「うちの子はすぐあきらめてしまう」
「ほめても全然うれしそうじゃない」
一生懸命励ましているのに、ほめているのに…なかなかうまくいかないと悩むことありませんか?
「すぐあきらめる」「ほめてもうれしそうじゃない」というのは自己肯定感が低い子どもに見られる様子です。
子どもの自己肯定感を高めることは、子どもの将来の可能性を広げることにもつながります。
この記事では、自己肯定感が低い原因や高めるためのポイントなどを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
目次
自己肯定感が低い日本の子どもたち
日本の子どもたちは諸外国に比べて自己肯定感が低いというデータがあります。
内閣府の令和元年度版子ども・若者白書によると、「自分自身に満足しているか」の質問に以下のような回答結果が得られました。(これは各国の13歳~29歳までの男女に対して行われたアンケート結果によるものです)
(画像引用:内閣府 令和元年度版子ども・若者白書)
「自分自身に満足しているか」に対して「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した人の割合を見てみましょう。
日本は45.1%で、一番低い割合になっています。次に低いのが韓国の73.5%なので、その差が大きく開いていることがわかります。
さらに「そう思う」と回答した人の割合が諸外国と比べて1/3程度しかいない点も注目したいポイントです。自信を持って「自分自身に満足している!」と言えない子が多いということが読み取れます。
また、以下のグラフは「自分に長所はあるか」という質問の回答です。
(画像引用:内閣府 令和元年度版子ども・若者白書)
やはり、日本は「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を足して62.2%と諸外国に比べて低くなっています。「自分には長所がない」つまり、自分に自信がないと考える子どもが多いことがわかります。
なぜ、日本の子どもたちは自己肯定感が低いのでしょうか。その理由の一つが日本人が「謙遜」を美徳としていることだと考えられます。
ほめられても「そんなことないですよ」と否定するのが良いとされている中で育つ日本の子どもたち。そのような環境だと、自己肯定感が低くなるのは自然のことなのかもしれません。
しかし、子どもの将来を考えると自己肯定感を高めておきたいもの。改めて自己肯定感が低くなる原因を深掘りしてみましょう。
子どもの自己肯定感を低くする原因
子どもの自己肯定感を低くする原因は、周囲の人たちの関わりが非常に大きく関係してきます。つまり、どのように接するか、どのように声かけするかによって、子どもの自己肯定感が左右されます。
他の人からほめられたとき、「うちの子は全然そんなことないですよ~できないことばっかりで」などと、謙遜するあまり子どもを否定していませんか。
例えば、子どもがゴミを捨て忘れていたとき、「ゴミをちゃんと捨てなさい!本当にあなたはだらしないんだから」と、つい本来注意すべき以外のことも言ってしまうこともあるでしょう。
「あなたは何をするのも遅いんだから、宿題早くやりなさい」
「どうせできないんだからやめなさい」
「もっとちゃんとしなさい」
そんな否定的な言葉をかけられると、子どもは自信をなくしてしまいます。
「自分はダメな子」「できない自分が悪い」と子どもが自分自身を責めるようになってしまうのです。
自己肯定感が低い子どもの特徴4つ
自己肯定感が低い子どもには、どのような特徴があるのでしょうか。4つあげてみました。
1.ほめても喜ばない
2.すぐ自分を責めてしまう
3.すぐあきらめてしまう
4.相手を拒絶する言葉ばかり使う
ひとつずつくわしく見ていきましょう。
1.ほめても喜ばない
自己肯定感が低い子どもは、ほめても喜ばないことがあります。
どのような心境かというと、ほめられたことを疑っているケースや、自分と周りを比較しているケースが多くあります。
疑っている場合は、「本当にそう思っているのかな?」「ほめてもっと何かやらせようとしているのでは?」と思っていることがあります。自己肯定感が低いので、素直に受け止めることができない状態です。
自分と周りを比較しているときは。「周りにはもっとすごい子がいるのに」「私なんて全然ダメ。あの子はもっとできてる」と考えています。常に比較対象が周りの子になってしまっているのです。
2.すぐ自分を責めてしまう
自己肯定感が低い子どもは、何か問題が起きたとき「自分のせいかも」「自分が何かしたから」と考えてしまいがちです。
そのため、例えば親が暗い顔をしていたら自分に関係ないことが理由だったとしても「自分のせいなのかも」と思い悩んでしまうことも。
「自分がなんとかしなくちゃ」と必死にがんばって空回りしてしまうことも少なくありません。
3.すぐあきらめてしまう
やる前からあきらめてしまうことが多い子どもも自己肯定感が低いといえます。
「どうせ自分なんて」「自分には無理。できない」などが口グセになっている場合は、自分に対して自信が持てずにいることが多く見られます。
自分に自信がないので、新しいことや少し難しいことに挑戦する勇気が持てないといえるでしょう。
4.相手を拒絶する言葉ばかり使う
自己肯定感が低い子どもは、相手を拒絶するようなネガティブな言葉を多用することがあります。
例えば「きらい」「いやだ」「べつに」などです。相手を拒絶することで自分を守っているともいえるでしょう。自分に自信が持てないことの表れでもあります。
では、どのようにしたら、子どもの自己肯定感を高められるのでしょうか。
子どもの自己肯定感を高めるポイント7つ
まずは、子どもの自己肯定感を高めるポイントをおさえましょう。そのポイントは以下の7つです。
1.具体的にほめる
2.常に肯定する
3.過去の本人と比べる
4.小さな目標から設定する
5.具体的に説明する
6.根気よく続ける
7.干渉しすぎない
ひとつずつ見ていきましょう。
1.具体的にほめる
「上手に作れたね!」と全体的にほめるだけではなく「特にここ、とっても細かくてすごい!」などと、具体的にほめてみましょう。
人は、自分が努力したりこだわったりした部分に気づいてほめてもらうと、うれしくなるものです。子どもががんばったポイントを見つけてあげられるとよいですね。
2.常に肯定する
「あなたにできるわけないでしょ」といった頭ごなしの否定は、子どもを緊張させ自信を失うきっかけになってしまいます。
失敗した子どもに対して「やっぱりダメじゃない」「だからやめろって言ったのに」と言うのも、自己肯定感を低くするだけ。
「あなたには失望した」という態度を避け、「今回は失敗しちゃったけれど、あなたならきっとできるよ」「ここまではできたからすごいね」と肯定的にとらえてあげましょう。
失敗は成長の糧であるととらえ、ポジティブな声かけに変換してみることを意識してみてください。
3.過去の本人と比べる
ほめるときには、周りの子と比べるのではなく、過去の本人と比べて「□□ができるようになったね!」と伝えましょう。
「○○ちゃんよりできるようになったね」という周りと比較したほめ方をしていると、子どもは「周りよりできないとダメなんだ」と思うように。
そうすると、自分の価値を周りと比較して決めるようになってしまいます。そうではなく、過去の自分と比較して、自分の成長を実感できるようになると自分に自信がついてきます。
4.小さな目標から設定する
自己肯定感を高めるためには、小さな目標設定をし、小さな達成感を積み重ねられるようにするとよいでしょう。
子どものためにと「毎日3時間勉強!」などと大きな目標を設定してしまうと、やる気を失いかねません。さらに「目標を達成できない自分はダメなんだ」と自分を否定してしまうことにつながります。
5.具体的に説明する
自己肯定感が低くなる理由の一つに、子どもを不安な気持ちにさせることがあります。
「子どもに説明してもわからないから…」ということもあるでしょう。けれども、「ちょっとそこで待ってて」とだけ言われるのと「用事を済ませるから、3分待っててね」と言われるのとでは違います。
前者のほうが「なぜ?」「いつまで?」がわからないので、不安になってしまいます。
なるべく具体的に説明してあげるように心がけましょう。
6.根気よく続ける
自己肯定感は何歳であっても高めることができます。
しかし、一度「自分はダメなんだ」と思い込んでしまうと、その考えを変えるのは難しいことです。また、ずっと自分を否定してきた親が突然ほめてくるようになったら、不信感を抱いてしまうこともあるでしょう。
それでも、ポジティブな声かけをするのを根気よく続けてみてください。だんだんと変化が出てくることでしょう。
自己肯定感には浮き沈みがありますし、気長に見ていくことが大切です。
7.干渉しすぎない
子どものことが何かと心配で、ついついあれこれと口を出してしまうことありませんか。
あまり口を出しすぎると子どもは「信用されていない」「自分ができないからいろいろ言ってくるんだ」と思うようになります。
「うちの子はできる」と信じて見守り、必要なときは助けるといったスタンスでいてあげると子どもは安心できます。
【具体例】子どもの自己肯定感を高める声かけ
ここからは具体的にどのような声かけをしたらよいか、例をあげて紹介します。
言い慣れないと難しいかもしれませんが、子どもとの会話の中で自然に言えるようになるとよいですね。
「○○ならできるよ!」
「自分ならできる」と言い聞かせてがんばった経験はありませんか?
それと同じように、子どもに「○○ならできるよ!」と事あるごとに伝えていると、子どもが自分を信じて挑戦する力になります。
「□□ができたね!」
具体的にできたことをほめると、自分が認められたと感じて自己肯定感が高くなるといえます。
「具体的にほめる」のは、子どもの様子を見ていないとできないことです。具体的にほめられることで、子どもも「自分のことちゃんと見てくれている」と感じられます。
「どんなときも味方だからね」
子どもが何かに失敗したり自信をなくしたりして「なんて自分はダメなんだろう」と落ち込んでしまったとき、伝えたいのがこの言葉です。
この言葉をかけていると「どんな自分も受け入れてもらえる」という安心感を持つことができます。安心感を持った子どもは、また挑戦する勇気が持てるのです。
親子で自己肯定感を高めよう
自己肯定感が低い子どもの親は、自己肯定感が低い傾向があります。親が自分に自信を持てないことで、子どもに対しても否定的な声かけをしてしまうのだそう。
しかし、子どもの自己肯定感を高めたいと思って意識すると、親にとっても良い効果があります。ポジティブな声かけをしていると、親の自己肯定感も上がります。
また、子どもの行動や失敗を肯定的に捉えることが習慣づいてくると、親自身の行動もポジティブに変換できるようになります。
「今日のご飯手抜きになっちゃった…」と落ち込んでいたのが、「家族のためにがんばって働いたから、たまにはいいよね」「お腹がすいた子たちに早く食べさせてあげられた!」などとポジティブに考えられるようになります。
ぜひ子どものためだけではなく、自分のためにも自己肯定感を高める意識を持ってみてください。
ポイントをおさえて親子で自己肯定感を高めよう
日本の子どもたちは自己肯定感が低いというデータが出ています。
自己肯定感が低い子どもは、以下4つの特徴があります。
1.ほめても喜ばない
2.すぐ自分を責めてしまう
3.すぐあきらめてしまう
4.相手を拒絶する言葉ばかり使う
そして、自己肯定感を高めるには以下7つのポイントがあります。
1.具体的にほめる
2.常に肯定する
3.過去の本人と比べる
4.小さな目標から設定する
5.具体的に説明する
6.根気よく続ける
7.干渉しすぎない
これらのポイントをおさえて、子どもと接するようにしていくと、親の自己肯定感も高まる効果があります。
自己肯定感を高める声かけを意識して、親子で自己肯定感を高めていきましょう。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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