「HSPだけど大学でうまくやれるかな……」
そんな不安を抱えた学生さんや親御さんもいるのではないでしょうか? 実際に学生生活がスタートし、つらい状況に追い込まれてしまった学生さんもいるかもしれません。
ただでさえ繊細なHSP、新しい環境・新しい人間関係でしんどくなってしまわないか、とても心配ですよね。
確かに、HSPにとって大学進学や大学での新生活は、大きなストレスがかかります。ストレスが限界に達すると、「大学に行きたくない……」と感じ、最悪の場合は大学生活を続けられなくなることも。
そうならないために、HSPの学生さんは今から、大学生活でどんなことに注意し、どう過ごしていくべきかの心構えをしておきましょう。
この記事では、HSPが大学生活で陥りやすい問題と対処法をご紹介します。あわせて、進学先を悩んでいるHSPさんに向け、大学の選び方もご紹介していきます。
安心して大学生活が送れるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
1.HSPが大学生活でよく陥る問題4つ
HSP気質の学生がよく陥る問題は、以下の4つがあげられます。
・新しい環境のストレスに耐えられない
・人間関係で無理をする
・バイトをがんばりすぎる
・ひとりで悩みを抱えてしまう
それぞれ、以下に詳しくご紹介します。
1-1.新しい環境のストレスに耐えられない
大学での新生活で、まず問題となるのが「外的環境からのストレス」です。
HSP気質の人は、生まれつき人より外的環境からの感受性が高く、さまざまな刺激によって疲れやすいといえます。そんなHSPが新生活を始めた場合、ストレスの度合いはHSPでない人と比べてかなり高いといえるでしょう。
さらに、周囲の学生となじめなかったり、うまく友人をつくれなかったりすることで、精神的なストレスも大きくかかり、スタートから大学生活がしんどくなってしまう可能性があります。
スタートから疲れてしまわないためにも、HSPの人は、自分が新生活によって疲れやすいタイプだと認識しておくことが重要です。なるべくひとりで休む時間をとるなど、意識的にストレスを解消する時間をつくるようにするといいでしょう。
1-2.人間関係で無理をする
HSPの人は、大学の人間関係において無理をしやすい傾向があります。
共感能力が高いHSPの人は他人の気持ちに敏感なため、他人の意見を気にして「嫌われたくない」などと感じてしまうことが多いもの。そのため、苦手な人間関係でも無理をして合わせようとしてしまうのです。
しかし、これによって精神ストレスが大きくかかるため、大学生活がつらくなる原因にもなりかねません。
例えば、普段は静かなタイプなのに賑やかなグループに所属してしまうと、一緒にいるだけでしんどいと感じるでしょう。
HSPは大学でも社会でも、しんどいときにはその人間関係から離れ、なるべく楽な人間関係に身を置くことが大切です。無理に合わせる必要はないと考えて、気の合う人と付き合うようにするといいでしょう。
大学では飲み会などの誘いもありますが、自分が「行きたくない」と感じるなら、相手よりも自分の気持ちを優先しましょう。
誘いを断ることは悪いことではありません。時には断る勇気をもつことで、無駄なストレスを減らすことができます。
1-3.バイトをがんばりすぎる
学業よりもバイトをがんばりすぎてしまい、ひとりで疲れてしまうHSPの学生さんも多いです。これは、HSPが優しく生真面目な性格である傾向が強いためといえます。
HSPの学生さんは「親に負担をかけたくない」などと感じ、少しでも親の負担を減らそうと、ついついバイトをがんばりすぎてしまいます。さらに、バイトにおいても真面目に取り組むため、気づくとバイトだけで疲れてしまい、学業に回すエネルギーがなくなってしまうことがあるのです。
もちろん、バイトから学べることも多いため、学生のうちにいろいろな業種をバイトで経験してみることも大切です。しかし、学生の本分は学業ですから、バイトにエネルギーを費やしすぎるのはよくありません。
特に、HSPの人は疲れやすいため、バイトはなるべくセーブして大学生活を送ったほうがいいでしょう。
1-4.ひとりで悩みを抱えてしまう
HSPの学生さんは、悩みがあってもひとりで抱え込んでしまう傾向にあります。
相談相手がいないケースのほか、友人がいても「こんな話をしたら嫌われるかも」「なんだか悪い」などと考えて頼れないケースがHSPにはとても多く、誰にも言えないまま悩みを抱え込んでしまうのです。
ちょっとした悩みなら、人に話すことで気持ちが晴れることもありますが、ひとりで抱え込むことで悩みはどんどん深刻化してしまいます。そのため、大学生活では相談相手をつくっておくことが大切といえるでしょう。
ひとり暮らしをしていると特に、親御さんにも相談しにくくなります。相談はHSPの苦手分野ですが、なるべく早めに、誰かに相談するクセをつけられるといいですね。
2.HSPで大学生活がつらくなったときの対処法4つ
気をつけていても、大学生活がつらくなってしまうことはあります。そんなときの対処法として、以下の4つをご紹介します。
・無理な付き合いをしない
・ひとりになれる時間をつくる
・誰かに相談してみる
・限界を見極める
それぞれ、以下に詳しくご説明します。
2-1.無理な付き合いをしない
人間関係がつらいときは、思い切ってその人間関係から離れましょう。無理な付き合いからは何も生まれず、ストレスがたまるだけです。
もしも友達ができないことが悩みなら、「自分は勉強をするために大学に来ているのだ」と割り切ってしまうのもひとつ。その際に、他人とうまくやっていけない自分を責めることはありません。
誰しも、巡り合わせが悪ければいじめの対象になったり、そりが合わないグループのなかで孤立してしまうことはあるものです。たまたま、周りが合わない人たちだったのだと思いましょう。
大学以外でも、趣味などがあれば、そちらの人間関係を大切にするのもいいでしょう。多くの人と友達になる必要はないですから、なるべく自分が自然体でいられる相手と一緒にいるようにしてみてくださいね。
2-2.ひとりになれる時間をつくる
HSPがしんどいと感じるときは、意識的にひとりになれる時間、自分が癒される時間をつくることが大切です。HSPは人よりもストレスをためやすいため、意識的にストレスを解消していくことが必要なのです。
ストレスがたまりすぎると、体内からコルチゾールという物質が過剰に分泌され心身に影響をきたします。なんとなくだるい、起きられない、理由もなくしんどい……そんなだるさの原因は、実はストレスであることも多いのです。
大人数での講義や実習、大勢の前での発表など、大学ではHSPにとってストレスを感じる場面が多々あります。そんなとき、HSPは知らずに疲れをためてしまうので注意しましょう。
もしも「大学に行きたくないな……」と感じた場合は、ストレスがたまっているサインだと思いましょう。
大学内であれば図書館などで静かに過ごす、自宅では趣味の時間に没頭するなどすると、ストレスを解消しやすくなりますよ。
2-3.誰かに相談してみる
ちょっとした悩みでも、すぐに誰かに相談することで、深刻化を防げます。
相談するのが苦手という人は、まず「相談は悪いことではない」と認識しましょう。
人は誰かから相談されると、「信頼してくれている」と感じてうれしくなるもの。嫌われるどころか、相手との仲を深めてくれるのです。
大学では恋愛、学業、人間関係などさまざまな悩みがありますが、HSPならではの悩みであれば、同じHSPに相談するのがおすすめです。
HSP仲間と気軽に交流できるのが、SNSです。「#HSPさんとつながりたい」といったタグをつけて投稿すれば、あなたの悩みに共感してくれる仲間が見つかるはずですよ。
限界を見極める
大学に通い続けられなくなるほどつらくなってしまわないよう、HSPの学生さんは自分の限界を理解しておくことが大切です。
ストレスによる症状には段階があり、だるい、起きられないといった症状から、徐々に鬱のような精神症状に進行していきます。「大学がつらいな……」そう感じた時点で、心は限界を迎えていることも多いのです。
できればそうなる前に、早めに相談したり、ストレスに対処したりすることが大切です。
しかし、すでにつらい状況になってしまった人は、無理をすべきではありません。
自分だけでその状況から抜け出すのが難しいときには、家族と相談し、カウンセリングなども利用してみましょう。大学はやめると後から後悔する場合も多いので、一時休学にするのがいいでしょう。
限界までひとりでがまんせず、人にも頼りながらひとつずつストレスや悩みに対処していけるといいですね。
大学受験をひかえたHSPが考えておくこと【大学選び】
この記事をご覧の方のなかには、これら大学受験を控え、不安になっている学生さんもいるかもしれません。
HSPの特性によって生きづらさを感じていると、大学選びも迷ったり不安になったりしてしまいますよね。加えて、大学受験は学生にとって大きなストレスとなるため、精神も不安定になりやすい時期といえます。
「自分の進路はこれで大丈夫だろうか?」
そんな不安もあると思いますが、まずは自分の決めた道に思い切って一歩、進んでみることが大切です。自分自身で進路を選択することで、たとえその先に失敗をしたとしても、成長の糧としていけます。
ただし、HSPの人は興味のない分野より、少しでも自分が興味をひかれる分野を進学先に選んだほうがいいでしょう。
HSPは不安やストレスを感じやすいため、興味をもてない分野を選んでしまうと、大学生活がつらくなってしまう原因にもなりかねません。
また、HSPの人は社会の「普通」にとらわれすぎないことも大切です。
大学に行き、学歴をつくってよい企業に就職する生き方が「普通」と考えるかもしれませんが、フリーランス、起業など、実際の働き方には選択肢がさまざまあるのです。
HSPの場合、社員として働くよりも個々の創造性・能力をいかしてフリーで働いたほうが、活躍できる可能性もあります。
現在はアイデア次第で「好き」を仕事にできる時代です。自分はどんなことに興味があるのか、その興味が将来どう仕事につながっていくか……そんなことを考えながら、自分自身で進路を決めていきましょう。
まとめ
HSPは大学生活においても不安やつらさを感じてしまう可能性が高いといえます。しかし、つらさの原因を把握し、自分自身で問題点をわかっていれば、対処は可能です。
大学は義務教育と異なり、より自由な学びが可能になります。そこに自分の興味があれば、大学時代を有意義に過ごすことができるでしょう。
大学時代の失敗や苦い経験は、人生の糧となるものです。失敗を恐れず、むしろ多くの失敗を経験するつもりで大学生活を送っていってください。
自身で選択した進路が将来、あなたらしい生き方につながっていくことを祈っています。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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