はじめに:40代からの「見えない壁」。その正体、本当に“歳のせい”で片付けてよいのでしょうか?
「最近、どうも仕事への情熱が湧きません…」
「重要な会議でも、頭がクリアに働かない時があります」
「昔はもっと粘れたはずなのに、疲れが全く抜けなくなりました」
「理由もなくイライラして、部下や家族にキツく当たってしまいます…」
第一線で活躍し、責任あるポジションを任されているあなただからこそ、このようなパフォーマンスの低下を敏感に感じ取っているのではないでしょうか。
多くのビジネスパーソンが、40代を過ぎたあたりから直面するこの「見えない壁」。 多くの人はそれを「歳のせいだ」「仕事のプレッシャーのせいだ」と結論づけて、気力と栄養ドリンクで乗り切ろうとします。しかし、もしその不調が、ホルモンバランスの乱れによって引き起こされる、治療可能な「病気」だとしたら、どうでしょうか?
こんにちは。自己肯定感の第一人者、中島輝です。 実は、今あなたが感じている原因不明の不調は、男性更年期障害(LOH症候群)の典型的なサインかもしれません。これは根性論や精神論で解決できる問題ではなく、医学的・心理的なアプローチが必要な状態です。
常に自己のアップデートを怠らない、第一線で活躍されているビジネスパーソンの方々にこそ、この問題を正しく理解し、戦略的に対処していただきたいと願っています。
この記事では、単なる症状の解説に留まりません。
- ✔️ 男性の更年期障害の科学的メカニズム
- ✔️ なぜ自己肯定感が低下し、症状を悪化させるのか
- ✔️ 対人関係のストレスを激減させる「アドラー心理学」の思考法
- ✔️ キャリア後半をさらに飛躍させるための具体的なアクションプラン
この記事を読み終える頃には、あなたは自身の不調を客観的に理解し、未来への希望と具体的な次の一歩を手にしているはずです。
その症状、見逃さないでください!管理職世代を襲う男性更年期障害(LOH症候群)セルフチェック
まずは、ご自身の心と身体が発しているサインに耳を傾けてみましょう。「これくらい普通だ」と思い込んでいる症状が、実は重要な警告かもしれません。

🏃♂️ 【身体のサイン】チェックリスト
- □ 全身の倦怠感がひどく、朝起きるのが辛い
- □ 筋力が低下し、体脂肪が増えた(特に腹回り)
- □ 集中力や記憶力が落ちたと感じる
- □ 性欲が明らかに減退した、またはED(勃起不全)の症状がある
- □ 頻尿、残尿感がある
- □ 関節痛や筋肉痛に悩まされている
- □ 突然のほてり、のぼせ、異常な発汗がある
- □ ぐっすり眠れない、夜中に何度も目が覚める
- □ めまいや耳鳴りがすることがある
🧠 【心のサイン】チェックリスト
- □ 何事にも興味がわかず、やる気が出ない
- □ 理由もなく不安になったり、憂鬱な気分になったりする
- □ ささいなことでイライラし、怒りっぽくなった
- □ 周囲から「気難しくなった」「頑固になった」と言われる
- □ 孤独感を強く感じることがある
- □ これまで楽しめていた趣味が楽しめない
3つ以上当てはまった方は、男性更年期障害の可能性が考えられます。
👔 なぜ「できる人」ほど症状を自覚しにくいのでしょうか?
責任感が強く、常に高いパフォーマンスを求められるポジションにいる方ほど、「弱音を吐いてはいけない」「体調管理も仕事のうちだ」という意識が強く働き、自身の不調を認めようとしません。
身体が発するSOSを「気合が足りない」「自己管理不足だ」と精神力で抑え込もうとするため、知らず知らずのうちに症状を悪化させてしまうケースが非常に多いのです。しかし、これはあなたの意志の弱さではありません。明確な医学的根拠のある身体の変化なのです。
テストステロンの減少だけではない。あなたの不調を引き起こす「3つの原因」
なぜ、このような心身の不調が起こるのでしょうか。そのメカニズムは、主に3つの要因が複雑に絡み合って生じます。
原因1:男性ホルモン(テストステロン)の急激な減少
男性更年期障害の最も直接的な原因は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」の減少です。テストステロンは、筋肉や骨の形成、性機能の維持だけでなく、意欲、決断力、競争心といった「社会で戦うための気力」にも深く関わっています。
20代をピークにテストステロンは加齢とともに緩やかに減少しますが、40代以降、その減少カーブが急降下することがあり、これが更年期障害の引き金となります。
原因2:過剰な社会的・心理的ストレス
テストステロンの減少に拍車をかけるのが、ストレスです。中間管理職としての板挟み、部下のマネジメント、厳しい業績目標、家庭での責任――。あなたが日々直面している過剰なストレスは、テストステロンの分泌を抑制し、症状を悪化させる最大の要因の一つです。
特に真面目で責任感の強い人ほどストレスを溜め込みやすく、テストステロンが減少しやすいという研究結果もあります。
原因3:自己肯定感の低下という「負のスパイラル」
見過ごされがちですが、極めて重要なのが「自己肯定感」との関係です。
- テストステロンの減少やストレスで心身の不調が起こります
- 仕事のパフォーマンスが低下し、ミスが増えたり、意欲が湧かなくなります
- 「昔はできたのに」「自分はもうダメだ」と自信を失い、自己肯定感が低下します
- 自己肯定感の低下がさらなるストレスを生み、テストステロンの分泌を抑制します
- 症状がさらに悪化します…

この「不調 → パフォーマンス低下 → 自己肯定感の低下 → さらなる不調」という負のスパイラルに一度陥ると、自力で抜け出すのは非常に困難になります。
「うつ病かもしれない…」男性更年期障害と「うつ病」の決定的な違いとは?
意欲の低下や憂鬱な気分が続くと、「自分はうつ病なのではないか」と考える方も少なくありません。実際に、男性更年期障害はうつ病と誤診されやすいという問題があります。
🩺 症状は似ていますが、アプローチが全く違います
うつ病は、脳内のセロトニンなどの神経伝達物質の不調が主な原因と考えられており、抗うつ薬などによる治療が中心となります。
一方、男性更年期障害は、テストステロンの欠乏が根本原因です。そのため、抗うつ薬を服用しても根本的な改善には繋がらず、むしろテストステロンを補充する治療(ホルモン補充療法)が劇的な効果を示す場合があります。
両者の鑑別は専門医による血液検査(血中テストステロン値の測定)などが必要不可欠です。自己判断で「うつ病だ」と決めつけず、正しい診断を受けることが極めて重要です。
⚠️ 放置するリスクと早期対処の重要性
男性更年期障害を「気のせい」「歳のせい」と放置すると、症状が悪化するだけでなく、生活習慣病(糖尿病、高血圧)、心筋梗塞、脳梗塞、認知症などのリスクを高めることも分かっています。
キャリアにおいても、家庭生活においても、これからの人生をより豊かに、健康的に過ごすために、今ここで正しく対処することが、未来への最高の投資となるのです。
なぜ今、アドラー心理学が必要なのでしょうか?あなたの「課題」を整理する最強の思考法
身体的なアプローチと同時に、あなたの心を蝕む「ストレス」そのものにメスを入れる必要があります。ここで極めて有効なのが、アルフレッド・アドラーの「個人心理学(アドラー心理学)」です。
🔑 アドラー心理学の核心「課題の分離」とは?
アドラーは言います。「すべての悩みは、対人関係の悩みである」と。
あなたのストレスの根源を辿っていくと、その多くが上司、部下、同僚、あるいは家族との人間関係に行き着くのではないでしょうか。
ここで役立つのが「課題の分離」という考え方です。
これは、「これは誰の課題なのか?」を冷静に見極め、他者の課題には踏み込まない、そして自分の課題にも踏み込ませないという、シンプルな思考の原則です。
- 「部下がなかなか育たない」
→ 指導や環境整備は“自分の課題”です。しかし、その指導を受けて部下がどう成長するかは“部下の課題”です。 - 「上司が自分の提案を理解してくれない」
→ 分かりやすく説明し、最善を尽くすのは“自分の課題”です。最終的にどう判断するかは“上司の課題”です。 - 「妻が不機嫌そうだ」
→ 妻を気遣い、話を聞くのは“自分の課題”です。しかし、妻がなぜ不機嫌で、どう気分を立て直すかは“妻の課題”です。
他者の課題まで背負い込んで悩むのをやめるだけで、あなたの心の負担は劇的に軽くなるはずです。
▶ 【中島輝 監修】看護師の人間関係は“課題の分離”で9割解決!自己肯定感を育むアドラー心理学の処方箋
【ワーク】あなたのストレスは、
本当に「あなたの課題」ですか?
今、あなたが最もストレスを感じている問題を一つ、紙に書き出してみてください。
そして、その問題に関わっている人物を全て挙げ、それぞれの「課題(やるべきこと、決めること)」を冷静に切り分けてみましょう。
例
ストレスな出来事:部下が締切を守らない
あなたの課題:締切の重要性を伝え、進捗を確認する仕組みを作る
他者の課題:実際に作業を進め、締切を守る
🤝 部下や家族との関係も劇的に改善します
「課題の分離」は、冷たい突き放しではありません。むしろ、相手への信頼と尊敬に基づいた、健全な境界線を引く行為です。過干渉をやめることで、部下は自律的に成長し、家族はそれぞれの課題に責任を持つようになります。結果として、対人関係はより良好なものに変わっていくのです。
家族関係のすれ違いに悩んでいる方は、こちらの記事もヒントになるかもしれません。
▶ 親の「良かれと思って」が逆効果に? 親子のすれ違いを生む「家族の価値観」とは
自己肯定感を再構築しましょう!アドラー流・男性更年期を乗り越える「5つの処方箋」
ここでは、テストステロン値を高める生活習慣の改善と、自己肯定感を再構築するアドラー心理学の知恵を融合させた、具体的な5つのアクションプランを提案します。

処方箋1:【食事】テストステロンを高める食事術
多忙な日々の中でも、食事は意識一つで変えられます。テストステロンの材料となる栄養素を積極的に摂取しましょう。
- 亜鉛:テストステロンの生成に不可欠です。(牡蠣、赤身肉、レバー、ナッツ類)
- 良質な脂質:ホルモンの原料となります。(アボカド、オリーブオイル、青魚)
- タンパク質:筋肉量を維持し、テストステロン値を保ちます。(鶏胸肉、卵、大豆製品)
- ビタミンD:テストステロン値を高める効果が報告されています。(きのこ類、魚、日光浴)
逆に、過度なアルコールや加工食品はテストステロンを低下させるため、極力控えましょう。
処方箋2:【運動】「筋トレ」が脳と身体に効く科学的根拠
運動、特にスクワットやデッドリフトのような、下半身の大きな筋肉を鍛える筋力トレーニングは、テストステロンの分泌を促す最も効果的な方法の一つです。
週に2〜3回、30分でも構いません。運動はテストステロンを高めるだけでなく、ストレスホルモンであるコルチゾールを減少させ、自信や達成感をもたらし、自己肯定感を直接的に高める効果があります。
処方箋3:【睡眠】パフォーマンスを最大化する睡眠戦略
テストステロンは、主に睡眠中に分泌されます。睡眠不足は、テストステロン値を著しく低下させることが科学的に証明されています。
最低でも7時間の質の良い睡眠を確保しましょう。寝る前のスマホ操作をやめ、部屋を真っ暗にするなど、睡眠環境を整えることが、日中のパフォーマンスを左右します。
処方箋4:【思考】「劣等感」をエネルギーに変えるリフレーミング術
アドラーは、「劣等感は、誰もが持つものであり、努力と成長の源泉となりうる」と考えました。
パフォーマンスが落ちた自分を「ダメだ」と責めるのではなく、「これは新しい課題に取り組むチャンスだ」と捉え直す(リフレーミング)ことが重要です。
- 「集中力が落ちた」→「シングルタスクに集中する良い機会だ」
- 「体力が落ちた」→「効率的な働き方を模索するきっかけだ」
弱みや不調を、成長のバネに変える思考の転換が、自己肯定感を守ります。
処方箋5:【貢献】「共同体感覚」があなたを孤独から救います
アドラー心理学の最終目標は「共同体感覚」を持つことです。これは、「自分はコミュニティ(家庭、職場、地域など)の一員であり、そこに貢献できている」という感覚のことです。
更年期には、役職定年や子どもの独立など、社会的役割の変化による孤独感を覚えやすくなります。しかし、自分の価値を役職や収入だけで測るのをやめ、「他者に貢献すること」に喜びを見出すことができれば、あなたの自己肯定感は揺るぎないものになります。
部下を育成する、自分の経験を若手に伝える、家庭でパートナーを支える。どんな小さなことでも構いません。「自分は誰かの役に立っている」という感覚こそが、テストステロンの減少や社会的地位の変化による不安を乗り越える、最強の心の支えとなるのです。
一人で戦わないでください。専門家と家族を「最強の味方」につける方法
これらのセルフケアを試みても改善が見られない場合、あるいはより積極的に改善したい場合は、決して一人で抱え込まず、専門家の力を借りるべきです。
🏥 何科を受診すべきか?男性更年期の専門医を見つけるヒント
男性更年期障害の診療は、泌尿器科、メンズヘルスクリニック、内科、精神科などで行われています。ウェブサイトで「LOH症候群」「男性更年期障害」の診療を標榜しているクリニックを探すのが確実です。勇気を出して、まずは相談してみましょう。
💉 ホルモン補充療法(ART)という選択肢
血液検査の結果、テストステロン値の著しい低下が認められた場合、ホルモン補充療法(Androgen Replacement Therapy)が有効な選択肢となります。これは、注射や塗り薬でテストステロンを直接補充する治療法で、多くの人で劇的な症状改善が見られます。
副作用のリスクなどもあるため、必ず専門医と相談の上で検討してください。
❤️ 最も大切なのは「妻・パートナー」の理解です
最後に、最も身近な存在である妻やパートナーの理解と協力は、何物にも代えがたい力となります。
イライラや性欲の減退は、二人の関係に深刻な影響を及しかねません。一人で抱え込まず、「今、身体の中でこういう変化が起きていて、自分も辛いんだ」と、この記事を材料にしながらでも構いませんので、勇気を出して打ち明けてみてください。
共通の敵(男性更年期障害)に対して、二人でチームとして立ち向かうことができれば、それは新たな絆を育む機会にもなり得ます。
まとめ:更年期は「終わり」ではない。「再起動」の始まりです。
男性更年期障害は、これまでの働き方や生き方を見直すための、身体からの重要なメッセージです。
それは決してキャリアの終わりを告げるサインではありません。むしろ、アドラー心理学の知恵と自己肯定感という新たな武器を手に入れ、人生の後半戦をより賢く、より豊かに戦うための「再起動(リブート)」のチャンスなのです。
不調の原因を正しく理解し、課題を分離し、自分にできることから一つずつ実践していく。そのプロセスを通じて、あなたはホルモンやストレスに振り回されるのではなく、自分自身の人生の舵を再びその手に取り戻すことができるでしょう。
あなたのこれからのキャリアと人生が、より一層輝かしいものになることを、心から応援しています。
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この記事でご紹介した「課題の分離」をはじめとするアドラー心理学の思考法は、
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自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





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