「また怒鳴ってしまった」と落ち込む親ほど、
実は子の自己肯定感を育てている理由
また、感情的に怒鳴ってしまった。寝顔を見ながら「ごめんね」とつぶやいて、自分を責める——。そんな夜を過ごしていませんか。でも、どうか聞いてください。「怒鳴ってしまった」と落ち込めるあなたは、もう十分に、いい親です。そして、完璧でない親こそ、実は子どもをしっかり育てている。その理由を、自己肯定感アカデミー会長・中島輝が、モンテッソーリ教育と自己肯定感の「6つの感」とともに、やさしくお伝えします。
寝顔を見ながら、自分を責めていませんか
今日も、怒鳴ってしまった。「いいかげんにして!」「何度言ったら分かるの!」。言ったあとに残るのは、後悔と自己嫌悪。夜、すやすや眠るわが子の寝顔を見ながら、「あんなに怒らなくてもよかったのに」「私は母親失格かもしれない」と、自分を責める——。
もし、あなたがそんな夜を過ごしているなら、まず、これだけは伝えさせてください。「怒鳴ってしまった」と落ち込めること自体が、あなたが真剣に子育てに向き合っている、何よりの証拠です。本当にどうでもいいと思っていたら、落ち込んだりしません。あなたは、いい親です。
そして、もう一つ。完璧でない親こそ、実は子どもをしっかり育てている。これは、慰めの言葉ではありません。モンテッソーリ教育でも、自己肯定感の研究でも、はっきりと示されていることなのです。この記事では、怒鳴っても子が育つ理由と、何より大切な「親自身の心の守り方」を、お伝えします。今日は、お子さんのためではなく、あなた自身のために読んでください。
こんなこと、ありませんか?
- 怒鳴ったあと、強い自己嫌悪に襲われる
- 寝顔を見て「ごめんね」と自分を責める
- 「母親失格」「向いてない」と感じてしまう
- もっと穏やかな親になりたいのに、なれない
- 誰にも言えず、ひとりで抱え込んでいる
一つでも当てはまったら、どうか読み進めてください。読み終えるころには、肩の力が、少し抜けているはずです。
「完璧な親」は、いない
まず、はっきりお伝えします。「完璧な親」は、どこにも存在しません。SNSで見る穏やかで素敵なママも、絵本に出てくる優しいお母さんも、現実には、怒鳴ったり、落ち込んだり、後悔したりしています。みんな、見えないところで、あなたと同じように悩んでいるのです。
イギリスの小児科医ウィニコットは、「ほどよい親(Good Enough Mother)」という言葉を残しました。完璧な親ではなく、「ほどよい」親で十分だ、という考え方です。むしろ、完璧すぎる親より、ときどき失敗する「ほどよい親」のほうが、子どもは健やかに育つ。なぜなら、世界は完璧ではないからです。
完璧を目指すと、できない自分を責め続けることになります。すると、心の余裕がなくなり、かえってイライラして、また怒鳴ってしまう——という悪循環に陥ります。大切なのは、完璧になることではなく、「完璧でなくていい」と、自分を許すこと。それが、悪循環を抜け出す、最初の一歩です。
怒鳴っても、子が育つ理由
「でも、怒鳴ったら、子どもの心に傷が残るのでは……」。そう心配になりますよね。ここで、とても大切なことをお伝えします。子どもの自己肯定感を育てるのは、「一度も怒鳴らないこと」ではなく、「怒鳴ったあと、どうするか」なのです。
心理学では、これを「修復(リペア)」と呼びます。親子関係に、すれ違いやぶつかり合いが起きるのは当たり前。大切なのは、そのあと関係を立て直すこと。怒鳴ってしまっても、落ち着いてから「さっきは大きな声を出して、ごめんね」と伝える。この「修復」こそが、子どもに深い安心感を与えるのです。
むしろ、怒鳴ったあとに謝る親の姿は、子どもにとって「人は間違える。でも、謝って、やり直せる」という、何よりの学びになります。完璧な親より、間違えて、謝って、修復できる親のほうが、子どもに本物の安心感を与えるのです。だから、怒鳴ってしまった日も、決して無駄ではありません。そのあと「ごめんね」と言えたなら、それはむしろ、子どもの心を育てる大切な時間なのです。
親が自分を責めるほど、怒鳴りやすくなる
ここで、見落とされがちな大切な事実をお伝えします。親が自分を責めれば責めるほど、実は、もっと怒鳴りやすくなるのです。一見、逆のように思えますよね。でも、これにははっきりした理由があります。
自分を責め続けると、心はどんどんすり減り、余裕がなくなります。心に余裕がない状態では、ちょっとしたことでイライラが爆発しやすくなる。つまり、「怒鳴る→自己嫌悪→心がすり減る→また怒鳴る」という悪循環に陥ってしまうのです。この循環を断ち切る鍵が、「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」です。
自分を責め続ける
「私はダメな親」と責める。心がすり減り、余裕がなくなる。ちょっとしたことでまた怒鳴る。さらに責める。
自分にやさしくする
「がんばってるよ」と自分をいたわる。心に余裕が生まれる。穏やかに対応できる。怒鳴る回数が減っていく。
セルフ・コンパッションとは、難しいことではありません。親しい友人が同じことで悩んでいたら、かけてあげる言葉を、自分自身にもかけてあげること。友人が「また怒鳴っちゃった」と落ち込んでいたら、あなたは「ダメな親だね」とは言わないですよね。「毎日がんばってるよ」「そういう日もあるよ」と声をかけるはずです。その言葉を、自分にも。研究でも、セルフ・コンパッションはストレスを減らし、心を立て直す力を高めると示されています。
自分を責めるほど、余裕を失い、また怒鳴る。自分にやさしくすることが、穏やかな親への近道です。
親が自分を受け入れると育つ3つの感
親が「完璧でなくていい」と自分を受け入れることは、親自身を救うだけでなく、不思議なことに、子どもの自己肯定感まで育てます。「6つの感」のうち、特に次の3つです。
親が穏やかでいると、家庭が安全な場所になる。親の余裕が、子の「ここは安心」という土台をつくる。
親が「不完全な自分もいい」とする姿を見て、子も「完璧でなくていい」と学ぶ。自分を受け入れる手本になる。
親が自分を大切にする姿が、「自分を大切にしていい」という何よりの手本になる。
ここで知っていただきたいのが、「シャンパンタワーの法則」です。シャンパンタワーは、いちばん上のグラスを満たさないと、下のグラスには注げません。子育ても同じ。まず親自身の心を満たさないと、子どもに愛情を注ぐ余裕は生まれないのです。自分を後回しにして、責めてばかりいると、注ぐシャンパン(心の余裕)が枯れてしまいます。
だから、親が自分にやさしくすることは、わがままでも甘えでもありません。子どものために、まず自分を満たす。これは、子育てを続けるために必要な、大切な戦略なのです。そして、親が自分を大切にする姿そのものが、子どもにとって「自分も大切にしていい」という、生きた手本になります。
図|まず親自身を満たすことで、子どもに愛情と安心が注がれる(中島輝「シャンパンタワーの法則」より作成)
中島輝が見た、自己嫌悪ケース5選
よくある5つの場面を、「自分を責める考え方」と「自分にやさしい考え方」で見ていきましょう。
感情的に怒鳴ってしまった
責める:「私は最低な親だ……」
やさしい考え方:「怒鳴っちゃったな。でも気づけた。ごめんねって言おう」。怒鳴った事実より、気づいて修復できることが大切。謝れば、関係は立て直せます。
他の穏やかなママと比べて落ち込む
責める:「あの人は優しいのに、私は……」
やさしい考え方:「見えてないだけで、みんな悩んでる」。SNSや人前の姿は一部分。比べる相手は、昨日の自分だけで十分です。
イライラが止まらず、自己嫌悪
責める:「なんでこんなにダメなんだろう」
やさしい考え方:「疲れてるんだな、私」。イライラの裏には、睡眠不足や疲れがあることが多い。自分を責める前に、休む工夫を。
子どもに申し訳なくて涙が出る
責める:「こんな親でごめん……」と泣く
やさしい考え方:「こんなに思えるのは、愛してる証拠」。罪悪感を感じられること自体が、深い愛情の表れ。その愛は、ちゃんと子に届いています。
誰にも言えず、ひとりで抱え込む
責める:「こんなこと、相談できない」
やさしい考え方:「頼ることは、弱さじゃない」。家族、友人、地域の窓口に話すだけで心は軽くなる。抱え込まないことが、何より大切です。
親自身の心を、いちばんに守る
この記事で、いちばんお伝えしたいこと。それは、あなた自身の心を、何より大切にしてほしいということです。子育ての情報は「子どものために」あふれていますが、親自身の心は、後回しにされがちです。でも、親が倒れてしまっては、元も子もありません。
自分を後回しにする
子ども最優先で、自分の休息・時間・気持ちを犠牲に。我慢の限界で爆発し、また自己嫌悪。心が枯れていく。
自分の心も大切にする
少し休む、誰かに頼る、ひとりの時間をつくる。自分を満たすことで、子にも穏やかに向き合える。
具体的に、心がけてほしいことがあります。少しでも休む。完璧な家事をあきらめる。誰かに頼る。ひとりになる時間をつくる。同じ悩みを持つ人とつながる。どれも、わがままではありません。子育てを健やかに続けるために、必要なことです。とくに、ひとりで抱え込まないこと。話すだけで、心はずっと軽くなります。
そして、もし——気分の落ち込みが何週間も続く、涙が止まらない、何も楽しめない、自分や子どもを傷つけたくなる、そんなときは、どうか、ためらわずに専門家を頼ってください。それは弱さでも、親失格でもありません。むしろ、自分と子どもを守る、いちばん勇気ある行動です。下記の窓口は、いつでもあなたの味方です。あなたは、ひとりではありません。
親の心の整え方×中島輝メソッド4ステップ
親が自分の心を整える道のりも、中島輝メソッドの「自己認知→自己受容→自己成長→他者貢献」に重なります。今回は、お子さんではなく、あなた自身のための4ステップです。
自己認知|自分の状態に気づく
まず、「私は今、疲れている」「余裕がない」と、自分の状態に気づくこと。責めるのでなく、ただ気づく。気づくことが、心を守る第一歩です。
自己受容|「完璧でなくていい」と受け入れる
怒鳴る日も、できない日もある自分を、「それでいい」と受け入れる。これがあなた自身の安心感・自己受容感を育てます。自分を許すことが、すべての土台です。
自己成長|「ごめんね」と修復する
怒鳴ってしまったら、落ち着いて「ごめんね」と伝える。完璧を目指すのでなく、修復する力を育てる。これが、あなたの自己効力感になります。
他者貢献|頼る・つながる
ひとりで抱えず、家族や周りに頼る。同じ悩みの人とつながる。頼り合うことが、あなたの自己有用感と安心を育て、子にも余裕を注げるようになります。
この4ステップは、お子さんを育てる前に、あなた自身を育て、満たすためのもの。シャンパンタワーの上のグラス=あなたが満たされれば、その豊かさは、自然と子どもへと注がれていきます。どうか、自分を大切にしてください。それが、いちばんの子育てです。
センターピン|たった1つだけ覚えて帰ってください
落ち込めるあなたは、
もう十分、いい親。
完璧な親はいない。
大切なのは、
怒鳴らないことより、
「ごめんね」と言えること。
今日から始める、たった1つの習慣
よくある質問5問
こころが疲れたときの相談窓口
💙 あなたは、ひとりじゃない。頼れる場所
- 児童相談所相談専用ダイヤル|0120-189-783(24時間・無料)
- 子育て世代包括支援センター|お住まいの市区町村の窓口
- よりそいホットライン|0120-279-338(24時間・無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル|0570-064-556
- 厚生労働省 まもろうよこころ|公式サイト
次に読むべき記事|シリーズ予告
モンテッソーリ×自己肯定感シリーズ 第10弾、そしてシリーズB最終回、最後までありがとうございました。「怒鳴ってしまった」と落ち込めるあなたは、もう十分にいい親であること。完璧な親はいないこと。大切なのは怒鳴らないことより「ごめんね」と修復できること。そして、自分を責めるほど余裕を失うから、まず自分にやさしくすることが、子の安心感を育てること。どうか、お子さんと同じくらい、あなた自身を大切にしてください。あなたは、ひとりではありません。
🔥 モンテッソーリ×自己肯定感シリーズ、好評連載中!
世界が認めるモンテッソーリ教育と、自己肯定感の「6つの感」を統合し、0〜6歳の子育てに徹底的に落とし込む新シリーズ。特別な才能ではなく、どんな子にも育つ「自己肯定感の土台」を、一緒に育てていきましょう。
次回・第11弾予告|シリーズC「おうちでできる環境づくり」へ。「モンテッソーリに高い教具は不要|家にあるもので育つ」。特別な教具を買わなくても、家にあるもので子どもは育ちます。お金をかけずに整える、おうちモンテッソーリの工夫を解き明かします。お楽しみに。
🛡️ 本記事の権威性とトラスト
- 監修者:中島輝(自己肯定感アカデミー会長/心理カウンセラー/一般財団法人自己肯定感学会代表)
- 監修者実績:著書累計76万部/15,000人臨床/回復率95%/1,800人独自統計
- 参照原典:マリア・モンテッソーリ『子どもの発見』(環境の守り手・大人の自己省察)
- 参照理論:モンテッソーリ「環境の守り手」「大人の謙虚さ」/中島輝「自己肯定感の6つの感」「シャンパンタワーの法則」(特に安心感・自己受容感)
- 参照概念:D.W.ウィニコット「ほどよい親(Good Enough Mother)」、親子関係の「修復(リペア)」
- 関連エビデンス:セルフ・コンパッション(自分への思いやり)がストレス・自己批判を低減し、心理的回復力を高めるという研究知見
- 政策準拠:文部科学省「生徒指導提要2022年」/こども家庭庁による保護者支援の重視
- 掲載実績:東洋経済オンライン・プレジデントオンライン・ダイヤモンド・オンライン・現代ビジネス・日経xwoman他1,000媒体以上
- 所属:自己肯定感アカデミー/一般財団法人自己肯定感学会/トリエ
- 公開日:2026年6月1日(モンテッソーリ×自己肯定感シリーズ 第10弾)
- 編集方針:編集方針はこちら
- 利益相反開示:本記事は中島輝が代表を務める自己肯定感アカデミーの公式記事です。プライバシーポリシー
❗ 重要:専門家への相談について(YMYL:育児・メンタルヘルス情報)
本記事はモンテッソーリ教育および中島輝「自己肯定感の6つの感」への深い敬意を込めた解説記事です。本記事の内容は中島輝オリジナルの解説であり、特定の団体・著者の公式見解を示すものではありません。
本記事は医学的診断・治療を提供するものではありません。保護者ご自身の気分の落ち込みが続く、涙が止まらない、何も楽しめない、自分や子どもを傷つけたくなるなどのときは、ためらわず、かかりつけ医・精神科・心療内科・公認心理師・地域の子育て支援窓口等の専門家にご相談ください。それは弱さでも親失格でもなく、自分と子どもを守る勇気ある行動です。緊急時は児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)や、お住まいの自治体の相談窓口へ。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の状況に対する助言を代替するものではありません。あなたは、ひとりではありません。
自己肯定感ラボで、あなた自身の心も育てる
自己肯定感ラボでは、子育てだけでなく、親であるあなた自身の自己肯定感を育てる記事も多数公開しています。あなたの毎日に、安心とゆとりが戻りますように。
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自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





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