「なぜ」を5回繰り返す習慣【中島輝監修】|根本原因思考と自己信頼感の育て方

「なぜ」を5回繰り返す習慣【中島輝監修】|根本原因思考と自己信頼感の育て方

「なぜ」を5回
繰り返す習慣

同じ問題が、何度も繰り返される。これは表面の対処で終わっているサインです。「なぜ」を5回繰り返すと、表面の問題の奥にある根本原因にたどり着けます。これは、人生の問題にも応用できる強力な思考法です。

中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感と安心感」理論創始者

同じ問題が繰り返される理由

こんな経験を、したことはありませんか。

読者の声
「同じ失敗を、また繰り返してしまった」
場面40代・職場、家族、健康、お金。同じパターンの問題が、形を変えて何度も繰り返される。その都度対処はするが、しばらくするとまた同じ問題が顔を出す。「私は学ばないのか」と落ち込む。
あなたは学んでいないのではありません。表面の対処で終わっているから、根本が残り続けるのです。根本に手を入れなければ、問題は形を変えて何度でも戻ってきます。

多くの人は、問題が起きると「表面の対処」で終わらせます。仕事のミスがあれば、そのミスだけ修正する。喧嘩したら、その喧嘩だけ仲直りする。けれど、これだと根本原因が残ったままなので、似た問題が必ず繰り返されます。

表面の対処と根本の対処

表面の対処根本の対処
起きた問題だけ修正する「なぜ起きたか」の原因を探る
短期で解決したように見える解決に時間はかかる
同じ問題が繰り返される同じ問題が起きなくなる
対処コストが累積する長期で見ると最も低コスト

トヨタが世界に広めた知恵

「なぜ」を5回繰り返す思考法は、トヨタ生産方式の中で確立されました。トヨタの大野耐一氏が広めたこの手法は、現在では世界中の組織で「5 Whys分析」として使われています。1つの問題の表面ではなく、根本原因まで掘り下げて対処することで、同じ問題の再発を防ぎます。

表面の対処は、もぐら叩き。
根本の対処は、土ごと耕すこと。
長期で本当に問題を解決する人は、
根本に手を入れる人。

5回
「なぜ」を繰り返すことで、根本原因にたどり着ける平均回数
出典:トヨタ生産方式・大野耐一5 Whys分析手法

中島輝より一言

15,000人を見てきて、私はこう確信しています。「同じ問題を繰り返す」と悩む人は、「なぜ」を1回しか問うていません。1回の「なぜ」では、表面の原因しか見えない。5回繰り返すと、自分の心の深層にある根本原因が見えてくる。そこに手を入れることで、初めて問題は本当に解決します。

「なぜ」を5回の実践方法

「なぜ」を5回繰り返す具体的な方法を、実例で見ていきます。表面の問題から、根本原因まで、段階的に掘り下げます。

実例:仕事で繰り返すミスの場合

表面の問題
「同じ書類のミスを、何度も繰り返す」

これが表面の問題です。普通の人は、ここで「次は気をつける」と終わらせます。けれど、これでは根本に届きません。

なぜ1回目
「なぜ、ミスをするのか?」

答え:「確認の時間が足りないから」。ここで止めると、「もっと確認する」が対処になります。ですが、これは表面です。

なぜ2回目
「なぜ、確認の時間が足りないのか?」

答え:「他の業務が忙しすぎるから」。これでもまだ表面です。「忙しい」が原因なら、誰でも忙しいのです。

なぜ3回目
「なぜ、他の業務を抱えすぎているのか?」

答え:「断れない性格だから」。ここで本人の傾向が見えてきます。けれど、まだ深層ではありません。

なぜ4回目
「なぜ、断れないのか?」

答え:「断ると嫌われると思うから」。心理的な要因が見えてきました。これが根本に近づいた状態です。

なぜ5回目
「なぜ、嫌われることを恐れるのか?」

答え:「自分の価値を、他人の評価に依存しているから」。これが根本原因です。仕事のミスという表面の問題は、実は自己肯定感の課題から来ていたのです。

根本原因が見えると、対処が変わる

表面の対処は「もっと確認する」ですが、根本対処は「自分の価値を、他人の評価から切り離す」。これに取り組むと、断る力が育ち、業務量が適正になり、確認時間が確保でき、ミスが減ります。1つの根本対処が、複数の問題を同時に解決するのです。

「なぜ」を5回繰り返す 表面から根本へ、段階的に掘り下げる 表面:同じミスを繰り返す ↓ なぜ? ①確認時間が足りない ↓ なぜ? ②他業務が忙しすぎる ↓ なぜ? ③断れない性格だから ↓ なぜ? ④嫌われたくないから ↓ なぜ? 根本:自己価値を他人の評価に依存
▲ 「なぜ」を5回繰り返すと、表面のミスから、自己価値の依存という根本原因にたどり着く。表面の対処と根本の対処は、まったく違うアプローチになる。

自己信頼感が根本対処を可能にする

「なぜ」を5回繰り返し、根本対処を実行するには、自己信頼感が必要です。木でいえば葉の部分。「自分を信じて進める」という確信が、根本に向き合う勇気を生みます。

なぜ自己信頼感が必要か

「なぜ」を5回繰り返すと、多くの場合、自分の心の深層に課題が見えてきます。これと向き合うのは、簡単ではありません。「自分の弱さ」「自分の傾向」「自分が抱える深い不安」。自己信頼感が育っていない人は、ここで目を背けてしまいます。けれど、自己信頼感が育っている人は、自分の根本と向き合えるのです。

自己信頼感が育っている人育っていない人
自分の根本に向き合える表面の対処で終わらせる
「なぜ」を5回掘り下げられる1-2回で止めてしまう
根本対処の長期効果を信じる短期の対処で満足する
同じ問題が起きなくなる同じ問題が繰り返される

「自分を信じる」と「根本対処」の関係

根本対処は、すぐには結果が出ません。表面の対処は1日で終わりますが、根本対処は数ヶ月、時に1年以上かかります。だから、「私はこの取り組みを続けられる」「最終的に変われる」という自己信頼感がないと、続けられません。自己信頼感が、根本対処の燃料です。

表面の対処は、誰でもできる。
根本対処は、
自分を信じる力を持つ人だけができる。
自己信頼感が、それを可能にする。

中島輝より一言

「同じ問題が繰り返される」と相談に来る方の多くは、「なぜ」を1回しか問うていません。なぜ1回目で止まるかというと、その先の答えに向き合う勇気がないからです。けれど、5回繰り返した先には、必ず本当の答えがあります。そして、その答えに向き合うことで、人生は確実に変わります。これは、自己信頼感が育つ過程でもあります。

今日からできる5つの一歩

自己信頼感を育て、「なぜ」を5回繰り返す習慣を養う。30秒から始められる5つの一歩です。

STEP 1|30秒
「繰り返される問題」を1つ書く

ノートに「最近、何度も繰り返される問題」を1つ書きます。仕事、健康、人間関係、お金、生活習慣、なんでも構いません。可視化することが、根本対処の第一歩です。

STEP 2|1分
「なぜ」を3回問う

その問題に対して、「なぜ」を3回問いかけ、答えを書きます。1回目で止めず、3回続けてください。3回目で、すでに表面とは違う層が見えてきます。

STEP 3|3分
「なぜ」を5回目まで掘り下げる

3回で止めず、5回目まで続けます。4回目、5回目で、自分の深層にある根本原因が見えてきます。怖くてもいい。書くことが、向き合う第一歩です。

STEP 4|5分
「根本対処の一歩」を書く

根本原因が見えたら、それに対する「今日できる小さな一歩」を書きます。完璧な対処ではなく、小さな実験で構いません。「今日、1つ断ってみる」「今日、自分を褒める」など。小さな一歩から根本対処は始まります。

STEP 5|2週間
「根本対処の記録」を続ける

毎晩、その日の「根本対処の一歩」と「気づき」を一行書きます。2週間続けると、表面の問題が確実に減っていくのが見えます。これが、自己信頼感を確かなものにする訓練です。

「なぜ」を5回繰り返す習慣は、
同じ問題を繰り返さない人生を作る。
表面ではなく根本に手を入れることが、
長期で最も効率的な道。

よくあるご質問

「なぜ」を繰り返すと、自分を責めてしまいます
「なぜ」は自分を責めるためではなく、根本を見つけるためです。「私はダメだから」ではなく「私の中のこのパターンが原因だ」と、客観的に分析してください。責めるのではなく、観察する姿勢が大切です。
5回目の答えが、変えようがないものだったら?
「変えようがない」と感じる答えこそ、実は変えられるものです。自分の性格、過去の経験、深い思い込み。これらは時間をかければ確実に変えられます。「変えようがない」と思った瞬間、「では、どこから少しずつ変えられるか?」と問い直してください。
5回問わなくても、原因が分かる気がします
「分かる気がする」段階では、まだ表面です。実際に書き出して、5回問うてみてください。書く過程で、想像していたのと違う深い原因が見えてくることが多いです。書くことが、思考を深める鍵です。
他人の問題にも使えますか?
他人の問題に使う時は注意が必要です。本人が自分で問う時には効果的ですが、外から押し付けられると反発を生みます。家族や同僚に対しては、本人が自分で問うように導く形で使ってください。
根本対処に時間がかかりすぎて、続きません
「根本対処は1日では終わらない」と最初から覚悟することが大切です。表面の対処は短期的ですが、根本対処は長期的です。1ヶ月、3ヶ月、半年という単位で取り組んでください。長期視点を持つことが、根本対処を続ける鍵です。
同じ問題が繰り返されるのは、
表面の対処で終わっているから。
「なぜ」を5回繰り返せば、
根本にたどり着ける。
自己信頼感が育てば、
根本対処を続ける力が生まれる。

自分を大切にしよう

同じ問題が、形を変えて何度も繰り返される。これは、表面の対処で終わっているサインです。表面の対処は短期では効率的に見えますが、長期では同じ問題が繰り返され、累積コストが増えていきます。本当に問題を解決する人は、根本に手を入れる人です。

「なぜ」を5回繰り返す習慣は、トヨタ生産方式から生まれ、世界中で使われている強力な思考法です。1回や2回で止めず、5回まで掘り下げることで、自分の深層にある本当の原因が見えてきます。そこに手を入れることで、表面の複数の問題が、同時に解決していきます。

そして、根本対処を続ける力を支えるのが、自己信頼感という葉。「私はこの取り組みを続けられる」「最終的に変われる」という確信があれば、すぐに結果が出ない根本対処も、淡々と続けられます。自分を大切にしよう。同じ問題を繰り返さない人生は、誰でも作れます。今日、繰り返す問題を1つ選んで、「なぜ」を5回問うことから始めてください。

本記事の科学的根拠

  • 『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(ジム・コリンズ著):第4-5章 規律の文化研究
  • 大野耐一(1978):トヨタ生産方式・「なぜ」を5回繰り返す思考法
  • Senge, P. M. (1990):システム思考と根本原因分析
  • Bandura, A. (1997):自己効力感理論・自己信頼の心理学
  • 中島輝(SBクリエイティブ)『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』
監修|中島 輝
心理カウンセラー・自己肯定感アカデミー会長・「6つの感と安心感」理論創始者
著書累計77万部・15,000人臨床・回復率95%
本記事は心理学的知見に基づく一般情報です。医学的診断や治療の代わりにはなりません。心身に不調を感じる場合は、医療機関・専門家へのご相談をおすすめします。

無断転載禁止
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP