職員室の隅で、冷めた弁当を5分で流し込む。
午前中、保護者から電話があった。
「うちの子が泣いて帰ってきたんですけど、どういうことですか」
30分かけて状況を説明し、謝罪し、今後の対応を伝えた。
受話器を置いた瞬間、次のクラスのチャイムが鳴った。
午後は研究授業の準備。放課後は部活。
18時から保護者面談が2件。
帰宅は21時。そこから明日の授業準備。
明日の朝はまた、
教室のドアを開けて──
「おはようございます!」の笑顔から始まる。
あの笑顔の裏側で、
何が起きているか。
中島輝です。
今日は、「子どもの前では笑顔」を求められるすべての先生に向けて書きます。
教員の精神疾患休職、過去最多を更新
先に、数字をお見せします。
📊 文部科学省「公立学校教職員の人事行政状況調査」

教員の精神疾患による休職者数:
令和4年度:6,539人(過去最多を更新)
10年前(平成24年度):4,960人
→ 10年で約1.5倍に増加
さらに──
文科省「教員勤務実態調査」によると、
教員の約3割が「強いストレス」を感じている。
保育士の離職率は年間約10%。
退職理由の上位は「職場の人間関係」と「心身の不調」。
──厚生労働省「保育士の現状と主な取組」
6,539人。
これは「精神疾患で休職した」人の数であり、
限界を感じながらも働き続けている「予備軍」は含まれていません。
あなたの職場にも、「笑顔の裏側」を抱えている先生がいるかもしれない。
あるいは──あなた自身が、そうかもしれない。
「でも、子どもが好きだから辞められない」
「保護者対応がしんどいけど、先生なんだからしょうがない」
「同僚に弱音を吐ける雰囲気じゃない。みんな同じように大変だし」
「私が休んだら、子どもたちが困る」
──その「しょうがない」と「私が休んだら」が、
あなたを壊しています。
これは、アドラー心理学で言う「課題の混同」そのものです。
「子どもの前では笑顔」は、誰の課題か
アドラー心理学に「課題の分離」という概念があります。
「それは、誰の課題なのか?」を問うこと。
保護者のクレームは、保護者の課題。
子どもの成長は、子どもの課題。
あなたが最善の教育を提供することは、あなたの課題。
でも、「あなた自身の心を守ること」も、あなたの課題です。
多くの先生は、すべてを自分の課題として背負い込んでいます。
子どもの問題も、保護者の不満も、学校の方針も、同僚の穴埋めも。
背負いすぎて、最も大切な「自分自身のケア」が後回しになっている。
飛行機の安全ビデオを思い出してください。
「まず自分の酸素マスクをつけてから、お子さまのマスクをつけてください」
これは比喩ではありません。
酸素が足りない状態で人を助けようとすると、共倒れになる。
教育も保育も、同じです。
「自分に『大丈夫』と言ったことがなかった」

S.Nさん、29歳。保育園で3歳児クラスを担当。
講座に来たきっかけは、ある朝の出来事だった。
園児のR君が転んで泣いた。
S.Nさんはすぐに駆け寄って、R君を抱き上げてこう言った。
「大丈夫だよ。痛かったね。でも大丈夫」
R君が泣き止んで笑顔になった瞬間、
S.Nさんの中で何かが崩れた。
「この子には『大丈夫だよ』と言えるのに、
自分には一度も言ったことがない」
保育室のトイレに駆け込んで、声を殺して泣いた。
3分だけ泣いて、顔を洗って、また保育室に戻った。
「園児の前では泣けない。先生だから」
その夜、講座の申し込みボタンを押した。
「もう限界だった。でも辞めたくなかった。辞めるんじゃなくて、自分の心をケアする方法を知りたかった」
「自分のことより、子どもが先でしょ?」
「先生が自分のメンタルケアなんて言ってたら、プロ失格では?」
「忙しくて、自分のことを考える時間なんてない」
──この言葉に、科学は明確に反論しています。
「自分に優しくする先生」ほど、子どもに優しくできる
🔬 セルフ・コンパッションと教育者の研究
──Roeser et al.(2013) Journal of Educational Psychology
教師を対象にしたマインドフルネス+セルフコンパッション介入で──
バーンアウトスコアが有意に低下。
職業満足度と自己効力感が有意に上昇。
さらに──
Neff & Germer(2013) Clinical Psychology Review:
セルフコンパッション(自分に優しくする力)が高い人は、
幸福感+23%、不安-25%。
そして最も重要な発見──
自己受容度が高い教育者は、
生徒への共感能力がむしろ「高い」。
──Jennings & Greenberg(2009) Review of Educational Research
つまり──
「自分に優しくすること」は甘えではなく、
プロとして子どもと向き合い続けるための「技術」。
自分のコップが空のまま、子どもたちのコップを満たそうとしていた。
だから枯渇した。
まず自分のコップを満たすこと。
それが、結果的にいちばん多くの子どもを救う。
これは精神論ではなく、エビデンスが証明しています。
S.Nさんの朝が変わった
講座で「セルフコンパッション」と「課題の分離」を学んだ後、
S.Nさんは、毎朝ひとつだけ習慣を変えた。
出勤前、鏡の前で自分に言う。
「今日もよく頑張るね。でも、無理しなくていいよ」
最初は恥ずかしかった。
鏡に向かって独り言を言う自分が滑稽に思えた。
でも2週間続けたとき、変化が起きた。
保護者からの厳しい言葉を受けた日。
いつもなら帰宅後もぐるぐると頭の中で反芻して眠れなかった。
その夜は──
「今日は辛かったね。でも、ちゃんと対応できたよ」
と自分に言って、眠れた。
3カ月後、S.Nさんはこう言いました。
「子どもたちへの接し方が変わったんです。
前は余裕がなくて、ちょっとしたことでイライラしていた。
今は、子どもが何かやらかしても、
『この子なりの理由があるんだろうな』と思えるようになった。
アドラーの認知論が、自然に使えるようになっていた」
自分に優しくできるようになったら、
子どもにもっと優しくなれた。
理論通りの結果。
でもS.Nさんにとっては「理論」ではなく「実感」だった。
先生こそ、学んでほしい
保育士、教員、学童指導員──
「子どもの前では笑顔」を求められるすべての方へ。
あなたは毎日、子どもたちのために心を使っています。
保護者のために、同僚のために、学校のために。
でも、あなたの心は、誰がケアしていますか?
「子どもが好きだから」──その気持ちは本物です。
だからこそ、その気持ちを長く持ち続けるために、
自分自身のケアを後回しにしないでください。
アドラーはこう言っています。
「不完全である勇気を持ちなさい」
完璧な先生になる必要はない。
すべてを背負う必要はない。
まず自分に「大丈夫だよ」と言えること。
その小さな一歩が、あなたの教室の空気を変え、
子どもたちの自己肯定感を育てる土台になる。
もし、
「自分のケアの方法を本気で学びたい」
「課題の分離とセルフコンパッションを体験で身につけたい」
と感じたなら──
大阪の講座で、その時間があります。
受講生には保育士・教員の方がたくさんいらっしゃいます。
同じ立場だからこそわかり合える仲間が、そこにいます。
大阪講座、ありがたいことにお申込みが加速しています。
ピンときた方、ここが動くタイミングです。
「もう少し考えてから」の間に席が埋まるのが毎回のパターンです。
アドラー心理学 メンタルトレーナー資格取得2日間講座【大阪】
日程:2026年5月10日(土)・11日(日)
開場:9:45/開始:10:00/終了:17:00
懇親会(参加自由)17:30〜
・・・・↓【重要】↓・・・・
オンラインでも行います!全国の方でも、この日程しか空いてないんだという方はオンラインでお越しくださいね。
私はオンラインで受講したいって方は遠慮なくオンラインで受講されてくださいね❣️
・・・・↑【重要】↑・・・・
※お昼休憩60分程度は各自、あなたの心地よい方法を選んでください😀
※会場内の温度設定は低めです。上着等をお考えの上いらしてくださいね😀
※各自飲み物やお菓子ももってきていただいて大丈夫です😀
※懇親会は参加自由・途中退出も自由、気軽に映画を見に行く感覚で😀
<場所>駅の近くをセレクトします。決定次第ご連絡いたします😌
▶ 詳細・お申込み:

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





コメント