なぜ学校は不登校のサインを見逃すのか?多忙な先生と親がアドラー心理学で共に育む「自己肯定感」という名の希望

「うちの子、最近元気がないな…」
「また朝になると『お腹が痛い』って言う…」

大切なお子さん、あるいは受け持っているクラスの生徒が発する小さなSOS。
それに気づいていながらも、どう対応すればいいのかわからず、不安な日々を過ごしている先生や保護者の方はいませんか?

あるインターネット記事で、『子どもが発する不登校の“前兆”を、なぜ学校は見逃すのか』というテーマが取り上げられ、心を揺さぶられた方も多いのではないでしょうか。
この記事は、多くの先生方が過酷な労働環境に置かれている現実と、一部の旧来の価値観が、子どもたちの繊細なサインを見過ごす一因になっていると指摘しています。

しかし、これは決して特定の「誰か」だけの問題ではありません。

文部科学省の調査によると、令和4年度の小中学校における不登校児童生徒数は過去最多の約30万人にのぼり、10年連続で増加しています。
この数字は、もはや「個人の問題」ではなく、学校、家庭、そして社会全体で向き合うべき構造的な課題であることを示しています。

この記事を読んでいるあなたも、
「教員として、もっと一人ひとりに寄り添いたいのに時間がない…」
「保護者として、学校にどう相談すればいいかわからない…」
「どうすれば、この負の連鎖を断ち切れるのだろう…」
と、出口のないトンネルの中にいるような気持ちかもしれません。

でも、安心してください。解決の糸口は必ずあります。
その鍵を握るのが、「アドラー心理学」「自己肯定感」です。

この記事では、自己肯定感の第一人者であり、アドラー心理学にも精通する中島輝の知見を基に、以下の内容を具体的にお伝えしていきます。

  • なぜ、子どものSOSは学校で見過ごされてしまうのか?その構造的な背景
  • 不登校問題の解決の鍵を握る「アドラー心理学」と「自己肯定感」の本質
  • 多忙な教員と不安な保護者が「敵対」せず「協力」するための具体的なステップ

この記事を読み終える頃には、あなたは子どもたちの未来のために、今日から何ができるのか、明確な一歩を踏み出せるようになっているはずです。

見過ごされる子どもたちのSOS:なぜ学校は不登校の「前兆」に気づけないのか?

多くの子どもたちは、学校に行けなくなる前に、何らかのサインを発しています。
「頭が痛い」「お腹が痛い」といった身体的な不調、表情が暗くなる、口数が減るといった態度の変化。
しかし、なぜそのSOSは、多忙な学校現場の中でかき消されてしまうのでしょうか。

1-1. 教員を疲弊させる「1人対40人」の現実と過剰な業務

現在の日本の公立学校では、教員一人が30人、40人もの子どもたちを受け持つのも珍しくありません。
授業の準備、テストの採点、保護者対応、山のような書類仕事、部活動の指導…。
文部科学省も「教員の働き方改革」を掲げていますが、現場の負担は依然として深刻です。

一人の教員が、クラス全員の微細な変化を常に察知し、個別に対応することは物理的に極めて困難です。
「もっと一人ひとりに寄り添いたい」という熱意がありながらも、時間的・精神的な余裕がなく、結果として子どものサインを見過ごさざるを得ない
これが、多くの誠実な先生方が抱えるジレンマなのです。

1-2. 根強く残る「学校は行くべき」という昭和の価値観

「少しくらい辛くても、学校は休まず行くのが当たり前」
「みんな我慢しているんだから、あなたも頑張りなさい」

こうした考え方は、いわゆる「昭和タイプの価値観」と言えるかもしれません。
もちろん、忍耐や努力が大切な場面もあります。
しかし、この画一的な価値観が、多様化する現代の子どもたちを追い詰めている側面も否定できません。

不登校は、本人の「甘え」や「わがまま」ではなく、心身のエネルギーが枯渇してしまった「SOS」です。
このSOSに対し、「根性が足りない」という視点で接してしまうと、子どもは「自分はダメな人間なんだ」と心を閉ざし、事態はさらに深刻化してしまいます。

1-3. モンスターペアレントという言葉が生んだ、教員と保護者の断絶

いつからか、「モンスターペアレント」という言葉がメディアで頻繁に使われるようになりました。
この言葉は、学校に対して理不尽な要求をする保護者を指す一方で、多くの良識ある保護者が学校に相談することをためらわせる「壁」にもなっています。

「こんなことを相談したら、モンスターペアレントだと思われないだろうか…」
「学校に迷惑をかけたくない…」

こうした遠慮が、本来であれば最も重要な「家庭と学校の連携」を阻害し、その間にいる子どもが孤立してしまうのです。
教員側も、過去のクレーム対応の経験から、保護者との対話に過度に防衛的になってしまうケースもあります。

このように、不登校問題の背景には、個人の資質だけでなく、「教員の多忙」「旧来の価値観」「コミュニケーションの断絶」といった、複雑な構造的問題が横たわっているのです。

すべての鍵はここにある。アドラー心理学が示す「課題の分離」という処方箋

では、この複雑に絡み合った問題を、私たちはどう解きほぐしていけば良いのでしょうか。
ここで非常に強力なツールとなるのが、アルフレッド・アドラーが提唱した「アドラー心理学」、特にその中核概念である「課題の分離」です。

2-1. 「それは、誰の課題なのか?」ーストレスから抜け出す魔法の言葉

「課題の分離」とは、文字通り、目の前で起きている問題が「誰の課題なのか」を冷静に見極めることです。
そして、「他者の課題には介入しない」という原則を貫くこと。
これは冷たい突き放しではなく、相手の力を信頼し、自立を促すための重要な考え方です。

例えば、子どもが勉強しないという問題。
「勉強しなさい!」と叱るのは、親が子どもの課題に土足で踏み込んでいる状態です。
勉強しないことで最終的に困るのは、親ではなく子ども本人です。

アドラー心理学では、「その選択によってもたらされる結末を、最終的に引き受けるのは誰か?」という視点で、課題の持ち主を判断します。

2-2. 学校の課題、親の課題、そして子どもの課題

不登校の問題も、「課題の分離」で整理することができます。

  • 子どもの課題:「学校に行くか、行かないか」を最終的に決めること。そして、その選択によって生じる結果(勉強の遅れ、友人関係の変化など)を引き受けること。
  • 親の課題:子どもが安心して心を休められる家庭環境を整えること。子どもの気持ちに寄り添い、話を聞くこと。必要であれば、学校以外の選択肢(フリースクール、相談機関など)の情報を集め、いつでもサポートできる準備をしておくこと。
  • 学校(教員)の課題:子どもが安心して学校生活を送れる環境を整えること。学習機会を提供すること。家庭と連携し、必要な情報を提供すること。

子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親や教員が無理やり行かせようとするのは、子どもの課題への「介入」です。
それは、短期的には解決したように見えても、根本的な問題の先送りにしかなりません。

大切なのは、それぞれの立場が「自分の課題」に集中し、「他者の課題」には介入しないことです。

2-3. 【簡単ワーク】「これは誰の課題?」書き出しワーク

今、あなたが抱えている悩みやストレスを、紙に書き出してみてください。
そして、その一つひとつについて、「これは本来、誰の課題だろうか?」と自問自答してみましょう。

  • (例)子どもが朝起きられない → 子どもの課題
  • (例)担任の先生が子どもの状況を理解してくれない → 自分の課題(先生との対話をどう設定するか)
  • (例)夫が不登校の問題に非協力的 → 自分の課題(夫との協力関係をどう築くか)

課題を分離するだけで、自分が今、何にエネルギーを注ぐべきかが明確になり、心の負担が驚くほど軽くなるはずです。

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不登校を乗り越える土台を作る「自己肯定感」の育み方

アドラー心理学の「課題の分離」と並行して、絶対に欠かせないのが「自己肯定感」を育むことです。
自己肯定感とは、不登校という困難な状況を乗り越え、子どもが再び自分の足で歩き出すためのエネルギーの源泉となります。

3-1. 自己肯定感とは「ありのままの自分」を認める力

自己肯定感とは、単なる自信やポジティブシンキングとは異なります。
自己肯定感とは、「良い自分」も「ダメな自分」も、すべて含めて「ありのままの自分でいいんだ」と受け入れ、信頼する感覚のことです。

学校に行けない子どもは、「自分はみんなと同じようにできないダメな人間だ」と、自己肯定感が著しく低下している状態にあります。
この状態で「頑張れ!」と励ましても、その言葉はプレッシャーになるだけです。

3-2. 「ダメな部分」ではなく「できている部分」に光を当てる

では、どうすれば自己肯定感を育むことができるのでしょうか。
それは、「ないもの」ではなく「あるもの」に目を向けることです。

「学校に行けない」という事実(ないもの)に焦点を当てるのではなく、
「家で穏やかに過ごせている」
「好きなゲームに集中している」
「家族と会話ができている」
といった、今できていること(あるもの)を見つけ、その価値を認めてあげるのです。

これは、心理学でいう「リフレーミング(物事の捉え方を変える)」という手法です。
不登校は「問題行動」ではなく、子どもが心身のエネルギーを充電するための「必要な休息期間」と捉え直すこともできます。

3-3. 子どもの自己肯定感を育む「勇気づけ」の言葉がけ

アドラー心理学では、「褒める」のではなく「勇気づける」ことが重要だと考えます。

褒める(praise)
条件付きの肯定。「テストで100点を取って偉いね」など。上下関係が生まれやすく、子どもは「良い子でいなければ認められない」と感じてしまう。

勇気づける(encourage)
無条件の肯定。「ここにいてくれるだけで嬉しいよ」「あなたがいてくれて助かるよ」など。対等な関係で、子どもの存在そのものを認めるメッセージ。

不登校の子どもにとって、何よりの栄養となるのが、この「勇気づけ」です。
「おはよう」と挨拶してくれたら、「あなたの声が聞けて嬉しいな」。
何かを手伝ってくれたら、「ありがとう、助かったよ」。

こうした日常の些細なやり取りの積み重ねが、子どもの心に「自分はここにいてもいいんだ」「自分は価値のある存在なんだ」という自己肯定感の土台を築いていきます。

教員と保護者が「仲間」になるための3つのステップ

子どもの自己肯定感を育むためには、家庭と学校が同じ方向を向き、協力し合うことが不可欠です。
しかし、前述の通り、両者の間には見えない壁が存在しがちです。
ここでは、教員と保護者が「対立」するのではなく、子どものための「最高のチーム」になるための具体的な3つのステップをご紹介します。

4-1. ステップ1:互いの立場と課題を「知る」ことから始める

まず大切なのは、お互いの状況を理解しようと努めることです。

  • 保護者の方へ:先生方は、あなたのお子さん一人だけでなく、数十人の生徒を見ています。授業以外にも膨大な業務を抱えているという現実を想像してみてください。
  • 教員の方へ:保護者は、我が子のこととなると冷静でいられなくなることがあります。それは愛情の裏返しであり、決してあなたを攻撃したいわけではないという背景を理解してください。

互いに「敵」ではなく、同じ「子どもの幸せを願う仲間」であるという大前提に立ち返ることが、すべてのスタートです。

4-2. ステップ2:「要求」ではなく「提案」で対話する勇気

学校に相談する際、「どうしてうちの子を見てくれないんですか!」という「要求」や「非難」の形では、相手は心を閉ざしてしまいます。

そうではなく、
「先生もご多忙とは存じますが、息子の学校での様子について、少しお話を伺う時間はいただけないでしょうか」
「家庭ではこういう様子なのですが、何か学校で協力できることはありますでしょうか」
といった、「相談」や「提案」の形でコミュニケーションを取ることが重要です。

これはアドラー心理学でいう「I(アイ)メッセージ」の応用です。
「You(あなたは)どうして〜しないのか」ではなく、「I(私は)〜だと感じている、〜について相談したい」と、自分の気持ちを主語にして伝えることで、相手も話を聞き入れやすくなります。

4-3. ステップ3:小さな成功体験を共有し「共同体感覚」を育む

アドラー心理学では、人が幸せを感じるためには「共同体感覚(他者に貢献できているという感覚)」が重要だと考えます。

教員と保護者が連携して、子どもに良い変化が見られたら、その喜びを共有しましょう。
「先生に相談してから、家で少し笑顔が増えたんです」
「お母さんから様子を伺っていたので、教室でこんな声かけをしてみました」

連絡帳や短い電話でも構いません。小さな成功体験を共有することで、互いに「私たちは良いチームだ」という感覚が芽生え、より強固な協力関係が築かれていきます。
この安心感が、子どもにとって最高のセーフティネットになるのです。

【お役立ち情報】大人のあなたが疲弊しないために

ここまで、不登校の子どもへの向き合い方についてお伝えしてきましたが、最も大切なのは、サポートする大人自身が心身ともに健康であることです。
教員も、保護者も、自分のことを後回しにしがちです。
しかし、あなたが倒れてしまっては、元も子もありません。

5-1. ストレスや不調…もしかして、あなたの課題ではないかも?

日々の仕事や家庭で、強いストレスを感じていませんか?
その心の重荷は、先ほどの「課題の分離」をすることで、手放せるかもしれません。
他人の課題まで背負い込み、自分を追い詰めていないか、一度立ち止まって考えてみましょう。

▶︎ 【ストレスで悩むあなたへ】
その心の重荷、実はあなたの課題ではないかも?
アドラー心理学と自己肯定感でストレスの9割を手放す方法

また、特に男性の場合、仕事の不調や気分の落ち込みが「男性更年期」によるものである可能性も指摘されています。
自分自身の心と体の声にも、耳を傾ける時間を大切にしてください。

▶︎ 仕事の不調、原因は「男性更年期」かも?
アドラー心理学で自己肯定感を取り戻し、キャリア後半を最高にする方法

5-2. “本当の自信”を取り戻し、最高のキャリアを築く方法

子どもをサポートするためにも、まずは大人が“本当の自信”=自己肯定感を取り戻すことが不可欠です。
自己肯定感を高めることで、物事の捉え方が柔軟になり、困難な状況にもしなやかに対応できるようになります。

▶︎ 【アドラー心理学で“本当の自信”を手に入れる】
自己肯定感を育む6つの力と『嫌われる勇気』の次にすべきこと

まとめ:子どもたちの未来のために、私たち一人ひとりができること

不登校問題は、学校、教員、保護者、そして子ども自身、それぞれの立場と思いが複雑に絡み合った、根深い課題です。
しかし、構造的な問題だからと諦める必要はありません。

この記事でお伝えした「アドラー心理学の課題の分離」「自己肯定感を育む」という2つの軸を実践することで、状況は必ず好転していきます。

  • 課題を分離し、自分のやるべきことに集中する。
  • 子どもの存在そのものを「勇気づけ」、安心できる居場所を作る。
  • 教員と保護者が「仲間」として対話し、協力体制を築く。

大切なのは、完璧を目指さないことです。
今日、ほんの少し子どもの話を聞く時間を増やす。
連絡帳に、感謝の一言を添える。
そんな小さな一歩の積み重ねが、子どもたちの未来を照らす大きな光となります。

一人で抱え込まないでください。あなたには、私たちという仲間がいます。

7. 【無料】あなたの心の状態がわかる「自己肯定感チェックテスト」

最後に、あなた自身の心の状態を知ることから始めてみませんか?
子どもを支えるためには、まず自分の心のエネルギーを満たすことが大切です。
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ぜひ、ご自身の心をケアするための第一歩としてご活用ください。

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