「明日からまた仕事か…」
日曜の夜、ベッドの中でため息をついていませんか?
かつては情熱を持って取り組んでいた仕事が、今はただの作業に感じられる。PCの前に座っても、時間だけが過ぎていく。周りは活躍しているように見えて、自分だけが取り残されているような焦りを感じる…。
もし、あなたが今そんな風に感じているなら、それは決してあなたの能力が低いからでも、怠けているからでもありません。
その「やる気が出ない」というサインは、あなたの心が「もう限界だよ」と悲鳴をあげている証拠なのです。
この記事を読んでいるあなたは、きっと真面目で、責任感が強く、これまで一生懸命に頑張ってきた方なのでしょう。だからこそ、今の状況に人一倍苦しんでいるのだと思います。
こんにちは。自己肯定感の第一人者、中島輝です。
これまで何万人もの方々の悩みと向き合ってきましたが、「仕事のやる気が出ない」というご相談は後を絶ちません。
実は、その燃え尽きてしまったような無気力感の根本には、「自己肯定感の低下」と、そこから生まれる「心の歪み」が隠れています。
しかし、ご安心ください。
その問題は、アドラー心理学の視点を取り入れ、自己肯定感を育むことで、必ず乗り越えることができます。
この記事では、なぜあなたのやる気が消えてしまったのか、その根本原因をアドラー心理学と自己肯定感の観点から解き明かし、明日から実践できる具体的な解決策を余すところなくお伝えします。
もう一人で抱え込まないでください。
この記事を読み終える頃には、あなたの心は少しだけ軽くなり、「もう一度、自分のペースで歩き出してみよう」と思えるようになっているはずです。

あなたの「やる気が出ない」はどれ?5つの原因チェックリスト
まず、あなたが感じている「やる気が出ない」という感情を、もう少し具体的に見ていきましょう。その原因は一つではありません。以下のどれに当てはまるか、ご自身の心に問いかけてみてください。

- □ 燃え尽き症候群(バーンアウト)のサイン朝、起きるのが異常に辛い。仕事のことを考えると、どっと疲れが押し寄せる。十分な休息をとっても、心身のエネルギーが回復しない。かつて情熱を注いだ仕事に、今は何の感情も湧かない。
- □ 評価されない・認められない「承認欲求の渇望」自分なりに頑張っているつもりなのに、上司や同僚から正当な評価をされていないと感じる。褒められることも、感謝されることも少ない。「自分なんて、いてもいなくても同じなのでは…」と無力感に苛まれる。
- □ 「やらされ仕事」ばかりで成長を実感できない毎日、同じようなルーティンワークの繰り返し。新しい挑戦の機会もなく、自分のスキルが向上している実感が持てない。「このままでいいのだろうか」と、自分の市場価値に不安を感じる。
- □ 職場の人間関係という名の「見えないストレス」上司との相性が悪い、同僚とのコミュニケーションがうまくいかない、部署内の空気がギスギスしている…。仕事そのものよりも、人間関係に気を遣うことで、精神的にすり減っている。
- □ 将来への漠然とした不安とキャリアの停滞感今の会社にずっといる未来が描けない。かといって、転職する勇気もスキルもない。今の仕事が自分の本当にやりたいことなのか分からず、キャリアプランが全く見えない。
いかがでしたか?
一つでも強く当てはまるものがあったなら、それはあなたの心が助けを求めているサインです。これらの「症状」の根底には、アドラー心理学と自己肯定感で解決できる、共通の原因が潜んでいます。
【原因分析】アドラー心理学が解き明かす「やる気」の正体
なぜ、私たちのやる気は消えてしまうのでしょうか。その答えのヒントを、アルフレッド・アドラーの「アドラー心理学」が教えてくれます。

やる気がないのではない。「やる気をなくす」という目的がある
アドラー心理学では、人間の行動にはすべて「目的」があると考えます。これを「目的論」と呼びます。
つまり、「やる気が出ない」という状態は、原因があってそうなったのではなく、「やる気を出さない」という目的を、あなたが無意識に達成しようとしている結果なのです。
「え?そんなはずはない!」と思われるかもしれません。
しかし、考えてみてください。
- やる気を出して仕事に取り組んだ結果、失敗して傷つきたくない。
- やる気を出さないことで、「本気を出せばできるのに」という可能性の中に逃げ込みたい。
- やる気のない姿を見せることで、誰かに心配してもらいたい、構ってもらいたい。
このように、「やる気を出さない」ことで、私たちは「失敗から自分を守る」「プライドを保つ」「他者の関心を引く」といった目的を達成しようとしているのです。これは、自己肯定感が低下し、挑戦する勇気がくじかれている状態だと言えます。
すべての悩みは対人関係に行き着く
アドラーは断言します。「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と。
先ほどの5つの原因を思い出してください。「評価されない」「人間関係のストレス」「将来の不安」…これらはすべて、他者との比較や、他者からの評価、他者との関わりの中で生まれる悩みです。
私たちは、他者の期待に応えようと必死になり、他者からの評価に一喜一憂し、いつの間にか「他人の人生」を生きてしまっているのです。その結果、自分の内側から湧き上がるはずのエネルギーが枯渇し、やる気を失ってしまいます。
あなたの課題?それとも他人の課題?「課題の分離」で心を軽くする
では、どうすればこの対人関係の悩みから解放されるのでしょうか。
ここでアドラー心理学の最も強力な処方箋、「課題の分離」が登場します。
これは、「自分の課題」と「他人の課題」を明確に線引きし、「他人の課題には踏み込まない」という考え方です。
例えば、
- あなたが提出した企画書を、上司がどう評価するかは「上司の課題」です。あなたの課題は、自分の持てる知識と経験を総動員して、最高の企画書を作成することまでです。
- あなたが職場でどんなに頑張っても、機嫌の悪い同僚がいる。その同僚の機嫌は「同僚の課題」です。あなたは、自分の仕事に集中し、礼儀正しく接することまでがあなたの課題です。
私たちは、コントロールできない「他人の課題」にまで責任を感じ、心をすり減らしています。
「嫌われたらどうしよう」「評価されなかったらどうしよう」という不安は、すべて他人の課題に土足で踏み込んでいる証拠なのです。
この「課題の分離」を意識するだけで、驚くほど心が軽くなります。対人関係のストレスの9割は、この考え方で手放すことができるのです。
【関連記事】
この「課題の分離」をさらに詳しく知り、
ストレスの9割を手放す具体的な方法については、
こちらの記事も参考にしてみてください。
→ 【ストレスで悩むあなたへ】その心の重荷、実はあなたの課題ではないかも?アドラー心理学と自己肯定感でストレスの9割を手放す方法
【根本解決】仕事のやる気を内側から生み出す「自己肯定感」の育て方
「課題の分離」は、対人関係のストレスを軽減する特効薬です。しかし、それだけでは、内側からエネルギーが湧き上がってくる状態にはなりません。そこで不可欠なのが、「自己肯定感」を育むことです。

自己肯定感とは「ありのままの自分」を認める力
自己肯定感とは、何かができるから自分を認める「条件付きの自信(self-confidence)」とは異なります。
成功しても、失敗しても、どんな状態の自分であっても「自分はこれでいい」「自分には価値がある」と思える、心の土台(self-esteem)のことです。
この土台がしっかりしていると、他人の評価に振り回されることがなくなります。「課題の分離」が自然とできるようになり、失敗を恐れずに行動できる「勇気」が湧いてきます。
やる気とは、誰かから与えられるものではなく、この安定した自己肯定感という土台の上に、自然と芽生えてくるものなのです。
「6つの感」で自己肯定感の土台を築く
では、どうすれば自己肯定感を育むことができるのでしょうか。
私は、自己肯定感を支える6つの感覚があると考えています。
- 自尊感情:自分には価値があると思える感覚
- 自己受容感:ありのままの自分を受け入れる感覚
- 自己効力感:自分にはできると思える感覚
- 自己信頼感:自分を信じられる感覚
- 自己決定感:自分で選択しているという感覚
- 自己有用感:自分は誰かの役に立っていると思える感覚
これらの「感」がバランスよく満たされているとき、私たちの自己肯定感は安定します。
仕事でやる気が出ないときは、特に「自己効力感(できると思えない)」「自己決定感(やらされ仕事ばかり)」「自己有用感(役に立っていると思えない)」が低下しているケースが多く見られます。
【関連記事】
この6つの力を体系的に育み、「本当の自信」を手に入れる方法については、
こちらの記事で詳しく解説しています。
ベストセラー『嫌われる勇気』を読んだ、その次に進むべきステップがここにあります。
→ 【アドラー心理学で“本当の自信”を手に入れる】自己肯定感を育む6つの力と『嫌われる勇気』の次にすべきこと
小さな「できた」が自信を育む魔法
自己肯定感を育むために、いきなり大きな目標を立てる必要はありません。
大切なのは、日常の中に、小さな「できた」という成功体験を散りばめていくことです。
- いつもより10分早く出社できた
- デスク周りを綺麗に片付けられた
- 勇気を出して、会議で一度だけ発言できた
- 同僚に「ありがとう」と伝えられた
どんなに些細なことでも構いません。
一つひとつの「できた」を、自分で自分に「よくやったね」と認めてあげる。この繰り返しが、低下していた「自己効力感」や「自己信頼感」を少しずつ回復させてくれます。
【実践ワーク】明日からできる!やる気を取り戻すための7日間アクションプラン
理論は分かったけれど、具体的に何をすればいいの?という方のために、今日から始められる具体的なアクションプランをご用意しました。騙されたと思って、まずは7日間、試してみてください。

📝 やる気を取り戻すための7日間ワーク
【1日目】今の感情をすべて書き出す(ジャーナリング)
ノートとペンを用意し、今のモヤモヤした気持ち、不安、不満、すべてを誰にも見せることなく書き出してみましょう。頭の中が整理され、自分が何に苦しんでいるのかが客観的に見えてきます。
【2日目】「他人の課題」を意識的に手放してみる
「上司が不機嫌なのは、私のせいじゃない」「同僚がどう思うかは、私にはコントロールできない」と、心の中で唱えてみましょう。他人の評価を気にしそうになったら、「これは私の課題ではない」と線引きをする練習です。
【3日目】自分の「貢献」を3つ見つける
「自分は誰かの役に立っている」という感覚(自己有用感)は、やる気の源泉です。どんな小さなことでも構いません。「〇〇さんに資料を渡してあげた」「電話を率先して取った」など、自分の貢献を見つけて手帳にメモしましょう。
【4日目】5分だけ、全く違うことをしてみる
仕事に行き詰まったら、5分だけ席を立ち、窓の外を眺める、好きな音楽を聴く、ストレッチをするなど、全く違う行動をとりましょう。脳がリフレッシュされ、新たな視点が生まれます。
【5日目】未来の自分から「ありがとう」を受け取るワーク
少し先の未来、例えば3ヶ月後の自分が、今のあなたに語りかけるのを想像してみてください。「あの時、腐らずに小さな一歩を踏み出してくれてありがとう」。未来の自分からの感謝は、今のあなたを力強く勇気づけてくれます。
【6日目】「もしも」の力を借りる魔法の質問
「もしも、何の制約もなかったら、どんな仕事がしたい?」「もしも、失敗という概念がなかったら、何に挑戦する?」この質問は、あなたの心の奥底にある本当の望みを引き出してくれます。
【7日目】自分を最高に労う「ご褒美デー」
この1週間、小さな挑戦を続けてきた自分を、思いっきり褒めてあげましょう。美味しいものを食べる、好きな映画を観る、マッサージに行くなど、心が喜ぶことを自分にプレゼントしてください。
このワークは、あなたの自己肯定感を高め、行動への勇気を与えるためのものです。完璧にできなくても大丈夫。一つでも試してみることが、大きな一歩です。
【発展】それでも心が晴れないあなたへ
ここまでのワークを試しても、どうしても心が上向かない…。そんな時もあるかもしれません。それは、問題がさらに根深い場所にあるか、あるいは心以外の要因が影響している可能性があります。
身体からのSOSサインを見逃さないで
十分な睡眠をとっても疲れが取れない、食欲がない、頭痛やめまいが続く…。こうした身体的な不調は、うつ病や適応障害といった心の病のサインである可能性もあれば、ホルモンバランスの乱れが原因である場合もあります。
特にキャリア後半に差しかかると、心だけでなく身体の変化もパフォーマンスに大きく影響します。気になる不調が続く場合は、専門の医療機関に相談することも、自分を大切にするための重要な選択です。
【関連記事】
「最近、どうも仕事のパフォーマンスが落ちた…」と感じる男性は、
こちらの記事もご一読ください。
意外な原因と、アドラー心理学を用いた回復法が見つかるかもしれません。
→ 仕事の不調、原因は「男性更年期」かも?アドラー心理学で自己肯定感を取り戻し、キャリア後半を最高にする方法
環境を変える勇気も選択肢の一つ
アドラー心理学も自己肯定感も、魔法ではありません。もし、あなたのいる環境が、あなたの尊厳を著しく傷つけるような場所(ハラスメントが横行している、過重労働が常態化しているなど)であるならば、そこから「逃げる」勇気も必要です。
自己肯定感が高まると、自分にとって何が大切かが見えてきます。その結果、「転職」や「部署異動」が最善の選択だと気づくこともあります。それは決して「負け」ではなく、自分を守るための戦略的な「前進」です。
まとめ:あなたは、あなたのままで素晴らしい
「仕事のやる気が出ない」という悩みは、あなたがダメな人間だからではありません。むしろ、真面目に、誠実に、仕事と向き合ってきたからこそ生まれる、尊い悩みです。
アドラー心理学の「課題の分離」で、他人の評価という重荷を降ろし、自己肯定感を育むことで、あなたの内側から、再びエネルギーが湧き上がってくるのを実感できるはずです。
誰かと比べる必要はありません。
100点満点の自分を目指す必要もありません。
今日のあなたにできる、小さな一歩を踏み出すこと。
そんな自分を、心から認めてあげること。
その積み重ねが、やがてあなたの働き方を、そして人生そのものを、より豊かで幸せなものに変えていきます。
この記事が、あなたの心を少しでも軽くし、明日へ向かう小さな勇気となったなら、これほど嬉しいことはありません。

自己肯定感の第一人者である中島 輝と共に、自己肯定感の重要性を多くの人に伝えるために活動中。講師としての登壇経験が多く、自己肯定感をはじめとするセラピー・カウンセリング・コーチングの知識が豊富。メディアサイト「自己肯定感ラボ」を通じ、誰もが輝いて生きていくための情報を発信中。





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