「泣いてはいけない場面でも涙をがまんできない……」
「涙もろいのはHSPのせいなのかを知りたい」
そんなふうに、涙もろさが気になっている方も多いのではないでしょうか?
涙もろさは優しく心が動きやすい人の特徴でもあり、必ずしも悪いものではありません。しかし、泣きたくない場面で涙を制御できないとなると、大きな悩みになってしまいますよね。
涙もろさは、HSPと大きく関係しています。HSPの人はその特性上、涙もろい人が多いといえるでしょう。
HSPが涙もろさで悩まないためには、涙がこらえられない理由を論理的に理解し、自分を客観視できることが大切です。加えて、涙もろい自分をマイナスと捉えないような考え方へ変えていくことで、感情を制御しやすくなります。
そこで本記事では、HSPが涙もろい理由と心理を解説し、涙もろさに悩んでしまうときの考え方や対処法をご紹介します。
涙もろい自分をいつも責めてしまうという方は、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
目次
1.HSPが涙もろい5つの理由
HSPが涙もろくなってしまうのには、特性上の理由があります。主な理由としては、以下の5つがあげられます。
・共感しやすい
・人の気持ちを想像しすぎてしまう
・人より情報を受け取りやすく、処理に時間がかかる
・ストレスを感じやすい
・自分を責めやすい
それぞれ詳しくご紹介していきます。
1-1.共感しやすい
HSPの人は、生まれつき脳の扁桃体と呼ばれる部分のはたらきが強いといわれており、そのためにいくつかの特徴的な性質があります。
<HSPの特徴>
・共感しやすい
・不安を感じやすい
・自己否定が強くなりやすい
・感受性が強く想像力が豊か
・繊細で他人からの影響を受けやすい
・さまざまな刺激に対して過敏である
・深く情報を処理するため疲れやすい
共感しやすさ、感受性の高さは、HSPが生まれつきもつ大きな特徴ですが、こうした性質が涙もろさにつながっています。
HSPの人はちょっとしたことに心が揺さぶられやすく、加えて人の感情を自分のことのように感じられるため、以下のようにふとした場面で涙もろくなってしまいます。
・人の悩みを聞いていて自分が泣いてしまう
・悲しいニュースを見ただけで泣いてしまう
・映画や芸術作品を見ると感動で泣いてしまう
こうした共感や感動の涙は日常でそこまで問題になることはありませんが、人によっては「なぜそんなことで泣くのかわからない」と理解してもらえないこともあるでしょう。
1-2.人の気持ちを想像しすぎてしまう
想像力が高いのも、HSPの特徴です。長所ともいえる特徴ですが、想像力が優れているために人の気持ちをついつい想像しすぎてしまいます。
そのため、「自分は嫌われているはずだ」などと思い込んだり、ありもしないストーリーを頭の中で思い描いたりなど、想像を超えた「妄想」によって自らストレスを生み出してしまうことも。
涙はストレス物質を排出しようとする体の自然な反応のため、無意識にストレスを解消しようと涙もろくなってしまうことが考えられます。
1-3.人より情報を受け取りやすく、処理に時間がかかる
HSPの人は特性上、人より多くの情報を受け取ってしまう傾向にあります。加えて、受け取った情報を深く処理する特性があるため、処理に時間がかかり疲れやすくなってしまうのです。
無意識に疲れやストレスをためてしまうために、感情の処理が追いつかず、涙を制御できなくなってしまうと考えられます。
1-4.ストレスを感じやすい
HSPの人は、HSPでない人よりもストレスを感じやすいといえます。
それは前述したように、想像力・共感力の高さや刺激への敏感さ、不安感の強さなどからくるものです。自らの思考のなかでストレスを生み出しやすいともいえます。
自分でも気づかないうちにストレスをためてしまっていることも多く、心の限界サインとして涙もろくなっている可能性があります。
1-5.自分を責めやすい
HSPの人は日常生活において生きにくさや困難を感じやすく、仕事や人間関係がうまくいっていないと感じてしまう人が多いです。
すると、どうしてもマイナス思考に陥ってしまい、自分を責めてしまう傾向にあります。
「涙をがまんできないのは努力が足りないからだ」
「精神が大人になりきれていないからだ」
そんなふうに、自分を責めてしまっていませんか?
自分を責める行動は自信喪失につながり、さらなるストレスを生みます。ストレスがたまった結果、感情が制御しきれなくなり、より涙もろくなってしまう悪循環に陥ってしまいます。
2.HSPの涙もろさが問題になる場面と心理
次に、涙もろさが問題になる場面を考えてみましょう。
一般的に、涙もろさは「感動屋で優しい人」という印象を与えますが、場面によってはマイナスの印象をもたれてしまうこともあります。
そのような弊害を防ぐためにも、なぜ涙もろくなってしまうのか、HSPの特性からくる原因をしっかり理解しておくことが大切です。理論的に理解することで、自分を必要以上に否定してしまうことを防げます。
HSPの人の場合、次のような場面で涙もろくなってしまうことが多いといえます。
・人前で自分の意見を言うとき
・人に自分の本音を話そうとするとき
・人から怒られたときや、逆に優しく諭されたとき
それぞれの状況別に、以下に理由と心理をご紹介します。
2-1.人前で自分の意見を言うとき
HSPの人は、人前で話すことが苦手な場合が多いです。それは、大勢の人の目や感情、緊張といった情報を脳内で処理しきれなくなるためだと考えられます。
人前で意見を言おうとすると、緊張しすぎてうまく話せなくなったり、感情がたかぶって言葉よりも涙がでてきてしまうことはないでしょうか?
これは一気に受け取った情報を処理しきれないために、脳がストレスを感じてしまっている状況です。キャパオーバーとなったストレスをどうにか処理するために、涙が溢れてくるのだと考えられます。
「うまく話さなければ」と思うほど緊張によるストレスが増し、話せなくなると焦りからよりストレスが増大し、結果として涙をとめられなくなってしまうのです。
2-2.人に自分の本音を話そうとするとき
人に本音を話そうとすると、感情が先に出て泣いてしまうという人も多いはず。これも、HSPの人に多い感覚といえます。
HSPの人は、他人に自分の本音を話すことが苦手です。「本音を言うと嫌われるのでは?」などと思ったり、相手を傷つけてしまうことを恐れたりして、自分の本心を後回しにしてしまいます。
そのため、HSPの人にとって、自分の本音を話すことは大きな負担がかかる行為といえます。HSPの人は本音を言うときにも「相手を傷つけないように」とあれこれ思考を巡らすため、感情が処理しきれなくなり涙があふれてしまうのです。
2-3.人から怒られたときや、逆に優しく諭されたとき
社会人として特に困るのが、上司や同僚に怒られたり責められたりしたときに泣いてしまうことではないでしょうか。
頭では「社会人として泣くべきではない」とわかっていても、涙を止められないとつらいですよね。
怒られたときに泣いてしまう理由は、ストレスに対し脳が感情の処理をしきれなくなっているためです。
人に怒られたり責められたりする状況は、HSPでなくともストレスがかかるため、泣いてしまう人も少なくありません。ただ、繊細なHSPはよりストレスを感じやすいといえるでしょう。
逆に、間違いを優しく諭された場合にも涙が止まらなくなる人もいるかもしれません。これも、「共感してもらえたうれしさ」や「罪悪感」などの感情が溢れ、処理しきれなくなった結果といえます。
3.HSPで涙もろさが気になるときの考え方
涙を流すことはストレスに対する自然な反応であり、心を正常に保つための体の仕組みです。そのため、ストレスのキャパオーバーになりやすいHSPにとって、涙もろさは仕方ないことだともいえます。
しかし、できることなら泣かずにすむようになりたいですよね。
泣きそうになったときには、深呼吸をする、水を飲む、その場から離れるといった対処法が有効ですが、その場しのぎの対処法では涙もろさそのものは変わりません。
しかし、そもそもの考え方を見直すことで、自分を責めてしまう悪循環を防ぎ、涙もろさを緩和できる可能性があります。
そこで、本章では涙もろさを少しでも緩和するための方法として、以下2つの考え方をご紹介します。
・涙を流すことを理論的に捉える
・HSPの特性を理解し自分を肯定する
それぞれ解説します。
3-1.涙を流すことを理論的に捉える
HSPの人が涙もろさを緩和するコツは、泣きそうになったときに焦らないことです。
「どうしよう!泣きそう!」と焦ってしまうと、さらに感情のコントロールがきかなくなり、涙があふれて止まらなくなります。
そんなときは冷静に、今の状況を俯瞰して分析してみましょう。
「今、脳内でストレスが溢れている状況なんだな」
「体がストレス物質を外に出そうとしているんだな」
と考えることで、焦りや不安から視点をずらすことができ、自分の状況を客観視しやすくなります。加えて、泣いてしまったあとにも自分を責めずにすむようになります。
泣くことはストレスの浄化とプラスに捉え、悪循環に陥らないように意識してみてください。
3-2.HSPの特性を理解し自分を肯定する
涙もろさを緩和するためには、HSPの特性を理解したうえで自分を肯定してあげることが大切です。
涙もろさをどうにかしたいと考えている方は、「泣いてしまう自分」に対し否定的です。理想通りにならない自分を責め、自信をなくしてしまっているのではないでしょうか。
そんなときは、涙もろさの原因がHSPの特性からくることをいま一度理解しましょう。
1章でご紹介したとおり、HSPだからこそ刺激に過敏で、ほかの人よりもストレスに弱く、共感的で心が動きやすい特性をもつのです。涙もろさは、あなたの人格が問題ではないのです。
そう認識しただけで、今よりも自分を肯定できるようになるはずです。
泣いてしまう自分も自分と認め、自分を責めることをやめるだけで、自らの思考から生み出すストレスが減り、感情のコントロールがしやすくなりますよ。
5.まとめ
HSPの涙もろさは、どうにかしたくてもなかなかコントロールできない方が多いと思います。その理由は、生まれつきの脳のはたらきによって以下のような特性があるためです。
・共感しやすい
・人の気持ちを想像しすぎてしまう
・人より情報を受け取りやすく、処理に時間がかかる
・ストレスを感じやすい
・自分を責めやすい
涙もろさは、ときに社会生活に支障をきたす問題となります。しかし、「どうにかしなければ」と焦ることで、さらなる悪循環に陥ってしまいます。
そこで、大切な場面でなるべく涙もろさを緩和できるよう、以下のように考え方を見直してみましょう。
・涙を流すことを理論的に捉える
・HSPの特性を理解し自分を肯定する
考え方はすぐに変えられるものではありませんが、泣いてしまいそうな状況になったときには本記事を思い出し、焦らずに少しずつ実践してみてください。
なお、急に涙もろくなったり、ふとしたときに涙があふれてきたりといった場合には、鬱病なども考えられます。無理をせず、カウンセリングなどを受けてみてくださいね。
あなたが自分らしく、自信をもって生きていけることを祈っています。
自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。
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