結婚指輪を外した日、指に白い跡が残っていた。──「自分で選んだんでしょ?」と言われ続けた人に伝えたい、離婚もグリーフです

左手の薬指に、白い跡が残っていた。

12年間つけていた指輪を外したら、

そこだけ日焼けしていなかった。

細い白い輪っか。

まるで「ここに何かがあった」と主張するように。

この跡が消えるまで、どのくらいかかるんだろう。

ふと、そう思った。

指の跡は、たぶん数カ月で消える。

でも──心の跡は?

中島輝です。

今夜は、離婚を経験した方に向けて書きます。

少し勇気のいる記事です。でも、読んでよかったと思ってもらえるように書きます。

離婚は「配偶者の死」に次ぐ、人生で2番目に大きなストレス

まず、データからお見せします。

📊 Holmes-Rahe 社会的再適応評価尺度(1967

精神科医トーマス・ホームズとリチャード・レイが、

人生の出来事がもたらすストレスをランキングした結果──

1位:配偶者の死(100点)

2位:離婚(73点)

3位:夫婦の別居(65点)

参考:

解雇(47点)、退職(45点)、妊娠(40点)、引っ越し(20点)

離婚は、解雇の1.5倍、引っ越しの3.6倍のストレス。

「配偶者の死」に次ぐ、人生で2番目に大きなライフイベント。

つまり、離婚は──

「関係の死」です。

一緒に暮らした日々。一緒に笑った記憶。一緒に描いた未来。

それがすべて「死んだ」。

これはグリーフそのものです。

なのに──

社会はこの悲しみを、認めてくれない。

「自分で選んだんでしょ?」

「前を向いて。新しい出発だよ」

「子どもがいるんだから、しっかりしなきゃ」

「次はもっといい人が見つかるよ」

──言われたことありませんか。

悪意はない。むしろ気遣い。

でも、これらの言葉が伝えているメッセージは──

「あなたの悲しみは、悲しんでいいものではない」。

これが、離婚のグリーフがいちばん辛い理由です。

「悲しんでいい」と言ってもらえない悲しみ──公認されない悲嘆

アメリカのグリーフ研究者ケネス・ドカは、このような悲しみに名前をつけました。

📊 公認されない悲嘆(Disenfranchised Grief──Doka(1989)

「社会的に認められない、あるいは公に表現することが

許されていない悲嘆」のこと。

死別は社会が「悲しんでいい」と認めてくれる。

葬儀がある。弔問がある。忌引きがある。

「お悔やみ申し上げます」と言ってもらえる。

離婚には、それがない。

悲しみを表現する「社会的な場」がない。

「離婚おめでとう」とも「お悔やみ」とも言われない。

悲しんでいいという「許可」がどこからも出ない。

だから、一人で抱え込む。

抱え込むから、回復が遅れる。

ドカの研究は、この「公認されない悲嘆」が

通常の悲嘆より長期化・重症化しやすいことを示している。

離婚で失ったもの。

「当たり前の家族」を失った。

「おはよう」と言える相手を失った。

子どもの寝顔を一緒に見る人を失った。

「この人と老後を過ごすんだ」という未来を失った。

これだけのものを失ったのに、

「自分で選んだんだから仕方ない」と片づけられる。

悲しくて当然なのに、悲しむことすら許されない。

これが、離婚の「公認されない悲嘆」です。

M.Tさんが3年間、誰にも言えなかったこと

M.Tさん、42歳。3年前に離婚。

小学5年生の娘がいる。

結婚14年。最後の2年間は、ほとんど会話がなかった。

夫は仕事を理由に帰りが遅くなり、週末も出かけるようになった。

M.Tさんは家事と育児を一人でこなしながら、パートで働いていた。

ある夜、娘が寝た後、夫にこう言った。

「もう、やっていけない。別々に暮らした方がいいと思う」

夫は少し黙ってから、言った。

「……そうだな」

その一言が、14年間の答えだった。

離婚が成立した日。

友人にLINEで報告した。

返ってきたのは──

「大変だったね。でもこれからは自由だよ!新しいスタート!」

M.Tさんはスマホの画面を見つめて、

何も打てなかった。

「新しいスタート」なんかじゃない。

14年間一緒にいた人がいなくなった。

娘の「パパは?」にどう答えればいいかわからない。

夜、一人でベッドに入ると、部屋が広すぎて怖い。

でも誰にも言えなかった。

「自分で決めたんだから、弱音を吐く資格はない」と思っていたから。

「子どもに申し訳ない。私のせいで家庭を壊した」

「娘がパパに会いたいと言うたびに、胸が裂ける」

「離婚は自分が選んだ。だから悲しむ権利なんてない」

「バツイチの自分に価値なんてあるのか」

──もし今、こんなふうに自分を責めているなら。

はっきり伝えます。

あなたには、悲しむ権利があります。

「自分で選んだ」かどうかは関係ない。

大切なものを失った痛みは、誰にでも悲しむ権利がある。

「離婚も、グリーフなんですよ」──その一言で、3年間の堰が切れた

グリーフケア講座で、M.Tさんにこう伝えました。

「離婚は『関係の死』です。

あなたが失ったのは、夫だけではない。

一緒に描いた未来。家族の形。『おはよう』と言える日常。

それだけのものを失ったのだから、悲しくて当然です。

離婚も、グリーフなんですよ。

あなたには、悲しむ権利がある」

M.Tさんは──

崩れるように泣いた。

3年間、一度も泣いていなかった。

「自分で選んだんだから泣いちゃいけない」と言い聞かせていたから。

「初めてです。

『悲しんでいい』と言ってもらえたのは。

3年間、ずっと待っていた言葉だったのかもしれない。

自分でも気づいていなかったけど」

「悲しんでいい」──たったこれだけの許可が、

3年間閉じていた扉を開けた。

泣けた日から、M.Tさんの回復が始まった。

M.Tさんの「今」

講座から10カ月後。

M.Tさんは、離婚を経験した女性の小さな集まりを主催するようになりました。

「特別なことは何もしていません。

月に1回、カフェで集まって話す。それだけ。

でも、来てくれた方が帰り際に言うんです。

『こんなに泣いたの、離婚してから初めて。

悲しんでいいんだって、初めて思えた』って。

3年前の自分と同じだ──と思うと、涙が出ます。

あの白い跡は、もう消えました。

でも、消えたことが悲しいわけじゃない。

あの14年間は、確かにそこにあった。

指の跡が消えても、あの日々は消えない。

それでいいんだと、今は思えます」

悲しみに「名前」がつくだけで、世界は変わる

離婚を経験した方へ。

あなたの悲しみには、名前があります。

「公認されない悲嘆」──悲しんでいいと認めてもらえない悲しみ。

名前がつくだけで、少し楽になりませんか。

「自分だけがおかしいんじゃなかった」と。

自分で選んだかどうかは、関係ない。

大切なものを失った事実は変わらない。

だから、悲しんでいい。泣いていい。立ち止まっていい。

そして──一人で抱え込まなくていい。

同じ経験をした人がいる。同じ痛みを知っている人がいる。

グリーフケアを学ぶことは、

まず「自分の悲しみに名前をつける」ことから始まります。

名前がつくと、向き合い方が見えてくる。

向き合い方が見えると、一歩ずつ前に進める。

仙台講座にもお申込みが続いています。

ピンときた方は、考えるより先に動いてみてくださいね。

迷っているうちに席がなくなったら、もったいないので。

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