る」という、何よりの手本を見せることになります。完璧な親より、間違えても謝れる親のほうが、子どもにとってずっと大切な存在です。
そして、これはとても大事なことですが——親であるあなた自身の心も、大切にしてください。自己肯定感は、まず親が満たされていてこそ、子どもに注げるもの。疲れたら休む、つらいときは頼る。それは甘えではなく、子育てを続けるために必要なことです。もし、イライラが抑えられない、気分の落ち込みが続くなど、つらさが大きいときは、ひとりで抱え込まず、地域の子育て支援窓口や専門家にご相談ください。あなたが笑顔でいることが、お子さんの何よりの安心です。
癇癪への関わり×中島輝メソッド4ステップ
癇癪を受け止める関わりは、中島輝メソッドの「自己認知→自己受容→自己成長→他者貢献」に重なります。
自己認知|癇癪の「正体」に気づく
まず親が、「これはわがままではなく、感情を処理しきれない発達のサインなんだ」と気づくこと。見方が変わると、怒鳴る前にそばで待てるようになります。
自己受容|「どんな気持ちもいい」を受け入れる
激しい感情ごと受け止める。安心感・自己受容感という土台が、「どんな自分も受け止めてもらえる」経験から育ちます。親も「怒鳴る日があっていい」と、自分を受け入れて。
自己成長|「気持ちに名前をつける」を重ねる
「悲しかったね」と感情を言葉にする手助けを。気持ちを言葉にできる経験が積み重なり、自分で感情を扱う力(自己効力感)が育っていきます。
他者貢献|「気持ちを話してくれてありがとう」
落ち着いて気持ちを話せたら「教えてくれてありがとう」。気持ちを伝えることが受け止められる経験が、自己有用感と、人とつながる力を育てます。
この4ステップで、感情の育ちと、自己肯定感の6つの感が、家庭で一つにつながります。癇癪を受け止められた子は、自分の感情を大切にできる子。その安心の土台は、今日のあなたの「怒鳴らずに待てた30秒」から育ちます。
中島輝メソッドを体系的に学ぶ
自己肯定感アカデミーでは、6つの感を育てる関わりを体系的に学べる講座を開催しています。子どもの感情と安心の土台を、さらに深く育てるために。
自己肯定感アカデミーを見る →センターピン|たった1つだけ覚えて帰ってください
感情が育つサイン。
怒鳴って止めるより、
最初の30秒、
「ここにいるよ」と
そばにいよう。
嵐は、必ず止む。
今日から始める、たった1つの習慣
よくある質問5問
こころが疲れたときの相談窓口
💙 無理せず、頼れる場所
- 児童相談所相談専用ダイヤル|0120-189-783(24時間・無料)
- 子育て世代包括支援センター|お住まいの市区町村の窓口
- よりそいホットライン|0120-279-338(24時間・無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル|0570-064-556
- 厚生労働省 まもろうよこころ|公式サイト
次に読むべき記事|シリーズ予告
モンテッソーリ×自己肯定感シリーズ 第6弾、最後までありがとうございました。癇癪は、わがままではなく感情が育つサイン。怒鳴って止めるより、最初の30秒「ここにいるよ」とそばにいること。「どんな気持ちも受け止めてもらえる」という安心感が、心の安全基地を育てること。そして、怒鳴ってしまう日があっても、謝れば大丈夫だということ。どうか、お子さんにも、あなた自身にも、やさしくいてください。嵐は、必ず止みます。
🔥 モンテッソーリ×自己肯定感シリーズ、好評連載中!
世界が認めるモンテッソーリ教育と、自己肯定感の「6つの感」を統合し、0〜6歳の子育てに徹底的に落とし込む新シリーズ。特別な才能ではなく、どんな子にも育つ「自己肯定感の土台」を、一緒に育てていきましょう。
次回・第7弾予告|シリーズBへ。「ほめ方で損する親の共通点|博士が避ける3つの言葉」。よかれと思った「すごいね」が、実は子の自信を奪っているかもしれません。モンテッソーリ博士が避けた言葉と、プロセスをほめる関わりを解き明かします。お楽しみに。
🛡️ 本記事の権威性とトラスト
- 監修者:中島輝(自己肯定感アカデミー会長/心理カウンセラー/一般財団法人自己肯定感学会代表)
- 監修者実績:著書累計76万部/15,000人臨床/回復率95%/1,800人独自統計
- 参照原典:マリア・モンテッソーリ『子どもの発見』(正常化・環境の守り手)
- 参照理論:モンテッソーリ「正常化」「環境の守り手」/中島輝「自己肯定感の6つの感」(特に安心感・自己受容感・自尊心)
- 関連エビデンス:感情の言語化(アフェクト・ラベリング)が情動を鎮める効果、安全基地(アタッチメント)に関する発達心理学の知見
- 関連エビデンス:セルフ・コンパッション(自分への思いやり)がストレス・コルチゾールを低減する研究知見
- 政策準拠:文部科学省「生徒指導提要2022年」自己存在感・安全な環境づくりの重視
- 掲載実績:東洋経済オンライン・プレジデントオンライン・ダイヤモンド・オンライン・現代ビジネス・日経xwoman他1,000媒体以上
- 所属:自己肯定感アカデミー/一般財団法人自己肯定感学会/トリエ
- 公開日:2026年6月1日(モンテッソーリ×自己肯定感シリーズ 第6弾)
- 編集方針:編集方針はこちら
- 利益相反開示:本記事は中島輝が代表を務める自己肯定感アカデミーの公式記事です。プライバシーポリシー
❗ 重要:専門家への相談について(YMYL:育児・メンタルヘルス情報)
本記事はモンテッソーリ教育および中島輝「自己肯定感の6つの感」への深い敬意を込めた解説記事です。本記事の内容は中島輝オリジナルの解説であり、特定の団体・著者の公式見解を示すものではありません。
本記事は医学的診断・治療を提供するものではなく、お子さまの発達や情緒に気になる点がある方、対応に強く悩む方、また保護者ご自身の気分の落ち込みやイライラが続く場合は、必ずかかりつけ医・小児科医・地域の子育て支援窓口・公認心理師等の専門家への相談を強く推奨します。緊急時は児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)へ。
本記事の内容を実生活に取り入れる際は、お子さまの様子とご自身の判断・責任において行ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する助言を代替するものではありません。
自己肯定感ラボで、子育ての土台を育てる
自己肯定感ラボでは、モンテッソーリ教育×自己肯定感の子育て記事を多数公開しています。あなたとお子さんの毎日に、安心の土台が育っていきますように。
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自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





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