自己肯定感には“揺らぎ”がある?自己肯定感の第一人者に聞く「自己肯定感レベル」を知る簡単な方法

日常生活のちょっとした迷いやモヤモヤ、それは自己肯定感が低下しているサインかもしれません。心理カウンセラーの中島輝さんによると、自己肯定感は高くなったり、低くなったりと揺らぎがあるもの。とはいえ、低いままの状態だとネガティブ思考になり、人間関係に影響を及ぼすことも。そもそも自己肯定感とは何なのか。そこから知る必要がありそうです。自己肯定感の第一人者、中島輝さんにお話をお伺いしました。

自己肯定感とは自分の人生に「YES」と思えること

――中島輝さんは、自己肯定感を高めれば、人生・仕事・人間関係など全てが好転するという「ナチュラル心理学」を提唱していらっしゃいます。まずは、自己肯定感とは何なのか、教えてください。

中島さん:簡単に説明をすると、自己肯定感は“自分には生きる能力があり、幸せになるだけの価値があると確信できること”、そして“自分や自分の人生に「YES」と思えること”です。誰かに決められたことで行動するのではなく、自分で考えてたどり着いた信念や真実に基づいて行動する。たとえ、それが失敗したとしても、肯定的側面を探してみる。否定的なことや嫌悪感を持つことに対しても同じで、どんなことにも肯定的側面を見ながら生きていく。それが自己肯定感だと思います。

――よく自己肯定感が高い人、低い人と言ったりしますが、それは生まれ持った性質で左右されるものなのでしょうか。

中島さん:自己肯定感は、誰しも生まれながらに備わっているものです。というのも、自己肯定感が一番高いのは赤ちゃんのとき。赤ちゃんって、好奇心旺盛じゃないですか。例えば、二足歩行をしようと何度もチャレンジしますよね。

私たちが何かに挑戦しようとして失敗したときって「怖いな」「もうやめよう」と思ってしまうけど、赤ちゃんにはそういう意識がまだ無い。転んだり、頭を打ったりしても「自分は歩ける、出来るんだ」と信じて何度も挑戦する。なので、最初は誰しもが同じくらい高い自己肯定感を持っているはずなんです。

――それが成長過程で変わってくるということでしょうか。

中島さん:そうですね。自己肯定感は後天的に高くなったり、低くなったりしていくものと言えます。例えば、ご両親に「やっちゃダメ」「危ない」「また?」などの否定的な言葉で育った人と、「いいじゃん!」「やってみたら何とかなるよ」「最高」などの肯定的な言葉で育った人だと、自己肯定感の総量に差が出ます。肯定語のシャワーを浴びていれば、自己肯定感の総量が高い人になるんです。

自己肯定感は親子間、そして周囲の雰囲気からも連鎖する

――後天的と考えると大人になってから、例えば会社の上司や同僚とのコミュニケーションなどでも増減がありそうですね。

中島さん:自己肯定感にはふたつの連鎖があります。ひとつは先ほど例に出した親子間連鎖、世代間連鎖。そして、もうひとつが雰囲気連鎖といって、周囲の環境によっても変わる。自己肯定感は高い人でも、低い人でも、そのなかで揺らぎがあるものなんです。

だから、例えば「今日は気分がいいな。好調だな」と思っていたのに、会社に行ったら上司が愚痴っていたり、同僚が批判的なことを言っていたり。そういうときは周りからの雰囲気連鎖、もったいないことに自分も自己肯定感が下がってしまいます。

――そう思うと、自分も周囲の人の自己肯定感に影響を与えている可能性もありますね。

中島さん:ものすごくあると思います。ですので、自分の自己肯定感が今どの状態なのか、それを知ることが大事なんです。自己肯定感が低いときはネガティブなことに関心を持ちやすくなります。「今日、アイラインがうまく引けなかったな」「髪のハネが気になるな」など、ついつい視野が狭くなりがちになってしまう。でも、自己肯定感が高いときって全然気にならないんです。

例えば、外出時に「家の鍵、閉めたかな」と不安になるときも、自己肯定感が低いときだと言えるでしょうね。同じ行動なのに、いつも気付かないようなところが気になってしまうとき、迷いが出るときなど、自己肯定感の低下は簡単にチェックすることができます。

自己肯定感というものは誰しもが持っているけど、周りの雰囲気にも影響されるし、人によって総量も違う。低くても、高くても揺れ動くもの。そう理解していると、自分の自己肯定感とうまく付き合えるようになって、常に高い状態をキープできるようになるのかなと思います。

2021-06-09 YOGAジャーナルに掲載された記事を加筆修正したものです。

 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP