「もしかしたら自分は、HSPかもしれない」
「自分がHSPなのかを知るには、どうしたらいいのだろう?」
こう感じている人も多いでしょう。そして、HSP(=Highly Sensitive Person:ハイリー センシティブ パーソン)の具体的な判断基準も気になりますよね。
そこでこの記事では、HSPのセルフチェックリストについて解説します。HSPにあてはまるかを知ることで、今より少しだけ、自分のことが理解できるかもしれません。
目次
HSPの診断方法とは
HSPは、生まれつきの気質であり、病気ではありません。そのため、うつ病や適応障害のように医学的な診断基準がありません。
HSPを提唱する米国の心理学者エレイン・N・アーロン博士によると、DOES(ダズ)と呼ばれる下記4つの特性が、すべてあてはまることがHSPの定義であるとされています。
【4つの特性 DOES】
- Depth of processing(深く考え込む)
- Overstimulated(刺激に敏感で疲れやすい)
- Emotional reactivity and high Empathy(人の気持ちに反応しやすく、共感性が高い)
- Sensitivity to Subtleties(少しの刺激にも感受性が高い)
4つの特性DOES(ダズ)のより詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
HSPの4つの特徴(特性)とは? HSPの症状ってあるの?
HSPのセルフチェックリストは信頼できる?
近年、ネットのHSP診断テストでHSPを自己診断する人が増えています。しかし、一部のセルフチェックリストには、HSPとは関係のないうつ病の診断項目が入っていることもあり、注意が必要です。
さらに、確実な検証が行なわれていないために、根拠が不足する情報も出回っています。
そこで、HSPのセルフチェックを行なう際は、学術論文で使われているチェックリストやHSPの提唱者であるエレイン・N・アーロン博士のHSPチェックリストを参考にしましょう。
以下2つが、学術論文で使用されているチェックリストの代表的なものです。
日本語版青年前期用敏感性尺度(HSCS-A)
このテストは、Highly Sensitive Child Scale(Pluess et al., 2018)の日本語版で、11項目で青年前期(中学生~高校生)の「感覚処理感受性」を測定します。感覚処理感受性とは、「環境や社会的な刺激に対する敏感性の個人差」を表す気質的な概念を指します。
7段階評定(まったくあてはまらない:1点 ~ 非常によくあてはまる:7点)の自己報告式で判定を行ないます。
<質問項目の例>
- 一度にさまざまなことが起こっていると不愉快になる。
- 大きな音は好きではない。
- よい味がするものは大好きだ。
詳しくは、以下のURLから内容をチェックしてみてください。
Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)
この尺度は、Highly Sensitive Person Scale(Aron & Aron, 1997)の日本語版で、19項目で成人(大学生年代以降)の「感覚処理感受性」を測定します。
こちらも同じく自己報告式で、7段階評定(まったくあてはまらない:1点 ~ 非常にあてはまる:7点)で判定します。
<質問項目の例>
- 短いスパンでしなければならないことが多いと困惑しますか?
- 大きな音や乱雑な光景のような強い刺激をストレスに感じますか?
- 微細で繊細な香り・味・芸術作品などは好きですか?
詳しくは、以下のURLから内容をチェックしてみてください。
参考:Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)
エレイン・N・アーロン博士のHSPチェックリスト
さて、次にHSPの提唱者であるエレイン・N・アーロン博士のHSPチェックリストについて紹介します。エレイン・N・アーロン博士のチェックリストでは「感覚に強い刺激を受けると容易に圧倒されてしまう」「豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい」「暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている」など、27項目の質問からあてはまるものにチェックを入れます。
そのうち14項目以上にチェックが入った場合、HSPに該当すると考えられます。ただ、もしチェックを入れた項目の数が2つや3つと少数の場合でも、それが非常によくあてはまるのであれば、HSPに該当するかもしれません。
そのため、チェックリストでの判別はあくまでも目安としてください。
質問項目が気になる人は、以下URLに全質問が掲載されているので、ぜひお試しください。
参考:Are You Highly Sensitive? | The Highly Sensitive Person
セルフチェックでHSPの傾向が強いと分かったら
HSPは病気ではなく気質であるため、セルフチェックでHSPの傾向が強いと判明しても、治療できる薬はありません。
しかし、治療ができないからといって、悲観的になることはありません。確かにHSPの特性を持っているがゆえに、疲れやすかったり生きづらさを感じたりする人が多いことは事実です。
ただ、HSPが持つ繊細さ、敏感さはリスク管理に長けているというよい面があります。それにより、自分や周囲の人を危険な状況や環境から前もって守ることもできるのです。
他にも、感受性が高いことでより豊かに人生を楽しめるなど、よい面も多くあります。実際に、HSPの持つ特性を強みに変えて、いきいきと生きている人も多くいます。
HSPである自分の特性を理解し、受け入れることで、少しでも楽になる考え方を身に付けたいですね。
自分の気質を俯瞰して理解することで、あらかじめ自分に必要なセルフケアを行ない、疲労や生きづらさを軽減できるかもしれません。
HSPの特性を上手に付き合うための対策を知ることで、自分らしさを大切にしながら生活できるようになります。
HSPの対処法についてはこちらの記事をご覧ください。
HSPの特性に合わせた対策で悩みを軽くする方法
セルフチェックでHSPの傾向が低い場合は
一方、セルフチェックの結果、HSPの傾向が低いものの精神的に過敏な状態や消耗感が気になる場合、HSP以外の精神的な症状を抱えている可能性があります。
うつ病や発達障害の場合、病院での治療が必要です。病気と聞くとショックを受ける人もいるかもしれません。また、病院に行く勇気がないという人もいるでしょう。
特にHSPである可能性を持つ人にとっては、「周りの人にどう思われるだろう」「病院に行くなんて、自分が悪いんだ」と思ってしまうかもしれません。
しかし、身体と同じように、心のバランスを崩すことはいつでも誰にでもあることです。決して悪いことではありません。
また、病院での治療により、今感じている生きづらさなどが軽減するはずです。風邪の症状があるときに病院に行くように、一歩を踏みだして気軽に受診されるとよいでしょう。
病気の場合、環境の変化などで進行してしまうこともあります。また、HSPと似ている症状もあるので自己診断だけではなく、心療内科や精神科などへ相談することも検討してみてください。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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