すうすうと、小さな寝息が聞こえる。
さっきまで泣いていた顔が、
今はまるで天使のように穏やかで。
その寝顔を見ながら、
あなたは布団の横で泣いたことがありませんか。
「ごめんね。また怒鳴っちゃって、ごめんね」
──心当たりがある方に、今日の記事を届けたいと思います。
中島輝です。
「私はダメな母親です」
講座に来たY.Sさん、38歳。
小学2年生の息子さんと、5歳の娘さんのお母さん。

開口一番、こう言いました。
「私はダメな母親です。毎日、怒鳴ってしまうんです」
朝、何度起こしても起きない息子に怒鳴る。
ご飯をこぼした娘に怒鳴る。
宿題をやらない息子に怒鳴る。
「怒鳴りたくないんです。
でも、気づいたら声を荒らげている。
そして夜、子どもの寝顔を見て泣くんです。
毎日、この繰り返しで。
もう限界なんです」
Y.Sさんの目は、真っ赤だった。
「わかる…。私もそう」
「怒鳴りたくないのに怒鳴っちゃう。もう何年もこの繰り返し」
「結局、性格の問題でしょ? 直しようがない」
「母親失格だと思う。でも誰にも言えない」
──もし今、こんなふうに感じているなら。
あなたは母親失格ではありません。
「方法」を知らないだけです。
アドラーが教える、親子関係の「たった1つのルール」
アドラー心理学には、
親子関係を根本から変える
シンプルなルールがあります。
「褒める」をやめて、「勇気づけ」に変える。
え? 褒めるのがダメなの?
──そう思いますよね。
「褒める」と「勇気づける」は、似ているようでまったく違います。
褒める=結果を評価する。上から下の関係。
「100点すごいね!」「偉いね!」「よくできたね!」
勇気づけ=存在を認める。横の関係。
「頑張ったんだね」「嬉しそうだね」「ありがとう」
「褒める」は一見いいことに見えますが、
裏のメッセージがあります。
「100点じゃないと認めてもらえない」
「結果を出さないとお母さんは喜ばない」
子どもは無意識にこのメッセージを受け取ります。
そして「褒められない自分」を恐れるようになる。
科学が証明した「褒める」の落とし穴
📊 プロセス重視 vs 結果重視のフィードバック研究
──Henderlong & Lepper(2002) Psychological Bulletin 128
コロンビア大学とスタンフォード大学の共同研究。
結果への褒め言葉(「すごい!」「天才!」)を受けた子どもは、
失敗を恐れるようになり、難しい課題を避ける傾向が増加。
一方、プロセスへのフィードバック(「よく頑張ったね」「工夫したね」)
を受けた子どもは──
課題遂行率+27%、自己評価+18%向上。
失敗しても再挑戦する確率が有意に高かった。
つまり──
「すごい!」より「頑張ったね」の方が、
子どもの自己肯定感を育てる。
さらに、もうひとつの研究があります。
📊 ゴットマンの「5:1ルール」
──Gottman & Silver(1999) The Seven Principles
ワシントン大学のジョン・ゴットマン教授が、
3,000組以上の家族を観察して発見した法則:
ポジティブな関わりとネガティブな関わりの比率が
5:1以上のとき、関係は安定する。

1:1を下回ると、関係は崩壊に向かう。
つまり──
1回怒鳴ったら、5回の勇気づけが必要。
怒鳴ること自体が問題なのではなく、
「それ以上に勇気づけがあるかどうか」が鍵。
「怒鳴ってしまう自分」を責める必要はないのです。
大切なのは、怒鳴った「あと」に何をするか。
Y.Sさんが変えた「たった1つのこと」
講座でこの話を聞いたY.Sさんに、
ひとつだけお願いしました。
「怒鳴ってしまった夜、寝顔を見ながら
『ごめんね』の代わりに『ありがとう』と言ってみてください」
「ごめんね」は自分を責める言葉。
「ありがとう」は子どもの存在を認める言葉。
Y.Sさんは、半信半疑でやってみた。
最初の夜は、「ありがとう」が出てこなかった。
「何に対してありがとうなの?」と自分に問いかけて、
やっと絞り出した言葉は──
「今日も元気でいてくれて、ありがとう」
それだけ。たったそれだけ。
でも──
1週間続けたとき、変化が起きた。
朝、息子さんがなかなか起きないとき。
いつもなら「早くしなさい!」と怒鳴る場面で、
ふと、別の言葉が口をついて出た。
「おはよう。今日も会えて嬉しいよ」
息子さんはびっくりした顔をして、
それからにっこり笑って起き上がった。
Y.Sさんはその瞬間、泣いたそうです。
今度は、嬉しくて。
子どもに必要なのは「完璧な親」ではない
怒鳴ってしまう自分を責めている方へ。
正直に言います。
怒鳴ることは、なくなりません。
人間だから。疲れているから。余裕がないから。
それは「ダメ」なことではなく、「自然」なことです。
アドラーはこう言っています。
「不完全である勇気を持ちなさい」
完璧な親になる必要はない。
怒鳴ってしまう自分を、まず「許す」こと。
そしてその上で、5:1のルールを意識すること。
子どもに必要なのは、完璧な親ではありません。
「自分を許せる親」です。
自分を許せる親のそばで、
子どもは「自分を許せる子」に育つ。
それが、自己肯定感の世代間連鎖です。
今夜、寝顔を見ながら
今夜、子どもの寝顔を見るとき。
「ごめんね」の代わりに、ひとつだけ。
「今日も元気でいてくれて、ありがとう」
たったそれだけで、
明日の朝のあなたは、今日と少し違っているはずです。
そしてもし、
「怒鳴ってしまう自分」の根っこにあるものを
もっと深く理解したくなったら──
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自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





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