「どうして自分は、他の人と同じようにできないんだろう?」
「部屋や机の片付けが、どうしても苦手…」
「相手の些細な言動に、ひどく傷ついてしまう」
そんな風に感じながら、日々を過ごしていませんか?
周りからは「気にしすぎ」「だらしないだけ」「もっと頑張れば?」と言われ、自分を責め続けてきたかもしれません。
実際に、結婚後に「部屋や机の片付けが苦手」といった長年の悩みの原因が、40代で「大人の発達障害」の診断を受けたことで明らかになった男性がいます。彼は診断をきっかけに、同じ悩みを持つ仲間と出会い、学び合うことで、少しずつ前に進み始めたといいます。
このエピソードに、思わず「自分のことかもしれない」と心がざわついた方もいるのではないでしょうか。
その「生きづらさ」は、あなたの努力不足や性格の問題ではなく、生まれ持った脳の特性「発達障害」や、繊細な気質「HSP」に起因している可能性があります。
この記事は、かつての私、中島輝のように、そして今これを読んでくださっているあなたのように、「生きづらさ」の正体がわからず、ひとりで悩み、自分を責めている方のために書きました。
この記事を読み終える頃には、きっと、長年あなたを苦しめてきた「もやもや」の正体が明らかになり、「なんだ、自分だけじゃなかったんだ」と、心が少し軽くなっているはずです。
「生きづらさ」の正体は? 大人の発達障害とHSP

まずは、あなたが感じている「生きづらさ」が、どのような特性から来ているのか、一緒に見ていきましょう。ここでは、近年注目されている「大人の発達障害」と「HSP」について解説します。
もしかして、あなたも? 当てはまる項目をチェック
以下の項目に、いくつ当てはまるか数えてみてください。(これは医学的な診断ではありません)
□ 部屋やデスクの上が、いつも散らかっている
□ 仕事や作業で、注意散漫になりがちでミスが多い
□ 時間の管理が苦手で、遅刻したり、締め切りを守れなかったりする
□ 人の話を最後まで聞くのが苦手で、つい口を挟んでしまう
□ 衝動的に行動して、後で後悔することがある
□ 冗談や皮肉が通じず、言葉をそのまま受け取ってしまう
□ こだわりが強く、自分なりのルールや手順を変えるのが苦手
□ 人混みや大きな音が苦手で、すぐに疲れてしまう
□ 相手の気分や感情に、過剰に影響されてしまう
□ 小さなことにも深く考え込み、なかなか決断できない
□ 光や匂い、音などの刺激に敏感に反応する
□ 人から「気にしすぎ」「考えすぎ」とよく言われる
診断結果を見てみましょう
【5個以上当てはまったあなたへ】
もしかしたら、あなたが感じている「生きづらさ」は、発達障害やHSPの特性が関係しているのかもしれません。これまで「自分の努力不足だ」と責めてきたかもしれませんが、それは生まれ持った脳の特性や気質によるもの。自分を責める必要は全くありません。この先に書かれている対処法が、きっとあなたの助けになるはずです。
【2~4個当てはまったあなたへ】
特定の場面で、発達障害やHSPと似たような困難を感じることがあるかもしれません。診断がつくほどではなくても、特性の傾向(グレーゾーン)を持っている可能性が考えられます。自分の「得意」と「苦手」を理解することで、日々の生活がぐっと楽になりますよ。
【0~1個当てはまったあなたへ】
チェックの数は少なくても、「なんだか生きづらい」と感じているのであれば、それはあなたの心が発している大切なサインです。この記事で紹介する自己肯定感を育むヒントは、特性の有無にかかわらず、あなたの毎日をより豊かにする手助けとなるでしょう。
発達障害とは? – 脳の機能的な特性
発達障害は、病気ではなく、生まれつきの脳機能の特性です。得意なことと苦手なことの差が、他の人よりも大きいという特徴があります。主なものに、以下のタイプがあります。
- ADHD(注意欠如・多動症)
不注意:集中力が続かない、忘れ物が多い、ケアレスミスが多い
多動性・衝動性:じっとしていられない、思いついたらすぐ行動する、人の話を遮って話し出す - ASD(自閉スペスペクトラム症)
対人関係の困難:空気を読むのが苦手、相手の気持ちを察するのが難しい、集団行動が苦手
強いこだわり:特定の手順やルールにこだわる、興味の範囲が限定的、感覚の過敏さまたは鈍麻さがある
これらは、どちらか一方だけではなく、両方の特性を併せ持っている場合も少なくありません。また、診断がつくほどではない「グレーゾーン」の人も多く存在します。
子どもの頃は「落ち着きがない子」「ちょっと変わった子」で済まされていた特性が、大人になり、仕事や家庭で求められる役割が複雑になるにつれて、困難として表面化してくるのです。
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HSPとは? – 生まれ持った繊細な気質
HSPは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略で、「非常に感受性が強く、繊細な気質を持った人」のことです。これは、病気や障害ではなく、生まれ持った気質であり、5人に1人が当てはまると言われています。
HSPには、主に4つの特性があります。
- 深く処理する(Depth of Processing):物事を深く、多角的に考えないと気が済まない。
- 過剰に刺激を受けやすい(Overstimulated):人混みや騒音、強い光など、外部からの刺激に疲れやすい。
- 感情の反応が強い(Emotional Reactivity):他人の感情に共感しやすく、感情移入しすぎてしまう。
- 些細な刺激を察知する(Sensing the Subtle):他の人が気づかないような、音や匂い、雰囲気の変化に敏感。
HSPの繊細さは、発達障害の「感覚過敏」と似ている部分があるため、混同されがちです。しかし、両者は異なる概念です。HSPは気質、発達障害は脳機能の特性です。ただ、両方の特性を併せ持っている人も少なくありません。
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なぜ、大人になるまで気づかれなかったのか?

「もし自分に発達障害の傾向があるなら、なぜ今まで誰も気づかなかったんだろう?」と疑問に思うかもしれません。それには、いくつかの理由が考えられます。
「普通」に馴染もうと、無意識に自分を偽ってきた
子どもの頃から、あなたは無意識のうちに「周りと違う自分」に気づいていたのではないでしょうか。そして、「普通」のふりをして、周りに合わせるために、必死に努力してきたのかもしれません。
苦手なことを膨大なエネルギーを使ってカバーしたり、自分の本当の感情を押し殺して笑顔を作ったり…。「ソーシャル・カモフラージュ」や「マスキング」と呼ばれるこうした行動は、一時的には社会に溶け込む助けになりますが、長期間続けると、心身ともに疲弊し、うつ病や不安障害などの二次障害を引き起こす原因にもなりかねません。
環境の変化で、隠れていた特性が表面化する
学生時代は、ある程度決まったスケジュールの中で生活するため、特性がそれほど問題にならないこともあります。しかし、就職、結婚、出産といったライフステージの変化は、環境を大きく変えます。
- 就職:複数のタスクを同時にこなす、臨機応変な対応を求められる、人間関係が複雑になる
- 結婚:他人との共同生活、家事や金銭の管理、親戚付き合い
- 出産・育児:予測不能な子どもの世話、睡眠不足、自分の時間がなくなる
こうした環境の変化によって、これまでなんとかカバーできていた特性が隠しきれなくなり、「どうして急に、何もできなくなってしまったんだろう」と、自分を責めてしまうのです。冒頭で紹介した40代の男性も、結婚を機に困難が顕在化した一人でした。
「あるある」な悩み。その原因と具体的な対処法

ここでは、大人の発達障害やHSPの方が抱えがちな具体的な悩みと、今日からすぐに実践できる対処法をご紹介します。
【悩み①】片付け・整理整頓が極端に苦手
原因:ADHDの特性である「不注意」や「実行機能(計画を立てて実行する能力)」の弱さが関係していることが多いです。「どこから手をつけていいかわからない」「一度始めると、別のことに気を取られてしまう」「物の定位置を決められない」といった困難を伴います。
対処法:
- 物の住所を決める:「鍵は玄関のこのトレイ」「書類はクリアファイルに入れて立てて収納」など、一つひとつに定位置を決めます。ラベリングするのも効果的です。
- 一度にやろうとしない:「今日はこの引き出しだけ」「15分だけ片付ける」など、ハードルを極限まで下げて、スモールステップで取り組みます。タイマーを使うのもおすすめです。
- 「とりあえずボックス」を作る:どこにしまうか迷うものを、一時的に入れておく箱を用意します。部屋が散らかるのを防ぎ、週末など時間がある時にまとめて整理できます。
【悩み②】仕事でのケアレスミスが減らない
原因:「不注意」特性により、集中力が途切れやすかったり、複数の情報の中から重要なものを選び出すのが苦手だったりすることが原因です。また、ASDの特性として、複数のタスクを同時に進めるマルチタスクが苦手な場合もあります。
対処法:
- チェックリストを作成する:作業の手順を細かく書き出し、一つ終わるごとにチェックを入れるようにします。思い込みによるミスを防げます。
- 静かな環境を整える:ノイズキャンセリングイヤホンを使ったり、パーテーションで区切られた席で作業したりするなど、刺激を減らす工夫をします。
- アラームやリマインダーを活用する:スマートフォンのアプリなどを使い、タスクの締め切りや予定を忘れないように設定します。
- 上司や同僚に相談する:正直に自分の苦手なことを伝え、電話応対は他の人に代わってもらう、指示は口頭ではなくメールやチャットでしてもらうなど、配慮をお願いすることも大切です。
【悩み③】人付き合いが苦手で、すぐに疲れてしまう
原因:HSPの「過剰に刺激を受けやすい」「感情の反応が強い」という特性や、ASDの「相手の意図を読み取るのが苦手」という特性が関係しています。相手の表情や声のトーンから多くの情報を読み取りすぎて疲れてしまったり、雑談で何を話していいかわからなくなったりします。
対処法:
- ひとりの時間を確保する:飲み会は一次会で帰る、ランチは時々ひとりで食べるなど、意識的にクールダウンする時間を設けましょう。「刺激からの避難」は、あなたにとって必要不可欠な時間です。
- 境界線を引く:相手の課題と自分の課題を切り離す練習をしましょう。「相手の機嫌が悪いのは、自分のせいではないかもしれない」と考える癖をつけることが大切です。
- 聞き役に徹してみる:無理に面白い話をしようとせず、相手の話に相槌を打ったり、質問をしたりする「聞き役」に徹するのも一つの手です。
【悩み④】感情のコントロールが難しい
原因:衝動性の高いADHDの特性や、強い共感性を持つHSPの特性により、感情の波が激しくなりがちです。また、発達障害の二次障害として、うつ病や不安障害を併発している可能性も考えられます。朝起きられない、学校や会社に行けないといった症状がある場合、身体的な問題が隠れていることもあります。
対処法:
- 感情を書き出す:イライラや不安を感じたら、その気持ちをノートに書き出してみましょう。自分の感情を客観的に見つめることができ、冷静さを取り戻す助けになります。
- その場を離れる:カッとなったら、すぐにその場を離れて深呼吸をしましょう。物理的に距離を置くことで、衝動的な言動を防げます。
- 専門家を頼る:感情のコントロールが著しく困難な場合や、身体的な不調(めまい、頭痛、倦怠感など)を伴う場合は、決して一人で抱え込まず、専門の医療機関やカウンセラーに相談してください。
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【簡単ワーク】自分の「トリセツ」を作ってみよう

自分の特性を理解し、うまく付き合っていくために、「自分の取扱説明書(トリセツ)」を作ってみましょう。自分を客観的に見つめ直す、良い機会になります。
ステップ1:自分の「得意」と「苦手」を書き出す
どんな些細なことでも構いません。思いつくままに書き出してみましょう。
得意なこと(例)
- 一度集中すると、時間を忘れて没頭できる
- ユニークなアイデアを思いつく
- 人の痛みに共感できる
- 決まったルールの作業は正確にこなせる
- 好きなことに関する知識が豊富
苦手なこと(例)
- 電話応対(相手の話を聞きながらメモが取れない)
- 急な予定変更
- 騒がしい場所
- 複数のことを同時に頼まれる
- 曖昧な指示を理解すること
ステップ2:「苦手」への対策を考える
ステップ1で書き出した「苦手なこと」に対して、具体的な対策を考えてみましょう。前章で紹介した対処法も参考にしてください。
- 苦手:電話応対
対策:メモ帳とペンを常に電話の横に置く。重要な要件は、後でメールでも送ってもらうようにお願いする。 - 苦手:騒がしい場所
対策:ノイズキャンセリングイヤホンを持ち歩く。疲れを感じたら、すぐに静かな場所に移動する。
ステップ3:周りの人に、どう伝えたら楽になるか考える
あなたの「苦手」や、それに対する「対策」を、周りの人にどのように伝えたら理解してもらいやすいか、具体的な言葉を考えてみましょう。
伝え方の例(職場の上司へ)
「申し訳ありません、口頭での指示ですと忘れてしまうことがあるため、お手数ですがチャットやメールでもお送りいただけますでしょうか。」
「複数の作業を同時に進めるのが少し苦手でして、恐れ入りますが、タスクの優先順位をつけていただけると、大変助かります。」
この「トリセツ」は、あなた自身が自分の特性を理解するためだけでなく、周りの人とのコミュニケーションを円滑にするための大切なツールになります。
もう自分を責めない。自己肯定感を育む3つのステップ

長年、周りとの違いに悩み、自分を責め続けてきたあなたは、自己肯定感が低くなっているかもしれません。しかし、大丈夫です。自己肯定感は、今からでも育てていくことができます。
ステップ1:自分の特性を「知る」そして「受け入れる」
最も大切なことは、あなたが今まで抱えてきた困難が、あなたのせいではなかったと知ることです。それは、生まれ持った特性によるものです。
「自分はダメな人間だ」と責めるのをやめ、「自分には、こういう特性があるんだな」と、まずは事実として受け止めてみましょう。診断を受けるかどうかは別として、自分の特性を正しく理解することは、自分を責めるループから抜け出すための大きな第一歩です。
ステップ2:「できたこと」に目を向ける練習
あなたはこれまで、「できなかったこと」ばかりに目を向けてきたのではないでしょうか。今日からは、意識して「できたこと」を探す練習をしてみましょう。
- 「朝、時間通りに起きられた」
- 「デスクの引き出しを一つだけ片付けられた」
- 「相手の話を最後まで聞くことができた」
どんなに小さなことでも構いません。一日の終わりに、今日できたことを3つ、手帳やノートに書き出してみてください。これを続けることで、「自分も、まんざら捨てたもんじゃないな」と思える瞬間が、少しずつ増えていきます。
ステップ3:安心できる環境に身を置く
あなたにとって、心から安心できる場所、ありのままの自分でいられる人はいますか?
HSPや発達障害の特性を持つ人は、環境からの影響を非常に受けやすいです。常に批判されたり、無理を強いられたりする環境に身を置いていると、自己肯定感はどんどん下がってしまいます。
あなたのことを理解し、尊重してくれる人と過ごす時間を大切にしましょう。もし、今の環境が辛すぎるなら、そこから離れることも、自分を守るための立派な選択肢です。
あなたは、ひとりじゃない。仲間と繋がる大切さ

共感し合える仲間が、何よりの力になる
冒頭で紹介した40代の男性も、「同じ悩みをもつ仲間たちと学び合いながら前へ」進んでいました。
自分の悩みを打ち明けたとき、「わかる!私もそうだよ」と共感してもらえる経験は、何にも代えがたい安心感を与えてくれます。自分だけでは気づけなかった対処法のヒントを、仲間から教えてもらえることもあるでしょう。
最近では、SNSやオンラインコミュニティ、当事者会など、同じ特性を持つ人々と繋がる場が増えています。勇気を出して、そうした場所に一歩足を踏み出してみるのも良いかもしれません。
専門家を頼るという選択肢
自分の特性について、もっと詳しく知りたい。具体的な対処法について、専門的なアドバイスが欲しい。そう感じたら、専門家を頼ることを検討してみてください。
発達障害者支援センターや、発達障害の診断・カウンセリングを行っている医療機関、私のような専門のカウンセラーなど、あなたをサポートしてくれる場所はたくさんあります。
専門家への相談は、あなたの「生きづらさ」を解消し、自分らしい人生を歩むための、強力な羅針盤となってくれるはずです。
まとめ:あなたのままで、大丈夫。
ここまで、大人の発達障害とHSPの特性、そして「生きづらさ」と向き合うための具体的な方法についてお伝えしてきました。
長年抱えてきた悩みの正体が、少し見えてきたでしょうか。
大切なことなので、もう一度言います。
あなたの「生きづらさ」は、あなたのせいではありません。
片付けが苦手なのも、ケアレスミスが多いのも、人付き合いに疲れてしまうのも、あなたが怠けているからでも、努力が足りないからでもないのです。それは、あなたが生まれ持った、一つの「個性」です。
その個性を、無理に変える必要はありません。
まずは、自分の特性を正しく理解し、受け入れること。そして、その特性とうまく付き合っていくための工夫を見つけること。
その道のりは、決して平坦ではないかもしれません。しかし、あなたはもう、ひとりではありません。
この記事が、あなたが自分自身を理解し、受け入れ、そして自分らしい幸せを見つけるための、小さな光となることを、心から願っています。
\まずは自分の心の状態を知ることから始めませんか?/
10の質問に答えるだけで、あなたの自己肯定感がわかる!

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





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