「やれる」と「やりたい」の違い【中島輝監修】|能力と意欲の区別と自己受容感の育て方

「やれる」と「やりたい」の違い【中島輝監修】|能力と意欲の区別と自己受容感の育て方

「やれる」と
「やりたい」の違い

「やれる」と「やりたい」は別物です。多くの人がこれを混同して、やれることばかり頼まれて、やりたいことができない人生を生きています。両者を区別する目を持つことが、自分の針鼠への第一歩です。

中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感と安心感」理論創始者

「やれる人」の落とし穴

こんな実感を、抱えていませんか。

読者の声
「やれることばかり頼まれて、本当にやりたいことができない」
場面40代・周りから「あなたなら出来る」と頼られ続け、いつの間にか自分のやりたいことから遠ざかっている。「やれること=やりたいこと」と勘違いしてきた数十年。気づいた時には、人生の半分が過ぎていた。
あなたは選択を間違えてきたのではありません。「やれる」と「やりたい」を区別する目を持っていなかっただけです。今日から、その目を育てることができます。

「やれる」と「やりたい」は、似ているようで全く別のものです。多くの人が、「やれる=やりたい」と無意識に等号でつないでしまっています。だから、やれることが多い人ほど、人生が忙しくなるのに、満たされない感覚が増えていきます。

「やれる」と「やりたい」の本質的な違い

やれるやりたい
能力の話意欲の話
「できる」という外側の評価「したい」という内側の声
他人から頼まれることが多い自分から進んで動きたくなる
続けると消耗する続けても燃料が補給される
キャリアになる可能性高い天職になる可能性高い

「やれる」だけで生きるとどうなるか

「やれる」だけで生き続けると、器用に多くのことをこなすけれど、心が痩せていく人生になります。これがコリンズが警告した「狐の罠」の個人版です。能力はあるのに、なぜか満たされない。周りから頼られるのに、自分の人生を生きている感覚がない。

「やれる」だけで生きると、
能力は伸びるが、心は痩せる。
「やりたい」を加えると、
能力と心が共に育つ。

71%
40代以降で「やれること」と「やりたいこと」が乖離している人の割合
出典:キャリア研究(40-50代対象)能力と意欲の乖離調査

中島輝より一言

15,000人を見てきて、私はこう確信しています。40-50代で人生に物足りなさを感じる人の多くは、「やれる」だけで生きてきた人です。器用で、頼られ、何でもこなせる。けれど、心が痩せている。今からでも遅くありません。「やりたい」を取り戻すことで、人生の後半は確実に変わります。

「やれる」「やりたい」の4分類

「やれる」と「やりたい」を組み合わせると、4つの活動分類に分かれます。自分の活動を、この4つに分類することで、今すぐ何を増やし、何を減らすべきかが見えてきます。

分類①
やれる×やりたい(天職領域)

能力もあり、意欲もある活動。あなたの針鼠の核に最も近い領域です。この活動が日常に多くなるほど、人生は豊かになります。これを増やすことが、人生の最大の課題です。

分類②
やれる×やりたくない(消耗領域)

能力はあるが、意欲がない活動。頼まれて続けてきた仕事がここに入ることが多い領域です。続けると確実に心が消耗します。意識的に減らすか、誰かに譲ることが大切です。

分類③
やれない×やりたい(成長領域)

能力はまだないが、強くやりたい活動。挑戦と成長の領域です。最初は下手でも、続けることで「やれる」に変わります。①に育てる可能性のある領域なので、時間を投資する価値があります。

分類④
やれない×やりたくない(無関係領域)

能力もなく、意欲もない活動。あなたには関係のない領域。気にする必要はありません。罪悪感を感じることなく、距離を置けるようにしてください。

2軸マトリクスで全体像を見る

「やれる」「やりたい」の4分類 あなたの活動はどこに位置するか やりたい やりたくない やれない やれる ①天職領域 やれる×やりたい → 増やす ★ 針鼠の核 ③成長領域 やれない×やりたい → 投資する ▲ 挑戦の場 ②消耗領域 やれる×やりたくない → 減らす・譲る ▲ 危険ゾーン ④無関係領域 やれない×やりたくない → 気にしない ― 関係なし
▲ 「やれる」「やりたい」の4分類マトリクス。最も重要なのは、②消耗領域を意識的に減らし、①天職領域を増やすこと。

多くの人が陥る罠:「②消耗領域」の肥大化

能力がある人ほど、周りから②消耗領域の活動を頼まれます。「あなたなら出来る」と。これに応え続けると、人生の大半が②で埋まり、①天職領域が痩せていきます。これがコリンズが警告する「狐の罠」の正体です。器用に多くをこなすけれど、本当に大切な領域に時間を使えていない状態です。

自己受容感が選ぶ目を生む

「やれる」と「やりたい」を区別する目を持つには、自己受容感が必要です。木でいえば幹の部分。「自分には良いところも悪いところもある。それでいい」という、自分への引き受けの感覚です。

なぜ自己受容感が必要か

自己受容感が育っていない人は、「やれるから、やるべき」「断ったら、ダメな人間」と感じます。だから、②消耗領域の依頼も断れません。けれど、自己受容感が育っている人は、「やれることと、やりたいことは別」「やれることでも、やらない選択がある」と理解できます。

自己受容感が育っている人育っていない人
「やれる」を理由に引き受けない「やれるから」と全部引き受ける
②消耗領域を意識的に減らす②消耗領域が肥大化する
断ることに罪悪感が少ない断ることに深い罪悪感を感じる
①天職領域を意識的に増やせる①天職領域に時間を割けない

「やれないけど、やらない」も健全な選択

「やれること」を全部やる必要はありません。「やれるけど、やらない」という選択は、健全で大人な判断です。能力があることと、その能力を使う義務があることは、別物です。自己受容感が育てば、この区別が自然にできるようになります。

「やれる」は能力の話。
「やる」は選択の話。
能力があることと、
それを使う義務があることは、別。

中島輝より一言

「断れない」と相談に来る方の多くは、「やれること」を理由に全部引き受けています。能力があることは、引き受ける義務がある証拠ではありません。むしろ、能力があるからこそ、どこに能力を使うかを慎重に選ぶべきです。これは、自己受容感が育つことで、初めて可能になる判断です。

今日からできる5つの一歩

「やれる」と「やりたい」を区別し、自己受容感を育てる。30秒から始められる5つの一歩です。

STEP 1|30秒
「今週の活動」を10個書き出す

朝、ノートに今週やる予定の活動を10個書き出します。仕事の業務、家事、人付き合い、なんでも構いません。可視化することが、分類の第一歩です。

STEP 2|1分
「4分類」に分ける

10個の活動を、①天職領域・②消耗領域・③成長領域・④無関係領域に分類します。直感で構いません。多くの人は、②消耗領域に多くの活動が分類されることに驚きます。

STEP 3|3分
「②を1つ減らす」を計画する

②消耗領域に分類された活動から、1つだけ減らす・断る・譲る計画を立てます。完全な断りでなくて構いません。「今回は別の人にお願いしてみる」「頻度を半分にする」程度から始めます。

STEP 4|5分
「①を5%増やす」を計画する

①天職領域に分類された活動を、5%だけ意識的に増やす計画を立てます。週5時間使っていたら、週5時間15分に。小さな増加が、長期で大きな違いを生みます。

STEP 5|2週間
「4分類日記」を続ける

毎晩、その日の活動を4分類に振り分けて記録します。2週間続けると、自分の時間がどの領域に流れているかが、はっきり見えます。これが、自己受容感を確かなものにする訓練です。

能力があるからといって、
全部やる必要はない。
「やれる」と「やりたい」を区別して、
選ぶ目を持つことが、人生の質を決める。

よくあるご質問

「やりたい」が分かりません
長年「やれる」だけで生きてきた人は、「やりたい」の感覚が鈍くなっています。小さなことから取り戻してください。「今日のランチ、本当に食べたいものは何か」「休日、本当にやりたいことは何か」。日常の小さな選択から、「やりたい」の感覚が戻ってきます。
②消耗領域を減らすと、人間関係が悪化しそうです
いきなりすべて断る必要はありません。1つだけ、しかも穏やかに断ることから始めてください。「今回は別の方にお願いできますか」「忙しいので頻度を減らさせてください」。穏やかな調整なら、関係は壊れません。
③成長領域に時間を使う余裕がありません
②消耗領域を減らすことで、③成長領域への時間が生まれます。順序が大切です。①と③を増やそうとする前に、②を減らすことが先決です。空いた時間が、自然と①と③に流れていきます。
家族の世話は②消耗領域ですが、減らせません
家族の世話は、必ずしも②消耗領域とは限りません。「やりたくない」と感じるなら②ですが、「家族のために」という意欲があれば①や③に分類されます。同じ活動でも、自分の心がどう感じるかで分類が変わります。自分の感覚を信じてください。
①天職領域に分類される活動がありません
最初は1つでも構いません。「読書する時間」「子どもと話す時間」「散歩する時間」など、地味でも自分が好きな活動を1つ見つけてください。それが①天職領域の出発点です。徐々に増やしていけます。
「やれる」と「やりたい」は別物。
区別する目を持つことが、
人生の質を決める
自己受容感が育てば、
能力を使う場所を自分で選べる。

自分を大切にしよう

「やれる」と「やりたい」は、似ているようで全く別のものです。能力の話と、意欲の話。この区別ができていないと、能力があるほど、頼まれる活動が増え、本当にやりたいことができなくなるという罠に陥ります。これがコリンズが警告する「狐の罠」の個人版です。

大切なのは、自分の活動を4分類に分けて見ること。①天職領域・②消耗領域・③成長領域・④無関係領域。多くの人は、②消耗領域に時間を奪われ、①天職領域に時間を割けない状態にあります。意識的に②を減らし、①を増やすことが、人生の質を決める分岐点です。

そして、選ぶ目を支えるのが、自己受容感という幹。「能力があることと、その能力を使う義務があることは、別」という認識ができれば、断ることへの罪悪感は減ります。今日、今週の活動を10個書き出して、4分類に分けてみてください。自分を大切にしよう。あなたの能力は、あなたが選んだ場所で発揮されるべきです。

本記事の科学的根拠

  • 『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(ジム・コリンズ著):第5章「狐の罠」原典
  • Deci & Ryan (2000):自己決定理論・能力と動機づけ
  • Hackman & Oldham (1976):職務特性理論・意味のある仕事
  • Csikszentmihalyi, M. (1990):フロー理論・能力と意欲の交点
  • 中島輝(SBクリエイティブ)『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』
監修|中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感と安心感」理論創始者
著書累計77万部・15,000人臨床・回復率95%
本記事は心理学的知見に基づく一般情報です。医学的診断や治療の代わりにはなりません。心身に不調を感じる場合は、医療機関・専門家へのご相談をおすすめします。

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